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不動産を妻へ、次は甥へ。希望を叶える相続・信託の方法
「妻へ、そして甥へ」先祖代々の不動産、想いを繋ぐには?
「私が亡き後、妻が安心してこの家に住み続けられるようにしたい。そして、妻が亡くなった後は、私の血を引く甥にこの土地を継いでほしい」
お子さんのいらっしゃらないご夫婦にとって、これは切実な願いではないでしょうか。
先日、当事務所にも杉並区にお住まいのAさんという方から、まさに同じご相談が寄せられました。
「この自宅は、もともと祖父が苦労して手に入れた大切な土地なんです。私が亡くなった後、まずは妻の生活を第一に考え、この家を確実に妻に相続させたい。でも、妻が亡くなった後は、妻の親族ではなく、私の甥に引き継いでもらうのが、祖父の想いにも応えることになると思うのです。どうすれば、この願いを叶えられるでしょうか」
Aさんの真剣な眼差しには、妻への深い愛情と、ご先祖様から受け継いだ土地への責任感が溢れていました。この「妻へ、そして甥へ」という二段階の想いを法的に実現するのは、実は簡単なことではありません。
しかし、ご安心ください。あなたのその大切な想いを、未来へと確実に繋ぐための方法は存在します。この記事では、司法書士の視点から、Aさんのようなお悩みを解決するための具体的な道筋を、一つひとつ丁寧に解説していきます。長年の願いを叶えるための第一歩を、ここから一緒に踏み出しましょう。
なぜ普通の遺言書だけでは想いを実現できないのか
多くの方がまず思いつくのが、「遺言書に書いておけば大丈夫だろう」ということかもしれません。しかし、残念ながら、遺言で法的に指定できるのは、原則として「自分が亡くなった時点で、誰に財産を承継させるか」までです。これは非常に重要なポイントです。
例えば、「私が死んだら不動産は妻に相続させる。妻が死んだらその不動産は甥に相続させる」という内容の遺言書を作成したとします。この遺言に基づき、あなたが亡くなった後、不動産の名義は奥様のものになります。その瞬間、その不動産の所有権は完全に奥様の財産となるのです。
つまり、その不動産を将来どうするのか(売却するのか、誰かに贈与するのか、誰に相続させるのか)を決める権利は、すべて奥様に移ってしまいます。あなたの遺言には、奥様の財産の使い道までを指定する法的な力(拘束力)はないのです。
もし奥様が「夫の甥ではなく、自分の兄弟に相続させたい」と考えて新しい遺言書を作成すれば、不動産はそちらに渡ることになります。また、奥様が遺言書を作成しないまま亡くなったり、認知能力の衰えにより遺言を残せなくなった場合は、法律(民法)に従い、奥様の親族(ご両親や兄弟姉妹など)が相続人となります。これでは、あなたの「甥に継がせたい」という想いは実現できません。

このように、一度相続された財産は、相続した人の完全な所有物となり、その先の未来は、その所有者の意思に委ねられてしまうのです。自分の想いを次の世代、さらにその先まで確実に届けたいと考えるなら、通常の遺言書だけでは不十分である、という現実を知ることが最初のステップになります。
遺言と相続の基本的な関係については、人事院のウェブサイトでも解説されています。
参照:遺産相続と遺言
想いを実現する2つの解決策|メリット・デメリットを徹底比較
では、どうすれば「妻へ、そして甥へ」という想いを形にできるのでしょうか。ご安心ください。法的には、主に2つの有効な解決策があります。それは、「予備的遺言」を夫婦で活用する方法と、「家族信託」という仕組みを使う方法です。
どちらの方法にも、それぞれメリットとデメリットがあります。ご自身の家族関係や、どこまで「確実性」を求めるかによって、最適な選択は変わってきます。それぞれの特徴をじっくり比較し、あなたにとって最良の道筋を見つけていきましょう。
解決策①:夫婦で協力する「予備的遺言」の活用
一つ目の方法は、奥様とよく話し合い、協力して遺言書を作成するアプローチです。
具体的には、ご夫婦それぞれが、次のような内容の遺言書を作成します。
- ご自身の遺言書:「自分の全財産は妻に相続させる。ただし、もし自分より先に妻が亡くなっていた場合は、財産を甥の〇〇に遺贈する」と記載します。この後半部分を「予備的遺言」と呼びます。
- 奥様の遺言書:「自分の全財産は夫に相続させる。ただし、もし自分より先に夫が亡くなっていた場合、夫から相続した不動産を、夫の甥である〇〇に遺贈する」と記載してもらうのです。
この方法であれば、あなたが先に亡くなった場合、不動産はまず奥様に相続されます。そして、その後奥様が亡くなったとき、奥様の遺言書によって不動産はあなたの甥御さんへと引き継がれることになります。
実際に、先ほどご紹介したAさんはこの方法を選ばれました。奥様と何度も話し合い、お互いの想いを確かめ合った上で、二人で当事務所にお越しになり、協力して遺言書を作成されました。この方法の最大のメリットは、比較的費用を抑えられ、手続きがシンプルであることです。
しかし、大きなデメリット、つまりリスクも存在します。それは、あくまで奥様の「約束」に基づいているという点です。あなたが亡くなった後、奥様が「やはり考えが変わった」と遺言書を書き換えてしまったり、撤回してしまったりする可能性は、法律上ゼロにはできません。この方法は、ご夫婦間の深い信頼関係があって初めて成り立つ選択肢と言えるでしょう。このような状況は、まさに遺言が必要なケースの典型例です。
解決策②:法的に未来を拘束する「家族信託」の活用
もう一つの、より強力で確実な方法が「家族信託」です。特に、何代にもわたって財産の承継先を指定したい場合に有効な「受益者連続型信託」という仕組みを活用します。
少し専門的になりますが、仕組みはこうです。
- あなた(委託者)が、信頼できる人(例えば甥御さんなど)を財産の管理者(受託者)に指名します。
- そして、不動産などの財産を「信託財産」として受託者に託し、管理・運用してもらいます。
- その信託財産から得られる利益(例えば、家に住む権利や賃料収入など)を受け取る人(受益者)を指定します。
今回のケースでは、信託契約の中で次のように定めます。
- 当初の受益者:妻
- 妻が亡くなった後の次の受益者(または財産の帰属先):甥
このように設定することで、あなたが亡くなった後、奥様は「受益者」として、これまで通りその家に住み続けることができます。そして、奥様が亡くなった瞬間に、不動産に関する権利は契約で定められた通り、自動的に甥御さんへと引き継がれます。これは遺言と違い、信託契約に基づいて承継先をあらかじめ定められるため、奥様の意思だけで承継先が変わってしまうリスクを抑えられます(ただし、設計内容や関係者状況によっては見直し・紛争等の余地が生じることがあります)。
この方法の最大のメリットは、あなたの想いを法的に確定させ、未来にわたって確実に実現できることです。また、万が一奥様が認知症などで判断能力が低下した場合でも、受託者である甥御さんが財産管理を続けられるため、資産が凍結されるリスクにも備えられます。こうした財産管理の側面は、家族信託が持つ重要な機能の一つです。
一方で、デメリットとしては、契約書の作成や登記手続きが複雑になるため、専門家への依頼費用が発生すること、そして財産管理を任せられる信頼できる受託者を見つける必要があることが挙げられます。

あなたはどちらを選ぶ?司法書士が示す判断のポイント
「予備的遺言」と「家族信託」。どちらも有効な手段ですが、あなたとご家族にとっては、どちらがより適しているのでしょうか。ここでは、選択のための具体的な判断ポイントを整理してみましょう。
「夫婦の協力と信頼」を軸にするなら予備的遺言
以下のようなお考えの方には、「予備的遺言」を夫婦で作成する方法が向いているかもしれません。
- 夫婦間の信頼関係が非常に強く、妻が約束を守ってくれると確信している。
- できるだけ費用を抑えて、シンプルな手続きで済ませたい。
- 将来、妻が考えを変える可能性は低いと考えている。
この方法の根幹は、法的な拘束力ではなく、夫婦間の愛情と信頼です。お互いの想いを尊重し、未来を託し合える関係性が大前提となります。ただし、専門家としては、人の気持ちや状況は年月と共に変化する可能性があるというリスクも、念のため心に留めておく必要があることをお伝えしなければなりません。
「法的な確実性」を最優先するなら家族信託
一方で、次のような状況やご希望をお持ちの場合は、「家族信託」が最適な選択となるでしょう。
- 多少コストがかかっても、自分の想いをできる限り確実に実現したい。
- 妻側の親族に財産が渡る可能性をできる限り小さくしたい。
- 妻が高齢で、将来、遺言を書く判断能力が低下する可能性に備えたい。
- 不動産の管理や将来的な処分まで、スムーズに甥に引き継がせたい。
家族信託は、未来の不確実性を排除し、「安心」を契約によって手に入れる方法です。特に、認知症による資産凍結といった、遺言だけではカバーしきれないリスクにも対応できる点が大きな強みです。あなたの想いを、誰にも邪魔されることなく、法的に守り抜きたいと強く願うのであれば、家族信託を積極的に検討する価値があります。
まとめ|大切な想いを未来へ繋ぐために、今できること
「妻の生涯の安心を守りたい。そして、先祖代々の土地は自分の血筋に還したい」
お子さんのいらっしゃらないご夫婦が抱えるこの切実な願いには、「予備的遺言」と「家族信託」という、確かな解決策が存在することをご理解いただけたでしょうか。
信頼を基に夫婦で協力する「予備的遺言」。法的な力で未来を確定させる「家族信託」。どちらの方法を選ぶとしても、法的に有効な書類を作成し、複雑な手続きを正確に進めることが不可欠です。ご自身での判断や手続きは、思わぬ落とし穴や無効のリスクを伴います。
あなたの、そしてご家族の長年の想いを、できる限りトラブルを避けながら実現するために、まずは専門家である私たち司法書士にご相談ください。当事務所は、法律的な手続きを代行するだけでなく、心理カウンセラーの資格も持つ司法書士が、あなたの心に寄り添い、多角的な視点から最も良い解決策を一緒に考えます。
エリアも東京23区はもちろん、東京都下や千葉・神奈川・埼玉など東京都下のご相談に対応しております。対応エリアについてはこちら↓
相続手続きは遠方の司法書士に依頼できる?全国対応の現実 | 相続手続、遺言、相続放棄、会社設立、不動産売却なら下北沢司法書士事務所
お悩みの方は、ぜひ一度法律相談をご利用ください。
下北沢司法書士事務所 竹内友章

東京都世田谷区北沢にある下北沢司法書士事務所は、相続手続き、遺言作成、相続放棄、会社設立、不動産売却など、幅広い法務サービスを提供しています。代表の竹内友章は、不動産業界での経験を持ち、宅地建物取引士や管理業務主任者の資格を活かし、丁寧で分かりやすいサポートを心掛けています。下北沢駅から徒歩3分の便利な立地で、土日も対応可能です。お気軽にご相談ください。
住民票が廃棄済み?法定相続情報の作成と手続きを専門家が解説
「書類が廃棄済み…」法定相続情報が作れず、手続きが止まっていませんか?
「お父様の住民票の除票ですが、保存期間を過ぎているので廃棄済みです」
役所の窓口で淡々とそう告げられ、頭が真っ白になってしまった…あなたも今、そんな状況にいらっしゃるのではないでしょうか。「必要な書類がないなんて、この先の相続手続きは一体どうすればいいんだろう」「銀行や法務局の手続きが、すべて止まってしまうんじゃないか」と、暗闇の中に一人で取り残されたような、強い不安と焦りを感じていらっしゃるかもしれません。
でも、どうか安心してください。あなただけではありません。特に、亡くなられてから年数が経っている方の相続では、同じ壁に突き当たるケースは決して珍しくないのです。そして、最もお伝えしたいのは、たとえ役所で「廃棄済み」と言われたとしても、手続きを諦める必要は全くない、ということです。
この記事では、司法書士である私が、実際に何度も経験してきたこの絶望的な状況を乗り越え、無事に相続手続きを完了させるための具体的な解決策を、順を追って分かりやすく解説します。読み終える頃には、あなたの不安は希望に変わっているはずです。一緒に、解決への一歩を踏み出しましょう。
【実例】住所を証明できなくても、相続手続きは完了できます
「本当に大丈夫なの?」というあなたの疑問にお答えするため、まずは私が実際に担当させていただいた事例をお話しさせてください。これは、机上の空論ではなく、現実に起こったお話です。
杉並区にお住まいのAさんから、「平成11年に亡くなった父の相続手続きをお願いしたい」とご相談をいただきました。相続登記の義務化も始まり、ずっと気になっていた足立区のご実家の名義変更と、手つかずだった銀行預金の手続きを、この機会にきちんと済ませたいとのことでした。
私は早速、専門家が持つ「職務上請求」という権限を使い、相続手続きに必要な戸籍謄本や住民票の除票の収集を開始しました。しかし、数日後、役所から郵送されてきた書類を見て、すぐに問題に気づきました。亡くなったお父様の最後の住所を証明するはずの「戸籍の附票」が、保存期間経過を理由に廃棄されていたのです。
さらに、Aさんにはお父様より少し後に亡くなられたご兄弟もいらっしゃり、その方の住所を証明する書類も同様に取得できませんでした。
でも、当事務所にはこのようなケースでどう対応すべきか、専門家としての知識と経験がありました。
まず、亡くなったお父様については、一覧図に「最後の住所」が書けない代わりに「最後の本籍」を記載し、「なぜ住所が書けないのか」を証明するために役所から「廃棄証明書」を取り寄せ、これを添付して法定相続情報一覧図の申出を行いました。結果、法務局はこれを問題なく受理し、住所の記載がない法定相続情報一覧図が完成しました。
そして、この「住所記載なし」の一覧図を使って、無事に相続登記とすべての銀行手続きを完了させることができました。
この事例が示すように、たとえ重要な書類が廃棄されていたとしても、状況に応じた資料の準備と手順を踏むことで、手続きを進められる場合があります。

