相続法改正で影響するケース

和元年7月1日相続法改正!あなたの相続への影響は?

民法は生活に直結していますが、ちょっと地味な法律です。その地味な民法がみなさんの話題をさらったのがこの相続法の大改正です。では実際に相続に対してどのような影響があるのでしょうか。みなさんと一緒に見ていきたいと思います。

 

配偶者の保護

相続法改正の大事なキーワードは「配偶者保護」です。高齢化社会になり、人が亡くなるとかなり高齢の配偶者が残されるケースが増えました。そこで亡くなった方の配偶者の生活をどうやって守っていくのかが時代が進むに連れ大事なテーマになってきたのです。

では今回の相続法改正でどのように高齢の配偶者を保護しているのでしょうか。例えば持ち戻しの免除の関する民法904条4項。もの凄くざっくりと話します。

まず民法には亡くなった方から家をもらったりすると、もらった分だけ相続財産が少なくなるような計算方法が定められています。その相続の時不利になるルールを20年以上連れ添った夫婦には基本的に採用しないことにしました。これにより亡くなったご主人や奥様から家をもらっていても相続の時に不利になりにくくなりました。

配偶者に家をあげることは「贈与税の配偶者控除」が利用できる場合に良くあります。第140回から第142回の国税庁統計年報を参照すると年間におおむね11,000件から16,000件ほどあるようです。この税金の面で有利になる制度をより利用しやすくなりました。

そして、今回の相続法の改正でもっとも大きいポイントと考えられる「配偶者居住権(民法第1028条)」。新しい「権利」が創設されたのですからとても大きい法改正です。相続財産の主な財産が自宅だと、自宅を相続するともうそれだけで法律で決められた相続分が無くなってしまうようなケースが想定されています。

「所有権」ではなくそれよりも価値の低い「配偶者居住権」で今までの通り自宅に住んでもらい、価値が低い配偶者居住権しかもらってないのでその分現金などが相続財産からたくさんもらえることになります。

司法書士としてはこの配偶者居住権は登記もできることをアピールしたいところですが実際に一番大きい問題は配偶者居住権の価値の判定です。所有権より価値が低いと言っても、配偶者居住権の価値はどのように判定すればいいのでしょうか。日本不動産鑑定士協会連合会がその計算方法の意見を出していますがまだ実務で運用されていません。果たしてこの計算式でスムーズに進むのか様子を見なければならないと思います。

この配偶者居住権は「新薬」と同じと思っています。まだどんな副作用が出るか分からないため最後の切り札と考えた方が良いでしょう。この配偶者居住権は令和2年の4月1日からスタートします。実際に使いやすい制度なのか慎重に経過を見たいと思います。

 

遺産分割前の預貯金の行使

相続法の改正の中で一番大きいのはどれと聞かれれば「配偶者居住権の創設」と答えます。しかし、一番「使いやすい制度はどれ」と聞かれればこの遺産分割前の預貯金の行使とお答えするでしょう。当事務所でもこの制度の施行される前に、既にこの制度の使い方に関するお問い合わせをいただいています。では一体どのような制度なのでしょうか。

相続が発生すると、遺産分割前に預貯金は下ろせません。誰がどれだけ相続するか分からない状況で、金融機関としても手続きに応じられないのです。もしもその預貯金を、その後の遺産分割協議で別の人が相続することになったらトラブルになってしまいます。

しかしそれでは困る人が出てくるにも事実です。例えば相続人同士で大きな経済力の差があり、かつ仲が悪い場合はどうでしょうか。お金を持っている人はのんびり遺産分割の調停が終わるのを待てるでしょうが、お金の無い方の相続人は相続税の支払いができず途方にくれてしまうことも考えられます。

そこで使えるのが新しく誕生した民法909条の2です。これは葬儀費用は当面の生活費のために最大で150万円まで遺産分割前の預貯金を引き出せる制度です。これは相続発生後に生活費に苦しんでいる方にとっては大きな助けになると考えています。

 

その他の相続法改正

その他にも自筆証書遺言の要件が緩くなって使いやすくなったり(民法968条2項)、遺留分が金銭債権に一本化されたり(民法1046条1項)、亡くなった方に特別の貢献をした人を相続財産から財産をもらいやすくしたり(特別寄与 民法1050条)と様々な改正がされています。あなたにも使える制度があるかも知れません。

是非、気軽に聞ける司法書士から正確な情報提供を受けてください。

 

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