遺言執行者がいなくてお困りですか?解決策はあります
「相続財産は私が多くもらう内容になっているけれど、他の相続人にどう説明して協力してもらえばいいか分からない…」
相続に備えて遺言書を作ったものの、いざ相続が発生すると手続きが前に進まず、途方に暮れていらっしゃるのではないでしょうか。金融機関や法務局で想定外の指摘を受け、一人で悩みを抱え込んでいる方も少なくありません。
しかし、ご安心ください。あなただけが特別な状況にあるわけではありません。そして、その手詰まりの状態を打開する具体的な解決策は、きちんと存在します。
この記事では、遺言執行者がいないために相続手続きが止まってしまった場合の代表的な解決策を、専門家である司法書士の視点から分かりやすく解説します。読み終える頃には、ご自身の状況で次に検討すべき選択肢が整理でき、不安の軽減につながるはずです。
遺言における「遺言執行者」とは?
遺言執行者は、遺言の内容を実現するために、相続財産の管理その他遺言執行に必要な一切の行為をする権限を持っています(民法第1012条)。
つまり、遺言執行者がいれば、遺言の内容や手続の種類にもよりますが、基本的に単独で相続手続きを進められます。
遺言執行者がいれば、面倒な協力依頼や、それに伴う精神的なストレスから解放され、スムーズに遺言内容を実現できるのです。
このテーマの全体像については、相続の問題、どの専門家に相談する?ごく単純な判断基準を伝えます!で体系的に解説しています。
【2つの解決策】あなたに合うのはどっち?申立てvs司法書士への委任
では、遺言書に遺言執行者の指定がない場合、どうすればよいのでしょうか。解決策は大きく分けて2つあります。
- 家庭裁判所へ遺言執行者の選任を申し立てる
- 司法書士に遺産承継業務として手続き全体を依頼する
どちらの方法がご自身の状況に適しているか、それぞれの特徴を比較しながら見ていきましょう。これは、手続きの複雑さ、他の相続人との関係性、ご自身でかけられる時間や費用などを考慮して判断することが重要です。

解決策1:家庭裁判所へ遺言執行者の選任を申し立てる
遺言執行者がいない場合、利害関係人(相続人、受遺者など)は、家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立てることができます。裁判所によって選任された遺言執行者が、その後の手続きを進めていくことになります。
手続きの概要
- 申立人:利害関係人(相続人、遺言によって財産をもらう人など)
- 申立先:遺言者の最後の住所地の家庭裁判所
- 費用:遺言書1通につき収入印紙800円分、郵便切手代(裁判所によって異なる)、必要書類の取得費用
- 期間:申立てから選任までの期間は、事案や裁判所の運用により異なります。
申立ての流れと必要書類
手続きは以下の流れで進みます。
- 必要書類の収集:申立書、遺言者の死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本、相続人全員の戸籍謄本、遺言執行者候補者の住民票、遺言書の写しなどを準備します。
- 申立書の作成:裁判所のウェブサイトにある書式を利用して作成します。申立ての理由などを記載します。
- 家庭裁判所への提出:管轄の家庭裁判所に書類一式を提出します。
- 照会書の送付:裁判所から相続人全員や候補者に対し、今回の申立てについての意見を尋ねる照会書が送られることがあります。
- 選任の審判:裁判所が候補者が適任であると判断すれば、選任の審判がなされ、審判書が送られてきます。
この審判書が、遺言執行者としての権限を証明する公的な書類となり、金融機関等の手続きで使用することになります。
誰を候補者にするか?
申立ての際には、遺言執行者の候補者を立てることができます。相続人自身が候補者になることも可能です。ただし、他の相続人との関係が複雑な場合、相続人の一人が執行者になると感情的な対立を招く恐れもあります。そのような場合は、中立的な立場の専門家(司法書士や弁護士)を候補者として申し立てる方が、手続きが円滑に進むケースが多いでしょう。
なお、遺言執行の費用は、原則として相続財産の中から支払われます。
家庭裁判所の手続きに関する詳細は、公式情報も併せてご確認ください。
参照:裁判所|遺言執行者の選任
解決策2:司法書士に遺産承継業務として丸ごと依頼する
もう一つの解決策は、家庭裁判所への申立ては行わず、司法書士に「遺産承継業務」として相続手続き全体を依頼する方法です。この場合、司法書士が相続人全員、若しくは財産承継者からの委任を受け、手続きの窓口となります。
遺産承継業務とは?