なぜ?住民票の除票や戸籍の附票が「廃棄」される理由
そもそも、なぜ公的な書類であるはずの住民票の除票(亡くなった方の住民票)や戸籍の附票(住所の履歴が記録された書類)が「廃棄」されてしまうのでしょうか。それは、これらの書類に法律で定められた「保存期間」があるからです。
住民票の除票や(除)戸籍の附票には保存期間があり、自治体によって「平成26年4月1日以降に除票となったものは150年」など、一定の時期以降に保存期間が延長された取扱いが案内されています。そのため、例えば平成20年に亡くなった方の場合、平成25年にはすでに保存期間が満了し、役所によっては廃棄されていてもおかしくない状況だったのです。
法令改正等により、住民票の除票や(除)戸籍の附票の保存期間は延長されており、いつ除票になったか等の条件によって「150年保存」となる取扱いが案内されています。しかし、重要なのは、このルールは未来に向かって適用されるということです。つまり、法改正が行われる前に、すでに5年の保存期間が過ぎて廃棄されてしまった書類は、残念ながら元には戻りません。
あなたが直面している「廃棄済み」という事態は、役所のミスや特別なトラブルではなく、古い相続では法律上起こり得ることなのです。まずはこの事実を冷静に受け止めることが、次の一歩に進むための第一歩となります。
参考: 住民基本台帳法施行令の一部を改正する政令等について(通知)(総務省)
【解決策】住所が証明できなくても法定相続情報は作成できる
では、いよいよ核心部分です。被相続人の最後の住所を証明する書類が取得できない場合、どうすれば法定相続情報一覧図を作成できるのでしょうか。答えは、驚くほどシンプルです。
法定相続情報一覧図には「最後の住所」を記載するのが基本ですが、法務局の案内では、申出人の選択により「最後の本籍」も記載できるとされています。最後の住所を証する書類が取得できない場合は、取得不能である事情が分かる資料を添付するなど、個別事情に応じた対応を取ったうえで申出を行います。このテーマの全体像については、法定相続情報証明制度の概要で体系的に解説しています。
ポイントは「最後の本籍」の記載
法務局が定めている法定相続情報一覧図のルールでは、被相続人の欄には「最後の住所」を記載するのが原則です。しかし、それを証明する書類が取得できないケースを想定し、例外的な取り扱いが認められています。
一覧図は「最後の住所」を基本として作成し、必要に応じて「最後の本籍」も併記します。住所を証する書類が取得できない事情がある場合は、その事情が分かる資料を添付するなどして、法務局に申出を行います。これにより、「住所は証明できませんが、代わりに本籍地を記載します」という形で申出が可能になるのです。なお、相続放棄した人がいる場合でも、一覧図への記載方法は変わりません。
申出時に添付する代替書類とは?
ただし、単に一覧図の記載を「最後の本籍」に変えるだけでは不十分です。「なぜ、原則である住所を記載できないのか」その理由を、法務局に対して客観的に証明する必要があります。
その理由を補強する資料として、市区町村によっては、書類が保存期間満了等で発行できない旨を示す証明書類を交付している場合があります。
- 廃棄証明書:「ご請求の住民票の除票(または戸籍の附票)は、保存期間満了により廃棄したため発行できません」ということを公的に証明してくれる書類です。
- 不在住証明書・不在籍証明書:「その住所にその氏名の人は住民登録されていません」「その本籍地にその氏名の人は在籍していません」ということを証明する書類。これも、書類が存在しないことの間接的な証明になります。
これらの書類を法定相続情報一覧図の申出書に添付することで、法務局の担当者は「なるほど、証明書が取得できない正当な理由があるのだな」と納得し、手続きを進めてくれるのです。役所での戸籍収集は、相続人が多いと特に複雑になりがちです。

相続人の住所はどうする?記載は任意です
ここで、よく混同されがちな「相続人の住所」についても整理しておきましょう。被相続人の住所証明が問題になっていると、相続人自身の住所についても不安に思われるかもしれませんが、心配は不要です。
法定相続情報一覧図において、相続人の住所を記載するかどうかは「任意」、つまり自由です。必ずしも記載しなければならないものではありません。
- 住所を記載するメリット:不動産の相続登記を申請する際に、別途、相続人の住民票を提出する必要がなくなります。
- 住所を記載しない場合:相続登記や銀行手続きの際に、その都度、相続人の住民票を求められます。
冒頭のAさんの事例のように、他の相続人の住所証明書も廃棄されているようなケースでは、無理に住所を記載せず、空欄のまま一覧図を作成することも可能です。特に相続人が多い場合は、全員の住民票を集める手間を省くために、あえて記載しないという選択も考えられます。
「住所記載なし」の法定相続情報で手続きは本当に可能?
解決策が見えてきた一方で、「被相続人の住所が書かれていない、いわば不完全な書類で、本当に相続登記や銀行手続きができるのだろうか?」という新たな疑問が湧いてくることと思います。ごもっともな心配です。ここでは、実務上の運用について具体的に解説し、あなたの最後の不安を解消します。
相続登記(不動産の名義変更)での使い方
不動産の名義変更(相続登記)において、法定相続情報一覧図は2つの役割を期待されています。
- 相続関係を証明する役割
- 被相続人の最後の住所を証明する役割
今回作成した「住所記載なし・本籍記載」の一覧図は、このうち(1)の「相続関係を証明する役割」は完璧に果たせます。戸籍謄本の束の代わりとして、問題なく使用できます。
しかし、(2)の「最後の住所を証明する役割」は果たせません。そのため、この部分を補う別の書類が別途必要になります。具体的には、以下のような書類を法務局に提出します。
- 上申書:「住民票の除票等が廃棄済みで取得できないため、登記簿上の名義人と被相続人は同一人物に相違ありません」といった内容を相続人全員で証明する書類。相続人全員が実印を押し、印鑑証明書を添付します。
- 権利証(登記済証):不動産を取得した際に発行された権利証があれば、それが本人であることの強力な証明になります。
- 固定資産税の納税通知書など:被相続人宛に送付されていた納税通知書なども、補強材料となる場合があります。
たとえ権利証が見当たらないような最悪のケースでも、「上申書」を作成することで対応可能です。このように、代替手段を組み合わせることで、相続登記は問題なく完了できます。
銀行など金融機関での預貯金解約手続き
銀行などの金融機関における預貯金の解約手続きでは、状況はさらにシンプルです。
多くの金融機関が法定相続情報一覧図に求めている主な役割は、「相続人が誰であるかを確定する」ことです。金融機関が法定相続情報一覧図に求める目的は「相続人の確定」であることが多い一方で、必要書類や確認方法は金融機関ごとに異なります。そのため、一覧図に被相続人の住所が記載されていない場合でも受付されるケースはありますが、事前に金融機関へ確認しておくのが確実です。
実務上の感覚としても、「住所記載なし」の法定相続情報一覧図が原因で銀行手続きが滞ったという経験は、今のところありません。
ただし、金融機関ごとに内部のルールが異なる可能性はゼロではありません。最も確実なのは、手続きに行く前に一度電話を入れ、「被相続人の住民票の除票が廃棄済みで取得できず、最後の本籍を記載した法定相続情報一覧図を持参しますが、手続きは可能でしょうか?」と確認しておくことです。この一手間が、無駄足を防ぎ、スムーズな手続きにつながります。ゆうちょ銀行の相続など、金融機関によっては特殊なルールがある場合もあります。

古い相続で書類が揃わない…一人で悩まず専門家にご相談ください
ここまで、書類が廃棄されてしまった場合の具体的な解決策を解説してきました。解決への道筋は見えたものの、同時に「これを全部、自分一人でやるのは大変そうだ…」と感じられたのではないでしょうか。
その感覚は、とても正しいものです。戸籍一式を正確に読み解き、役所で代替書類を取得し、法務局の様式に合わせて一覧図を作成し、さらには相続登記のために上申書を用意する…これらは、専門的な知識と経験がなければ、非常に時間と手間のかかる作業です。
もし、少しでも不安を感じたり、手続きの途中で手が止まってしまったりした場合は、どうか一人で抱え込まないでください。私たち司法書士は、このような困難な状況を解決するための専門家です。
ご依頼いただければ、煩雑な戸籍の収集から、法務局や金融機関との折衝、そして最終的な相続登記の完了まで、すべての手続きをあなたの代理人として責任を持って進めます。「どの専門家に相談すべきか」迷った時も、不動産が絡む手続きの司令塔となる司法書士が最初の窓口として最適です。
エリアも東京23区だけでなく、千葉・神奈川・埼玉など首都圏のご依頼に対応しております。
相続手続きは遠方の司法書士に依頼できる?全国対応の現実 | 相続手続、遺言、相続放棄、会社設立、不動産売却なら下北沢司法書士事務所
ぜひお気軽にご相談ください。
下北沢司法書士事務所 竹内友章

東京都世田谷区北沢にある下北沢司法書士事務所は、相続手続き、遺言作成、相続放棄、会社設立、不動産売却など、幅広い法務サービスを提供しています。代表の竹内友章は、不動産業界での経験を持ち、宅地建物取引士や管理業務主任者の資格を活かし、丁寧で分かりやすいサポートを心掛けています。下北沢駅から徒歩3分の便利な立地で、土日も対応可能です。お気軽にご相談ください。
介護しない兄弟が相続で半分要求…なぜ?専門家が心理と対処法解説
あなたの「報われない想い」は、決して間違っていません
「なんで、あんなに頑張ったのに…」
長年、身を粉にして親御さんの介護を続けてこられたのですね。ご自身の時間を削り、友人との付き合いも減らし、時には仕事を調整しながら、精神的にも、そして経済的にも多くのものを犠牲にしてこられたことでしょう。
それなのに、相続の話し合いになった途端、ほとんど介護に関わってこなかったご兄弟から「法律では半分だから」と、まるで当然の権利のように言われてしまう。その一言が、あなたのこれまでの献身的な日々を、まるで無かったことのように感じさせてしまう…。
今あなたが抱えているその感情は、怒りや悔しさだけではないはずです。それは、お金の問題ではありません。ご自身の尊い時間と愛情が、いとも簡単に否定されてしまったことへの、深い悲しみと虚しさなのだと思います。
どうか、ご自身を責めないでください。その「報われない想い」は、決して間違っていません。この記事は、法律の難しい話をする前に、まずあなたのその心に深く寄り添うことから始めたいと思います。あなたが一人で抱え込んできたその重荷を、少しでも軽くするお手伝いができれば幸いです。

なぜ彼らは「半分」と無邪気に言えるのか?その心理を紐解く
「どうして、あんなに平気な顔で…」と、ご兄弟の言動が信じられないかもしれません。しかし、多くの場合、そこには明確な悪意があるわけではないのです。むしろ、悪意がないからこそ、話がこじれやすいのかもしれません。ここでは、司法書士、そして心理カウンセラーの視点から、介護をしなかったご兄弟がなぜ平然と法定相続分を主張できるのか、その心のメカニズムを3つの角度から紐解いていきましょう。相手を憎む前に、少しだけ相手の「心のバグ」を客観的に観察してみませんか。
見ていない苦労は存在しないのと同じ「心理的距離」のバグ
一番大きな理由は、これに尽きると言っても過言ではありません。遠方に住んでいたり、たまに実家に顔を出すだけだったりするご兄弟にとって、あなたの介護の現実は、残念ながらほとんど見えていません。
介護というのは、体験した人にしか分からない壮絶な現実です。日々の排泄の介助、認知症の親御さんとの終わりのない対話、夜中の呼び出し…。あなたが体験した苦労の10分の1も、彼らには伝わっていないのです。
これは彼らが冷たい人間だから、というわけではありません。人間は、物理的・心理的に距離が離れている物事に対して、想像力が働きにくくなるという「認知の歪み」を持っています。「見ていない苦労は、存在しないのと同じ」。彼らの頭の中では、あなたの介護は「たまに実家の様子を見てくれている」程度の認識で止まっている可能性が高いのです。だからこそ、何のてらいもなく「大変だったね」と言いながら、相続の話では平等を主張できてしまうのです。
「法律で決まっているから」という思考停止
次に、多くの人が陥りがちなのが「法律」という言葉を思考停止の盾にしてしまうことです。彼らが主張する「法定相続分」は、確かに民法で定められた一つの目安ではあります。
しかし、彼らはそれを「絶対的な正解」だと信じ込み、あなたの貢献度といった個別の事情を考慮することを放棄してしまっている状態なのです。複雑な感情や背景を考えることから逃げ、「法律で決まっているのだから、それに従うのが一番公平で揉めない方法だ」と、ある意味では善意で思い込んでいるのかもしれません。
これも深い悪意からではなく、対話から逃げるための便利な方便として「法律」という言葉が使われているに過ぎません。ですから、彼らの「法律では…」という言葉に、過度に心を乱される必要はないのです。
何もできなかった「罪悪感」の裏返しとしての権利主張
意外に思われるかもしれませんが、介護に参加できなかったご兄弟の中には、親に対して何もできなかったという潜在的な「罪悪感」を抱えているケースも少なくありません。そして、その罪悪感と向き合うのは、とても辛いことです。
そのため、自分を正当化する心の働き(防衛機制)として、あえて「相続権」という形で親との繋がりを確認し、自分の存在意義を主張しようとすることがあります。「介護はできなかったけれど、自分も親の子どもであることに変わりはない」という想いが、権利主張という形で現れているのです。
それは、あなたから見れば身勝手な言い分に聞こえるでしょう。しかし、彼らにとっては、それが自分なりの親への関与の形であり、心のバランスを保つための必死の行動なのかもしれません。このように疎遠だった相続人の心理を少しだけ理解することで、冷静さを取り戻すきっかけになるかもしれません。
感情でぶつかる前に知るべき2つの「現実」
ご兄弟の心理が少し理解できたとしても、あなたの「報われたい」という気持ちが消えるわけではありません。しかし、感情のままに行動を起こす前に、知っておいていただきたい2つの現実があります。あなたの頑張りは計り知れない価値があるものです。ただ、法律の世界では、時に別の物差しで測られてしまうことがあるのです。この全体像については、遺産分割協議で揉めないためのコツで体系的に解説していますので、併せてご覧ください。
現実①:「寄与分」が認められるハードルは想像以上に高い
あなたの介護の貢献を法的に主張する制度として「寄与分」というものがあります。これは、被相続人の財産の維持または増加に「特別の寄与」をした相続人が、法定相続分以上の財産を取得できる制度です。
しかし、残念ながら、あなたが感じている貢献度と、裁判所が法的に認定する寄与分の金額には、大きな隔たりがある可能性が強いと思います。なぜなら、法律上、親子・兄弟姉妹には互いに助け合う「扶養義務」があるとされており、裁判所は「その範囲内の協力」と見なしがちだからです。
「特別の寄与」と認められるには、例えば、あなたが介護のために仕事をやめざるを得なかった、あるいは、あなたが多額の金銭的負担をしていたなど、扶養義務の範囲を明らかに超えるレベルの貢献とその証拠が必要になることが想定されます。この立証は非常に難しく、多くのケースでご本人の期待通りの金額よりかなり低い金額しか認められないのではないかと思っております。この制度は、遺留分の問題とも関連してくるため、慎重な判断が求められます。
より詳しい法的な背景については、法務省の資料も参考になります。
参照:法制審議会民法(相続関係)部会(相続人等の貢献に応じた遺産分割の検討)
現実②:感情論のぶつけ合いは、あなたの心をすり減らすだけ
「私がどれだけ大変だったか分かってるの!」と感情的に訴えたくなる気持ちは、痛いほど分かります。しかし、その言葉は、相手には届きません。むしろ、責められていると感じた相手は自己防衛のために心を閉ざし、話し合いは泥沼化してしまうでしょう。
兄弟間の感情的な争いは、膨大な時間と精神的なエネルギーを浪費するだけで、結局誰も幸せにはなりません。あなたの心がすり減っていくだけなのです。
以前、当事務所にご相談に来られたAさんも、同じような悩みを抱えていらっしゃいました。
「弟は父の介護にほとんど参加しませんでした。なのに、当たり前のように相続財産を半分にする前提で話してくるんです。半分でもいい。でも、もう少しこちらの気持ちを確認するとか、『何もしてないのに半分でいいの?』と遠慮する姿勢とか、そういうのがあってもいいんじゃないかって思うんです…」
Aさんは、弟さんが嫌いなわけではありませんでした。ただ、心に「モヤモヤ」とした、やり場のない想いを抱えていたのです。
私はAさんにお伝えしました。
「そう思われるのは当然ですよね。ただ、弟さんはもしかしたら、介護に参加したかったけれど、どう関わっていいか分からなかったのかもしれません。距離も離れていますし、Aさんも気を遣って遠慮された部分があったのではないでしょうか。お互いが良かれと思ってしたことが、少しずつすれ違いを生んでしまったのかもしれませんね」
弟さんをかばっているようにも聞こえると思います。ですが、Aさんが弟さんとの関係を本当は壊したくない、ただ心から納得して相続を終えたい、というお気持ちが伝わってきたからこそできたお話でした。
Aさんは「なるほど…。たくさんのご家庭を見ているから、そういうことが分かるのですね」と、少し表情が和らいだのを覚えています。その後、手続きは比較的スムーズに進みました。Aさんが弟さんとどのようなお話をされたか、あえて伺ってはいませんが、きっとお互いが納得できる着地点を見つけられたのだと思います。こうした相続における感情的な対立は、第三者が入ることで、糸口が見えることがよくあります。

