相続法改正のポイント-配偶者居住権の保護について

いつ使う?配偶者居住権

亡くなった方のご主人や旦那さんの生活を守るために作られた「配偶者居住権」。高齢化社会になり、相続が発生した時点で配偶者も高齢者である場合が多くなりました。その高齢の配偶者が住み慣れた居住建物を離れて生活するのは精神的・肉体的に大きな負担です。

そこで相続後に残された配偶者の居住権を保護すべく、配偶者居住権は作られました。配偶者居住権は、配偶者が終身または比較的長期の一定期間ご自宅に住める権利です。これは普通の所有権と何が違うのでしょうか。それは配偶者居住権の方が所有権より「安い」ところです。

配偶者の相続分は民法により2分の1と一応決まっています(民法900条)。ところが土地建物を相続してしまうと、それだけでこの2分の1を超えてしまい預貯金が相続できず生活に困ってしまうこと考えられ、結果として土地建物を売却し望んでいない住み替えをすることになるかも知れません。

しかしこの「配偶者居住権」ならば所有権よりも価値が低く、預貯金も相続できる余地を残し引き続き自宅で生活するためのお金も相続できる可能性が出てきます。もちろん、この配偶者居住権を使わなくても遺産分割協議で配偶者に相続財産をより多く相続してもらえば問題ないのですが、お子さんの中にもより多くの価値のある遺産を相続したいと考える方もいるかも知れません。

そういうケースでは所有権より価値の低い配偶者居住権を配偶者に取得してもらうことで、遺産分割協議を取りまとめることが考えられます。

 

配偶者居住権の内容と使うための条件

配偶者居住権の内容を具体的に見ていきます。

配偶者居住権は基本的に遺産分割協議で取得します。しかし遺産分割協議は相続人全員で合意する必要があるため、それ以外の手段として遺贈や裁判所の判断でも取得できるようになっています(改正民法1028条、1029条)。

そして、この配偶者居住権は基本的に終身無償で住めます。家賃を払う必要がありません。更に登記をすることもできるので、権利を守ることもできます。一方、守るべきルールは何でしょうか。配偶者居住権によって住んでいる間は善良な管理者の注意をもって使用と収益をする義務を負います(改正民法1032条1項)。

自分の所有物よりは、きちんと管理する責任が重いとお考え下さい。他にも配偶者居住権は他人に譲渡することができない(改正民法1032条2項)、固定資産税の支払いや通常の修繕費は負担する(改正民法1034条1項)などの義務があります。

 

配偶者居住権の問題

配偶者居住権は令和2年の4月1日からスタートする全く新しい権利です。そのため、何が問題かはっきりしないのが最大の問題でしょう。その中でも気になるのが価格評価です。日本不動産鑑定士協会連合会が計算方法について意見を出していますが、実際に遺産分割協議をするときあなたの家の配偶者居住権をいくらで設定すればいいのか、慎重に見極める必要があります。

もしも配偶者居住権の利用をお考えなら是非、司法書士にご相談ください。あなたが相談してくださった時点での最新の知識を持って、ご相談にお応えします。

 

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