遺産承継業務とは、司法書士が相続人の代理人として、不動産の名義変更(相続登記)、預貯金の解約・分配、株式の名義変更、その他相続に関する煩雑な手続きをワンストップで代行するサービスです。
司法書士に依頼するメリット
- 相続人全員の協力が得られれば、裁判所の手続きは不要:相続人全員が手続きに協力的で、司法書士への委任に同意してくれるのであれば、家庭裁判所への申立ては必要ありません。これにより、時間と手間を節約できます。
- 時間的・精神的負担からの解放:戸籍の収集から金融機関とのやり取り、書類作成まで、煩雑な手続きをすべて専門家に任せることができます。平日の日中に役所や銀行へ行く時間がない方にとって、大きなメリットです。
- 中立的な専門家が間に入る安心感:司法書士が中立的な立場で他の相続人への説明や連絡調整を行うため、相続人間の無用なトラブルや感情的な対立を避けることができます。
特に、相続人同士の関係が良好で、手続きを円滑に進めたいが専門的な知識や時間がない、というケースでは非常に有効な選択肢です。当事務所でも、相続登記を含めた手続きをまとめてお受けすることが多くあります。
【解決事例】司法書士への依頼で手続きの不安から解放されたAさん
ここで、実際に当事務所にご相談いただき、無事に手続きを終えられた方の事例をご紹介します。
世田谷区にお住まいだったお母様を亡くされたAさん。遺言書は見つかったものの、遺言執行者が指定されておらず、ご自身とお兄様とで相続登記や銀行手続きを進めようにも、どうしていいか分からず困り果ててご相談に来られました。
お二人ともお仕事が忙しく、平日に休みを取ることも難しい。何より、複雑な手続きを前にして、気力も湧かないご様子でした。
「二人とも仕事で疲れていたし、うまく頭もまわらず進めることができませんでした。でも、やらなきゃいけないと心にはずっと引っかかっていたんです…」
Aさんのお話からは、前に進めない焦りと、心の重荷になっている状況がひしひしと伝わってきました。
当職は、お二人の状況とご意向を丁寧にお伺いした上で、「遺産承継業務」として相続手続きの一切をお引き受けすることをご提案しました。お二人から手続きに必要な委任状をいただき、その後の戸籍収集、財産調査、金融機関とのやり取り、そして最終的な相続登記と預貯金の払い戻しまですべて当事務所が代行しました。
Aさんとお兄様にお願いしたのは、印鑑証明書のご用意や、当職が作成した書類へのご署名・ご捺印など、ポイントとなるいくつかの作業だけです。煩雑な手続きの矢面に立つことなく、普段の生活を送りながら、相続手続きは着実に進んでいきました。
すべての手続きが完了した際、お二人からいただいた「無事に終わって、本当にスッキリしました」という言葉が、何より印象に残っています。手続きという物理的な負担だけでなく、心に引っかかっていた重荷からも解放された、安堵の表情でした。
手続きの悩み、一人で抱え込まずにご相談ください
遺言執行者がいないという状況は、多くの方にとって初めての経験であり、不安を感じるのは当然のことです。しかし、この記事でご紹介したように、解決策は必ずあります。
ご自身の状況では家庭裁判所への申立てが良いのか、それとも専門家にまとめて依頼する方がスムーズなのか。その判断に迷われたら、ぜひ一度、私たち専門家にご相談ください。
当事務所の代表司法書士は、心理カウンセラーの資格も有しております。単に法律手続きを代行するだけでなく、ご依頼者様が抱える不安や精神的なご負担にも寄り添い、安心して手続きを任せていただけるよう、心を込めてサポートいたします。
また、事務所のある世田谷区近辺だけでなく、東京23区や千葉・神奈川・埼玉など首都圏からご依頼を承っております。地域に関しては、こちらのコラムもご参照ください。
相続手続きは遠方の司法書士に依頼できる?全国対応の現実 | 相続手続、遺言、相続放棄、会社設立、不動産売却なら下北沢司法書士事務所
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下北沢司法書士事務所 竹内友章

東京都世田谷区北沢にある下北沢司法書士事務所は、相続手続き、遺言作成、相続放棄、会社設立、不動産売却など、幅広い法務サービスを提供しています。代表の竹内友章は、不動産業界での経験を持ち、宅地建物取引士や管理業務主任者の資格を活かし、丁寧で分かりやすいサポートを心掛けています。下北沢駅から徒歩3分の便利な立地で、土日も対応可能です。お気軽にご相談ください。