では、どうすればいいのか?心を整理し、次の一歩へ
ここまで、相手の心理と厳しい現実についてお話ししてきました。では、具体的にどうすれば、この苦しい状況から抜け出せるのでしょうか。感情に流されず、あなたの心と未来を守るための3つのステップをご提案します。「戦う」のではなく、「着地点を見つける」ための準備です。
ステップ1:事実を淡々と書き出す
まず、一度あなたの感情は脇に置いて、これまでの介護の「事実」を客観的なデータとして書き出してみましょう。
- 介護が始まったのはいつからか(期間)
- 日々の介護にどれくらいの時間を費やしたか
- あなたが立て替えた費用(医療費、おむつ代、交通費など)領収書があればそれも整理
- 具体的な介護内容(食事、入浴、排泄介助、通院の付き添いなど)
- 老人ホームの選定にかかった時間や見学したホームの数など
介護日記のような形で時系列にまとめてみるのがおすすめです。これは、万が一、寄与分を主張する際の資料になるだけでなく、もっと大切な効果があります。それは、あなた自身の貢献を客観的に可視化することで、冷静さを取り戻し、「私はこれだけやってきたんだ」という自信を取り戻すための「自己カウンセリング」になるのです。まずは相続財産全体の目録と共に、ご自身の貢献を整理してみてください。もしも心の余裕があればですが、試してみてください。
ステップ2:自分の「本当の望み」を見つめ直す
次に、ご自身の心に問いかけてみてください。「私が本当に求めているものは、何だろう?」と。
それは、お金でしょうか。それとも、「ありがとう」「大変だったね」という感謝や労いの言葉でしょうか。あるいは、ご自身の頑張りを認めてもらうことでしょうか。
遺産分割における、あなた自身の「落としどころ」を考えてみるのです。例えば、
- 「法定相続分に、これまで立て替えた介護費用の実費分を上乗せしてくれれば納得できる」
- 「心からの感謝の言葉があれば、法律通りの分け方でも構わない」
- 「せめて、遺品整理はこちらの意向を優先してほしい」
など、具体的なゴールをいくつか想定してみましょう。自分の望みが明確になることで、交渉の軸が定まり、感情的なブレが少なくなります。
ステップ3:第三者を交えて話し合う
当事者同士での話し合いが感情的になってしまい、前に進まない場合は、第三者を交えるのが非常に有効です。
司法書士は、互いの考えを文面を通じて伝えあう役割も担えます。第三者を通じて手紙で相手の考えが伝わることで、お互いに冷静に考えられます。
まとめ:あなたの心を守るために、一人で抱え込まないで
介護をしなかった兄弟からの「半分欲しい」という言葉。それは、あなたの長年の献身を軽んじる、あまりにも辛い一言だったと思います。
しかし、どうか一人でその想いを抱え込まないでください。ここまでお読みいただいて、少しだけ相手の心理や、これから取るべき行動の輪郭が見えてきたのではないでしょうか。
最も大切なのは、これ以上あなたの心が傷つき、すり減っていくのを防ぐことです。私たち専門家は、法律的な手続きを代行するだけではありません。あなたの混乱した気持ちを整理し、心の負担を軽くするパートナーでもあります。
下北沢司法書士事務所の代表は、心理カウンセラーの資格を持つ司法書士です。法的な解決はもちろんのこと、あなたの複雑な感情にも寄り添い、あなたが心から納得できるゴールを見つけるお手伝いができます。
この記事を読んだことで、ほんの少しでもあなたの心が軽くなり、次の一歩を踏み出す勇気に繋がったなら、これほど嬉しいことはありません。いつでも、あなたのタイミングでご相談ください。

東京都世田谷区北沢にある下北沢司法書士事務所は、相続手続き、遺言作成、相続放棄、会社設立、不動産売却など、幅広い法務サービスを提供しています。代表の竹内友章は、不動産業界での経験を持ち、宅地建物取引士や管理業務主任者の資格を活かし、丁寧で分かりやすいサポートを心掛けています。下北沢駅から徒歩3分の便利な立地で、土日も対応可能です。お気軽にご相談ください。
相続しない人の法定相続情報一覧図|放棄・欠格等の記載例
相続放棄した兄弟…法定相続情報一覧図に書くべき?
相続手続きを円滑に進めるために、戸籍謄本の束の代わりとなる「法定相続情報一覧図」。この制度も一般の方に広く認知されるようになってきました。しかし、いざご自身で作成しようとすると、思わぬ疑問に突き当たることがあります。
先日、当事務所にご相談くださった吉祥寺にお住まいのAさんも、そんなお一人でした。相続対象の不動産があったため、管轄の東京法務局府中支局に提出する法定相続情報一覧図を作成しようと試みたのですが、途中で手が止まってしまったのです。
「家庭裁判所で正式に相続放棄の手続きを終えた弟がいるのですが、この弟のことは一覧図に記載すべきなのでしょうか?」
あなたも今、Aさんと同じような疑問や不安を抱えて、このページにたどり着かれたのかもしれません。相続しない人がいるケースは決して珍しくありませんが、その場合の正確な書き方となると、自信を持って判断するのは難しいものです。
ご安心ください。この記事を最後までお読みいただければ、相続放棄、相続欠格、相続人排除など、財産を相続しない人がいる場合の法定相続情報一覧図の作成方法について、明確な答えと具体的な記載例を得ることができます。一緒に、その疑問を解消していきましょう。
結論:相続放棄・欠格・「取得しない合意」の場合は記載/廃除(相続人排除)は記載しない
早速、結論から申し上げます。相続放棄、相続欠格、あるいは遺産分割協議によって結果的に財産を取得しない場合でも、法定相続情報一覧図から省略することはできません。一方で、推定相続人から廃除(相続人排除)された方は、法定相続情報一覧図に記載しません。
「え、相続しないのにどうして?」と疑問に思われるかもしれません。その理由は、この制度の根本的な目的にあります。
一覧図の目的は「相続関係の証明」であり「財産取得者の証明」ではない
ここが最も重要なポイントです。法定相続情報一覧図は、「最終的に誰がどの遺産を取得したか」を証明するための書類ではありません。その目的は、あくまで「被相続人(亡くなった方)が亡くなった時点で、法律上の相続人は誰と誰であったか」を、戸籍情報に基づいて公的に証明することにあります。
金融機関や法務局といった手続き先がこの一覧図で確認したいのは、「遺産を受け取った人」ではなく、「そもそも遺産分割協議や相続登記の申請に参加すべき当事者が全員揃っているか」という点です。相続放棄をした人も、亡くなった時点では紛れもなく相続人の一人でした。だからこそ、一覧図には必ず記載する必要があるのです。
この制度の全体像については、法定相続情報証明制度の概要で体系的に解説しています。

もし記載しなかったら?法務局で修正を求められ二度手間に
では、もし相続放棄した人などの記載を省略して一覧図を法務局に提出したらどうなるのでしょうか。答えは明白です。法務局の担当者から、添付した戸籍謄本との整合性が取れないことを指摘され、一覧図の修正や再提出を求められる可能性が高いです。
「せっかく時間と費用をかけて戸籍一式を集め、慣れないパソコンで図を作成して法務局まで足を運んだのに、結局やり直しになってしまった…」これでは、徒労感が大きいだけでなく、相続手続き全体が遅延してしまいます。場合によっては、戸籍調査の段階から見直しが必要になる可能性すらあります。貴重な時間と労力を無駄にしないためにも、ルールに則った正確な記載が不可欠なのです。
(参考:法定相続情報証明制度の具体的な手続について – 法務局)
【ケース別】相続しない人の法定相続情報一覧図の書き方と記載例
それでは、ここからは「相続放棄」「相続欠格・排除」「遺産分割協議」という3つの具体的なケースに分け、それぞれの記載方法を詳しく解説していきます。ご自身の状況に合わせてご確認ください。
ケース1:相続放棄した場合の記載方法
最も多くの方が悩まれるのが、この「相続放棄」のケースです。家庭裁判所で相続放棄の申述が受理された人がいる場合、一覧図にはどのように記載すればよいのでしょうか。
答えは、「他の相続人と全く同じように記載する」です。
一覧図に「相続放棄」といった文言を追記したり、特別な記号を付けたりする必要は一切ありません。他の相続人と同様に、氏名、生年月日、続柄、住所(任意)を記載します。

では、相続放棄したという重要な事実は、何によって証明するのでしょうか。それは、法定相続情報一覧図とは別の書類で証明します。具体的には、家庭裁判所が発行する「相続放棄申述受理証明書」を、一覧図とセットで金融機関や法務局に提出することで、「この人は一覧図には載っているが、相続権は放棄しています」と証明するのです。
あくまで一覧図は「死亡時点の相続関係」、相続放棄申述受理証明書は「その後の権利変動」と、それぞれの書類の役割が明確に分かれていると理解してください。なお、数次相続で相続放棄が絡むような複雑なケースでは、特に専門的な判断が必要となります。
ケース2:相続欠格・相続人排除の場合の記載方法
次に、相続権を失う特殊なケースである「相続欠格」と「相続人排除」についてです。これらは混同されがちですが、一覧図への記載方法において決定的な違いがあります。
- 相続欠格とは:被相続人を殺害したり、遺言書を偽造したりするなど、法律が定めた特定の非行があった場合に、当然に相続権を失う制度。
- 相続人排除とは:被相続人が、虐待や重大な侮辱などを理由に、家庭裁判所への申立てによって特定の相続人の権利を剥奪する制度。
この2つのケースでは、記載の有無が次のように分かれます。
【相続欠格の場合】
相続欠格の事実は、戸籍には記載されません。そのため、法定相続情報一覧図の扱いは相続放棄の場合と同じです。つまり、欠格者も他の相続人と同様に一覧図に記載します。そして、相続欠格の事実を証明するためには、その事実を記載した遺産分割協議書や、場合によっては確定判決の謄本などを別途用意する必要があります。相続財産を隠すなどの不正行為が欠格事由にあたる可能性もあります。
【相続人排除の場合】
一方、相続人排除は、家庭裁判所の審判が確定すると、その事実が戸籍に記載されます。戸籍に「推定相続人から廃除」と記載された方は、法律上、相続開始時点で相続人ではなかったとみなされます。したがって、法務局の取り扱いでは、相続人排除された方は法定相続情報一覧図には記載しません。
この違いは非常に専門的なポイントであり、ご自身で判断するのは難しい部分です。戸籍を正確に読み解く知識が求められます。
ケース3:遺産分割協議で財産を取得しない人の記載方法
最後に、「相続権は放棄しないが、話し合いの結果、特定の財産や全ての財産を今回は取得しないことにした」というケースです。例えば、「不動産は長男が相続し、預貯金は長女が相続する。次男は何も相続しない」といった合意が成立した場合がこれにあたります。
この場合も、考え方は相続放棄のケースと全く同じです。
遺産分割協議で結果的に財産を取得しなかった人も、他の相続人と同様に法定相続情報一覧図に記載します。
誰がどの財産を取得し、誰が取得しなかったか、という事実は、一覧図ではなく「遺産分割協議書」によって証明します。この遺産分割協議書に相続人全員が署名し、実印を押印することで、その内容が全員の正式な合意であることを証明するわけです。遺産分割協議書は、相続手続きにおける最も重要な書類の一つと言えるでしょう。
(参考:主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例 – 法務局)
まとめ:複雑な相続こそ、司法書士への相談が解決の近道です
今回は、相続しない人がいる場合の法定相続情報一覧図の書き方について、ケース別に解説しました。重要なポイントは、「法定相続情報一覧図は、あくまで被相続人が亡くなった時点での相続関係を証明する書類である」という一点に尽きます。
相続放棄、相続欠格、遺産分割協議で財産を取得しないといった事情は、一覧図とは別の書類で証明する、と覚えておきましょう。(ただし、戸籍に記載される相続人排除は例外です)
相続放棄や相続欠格といった特殊な事情が絡むケースでは、戸籍の正確な読み解きと法律知識が不可欠です。書類作成は、複雑な相続手続きのほんの入り口に過ぎません。その先には、遺産分割協議など、さらに多大な労力と精神的な負担を伴うプロセスが待ち構えていることも少なくないのです。
もし、少しでも「自分だけで進めるのは不安だ」「手続きが複雑でよく分からない」と感じたら、一人で抱え込まずに、ぜひ一度、私たち専門家にご相談ください。特に、相続を専門とする司法書士は、手続き面の知識だけでなく、実際に実務を遂行してきた経験があります。
エリアも東京23区のほか、東京都下や千葉や神奈川など首都圏に対応しています。エリアの考え方はこちら↓↓
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下北沢司法書士事務所 竹内友章

