相続法改正のポイント-遺産分割前に遺産を処分された場合について

新しい法律ができても何も変わらない?

大きな話になってしまって恐縮ですが、「法律」は「国会」で決めています。選挙で選ばれた国会議員が国のルールである法律を決めて、そのルールに沿って「司法」つまり裁判所が実際に起こる紛争(もめ事)を裁いていきます。しかし、ときどきこの流れが逆流することがあります。裁判所がくだした判断を、国会の方がルール(法律)として定めるケースです。この「逆流」が起きると法律は改正されても私たちの実生活にはほとんど影響されません。今までだって裁判所は新しく出来た法律と同じやり方でも問題を裁いてきたからです。相続法の大改正でもそのような法改正がありましたのでご紹介します。

 

遺産を勝手に処分した人がいた場合

改正民法の第906条の2第1項は「遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合であっても、共同相続人は、その全員の同意により、当該処分された財産が遺産の分割時に遺産として存在するものとみなすことができる。」と定めています。

遺産分割前に勝手に相続財産を使ってはダメなのですが、貯金をおろしてしまった人がいるとしましょう。問題はこの勝手におろした貯金の清算をどうするかです。

そこで改正された民法では、「他の共同相続人がいいと言えば」その勝手におろした貯金は遺産分割で手にしたものと考えて良いことにしました。例えば100万円の相続財産を引き継いだ兄弟2人のうち、お兄さんが40万円を勝手におろしてしまったとします。しかし弟が良いと言えば、お兄さんがおろした40万円も含めて100万円を相続財産として遺産分割協議をすることができます。

その結果、50万円ずつ相続する遺産分割協議が成立したとしましょう。そうすると、お兄さんは50万円のうち既に40万円をおろしていますから残りの相続財産の10万円を受け取ります。弟はそのまま50万を受け取り、遺産分割協議が終わります。弟は、遺産分割協議をせずにお兄さんの責任を追及をすることもできます。勝手に弟の相続分をおろしてしまったのは民法上の不当利得(第703条)や不法行為(第709条)に該当しますのでこれらの規定を使って責任を追及します。

 

前提知識なしに聞いても分からない。改正民法の知識。

相続法の改正の中でも、ポイントとなる知識があります。このページでは、法改正されたとはいえ今までとあまり変わらない部分を紹介しました。法改正の全体をダラっと見るのではなく、お客様1人1人の状況を踏まえてどの法改正が重要なのか落とし込んでいくことが大事です。正確な知識と柔軟性がある司法書士に、是非お気軽にご相談ください。

 

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