財産目録の作成

財産目録があることで正しい判断ができます。

財産目録とは預貯金などのプラスの財産、借金などのマイナスの財産を全てまとめた財産一覧表のことです。財産目録を見やすい書式で作成し、プラスとマイナスの財産を見比べることは遺産分割の内容を決めるだけでなく相続放棄をするかどうかを判断するのにも重要です。

 

財産目録で何を判断するのか。

財産目録で判断することは主に次の3つです。

 

①どのように遺産分割協議をするのか?

不動産の相続をすると、基本的に一緒にその不動産を担保として借りていた借金も相続することになります。場合によってはどの不動産がいくらの価値があるか査定をとらないと果たして相続した方がいいのか判断がつきません。そのような場合は提携不動産会社に価格を査定してもらいます。このように単に財産を並べるのでなく、遺産分割協議のベースとなるよう情報を集約します。

 

②相続放棄をするのか?

見やすい書式で財産目録を作ると、意外と借金が多いことが分かることがあります。

不動産や預金と借金をバラバラに見ていると気が付かなくても、書式にまとめることで気が付くのです。そういう場合はそもそも相続をするのか相続放棄をするのか判断することになります。相続放棄にはしないと借金を背負う怖さがあり、するとプラスの財産を失う怖さがあります。プラスとマイナスの財産のどちらが多いか微妙な時には書式になった財産目録が相続放棄をするかどうか判断するのに大切な情報になります。

 

③限定承認をするのか?

実際に使われるケースは稀ですが、借金が多い場合は「限定承認」という手続きも選択肢です。限定承認はプラスの財産の範囲でだけ借金も相続する手続きで家庭裁判所に対して手続きを取ります。相続放棄はプラスもマイナスも相続しませんが、限定承認はプラスの範囲を上限にマイナスの財産も相続することに違いがあります。もしも借金を清算してプラスが出ればそのプラスが相続できるのがメリットですが、プラスが無かったら手間ばかりがかかることやそのプラスの財産にも「譲渡所得税」がかかってしまうこと、そして相続人全員が共同して行わなければならない(相続放棄した方を除く)ことなど難しい部分もたくさんあることからあまり使われません。

平成29年度に家庭裁判所へ申し立てられた相続放棄の件数と限定承認の件数を見比べると相続放棄が205,909件に対して限定承認は722件です。このことから借金が多い場合は限定承認より相続放棄を選ぶことが一般的なことが分かります。

 

不動産の評価

相続財産の中心が不動産だった場合、果たしてその不動産の価値がとれくらいあるのかは重要な情報です。下北沢司法書士事務所では財産目録の作成にあたって提携不動産会社に

査定をしてもらうことが可能です。不動産会社に支払う査定料も発生せず、物件の性質にあわせて売却価格で評価したり利回り(賃貸に出している不動産の年間賃料で購入価格は割った価格)で評価したりと実際に不動産売買の仲介業務を行っている現場の営業マンが査定した価格を参考にできます。

 

財産目録で書式にすべき財産

財産目録の書式に良く書き込まれる、代表的な財産をご紹介します。

  • 不動産―不動産は自分が持っている不動産だけでなく、地主さんから土地を借りていたり亡くなる直前まで賃貸マンションに住んでいたりした場合は不動産を借りる権利(賃借権)も財産目録に記載します。
  • 預金―預金は銀行や口座番号ごとに分けてどの口座にいくらあるのか記載します。
  • 株式などの証券―株式もどの会社の株が何株あるのか、どの証券口座にあるのか記載します。
  • 生命保険―生命保険は受取人が亡くなった保険がかかっていた方(被保険者)またはその相続人が受取人の保険金の場合は遺産分割の対象とはなりません。基本的には財産目録の書式には書きませんが、相続人の一部の方だけが死亡保険金の受取人になっていた場合などは参考として記載することがあります。
  • 死亡退職金―企業からの死亡退職金は、厳密に考えると遺産分割の対象となるか微妙なところですが、支給される場合には参考として記載します。
  • 年金―未支給の年金を受け取る前に亡くなってしまった場合、年金を請求する権利も相続の対象となりますので財産目録の書式に記載します。
  • 借金―マイナスの財産も財産目録の書式に落とし込みます。銀行などの借入だけでなく、親族などの借入もはっきりしているものは記載します。

 

財産目録作成の流れ

財産目録の作成は相続人の方のご予定や状況、相続財産全体の手続きのスケジュールにもよりますが、おおむね次のような流れで進みます。

 

①亡くなられた方の戸籍収集

財産目録を作成する為の情報を集めるときは税務署や都税事務所、銀行や証券会社に問い合わせたり書類を取り寄せます。多くの場合で相続関係を証明する戸籍を求められますので戸籍の収集からスタートします。

財産目録作成の流れ

②相続人の方の戸籍、印鑑証明書、委任状のお預かり

都税事務所や銀行に提出を求められる相続人の方の戸籍や印鑑証明書、委任状をお預かりします。

遺産承継サービスをご依頼いただいた時の委任契約の取り交わしの時など、別の機会に事前にお預かりすることもあります。

財産目録作成の流れ

③情報収集

法務局から不動産登記事項証明書、都税事務所や市役所から固定資産の評価証明書、固定資産の名寄帳、銀行から残高証明書などを取り寄せます。

財産目録作成の流れ

④財産目録の作成

集約した情報を財産目録の書式に落とし込み、財産目録を完成させます。

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