東京都世田谷区北沢にある下北沢司法書士事務所は、相続手続き、遺言作成、相続放棄、会社設立、不動産売却など、幅広い法務サービスを提供しています。代表の竹内友章は、不動産業界での経験を持ち、宅地建物取引士や管理業務主任者の資格を活かし、丁寧で分かりやすいサポートを心掛けています。下北沢駅から徒歩3分の便利な立地で、土日も対応可能です。お気軽にご相談ください。
親に遺言を頼む角が立たない伝え方【司法書士が解説】
「そろそろ親に遺言を…」そう思うのはあなただけではありません
「親もだんだん年を重ねてきたし、万が一の時のために、そろそろ遺言を書いてもらえたら…」
そう考えながらも、なかなか話を切り出せずに、胸の中で言葉を飲み込んでしまう。そんなふうに悩んでいらっしゃる方は、決して少なくありません。先日も、ある会社の経営者の方と雑談をしていた際に、ふと「そろそろ親も年だし、遺言を書いて欲しいけど、なかなか言いにくいですよね」というお話になりました。50代前半のその方も、あなたと同じように、親を想う気持ちと現実的な問題との間で揺れ動いていたのです。
親に遺言の話をするのは、とても勇気がいることです。デリケートな話題だからこそ、どう伝えればいいのか分からなくなってしまうのは、ごく自然なこと。そのお悩みは、あなたがご家族を深く愛し、大切に思っている証拠に他なりません。
この記事では、司法書士として、そして心理カウンセラーとして多くの方のお悩みに耳を傾けてきた経験から、ご両親との関係を損なうことなく、穏やかに遺言の話を切り出すための具体的な方法をお伝えします。あなたのその優しい気持ちが、ご両親にまっすぐ伝わるように、一緒に考えていきましょう。この記事が、あなたの不安を和らげ、次の一歩を踏み出すための小さなきっかけになれば幸いです。相続の話し合い全般の進め方については、相続の話を切り出す時期と進め方で体系的に解説していますので、併せてご覧ください。
なぜ、私たちは親に遺言の話を切り出せないのか?
「遺言」の三文字を口にする前に、私たちの心には様々なブレーキがかかります。それは法律の問題というより、もっと深く、私たちの心根にある感情の問題です。なぜ、私たちはこれほどまでに行動をためらってしまうのでしょうか。その心の奥を少しだけ、一緒に覗いてみませんか。

「縁起でもない」と言われることへの恐怖
最も大きなハードルは、これかもしれません。「遺言なんて、縁起でもない!」と親に一喝されてしまうのではないか。この言葉を言われるのが怖くて、口をつぐんでしまう方は本当に多いです。
この言葉の裏には、「死」について語ることをどこかタブー視してきた世代の価値観があるのかもしれません。決して、あなたを拒絶したいわけではないのです。ただ、親御さん自身も、自らの「老い」や「死」と向き合うことに戸惑いを感じているのかもしれません。その言葉を過度に恐れる必要はありません。それは、あなたへの否定ではなく、親御さん自身の心の揺れ動きの表れなのだと、少しだけ引いて考えてみると、気持ちが楽になるかもしれません。
「財産目当て?」と誤解されたくない気持ち
次に私たちの心を縛るのは、「財産目当てだと思われたらどうしよう」という不安です。お金の話をすることに、どこか後ろめたさを感じてしまう。遺言をお願いする本当の目的は、「家族が揉めないように」「残されたみんなが困らないように」という、家族への深い愛情から来ているはずです。それなのに、その真意が伝わらず、あらぬ誤解をされてしまったら…。そう考えると、言葉が喉の奥でつかえてしまいますよね。
この気持ちを抱えてしまうのは、あなたが誠実で、ご両親を心から尊敬している証拠です。だからこそ、この誤解を生まないための「伝え方」が、何よりも大切になってくるのです。万が一、相続財産をめぐる誤解が生じると、家族関係に深い溝が生まれてしまう可能性もあります。
今の穏やかな家族関係を壊したくない
「今は家族みんな、穏やかに暮らしている。わざわざ波風を立てるような話はしたくない…」
そう考えて、問題を先送りにしてしまう気持ちも、痛いほどよく分かります。「触らぬ神に祟りなし」ということわざがあるように、デリケートな問題から目をそむけたくなるのは、今の平和を守りたいという優しい心があるからです。
しかし、司法書士として多くのご家族を見てきた経験からお伝えしたいのは、「話さないこと」こそが、将来の大きな火種になりうるという事実です。遺言がないことで、残された家族が遺産分割の話し合いで対立し、関係がこじれてしまうケースは後を絶ちません。今の穏やかな関係を未来へとつなぐために、ほんの少しの勇気を出すことが、実は何よりの家族孝行になるのかもしれません。
【実践編】角が立たない『遺言』の切り出し方3ステップ
では、具体的にどのように話を進めていけば良いのでしょうか。「これなら自分にもできそう」と感じていただけるよう、心理的なハードルが低い順に3つのステップでご紹介します。焦らず、ご自身のペースで試してみてください。
ステップ1:きっかけを作る「自分の話」から始める
いきなり「遺言の話なんだけど…」と切り出すのは、あまりにも唐突です。まずは、ごく自然な会話の流れで、相続や終活といったテーマに触れる雰囲気作りから始めましょう。ポイントは、「親の話」ではなく「自分の話」や「第三者の話」をクッションにすることです。
例えば、こんなフレーズはいかがでしょうか。
- 「最近、テレビで終活の特集をやっていて、自分の将来について考えちゃったよ。お父さんたちは、何か考えたりしてる?」
- 「この間、友人のところが相続で大変だったみたいでさ…。ちゃんと準備しておくって大事なんだなって痛感したよ」
- 「自分の保険を見直してるんだけど、こういうのって、家族にちゃんと伝えておかないとダメだね。うちのことも、少し整理しておいた方が安心かなって思って」
このように、あくまで「自分の気づき」や「情報共有」というスタンスで話すことで、相手の警戒心を和らげることができます。「あなたに何かしてほしい」というメッセージではなく、「一緒に考えたい」という姿勢を示すことが大切です。

ステップ2:本題への橋渡し「エンディングノート」を提案する
「遺言」という言葉には、どうしても法的な響きや財産のイメージがつきまといます。そこで、本題に入る前のワンクッションとして、「エンディングノート」を提案してみるのが非常に効果的です。
エンディングノートは、財産のことだけでなく、自分の人生の思い出、家族への感謝のメッセージ、好きな音楽や映画、延命治療や葬儀の希望など、様々なことを自由に書き記すものです。財産の話を前面に出さず、「思い出の記録」という側面を強調してみましょう。
- 「お母さんの若い頃の話、もっとたくさん聞いてみたいな。忘れないように、エンディングノートっていうのに一緒に書いてみない?人生のアルバムみたいで、楽しそうじゃない?」
- 「もしもの時、お父さんの好きな曲でお見送りしたいからさ。好きな音楽とか、大切にしてる思い出とか、そういうのをノートに書いておいてくれると嬉しいな」
このように、親の人生そのものへの興味や敬意を示すアプローチは、心に響きやすいものです。楽しみながらエンディングノートを書いていく中で、自然と財産のことや将来のことが話題にのぼるかもしれません。それが、遺言へのスムーズな橋渡しとなります。また、将来の死後事務のことなどを考えるきっかけにもなるでしょう。
ステップ3:本音を伝える「家族のため」という愛情のメッセージ
エンディングノートなどを通じて、ある程度、心の準備が整ってきたら、いよいよ本題です。ここで最も大切なのは、「財産が欲しいから」ではなく、「残される私たちが困らないため、家族がこれからも仲良くあり続けるため」という、愛情に基づいたメッセージをストレートに伝えることです。
あなたの真心を、正直な言葉で伝えてみてください。
- 「お父さんの想いが分からないまま、僕たちが勝手に財産を分けることになったら、すごく悲しい。だから、お父さんの気持ちを道しるべとして遺してほしいんだ」
- 「私たちは、お母さんがいなくなった後も、ずっと仲の良い兄弟でいたい。そのためにも、お母さんの言葉で、みんなが納得できる形を示しておいてもらえると、本当に心強いんだ」
- 「これは、私たちのわがままかもしれないけど…。残された家族の負担を少しでも軽くしてほしい。それが、一番の願いなんだ」
親を敬い、その意思を尊重したいという気持ちと、家族の未来を心から案じているという気持ち。この二つを誠実に伝えることが、「財産目当て」という最大の誤解を避ける、何よりの防御策となるのです。
これだけは避けたい!親子関係を損なうNGな伝え方
良かれと思って取った行動が、かえって親の心を閉ざさせてしまうこともあります。ここでは、ついやってしまいがちなNGな伝え方を3つご紹介します。なぜそれがダメなのか、親御さんの気持ちになって想像しながら読んでみてください。
NG例1:いきなり財産や相続税の話から入る
最もやってはいけない、そして最もやりがちな失敗がこれです。
「この家の名義って、どうなってるの?」
「うちに相続税って、かかるのかな?」
こんな風に、お金や財産に直結する話から入ってしまうと、親は瞬時に「結局、この子はお金のことしか考えていないのか」と心を閉ざしてしまいます。たとえあなたにそんなつもりがなくても、そう受け取られてしまう危険性が非常に高いのです。
話には順番があります。まずは感情の共有から。この鉄則を忘れないでください。特に不動産が関わる相続登記と相続税申告は複雑なため、いきなり話をすると親を混乱させてしまうだけです。
NG例2:他のきょうだいや親戚と比較する
「兄さんは、ちゃんと書いておくべきだって言ってたよ」
「隣の〇〇おじさんのところは、とっくに準備してるらしいじゃない」
他人と比較されるのは、誰だって気持ちの良いものではありません。特に、長年自分のやり方で家庭を築いてきた親世代にとって、これはプライドを傷つけられる行為に他なりません。「よその家はよそうち。うちはうちだ!」と、かえって頑なになってしまうだけです。たとえ他の兄弟と意見が一致していても、それを盾に親を説得しようとするのは逆効果。あくまで「私たち親子(家族)の問題」として、誠実に向き合う姿勢が大切です。
NG例3:一方的に話を進め、無理強いする
親が少しでも難色を示した途端、焦って正論をまくしたててしまう。これもよくある失敗です。
「でも、ちゃんとしないと後で困るのは僕たちなんだよ!」
「だって、法律で決まってるんだから!」
正論は、時に人を追い詰めます。反論するのではなく、まずは「そっか、今はそういう気持ちなんだね」「縁起でもないって思う気持ちも分かるよ」と、一度親の感情をまるごと受け止めてあげてください。傾聴と受容の姿勢が、相手の心を開く鍵となります。相続の話は、一度で全てを決めようとする必要はありません。時間をかけて、ゆっくり進めていけばいいのです。
【司法書士の視点】もし話がこじれてしまったら
ここまで心理的なアプローチを中心にお話ししてきましたが、万が一のケースについても触れておきたいと思います。良かれと思ってしたことが、思わぬトラブルを招いてしまうこともあるのです。

事例:良かれと思って…兄弟が別々に頼んだ結果、遺言が2通!?
これは実際にあったご相談に近いケースです。あまり仲の良くないご兄弟が、それぞれ別々に「遺言を書いてほしい」と親御さんにお願いしました。お兄さんは「長男の俺に家を相続させてほしい」、弟さんは「兄弟で平等に分けてほしい」と、それぞれ自分に都合の良い内容を伝えたのです。
板挟みになった親御さんは、それぞれの顔を立てるために、内容の異なる2通の遺言書を作成してしまいました。さて、この場合、どうなるのでしょうか。
法律では、内容が抵触する複数の遺言書がある場合、抵触する部分については後の日付の遺言によって前の遺言が撤回されたものとみなされます(民法1023条)。しかし、日付の前後だけで、本当に親御さんの真意が反映されたと言えるでしょうか。良かれと思った行動が、かえって親御さんを深く悩ませ、新たな争いの火種を作ってしまったのです。この事例は、遺言が必要なケースにおいて、兄弟姉妹間での事前のすり合わせがいかに重要かを示しています。
一度立ち止まる勇気と専門家への相談
もし、親御さんとの話し合いがうまくいかなかったり、兄弟間で意見が対立してしまったりした場合は、無理に当事者だけで解決しようとしないでください。一度「立ち止まる勇気」も必要です。
そんな時は、私たち司法書士のような客観的な第三者に相談することも、有効な選択肢の一つです。専門家が間に入ることで、感情的な対立が整理され、法的な観点から何が問題なのかを冷静に把握することができます。誰に相談すればよいか迷った場合は、相続問題の相談先について解説した記事も参考にしてみてください。
私たち下北沢司法書士事務所は、法律の専門家であると同時に、ご家族の心に寄り添うパートナーでありたいと考えています。もし話がこじれてしまい、どうしていいか分からなくなってしまったら、一人で抱え込まずに、どうぞお気軽にご相談ください。
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まとめ:遺言の話は、家族の未来を想う愛情表現です
親に遺言の話を切り出すことは、決して「死」を急かすことでも、「財産」をねだることでもありません。
それは、「お父さん、お母さんが大切に築き上げてきた家族が、この先もずっと仲良く、幸せであり続けてほしい」という、あなたの心からの願いを伝える行為です。いわば、家族の未来を想う、最高の愛情表現と言えるのではないでしょうか。
この記事でご紹介したステップや言葉が、あなたの勇気を後押しできれば、これほど嬉しいことはありません。大切なご両親と、そしてご家族の未来のために、ぜひ次の一歩を踏み出してみてください。そもそも遺言書を作成すべきケースは様々ですが、その根底にあるのは家族への想いです。あなたのその温かい気持ちが、きっとご両親にも伝わるはずです。
下北沢司法書士事務所 竹内友章

東京都世田谷区北沢にある下北沢司法書士事務所は、相続手続き、遺言作成、相続放棄、会社設立、不動産売却など、幅広い法務サービスを提供しています。代表の竹内友章は、不動産業界での経験を持ち、宅地建物取引士や管理業務主任者の資格を活かし、丁寧で分かりやすいサポートを心掛けています。下北沢駅から徒歩3分の便利な立地で、土日も対応可能です。お気軽にご相談ください。
子なし夫婦の遺言書|兄弟相続を防ぐだけでは不十分な理由
「配偶者に迷惑をかけたくない」その優しい想いを形にしませんか?
この記事にたどり着かれたあなたは、きっと、大切でかけがえのないパートナーのことを、誰よりも深く想っている方なのでしょう。
「もし自分に何かあったら、残された妻(夫)は困らないだろうか…」
お子さんがいらっしゃらないご夫婦にとって、その想いは切実なものだと思います。
遺言書を作ろう、と考え始めること。それは、ご自身の人生の終い方を考える少し寂しい作業かもしれません。ですが、見方を変えれば、これは残されるパートナーへの、最後の、そして心強い「手紙」を書く作業とも言えるのではないでしょうか。
「遺言」という言葉には、どこか冷たく、事務的な響きがあるかもしれません。しかし、その根底にあるのは、「自分のいなくなった後も、愛する人には穏やかに、安心して暮らしてほしい」という、温かく深い愛情に他なりません。あなたが今、この記事を読んでくださっていること自体が、その優しさの何よりの証です。
私たち下北沢司法書士事務所は、そんなあなたの尊い想いを、法的な要件を踏まえた「安心」という形に近づけるお手伝いをさせていただきたいと考えています。この記事は、単なる法律の解説書ではありません。あなたのその優しい想いを、未来へと確実につなぐための、心強いパートナーでありたいと願っています。
なぜ兄弟相続を防ぐだけでは不十分なのか?見落としがちな2つの未来
お子さんのいないご夫婦が遺言書を考えるとき、多くの方がまず思い浮かべるのは「自分の兄弟姉妹と、配偶者が遺産で揉めないようにしたい」ということでしょう。そして、「全財産を妻(夫)に相続させる」という一文を遺言書に記せば、それで安心だと考えてしまいがちです。
もちろん、それは非常に重要な第一歩です。この一文があるおかげで、本来であれば法定相続人となる兄弟姉妹との間で、遺産分割協議を行う必要がなくなり、多くのトラブルを未然に防ぐことができます。
しかし、本当にそれだけで、あなたの「パートナーを守りたい」という想いは完璧に果たされるのでしょうか。実は、そこには見落とされがちな「2つの未来」のリスクが潜んでいるのです。このテーマの全体像については、遺言書を作成すべき代表的なケースでも体系的に解説しています。
ケース1:もし、配偶者が先に亡くなっていたら…
「妻に全財産を相続させる」と遺言書に書いたとします。しかし、万が一、その妻があなたよりも一日でも先に亡くなってしまったら、どうなるでしょうか。
実は、財産を受け取るはずだった人が遺言者より先に亡くなると、原則として、その人に渡すと定めた部分は効力を生じません。つまり、「配偶者に相続させる」という肝心の部分が実現できなくなる可能性があります。
遺言が無効になれば、法律で定められた相続、つまり「法定相続」が行われます。お子さんがいない場合、もし直系尊属(父母・祖父母など)もすでに亡くなっていれば、法定相続人はご自身の兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっていれば、その子である甥・姪)になります。結局、あなたの財産は、あなたが渡したいと願った配偶者ではなく、兄弟姉妹へと渡ります。それを承知の上ならば良いのですが、他追えば「自分の長年住んだ地域に寄付もしたい」だとか、兄弟姉妹以外に相続財産を譲り渡したい相手がいる場合、実現されなくなってしまいます。このような相続人が先に亡くなってしまった場合の備えは、非常に重要になります。

ケース2:残された配偶者を待つ、煩雑な手続きの負担
無事に遺言書どおり、配偶者が全財産を相続できることになったとしましょう。しかし、それで全てが終わりではありません。不動産の名義を書き換えたり、銀行預金を解約して名義を変えたりといった手続きは、自動的には行われないのです。これら全ての手続きは、残された配偶者ご自身が行わなければなりません。
想像してみてください。大切なパートナーを失った深い悲しみの中で、慣れない役所や金融機関をいくつも回り、大量の書類と格闘する日々を…。もし、その時パートナーが高齢になっていたり、心身に不安を抱えていたりしたら、その負担は計り知れません。戸籍謄本を何通も集め、金融機関ごとに異なる書式に記入し、何度も窓口に足を運ぶ…こうした煩雑な相続手続きは、心身ともに大きなストレスとなります。相続なされた方が高齢である場合はなおさらです。
「財産さえ渡ればいい」のではなく、「パートナーに心労をかけたくない」。あなたの本当の優しさは、そこにあるのではないでしょうか。
【司法書士の解決事例】Aさんご夫婦が選んだ「究極の安心策」とは
先日、当事務所にご相談に来られたAさんご夫婦のお話をご紹介させてください。渋谷区にお住まいの60代のご夫婦で、お子さんはいらっしゃいません。たまたまインターネットの記事で、子どものいない夫婦の相続では兄弟姉妹にも相続権があると知り、「遺言書があった方がいいのかもしれない」と、少し不安な面持ちで事務所のドアを叩かれました。
お二人ともご兄弟がいらっしゃるため、お察しのとおり、もし遺言がなければご自身の兄弟姉妹を交えた遺産分割協議が必要になります。そこで私は、まずお二人それぞれが「配偶者に全財産を相続させる」という内容の遺言書を作成することをおすすめしました。同年代のご夫婦ですから、どちらが先に旅立つかは誰にも分からないからです。
「やっぱり、そうですよね。そうだと思いました。」とAさん。法律の専門家ではないお二人が、そこまでご自身で調べていらっしゃったことに、私は心から敬意を表しました。そして、その上で、お二人がまだ気づかれていなかった「究極の安心策」について、お話をさせていただいたのです。
それは、先ほどご説明した2つの未来のリスク、つまり「もし配偶者が先に亡くなっていたら」「もし残された配偶者が手続きで苦労したら」という問題点に、できる限り備えるための方法でした。
万が一に備える「予備的遺言」という知恵
一つ目のご提案は、「予備的遺言」を加えることでした。
これは、「もし、財産を渡すはずだった妻(夫)が、自分より先に亡くなっていた場合には、代わりに〇〇に財産を遺贈する」というように、第二の相続先を決めておくものです。
この一文を加えておくことで、少なくとも「受け取るはずだった方が先に亡くなる」場合に、その部分が効力を生じないリスクを減らすことができます。ご夫婦の財産が、意図せず兄弟姉妹に渡ってしまう事態を防ぐことができます。遺言を残す相手も高齢である場合、この備えは非常に大切になります。
予備的な相続先は、お世話になった甥や姪、あるいはご夫婦が支援したいと考えている慈善団体など、自由に指定できます。これにより、万が一お二人が相次いで亡くなったとしても、ご夫婦の築き上げた大切な財産を、その想いと共に未来へつなぐことができるのです。
配偶者の負担を大きく減らす「遺言執行者」という選択肢
そして、もう一つのご提案が「遺言執行者」をあらかじめ指定しておくことでした。
遺言執行者とは、その名の通り、遺言の内容を実現するために必要な全ての手続き(不動産の名義変更、預貯金の解約・分配など)を行う権限を持つ人のことです。
「遺言書は、あるだけでは“絵に描いた餅”なんですよ」と私はAさんにお伝えしました。それを実現する人がいて初めて、その価値が生まれます。もちろん、残された配偶者が遺言執行者になることもできます。しかし、Aさんご夫婦が実際に相続を迎えるのは、70代、80代、あるいは90代になっているかもしれません。その時に、本当に煩雑な手続きをすべて一人でこなせるでしょうか。
そこで、私たち司法書士のような専門家を遺言執行者に指定しておくのです。そうすれば、万が一の時、残されたパートナーの手続負担を軽くし、故人を偲ぶ時間を確保しやすくなります。遺言執行者の指定は、ケースによっては非常に重要なプロセスです。
私の説明を静かに聞いていらっしゃったAさんご夫婦は、最後に「そこまでは考えていませんでした。ぜその内容でお願いします」と、晴れやかな笑顔で仰ってくださいました。司法書士のやりがいの1つは、不安な人の表情が少し安心した表情に変わるのをみたときです。私も高卒なのもあってか、なかなか就職先がなくて不安だったので、不安がある時の心の重さは分かっているつもりです。少しでも安心して頂けたならこれ以上に嬉しいことはありません。
【文例付】私たちのための遺言書を作成する
それでは、これまでの内容を踏まえた遺言書の文例をご紹介します。これはあくまで一例ですが、あなたとパートナーの想いを形にするための参考にしてください。
遺言書
遺言者 〇〇 〇〇(昭和〇年〇月〇日生)は、以下のとおり遺言する。
第1条(全財産を相続させる旨の遺言)
遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、妻 〇〇 〇〇(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。
第2条(予備的遺言)
前条の定めにかかわらず、妻 〇〇 〇〇が遺言者と同時にもしくは遺言者より先に死亡した場合には、遺言者の有する一切の財産を、遺言者の甥である 〇〇 〇〇(平成〇年〇月〇日生)に相続させる。
第3条(遺言執行者の指定)
遺言者は、この遺言の執行者として、下記のとおり指定する。
(1)妻 〇〇 〇〇が遺言者より後に死亡した場合
妻 〇〇 〇〇
(2)妻 〇〇 〇〇が遺言者と同時にもしくは遺言者より先に死亡した場合
東京都世田谷区北沢三丁目21番5号ユーワハイツ北沢201
司法書士 竹内 友章
第4条(遺言執行者の権限)
遺言執行者は、本遺言を執行するため、遺言者の財産目録を作成し、不動産の登記、預貯金の解約払戻し、その他遺言の執行に必要な一切の権限を有するものとする。
令和〇年〇月〇日
(住所)
(氏名) ㊞
いかがでしょうか。この文例には、「全財産を配偶者に」「万が一の予備的遺言」「手続きを代行する遺言執行者」という、パートナーを守るための3つの重要な要素がすべて盛り込まれています。
なお、遺言書にはご自身で作成する「自筆証書遺言」と、公証役場で作成する「公正証書遺言」があります。自筆証書遺言は手軽ですが、形式の不備で無効になったり、紛失や改ざんのリスクがあったりします。パートナーへの想いを確実に実現するためには、法的な証明力が高く、原本が公証役場に保管される公正証書遺言で作成することを強くお勧めします。
まとめ:あなたのその優しさを、司法書士が「安心」という形にします

遺言書を作成しようと決意されたあなたの行動は、紛れもなく、パートナーへの深い愛情と責任感の表れです。将来、みんなが困らないようにと先々のことまで考える、その優しい心遣いを、私たちは心から尊敬します。
そして、その大切な想いを、法的な要件を踏まえた形で「安心」につなげるのが、私たち司法書士の仕事です。
「予備的遺言」や「遺言執行者」といった専門的な知識は、あなたの愛情をより確かなものにするための強力なツールです。私たちは、単に法律手続きを代行するだけではありません。メンタル心理カウンセラーの資格も取得した司法書士として、あなたの不安な気持ちに寄り添い、お話をじっくりと伺いながら、ご夫婦にとって最善のオーダーメイドの遺言書を一緒に作り上げていきたいと考えています。
エリアも東京23区だけではなく、千葉県八千代市や船橋市など首都圏での対応実績があります。
対応エリアについてはこちら↓
相続手続きは遠方の司法書士に依頼できる?全国対応の現実 | 相続手続、遺言、相続放棄、会社設立、不動産売却なら下北沢司法書士事務所
ぜひお気軽に穂相談くださいませ。
下北沢司法書士事務所 竹内友章

東京都世田谷区北沢にある下北沢司法書士事務所は、相続手続き、遺言作成、相続放棄、会社設立、不動産売却など、幅広い法務サービスを提供しています。代表の竹内友章は、不動産業界での経験を持ち、宅地建物取引士や管理業務主任者の資格を活かし、丁寧で分かりやすいサポートを心掛けています。下北沢駅から徒歩3分の便利な立地で、土日も対応可能です。お気軽にご相談ください。
マンション建替中に認知症になったら?任意後見で契約を守る
マンション建て替えは長期戦。もし途中で認知症になったら…?
お住まいのマンションの建て替え計画、順調に進んでいますか?老朽化した建物が新しく生まれ変わる未来を想像すると、胸が躍りますよね。しかし、その一方で、心の中に小さな不安が芽生えていないでしょうか。
マンションの建て替えは、計画から完成まで5年以上に及ぶ、非常に息の長いプロジェクトです。この長い年月の間に、もしご自身やご家族の判断能力が低下してしまったら…?特に、認知症を発症してしまったら、一体どうなるのでしょうか。
「まだ元気だから大丈夫」と思われるかもしれません。ですが、この「まさか」は、誰にでも起こりうる現実です。順調に進んでいたはずの計画が、たった一人の意思表示ができなくなったために、すべてが白紙に戻ってしまう可能性だってあるのです。これは決して、他人事ではありません。
決議、契約…建て替えで必要な「意思表示」が全てストップ
認知症などにより意思能力(法律行為の結果を判断できる能力)が不十分な状態で行った契約や意思表示は、後から無効と判断されることがあります。マンションの建て替えプロセスでは、以下のように重要な意思表示を求められる場面が何度も訪れます。
- 建替え決議への賛成・反対の意思表示
- 建替え組合への参加、規約への同意
- 権利変換計画への同意
- 仮住まいを借りるための賃貸借契約
- 新しいマンションの住戸を選ぶ契約、売買契約
- 住宅ローンの契約
- 清算金の授受に関する契約
これらの手続きはすべて、ご本人の明確な意思に基づいて行われる必要があります。もし判断能力が低下していると、「ハンコが押せない」「契約書にサインできない」という状態になり、建て替えに関するすべての手続きがストップしてしまうのです。

「家族だから」は通用しない!最悪の場合、新居を失う可能性も
「もし親が認知症になっても、子どもである自分が代わりに手続きすればいいのでは?」…そう考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、その考えは法律の世界では通用しないのが現実です。
たとえ親子であっても、法律上の代理権がなければ、本人の財産に関する契約はできません。ご本人の預金口座からお金を引き出すことが難しくなることがあり、実務上は口座の手続きが止まりやすい状態になってしまうこともあります。
建て替えプロジェクトを守る鍵は「任意後見契約」にあり
では、どうすればこのようなリスクに備えることができるのでしょうか。その最も有効な鍵となるのが「任意後見契約」です。
任意後見契約とは、ご自身が元気で判断能力がはっきりしているうちに、「将来、判断能力が不十分になった場合に、自分の代わりに財産管理や様々な契約手続きをしてもらう人(任意後見人)」を、自分の意思で選び、その方とあらかじめ契約を結んでおく制度です。認知症対策の全体像については、任意後見・家族信託・法定後見の違いを比較|費用・手続きで選ぶで体系的に解説しています。
この制度の最大のポイントは、「元気なうちに」「信頼できる人を」「自分の意思で」将来の代理人として指名できる点にあります。判断能力が低下してから慌てて手続きをするのではなく、ご自身の希望を未来に託す、計画的な備えなのです。
より詳しい制度の概要については、以下の公的機関の情報もご参照ください。
参照:厚生労働省(成年後見はやわかり):任意後見制度とは(手続の流れ、費用)
法定後見との決定的な違い:自分で未来の代理人を指名できる
判断能力が低下した後の備えとして「成年後見(法定後見)制度」を聞いたことがあるかもしれません。しかし、法定後見と任意後見には決定的な違いがあります。
法定後見は、判断能力が低下した後に、家族などが家庭裁判所に申し立てて後見人を選んでもらう制度です。この場合、後見人を誰にするかの決定権は家庭裁判所にあります。そのため、たとえご家族を候補者として希望しても、弁護士や司法書士などの専門家が選任されるケースも少なくありません。
また、法定後見人の最も重要な役割は「本人の財産を守ること」です。そのため、マンションの建て替えのように、既存の財産(古いマンション)を処分し、新しい財産(新しいマンション)を取得するという積極的な財産変動を伴う行為については、法定後見では、居住用不動産の処分など一定の行為について家庭裁判所の許可が必要となる場合があり、手続きに時間を要することがあります。その点、任意後見であれば、ご自身が信頼するご家族などを代理人に指定し、ご自身の希望に沿った柔軟な財産管理を託すことができるのです。成年後見の申立てを検討する際には、こうした違いを理解しておくことが大切です。
家族信託では不十分?建て替えに必要な「身上監護」の視点
最近では、認知症対策として家族信託も注目されています。家族信託は財産の管理・処分に特化した柔軟な制度ですが、マンション建て替えのような長期プロジェクトでは、それだけでは不十分な場面が出てくる可能性があります。
任意後見契約には、財産管理に加えて「身上監護」という重要な役割があります。これは、介護サービスの契約、病院の入退院手続き、要介護認定の申請など、ご本人の生活や療養看護に関する法律行為を代理する権限のことです。
建て替え期間中は、仮住まいへの引っ越しや、それに伴う様々な生活上の手続きが発生します。財産管理だけでなく、こうした身上監護に関する権限もあわせて設定しておくことで、より盤石な備えとなるのです。
そしてもう1つ、実務経験者として現実では大きな課題と思うのが借り入れです。マンション建替でが価値の上がった新居を取得するため大きな現金が必要になり、そのために借り入れが必要になるのは通常です。信託の場合は、そもそもマンションの所有権自体が受託者(財産管理を任せられる人)に移る・・つまり名義が移るため、この状態で金融機関が貸し出しをしてくれるかは信託契約を締結するために確認が必要です。ただ、出金を借り入れではなく現金で賄う場合は、むしろ自由度の高い信託の方が任意後見より向いているかも知れません。
【司法書士が解説】マンション建て替え専用「代理権目録」の作り方
任意後見契約を締結する際、最も重要になるのが「代理権目録」です。これは、任意後見人にどのような権限を委任するかを具体的に記載したリストのことで、契約書の根幹をなす部分です。
しかし、マンションの建て替えに備える場合、一般的な「不動産の管理・処分権限」といった記載だけでは、いざという時に権限が不十分だと判断され、手続きが滞るリスクがあります。私自身、独立前に建築・再開発事業を専門とする司法書士事務所に勤務していた経験から、この点には特に注意が必要だと感じています。
ここでは、建て替えという特殊な状況に特化した、代理権目録の作り方のポイントを解説します。
「不動産の管理・処分」だけでは足りない!記載必須の3項目
将来のトラブルを避け、建て替えプロジェクトをスムーズに進めるためには、代理権目録に以下の3つの項目を具体的に盛り込んでおくことが極めて重要です。
1.建物の区分所有等に関する法律に基づく建替え決議に関する一切の権限
これは、建て替え計画の最も重要な入り口である「建替え決議」において、本人に代わって賛成・反対の議決権を行使するための権限です。この記載がないと、そもそも計画のスタートラインに立つことすらできなくなる可能性があります。
2.マンション建替組合の組合員として行う一切の権限(権利変換計画の同意を含む)
建替え決議が可決されると、通常は「マンション建替組合」が設立され、区分所有者はその組合員となります。組合員として、事業計画の決定や、最も重要な「権利変換計画(現在の権利を新しい建物の権利にどう移行させるかの計画)」への同意など、様々な意思決定が求められます。この権限を明記しておくことで、組合員としての活動を代理人がスムーズに行えるようになります。
3.新築マンションの売買契約締結、清算金の支払い・受領、ローン契約等に関する一切の権限
建て替えの最終段階では、新しいマンションの売買契約や、差額の調整金である「清算金」の支払いや受け取り、場合によっては住宅ローンの契約など、具体的な金銭のやり取りや契約行為が発生します。これらの権限を具体的に列挙しておくことで、不動産売買契約後の判断能力の問題が生じても、代理人が滞りなく手続きを進めることができます。

【実例紹介】将来を見越したAさんの先見の明と、私たちの提案
先日、お住まいのマンションが建て替え事業の対象になったというAさんからご相談をいただきました。マンションの名義は80歳を迎えられるお父様。Aさんは、将来の相続のことも漠然と考えていた矢先に建て替え計画が持ち上がり、「もし父がこの長いプロジェクトの途中で認知症になったり相続が発生したら…」と不安を感じ、当事務所の扉を叩いてくださいました。
5年、6年と続く建て替え期間中には、必ず様々な意思表示が求められます。その長期的な視点に立ち、「今のうちに対策が必要かもしれない」と思われたAさんの先見の明には、専門家として本当に感心させられました。そのように将来を見据え、ご家族のために行動を起こせることは、本当に素晴らしいことだと思います。
私たちはAさん親子に、お父様を委任者、Aさんを受任者とする任意後見契約を結ぶことをご提案しました。そして、建て替えという特殊な状況を踏まえ、契約書の中の「代理権目録」を一緒に作り込んでいきました。
一般的な不動産の管理・処分権限に加えて、先ほどご説明した「建替え決議への賛成」や「組合員としての権限」、そして「増し床分を取得するための清算金の支払い」といった、起こりうる事態を想定した具体的な権限を一つひとつ丁寧に盛り込むことを提案させていただいたのです。これは、将来的に権限の範囲について疑義が生じるリスクをできる限り小さくするための、専門家としてのこだわりでもあります。任意後見契約は公正証書で作成する必要があるため、公証人との事前調整も、私たちが責任をもって行いました。
万全の備えで安心を。まずは専門家へご相談ください
ここまでお読みいただき、任意後見契約の重要性、そしてマンション建て替えという特殊な状況に合わせた「代理権目録」の作成がいかに専門的な知識を要するか、お分かりいただけたのではないでしょうか。
「うちの場合は、具体的にどう書けばいいんだろう?」
「公証人との調整って、何をするの?」
「そもそも、誰に任意後見人をお願いすればいいか迷っている…」
こうした疑問や不安を抱えるのは当然のことです。だからこそ、私たち専門家にご相談いただきたいのです。ぜひ一度、当事務所の無料相談をご利用ください。
ご家族の状況に合わせた最適な契約内容を一緒に考えます
司法書士にご相談いただくことで、単に書類を作成するだけではない、きめ細やかなサポートが可能になります。
私たちは、まずご家族の関係性や財産状況を丁寧にヒアリングさせていただきます。その上で、法律的な観点だけでなく、ご家族の想いも反映したオーダーメイドの契約書案をご提案します。公証役場とのやり取りについても、必要書類のご案内や事前調整など、可能な限りこちらでサポートします。
私は独立前に建築・再開発事業を専門としてきた事務所につとめておりました。その時の経験から、建替え組合やデベロッパーとの関係性も見据えた、実践的なアドバイスができると自負しております。
「まだ元気だから大丈夫」が一番危険。対策は今すぐ始めましょう
最後にもう一度、お伝えしたいことがあります。任意後見契約は、ご本人に意思能力があるうちに結ぶ必要があります。
「いつかやろう」と考えているうちに、認知症の症状が進んでしまい、手遅れになるケースは決して少なくありません。高齢の親を持つ方が直面しやすい老老相続の問題も、判断能力の低下によってさらに複雑化します。
今日のこの一歩が、数年後のご家族を大きなトラブルから救うことになるかもしれません。大切なご自宅とご家族の未来を守るための、最も確実な一歩を、今すぐ踏み出してみませんか。私たちはいつでも、あなたの味方です。
特に建替事業や再開発を見越した遺言などの相続対策・任意後見や成年後見の対応は、経験を積んでいる事務所ばかりではありません。少しエリア的に遠いかなと思う方でも、専門性のある当事務所にぜひご相談ください。エリアに関する考え方はこちら↓
相続手続きは遠方の司法書士に依頼できる?全国対応の現実 | 相続手続、遺言、相続放棄、会社設立、不動産売却なら下北沢司法書士事務所
ぜひ、お気軽にご相談ください。
下北沢司法書士事務所 竹内友章

東京都世田谷区北沢にある下北沢司法書士事務所は、相続手続き、遺言作成、相続放棄、会社設立、不動産売却など、幅広い法務サービスを提供しています。代表の竹内友章は、不動産業界での経験を持ち、宅地建物取引士や管理業務主任者の資格を活かし、丁寧で分かりやすいサポートを心掛けています。下北沢駅から徒歩3分の便利な立地で、土日も対応可能です。お気軽にご相談ください。
相続人が多くて法定相続情報一覧図がA4に収まらない方へ
相続人が多くて法定相続情報一覧図がA4に収まらない…とお悩みですか?
「先祖の代から手続きしていなかった土地の相続で、戸籍をたどっていったら、会ったこともない親族が10人、20人…と出てきてしまった」
「法定相続情報一覧図を作ろうにも、相続人が多すぎて到底A4一枚に書ききれない」
「そもそも、この書類をどうやって作ればいいのか。そして、このたくさんの相続人と、これからどうやって連絡を取って話を進めればいいのか…」
今、あなたはこのように途方に暮れ、大きな不安とストレスを感じていらっしゃるのではないでしょうか。
相続手続きは、ただでさえ精神的な負担が大きいもの。ましてや、面識のない多くの親族が関わるとなれば、その心労は計り知れません。
心理カウンセラーの資格を持つ司法書士として、まずお伝えしたいのは、「あなたが今感じている不安や戸惑いは、決して特別なことではない」ということです。むしろ、それだけ大変な状況に、たった一人で向き合おうとされているご自身を認めてあげてください。
この記事では、まず当面の課題である「法定相続情報一覧図がA4に収まらない」問題の解決策を具体的にお伝えします。そして、それ以上に大切な、その先に待ち受ける本当の課題と、あなたが心穏やかに手続きを乗り越えるための道筋を、専門家の視点から丁寧にご案内します。一人で抱え込まず、まずはこの記事をゆっくりと読み進めてみてくださいね。このテーマの全体像については、法定相続情報証明制度の解説で体系的に解説しています。
A4に書ききれない時の解決策「列挙方式」とは?
相続人が多くて法定相続情報一覧図がA4用紙に収まらない。そんな時、どうすれば良いのでしょうか。
ご安心ください。無理に小さな文字で詰め込んだり、複雑な図を書いたりする必要はありません。法務局は、このようなケースのために「列挙形式」という記載方法を用意しています。
これは、相続関係を図で示す代わりに、被相続人(亡くなった方)との続柄や氏名、住所などを、一人ひとり縦に並べて文章形式で記載していく方法です。相続人が数十人にのぼるような複雑なケースでは、この列挙方式が用いられます。

「なるほど、そういう方法があるのか」と、少し安心されたかもしれませんね。この方法を使えば、物理的に書類を作成することは可能です。
しかし、ここで一度立ち止まって考えてみていただきたいのです。「書ききれない」という技術的な問題が解決したとして、その先に待っている手続きの膨大な手間と精神的な負担について、です。列挙方式はあくまで選択肢の一つ。本当に大変なのは、この書類が完成した「後」から始まるのです。
【実例】戸籍を読み慣れていても、多数の相続人対応は困難を極めます
ここで、当事務所にご相談くださったCさんの事例をご紹介させてください。あなたの状況と重なる部分があるかもしれません。
目黒区にお住まいのCさんは、お仕事柄、亡くなった方の戸籍を読み解く知識をお持ちでした。その知識を活かし、随分前に亡くなったお祖父様の相続人を調べることにしたのです。
予想はしていましたが、相続人はなんと13人。ほとんど面識のない方ばかりでした。
「知識があるのだから」と、Cさんはご自身で法定相続情報一覧図の作成を試みましたが、すぐに壁にぶつかります。そう、A4一枚には到底書ききれないのです。
さらに、問題はそれだけではありませんでした。戸籍を読み解くことはできても、全国の役所から戸籍を集める作業は想像以上に大変でした。請求のたびに、ご自身が相続人であること、そして他の相続人との関係性を証明しなくてはなりません。何とかそこまで乗り越えたものの、見知らぬ12人の親族とこれから連絡を取り、遺産分割協議をまとめることを考えると、Cさんはすっかり途方に暮れてしまいました。
「やはり、自分一人では限界だ…」
そう感じたCさんは、集めた戸籍一式を抱えて当事務所の扉を叩いてくださいました。
私たちは、まずCさんから詳しくお話を伺い、相続関係を再確認した上で、正式な「列挙方式」での法定相続情報一覧図を作成しました。そして、Cさんが最も心を痛めていた「他の相続人への連絡」については、私たちが窓口となりました。Cさんと一緒に丁寧な文面を考え、手続きへのご協力をお願いするお手紙をお送りしたのです。結果、皆様のご協力を得ることができ、無事に長年放置されていた山林の相続登記をCさん名義で完了させることができました。
この事例が示すのは、戸籍を読み解く専門知識がある方でさえ、多数の相続人が関わる手続きを一人で進めるのは極めて困難だという事実です。問題の本質は、単なる書類作成のスキルではなく、多くの利害関係者の心をまとめ、協力を取り付けるコミュニケーションにあるのです。
ご注意ください。書類作成は相続手続きのスタートラインです
「列挙方式」で書類が作れると分かり、少しホッとされたかもしれません。しかし、厳しいことを申し上げるようですが、法定相続情報一覧図の作成は、長く険しい道のりの、ほんのスタートラインに過ぎません。
その書類が完成した瞬間から、本当の戦いが始まるのです。
- 全国に散らばる、面識のない相続人全員への連絡
- 遺産の分け方について、全員の合意を取り付ける「遺産分割協議」
- 協議がまとまった後、全員から実印での押印と印鑑証明書をもらう作業
これらのタスクを、たった一人で、あるいはご家族だけで乗り越えることの精神的・時間的なコストは、計り知れません。本当の課題は、書類の書き方ではなく、ここにあるのです。
会ったこともない親族と、お金の話ができますか?
想像してみてください。何十年も会っていない、あるいは全く面識のない方々に、突然連絡をしなければならない状況を。
「どちら様ですか?」と訝しがられるかもしれません。相手が協力的とは限りません。そして、話題の中心は「お金」、つまり遺産の話です。
人は、お金が絡むとどうしても感情的になりがちです。たとえ少額であっても、不公平感や不信感が生まれれば、話し合いはあっという間にこじれてしまいます。そうした疎遠な相続人との感情的な対立は、あなたの心を深く傷つけ、疲弊させてしまうでしょう。
心理カウンセラーの視点からも、このような状況は極度のストレスを生み出すことが分かっています。これを一人で乗り越えるのは、あまりにも過酷な道のりと言わざるを得ません。
もし、相続人の中に協力してくれない人がいたら…
遺産分割協議は、法律で「相続人全員の合意」がなければ成立しません。たった一人でも反対したり、連絡を無視したりする人がいれば、手続きは完全にストップしてしまいます。
そうなると、預貯金は解約できず、不動産の名義変更もできず、すべての遺産が「塩漬け状態」になってしまうのです。
さらに恐ろしいのは、時間とともに問題がより複雑化していくことです。非協力的な相続人が亡くなれば、その方の相続人(あなたの甥や姪など、さらに遠い親戚)が新たに加わります。これを数次相続といい、関係者はネズミ算式に増え、解決は絶望的になっていきます。
「いつまでも手続きが終わらない」「次の世代にまでこの厄介な問題を先送りしてしまう」…そんな未来は、絶対にあってはなりません。だからこそ、「今」、専門家の力を借りて解決への一歩を踏み出すことが重要なのです。
多数の相続人がいる相続こそ、司法書士にご相談ください
「でも、司法書士に頼むと費用がかかるし…」と思われるかもしれません。しかし、私たちが提供するのは、単なる書類作成の代行ではありません。
多数の相続人が関わる複雑な相続において、司法書士は相続登記等の手続面を中心に、連絡調整の窓口となって進行をサポートし、精神的なご負担の軽減にも努めます。
煩雑な書類作成はもちろんのこと、相続登記等の手続面を中心に、他の相続人との連絡調整の窓口となって、話し合いが進めやすいようサポートします。特に、心理カウンセラーの資格を持つ当事務所では、「法律的な正しさ」だけでなく、「各相続人の感情」にも丁寧に配慮したコミュニケーションを最も大切にしています。私たちの目標は、手続きを終わらせることだけではなく、関係者全員が納得できる円満な解決です。
専門家に依頼することで得られる「精神的な安心」と「時間的な余裕」は、あなたが思う以上に大きな価値があるはずです。
司法書士が、あなたの連絡窓口になります
ご依頼いただいた瞬間から、あなたはもう、気まずい思いをしながら見知らぬ親族に電話をかける必要はありません。協力のお願いなどの連絡調整については、状況に応じて私たち司法書士が窓口となり、文面作成なども含めてサポートします。

専門家が中立的な立場で間に入ることで、感情的な対立を避け、冷静で建設的な話し合いを進めることが可能になります。私たちは、遺産の内容を調査して整理し、法的な観点から論点の整理や分割案づくりをサポートします。そして、遺産分割協議書の文案作成から、各相続人へのご説明、署名捺印の取り付けまで、一貫してあなたをサポートします。煩わしい郵送方法など、細かい手続きも全てお任せください。
あなたにお願いする確認やご判断はありますが、できる限りご負担が軽くなる形で進められるようサポートします。
相続手続きの全体像を見据えた最適なご提案をします
法定相続情報一覧図の作成は、ゴールではありません。その先には、不動産の名義変更(相続登記)や預貯金の解約手続きが待っています。また、遺産の総額によっては、提携する税理士と連携して相続税の申告が必要になるケースもあります。
私たちは、単に目の前の書類を作るだけでなく、相続財産の調査から最終的な名義変更の完了まで、手続きの全体像を常に見据えています。そして、あなたにとって最もスムーズで、有利な進め方を設計し、ご提案します。例えば、相続財産に不動産が含まれる場合は、相続登記と相続税申告の連携も重要です。ゴールから逆算して今やるべきことを的確に判断できるのが、私たちの強みです。
複雑に絡み合った糸を一つひとつ丁寧に解きほぐしていくように、私たちは最後まであなたに寄り添い、伴走します。
まとめ|一人で抱え込まず、まずは専門家にご相談を
相続人が多数にのぼり、法定相続情報一覧図がA4一枚に収まらないという問題。それは、単なる書類作成の技術的な課題ではなく、「あなたの相続が、極めて複雑で困難な手続きになる始まりのサイン」です。
解決策として「列挙方式」があることはお伝えしましたが、それ以上に重要なのは、その後に待ち受ける大変な手続きを、決して一人で抱え込まないことです。多数の相続人がいるケースでは、手続き面だけでなく、感情面でのケアが不可欠となります。
私たち下北沢司法書士事務所は、法律の専門家として、そしてあなたの心に寄り添うパートナーとして、お力になれるよう尽力します。
「何から手をつけていいか分からない」「話だけでも聞いてほしい」…どんなことでも構いません。まずは、あなたの胸の内にある不安をお聞かせください。最初の一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートします。エリアも東京だけでなく、千葉・埼玉・神奈川と首都圏に対応しております。
遠方からのご依頼に対する考え方はこちら↓
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相続人死亡時の法定相続情報の書き方|数次・代襲相続を解説
相続人が亡くなっている…法定相続情報はどう書く?【司法書士が解説】
「相続の手続きは、できるだけ自分でやってみよう」。そう思って準備を始めたものの、思わぬ壁にぶつかってしまう方は少なくありません。
以前、当事務所にご相談くださった杉並区のAさんも、そんなお一人でした。事務的な作業がお好きで、ご自身の相続手続きもご自身で進めようと、法務局で使う「法定相続情報一覧図」の作成に取り掛かりました。しかし、すぐに手が止まってしまったのです。
相続人であるはずのAさんのお兄様(Bさん)が、すでにお亡くなりになっていたからです。さらに、Bさんにはお子さんもいらっしゃいました。「亡くなった兄のことは、どう書けばいいんだろう?」「その子どもは?」。調べていくうちに、どんどん分からなくなり、「もし間違った書類を作ってしまったらどうしよう…」と、大きな不安を感じて当事務所のホームページからお問い合わせをくださいました。
あなたも今、Aさんと同じように、亡くなった相続人の記載方法で頭を悩ませていらっしゃるのではないでしょうか。ご安心ください。そのお悩みは、決して特別なことではありません。多くの方が同じポイントでつまずかれます。
この記事では、司法書士である私が、Aさんのようなお悩みを持つ方のために、以下の点を分かりやすく解説していきます。
- 「数次相続」と「代襲相続」の決定的な違い
- それぞれのケースで、法定相続情報一覧図をどう書けばよいのか
- なぜ、そのような書き方をする必要があるのかという根本的な理由
この記事を読み終える頃には、頭の中のモヤモヤが晴れ、ご自身のケースで何をすべきかが明確になっているはずです。一緒に、一歩ずつ進んでいきましょう。
【結論】カギは死亡時期!数次相続と代襲相続の違い
法定相続情報一覧図の書き方で迷ったとき、最も重要なポイントはたった一つです。それは「亡くなった相続人が、今回の相続の始まりである被相続人より『後』に亡くなったか、それとも『前』に亡くなっていたか」という死亡時期の順番です。
このシンプルな違いが、手続きを「数次相続(すうじそうぞく)」と「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」という、まったく異なる2つの道に分けるのです。

まずはこの大原則を理解することが、混乱から抜け出す一番の近道です。それぞれのケースについて、もう少し詳しく見ていきましょう。法定相続情報証明制度の全体像については、別の記事で体系的に解説していますので、そちらもご参照ください。
数次相続:相続発生「後」に相続人が亡くなったケース
数次相続とは、被相続人が亡くなって相続が開始した「後」に、遺産分割協議などが終わらないうちに相続人の誰かも亡くなってしまい、次の相続が始まってしまう状況を指します。
例えば、「お父さんが亡くなり(一次相続)、その遺産分割の話がまとまらないうちに、相続人であるお母さんも亡くなってしまった(二次相続)」というようなケースです。相続が数珠つなぎに発生していくイメージですね。
ここで大切な原則があります。法定相続情報一覧図は、あくまで「被相続人が亡くなった“時点”での相続関係を証明する」ための書類である、ということです。
お父さんが亡くなった時点では、お母さんはご存命で、間違いなく相続人の一人でした。ですから、お父さんの法定相続情報一覧図には、後から亡くなったお母さんもしっかりと相続人として記載する必要があるのです。これが、数次相続における書き方の基本ロジックとなります。場合によっては、数次相続で相続放棄をした方が、別の相続で再び相続人になるという複雑な状況も起こり得ます。
代襲相続:相続発生「前」に相続人が亡くなっていたケース
一方、代襲相続とは、被相続人が亡くなるより「前」に、相続人となるはずだった子や兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合に、その人の子ども(被相続人から見れば孫や甥・姪)が代わりに相続人になる制度のことです。
例えば、「おじいさんが亡くなったが、相続人であるはずのお父さんは、それよりも前に亡くなっていた」というケースがこれにあたります。
この場合、相続が開始した時点(おじいさんの死亡時)で、お父さんはすでにお亡くなりになっています。つまり、お父さんは“相続人ではない”のです。そのため、おじいさんの法定相続情報一覧図に、お父さんの名前が相続人として記載されることはありません。
その代わりに、お父さんの相続権を引き継いだ子ども、つまりおじいさんから見た孫が相続人として一覧図に記載されることになります。これが代襲相続です。
「相続が始まった時に生きていたかどうか」。この一点が、記載の有無を分ける大きな違いなのです。
【ケース別】法定相続情報一覧図の具体的な書き方と記載例
それでは、理論がわかったところで、数次相続と代襲相続、それぞれのケースにおける法定相続情報一覧図の具体的な書き方を見ていきましょう。ご自身の状況と照らし合わせながら、確認してみてください。
数次相続の場合:亡くなった相続人もそのまま記載する
数次相続のケースでは、法定相続情報一覧図の書き方は比較的シンプルです。一番最初に確認すべきことは、被相続人より先に亡くなっているか、後に亡くなっているかです。後に亡くなっている場合は数次相続となり、法定相続情報一覧図には亡くなった方の情報を記載します。
ポイントは、被相続人が亡くなった後に亡くなった相続人も、他の存命の相続人と同じように「氏名」「生年月日」「続柄」を記載するという点です。通常、亡くなった方の欄に「(死亡)」と書いたり、死亡年月日を記載したりはしません。

なぜなら、先ほども触れたように、法定相続情報一覧図は「被相続人の死亡時点」の相続関係を証明するものだからです。その時点では相続人全員がご存命だったので、そのまま記載するのが正しい方法となります。
ここで、非常に重要な注意点があります。それは、「この一覧図を見るだけでは、記載されている相続人が今、ご存命なのか亡くなっているのかは判断できない」ということです。亡くなっている相続人も、ご存命の相続人も、一覧図上では全く同じように表記されるからです。
そのため、金融機関などで手続きをする際には、亡くなった相続人については、その方が亡くなった事実を証明するために、別途その方の死亡が記載された戸籍謄本などが必要になります。あるいは、その亡くなった相続人を「被相続人」とする、もう一つの法定相続情報一覧図を作成して証明することになります。これが、数次相続の手続きが複雑になる大きな理由の一つです。場合によっては、相続人全員の合意を証明するために遺産分割協議証明書という形式をとることもあります。
代襲相続の場合:「被代襲者」と記載し、代襲相続人を書く
代襲相続のケースでは、少し特殊な書き方をします。被相続人より先に亡くなっている場合、その方は相続発生前に亡くなっているので、そもそも相続人ではありません。そのため、法定相続情報一覧図には「相続人」としては記載せず、「被代襲者」として表示します。
具体的には、被相続人より先に亡くなった相続人(子など)の欄には氏名を書かず、代わりに「被代襲者(〇〇 死亡)」と記載します。〇〇には、先に亡くなった方の氏名を記入します。そして、その線の下に、代わりに相続人となる子ども(被相続人の孫など)の情報を通常通り記載します。

なぜ氏名を書かないのかといえば、相続が始まった時点ですでに亡くなっており、「相続人」ではないからです。そして、なぜその子どもが記載されるのかといえば、親の権利を引き継いで「代襲相続人」として相続する権利があるからです。
数次相続の記載例と見比べていただくと、その違いがはっきりとお分かりいただけるかと思います。孫が相続人となるケースでは、この書き方をしっかりと覚えておきましょう。
より詳しい様式や記載例については、法務局のウェブサイトも参考になります。
数次相続が大変な理由|なぜ専門家への相談を勧めるのか
ここまでお読みいただき、代襲相続に比べて数次相続の手続きが複雑そうだと感じられたかもしれません。その通りで、数次相続はご自身で進めるには非常に大変なケースが多いのが実情です。
単に「複雑です」と言うだけでは分かりにくいので、具体的に何が大変なのかを挙げさせていただきます。
- 必要な戸籍謄本の数が爆発的に増える
一次相続の被相続人の出生から死亡までの戸籍に加え、二次相続の被相続人(亡くなった相続人)の出生から死亡までの戸籍も必要になります。戸籍を集めるだけでも、膨大な時間と手間がかかります。 - 相続人の数が増え、関係性も疎遠になりがち
一次相続の相続人に加え、二次相続の相続人(例:おじ・おば、いとこなど)も話し合いに参加する必要があります。普段付き合いのない遠い親戚と遺産分割というデリケートな話し合いをまとめるのは、精神的に大きな負担となります。時には、戸籍調査で知らない相続人が発覚するケースも少なくありません。 - 遺産分割協議が難航する
相続人が増えれば、それだけ意見の調整が難しくなります。誰がどの財産を相続するのか、全員の合意を取り付けるのは至難の業です。 - 被相続人ごとに法定相続情報一覧図が必要になることも
先述の通り、手続きをスムーズに進めるためには、一次相続の被相続人の一覧図と、二次相続の被相続人の一覧図、それぞれを作成する必要が出てくる場合があります。
これらの膨大な作業と精神的なストレスを考えると、数次相続が発生している場合は、お早めに専門家である司法書士にご相談いただくことを強くお勧めします。
ご自身で挑戦した経験は無駄になりません【司法書士からのメッセージ】
ここまで読み進めてくださったあなたは、きっとご自身でなんとかしようと、一生懸命に情報を集め、手続きに挑戦されたことと思います。その結果、この記事にたどり着かれたのかもしれません。
「難しくて、結局専門家に頼むことになってしまった…」と、もし少しでも残念に思われているとしたら、そんな風に思う必要は全くありません。むしろ、一度ご自身で法定相続情報一覧図を作ろうと試みたそのご経験は、私たち司法書士にご相談いただく際に、この上なく貴重なものになるのです。
なぜなら、手続きの難しさや、どこでつまずいたのかを身をもって体験されているからです。そのご経験があるからこそ、私たちが専門的なご説明をしたときにも、「ああ、あの複雑な部分のことか」と、すんなりとご理解いただけます。話の飲み込みが格段に早くなり、よりスムーズに、そして納得感を持って手続きを進めていくことができるのです。
あなたの努力は、決して無駄ではありません。それは、問題をより深く理解するための大切なプロセスだったのです。
下北沢司法書士事務所は、単に手続きを代行するだけではありません。ご相談者様がこれまで抱えてこられた不安や、ご自身で頑張ってこられたお気持ちをしっかりと受け止め、尊重することを大切にしています。代表司法書士は心理カウンセラーの資格も有しており、法律的な問題だけでなく、手続きを進める中での心の負担にも寄り添える事務所でありたいと願っています。
もし、少しでも「一人で進めるのは限界かもしれない」と感じられたら、どうかその頑張りを認め、私たち専門家を頼ってください。あなたのその経験を力に変えて、最善の解決策を一緒に見つけていきましょう。エリアも東京23区だけでなく、首都圏に対応しています。エリアに対する考え方はこちら↓
相続手続きは遠方の司法書士に依頼できる?全国対応の現実 | 相続手続、遺言、相続放棄、会社設立、不動産売却なら下北沢司法書士事務所
いつでもお気軽に、電話やお問合せフォームでご相談ください。
下北沢司法書士事務所 竹内友章

東京都世田谷区北沢にある下北沢司法書士事務所は、相続手続き、遺言作成、相続放棄、会社設立、不動産売却など、幅広い法務サービスを提供しています。代表の竹内友章は、不動産業界での経験を持ち、宅地建物取引士や管理業務主任者の資格を活かし、丁寧で分かりやすいサポートを心掛けています。下北沢駅から徒歩3分の便利な立地で、土日も対応可能です。お気軽にご相談ください。
相続登記を急ぐべき心理的メリット|司法書士が教わった理由
「今はまだ…」そのお気持ち、司法書士も同じでした
大切なご家族を亡くされ、今はまだ、相続のことなど考えられる心境ではないかもしれません。「気持ちの整理がついてから…」「今はそっとしておいてほしい」そう思われるのは、ごく自然なことです。
専門家である私自身も、お客様から教わるまで「相続登記は義務ではあるけれど、まずは気持ちが落ち着いてからで良い」と考えてはいます。しかし法律の専門家として手続きの重要性は理解していても、人の心の機微までは分かっていなかった部分がありました。
あるお客様との出会いが、私のその考えを少しく変えるきっかけとなりました。
この記事では、法律で定められた義務や手続き上のリスクといった話とは全く違う、もう一つの大切な理由をお伝えしたいと思います。それは、悲しみの中にいるあなたの心が、少しでも軽くなるためのヒントになるかもしれません。無理にとは言いません。もし少しだけ、お気持ちに余裕があれば、読み進めてみてください。
相続登記を放置する法務・実務上のリスク(簡単におさらい)
本題に入る前に、相続登記を放置することの一般的なリスクについて、簡単におさらいしておきましょう。すでにご存知のことも多いかと思いますが、確認の意味でご覧ください。
- 相続人が増え、手続きが複雑になる:時間が経つと、相続人の中にも新たな相続が発生し(数次相続)、関係者が雪だるま式に増えて話し合いが困難になることがあります。
- 不動産の売却や担保設定ができない:いざ不動産を売りたい、あるいはそれを担保にお金を借りたいと思っても、亡くなった方の名義のままでは、売却や担保設定などのための登記手続が進められず、実務上大きな支障が生じることがあります。
- 義務化により過料の可能性がある:2024年4月1日から相続登記が義務化され、正当な理由なく手続きを怠ると10万円以下の過料が科される可能性があります。
…と、ここまではよく聞く話だと思います。「頭では分かっているけれど、それでも気が進まない」というのが、今のお気持ちではないでしょうか。しかし、本当に怖いのは、これらの手続き上の問題だけではないのかもしれません。
参照:法務省「相続登記の申請義務化特設ページ」
お客様が教えてくれた「相続登記を急ぐべき、もう一つの理由」
司法書士は法律や手続きの専門家ですが、人生の機微については、お客様から教わることが本当に多くあります。以前、狛江市にお住まいのお客様からホームページ経由でお電話をいただいた時のことです。
お話を伺うと、ご自宅の名義人であるご主人が亡くなられて、まだ納骨もこれからという時期でした。深い悲しみの中にいらっしゃることは、電話口の声からも伝わってきます。私は、専門家としてではなく、一人の人間として、こうお伝えしました。
「今はまだお気持ちも落ち着かないでしょう。納骨などが終わって、少し心が休まってからでも大丈夫ですよ。焦る必要はありませんから」
それが、その方のためを思った私なりの配慮のつもりでした。しかし、受話器の向こうのお客様は、静かながらもはっきりとした口調でこうおっしゃったのです。
「でも、気になるので早めにやりたいんです」と。
そのお気持ちを尊重し、お電話で一通りのお手続きや費用の説明を済ませ、約1週間後、ご自宅へお伺いすることになりました。
ご自宅に上がらせていただき、まずはご主人の遺影に手を合わせました。そして、持参した登記情報をお見せしながら、相続登記や遺産分割協議書についてご説明を差し上げました。ひととおりの説明が終わった後、お客様がぽつり、ぽつりと話してくださった言葉が、今も私の心に深く刻まれています。
「竹内さんに『急がなくていい』とは言われたのですが、なにかやっていた方が気がまぎれるのですよ。それに、このタイミングを逃すと、なんだか一気に元気がなくなってしまうような気がして…」
その言葉を聞いた瞬間、私は「なるほどな」と、胸を突かれる思いでした。
葬儀や納骨といった儀式は、故人を弔うと同時に、残された家族がその死を段階的に受け入れ、気持ちの整理をつけていくための知恵なのだと聞いたことがあります。あえてやるべきことをこなし、それに集中する時間を持つことで、悲しみと向き合い、少しずつ日常を取り戻していく。
お客様の言葉は、相続登記も、そのようなプロセスの一部になり得るのだと、私に教えてくれました。それは、単なる義務や手続きではなく、故人との関係に一つの区切りをつけ、前を向くためのステップだったのです。
そして、「タイミングを逃すと家族と改めて話すのもおっくうになるかもしれない」という懸念。これもまた、非常に大切な視点だと気づかされました。
法律の条文だけを読んでいては、決して辿り着けない答えでした。この経験から、私は「早くやるべき」という言葉の裏にある、もっと温かく、人間的な意味を理解したのです。

手続きを進めることで得られる3つの心理的メリット
あのお客様の経験は、決して特別なことではありません。悲しみや混乱の中にいる時だからこそ、一歩踏み出して手続きを進めることには、心を軽くする大きな意味があります。具体的には、次の3つの心理的なメリットが考えられます。
1. 心の区切りをつけ、新たな一歩を踏み出せる
相続登記は、いわば「故人との法的な関係を清算し、感謝と共に見送る最後の儀式」と捉えることができます。戸籍をたどり、財産を確認し、名義を書き換える。この一連の作業を終えることで、宙に浮いていたような曖昧な状態に終止符が打たれます。
それは、心に一つの区切りをつけるための、具体的で目に見える行動です。「やらなければいけない」という漠然とした重荷から解放される安堵感は、想像以上に大きいものです。この精神的な解放感が、深い悲しみから少しだけ顔を上げ、自分の未来へと一歩踏み出すための土台となってくれるのです。
2. 「放置している」という罪悪感や不安から解放される
手続きを先延ばしにしていると、意識していなくても、心のどこかで「やるべきことをやっていない」という小さな罪悪感や、「いつか大変なことになるのでは」という漠然とした不安がくすぶり続けます。それは、静かに、しかし確実に心のエネルギーを奪っていく重荷です。

相続登記という課題を一つ片付けることは、この見えない重荷を取り除くことにつながります。問題を解決したという小さな達成感や自己肯定感は、喪失感で沈んだ心を少しだけ上向きにしてくれる効果も期待できるでしょう。日々の生活の中で感じる、ふとした瞬間の不安が一つ消えるだけで、心の平穏を取り戻す大きな助けになります。
3. 家族と故人を偲び、未来を語り合う「きっかけ」になる
相続手続きは、単なる事務作業ではありません。それは、家族が集まり、故人の思い出を語り、そしてこれからのことを話し合うための、とても貴重な機会となり得ます。
お客様がこぼした「このタイミングを逃すと家族と改めて話すのもおっくうになるかも」という言葉は、的を射ています。日常生活の中では、改まって家族の将来について話し合う機会はなかなか持てないものです。遺産分割協議というと、揉め事のイメージがあるかもしれませんがそんなことはありません。専門家が間に入ることで、むしろ故人の想いを尊重しながら、家族が前向きな未来を築くための建設的な対話の場にすることができるのです。
気持ちの整理がつかない今だからこそ、司法書士に頼る意味
「心理的なメリットは分かったけれど、それでもやっぱり、自分一人で進める気力がない…」
そう感じていらっしゃるかもしれません。それでいいのです。むしろ、気持ちの整理がつかない今だからこそ、私たちのような専門家を頼る意味があります。
私たち相続を専門とする司法書士の仕事は、ただ書類を作成し、手続きを代行するだけではありません。特に心理カウンセラーの資格を持つ私としては、お客様が抱える心の負担を軽くすることも、同じくらい大切な役割だと考えています。
複雑に絡み合った戸籍を読み解き、やるべきことを整理し、一つひとつ道筋を立ててご説明する。誰かに話を聞いてもらい、頭の中を整理してもらうだけでも、心はふっと軽くなるものです。それは、一種のカウンセリングのような効果があるのかもしれません。
当事務所は、法的な手続きの伴走者であると同時に、あなたの心の整理をお手伝いするパートナーでありたいと願っています。
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相続手続きは遠方の司法書士に依頼できる?全国対応の現実 | 相続手続、遺言、相続放棄、会社設立、不動産売却なら下北沢司法書士事務所
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東京都世田谷区北沢にある下北沢司法書士事務所は、相続手続き、遺言作成、相続放棄、会社設立、不動産売却など、幅広い法務サービスを提供しています。代表の竹内友章は、不動産業界での経験を持ち、宅地建物取引士や管理業務主任者の資格を活かし、丁寧で分かりやすいサポートを心掛けています。下北沢駅から徒歩3分の便利な立地で、土日も対応可能です。お気軽にご相談ください。
