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不動産売買時に意外につまづくこと

2017-09-23

不動産取引の際には抵当権などの担保の登記を消してから売却するのが取引上の慣習です。大昔に借り入れ金の返済は終わっていても、抵当権を消す登記をついつい忘れてしまい、それに加えて書類をなくしてしまうことが結構多いです。そうすると事前通知という制度を使って抵当権を消すことになる場合が多いですが、これが結構時間がかかる・・・。場合によっては、抵当権を消す手続きの間に買い手の気が変わらないか不安になることもあるかも知れません。抵当権がついているかは登記簿を見れば確認できます。ご案内しますのでご連絡ください。

下北沢司法書士事務所 竹内友章

不動産と相続放棄

2017-09-09

相続放棄をする場合、財産に不動産があったら要注意です。民法940条の規定により、相続放棄をした人には、次の相続人の方が引き継ぐまでその相続財産を管理する必要があります。次の相続人もいなかったら「相続財産管理人」を裁判所に選任してもらい、その人に不動産を処分してもらうまで管理責任は続きます。相続財産管理人は裁判所に多額の予納金が必要になる上、選任まで手続きに最低10カ月がかかります。そのため、実際にはこのような手続きをなかなかとれず不動産の権利が宙ぶらりんになってしまうことも多いです。「放棄したらすべて終わり」というわけではないので気を付けなければなりません。

下北沢司法書士事務所 竹内友章

相続・・・不動産の分け方

2017-09-03

兄弟で実家を円満に分ける4つの方法|最適な遺産分割とは

ご親族が亡くなり、遺された実家を兄弟でどのように分けるべきか迷うケースは少なくありません。特に不動産は、預貯金のように簡単に分割できず、家族の思い出が詰まっているため、感情的な問題も絡み合いがちです。それぞれの状況に合った分け方を確認しておくことで、話し合いの論点を整理しやすくなります。

この記事では、不動産の分け方の選択肢をわかりやすく整理し、ご自身の状況に最適な方法を見つけるお手伝いをします。新宿の不動産会社での営業経験があり、開業から10年不動産の相続の相談を受けてきた司法書士が解説します。

主な不動産の分割方法には、「現物分割」「換価分割」「代償分割」「共有分割」の4つがあります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、ご兄弟全員が納得しやすい分割方法を検討する際の参考にしてください。相続の全体像については、相続分の計算方法で体系的に解説しています。

【診断】あなたの状況に合うのはどの分け方?

まずは、簡単な質問からご自身の状況に最も適した分割方法のヒントを見つけてみましょう。

相続不動産の分け方診断フローチャート。質問に答えることで、現物分割、換価分割、代償分割、共有分割のどれが適しているかがわかる。

この診断はあくまで一つの目安です。例えば、「実家に住み続けたい相続人はいるか?」「代償金を支払う現金はあるか?」「兄弟間の関係は良好か?」といった質問を通じて、4つの分割方法のうちどれが最も適しているかを判断する手助けとなります。各診断結果から、対応するH3見出しへ内部リンクを設定することで、読者は自分事として記事を読み進めることができ、以降の解説への理解度と関心を高めることを目的とします。

遺産分割協議は相続人全員の合意が必須です。その過程で起こりうる問題点については、遺産分割協議で起こりうる問題点で詳しく解説しています。

方法1:現物分割|不動産以外にも遺産がある場合に

現物分割とは、遺産をそのままの形で各相続人が取得する方法です。例えば、「長男が実家を相続し、次男が同程度の価値の預貯金を相続する」といったケースがこれにあたります。

メリットは、不動産を売却する必要がなく、手続きが比較的シンプルである点です。先祖代々の土地や家を残したい場合に適しています。

一方、デメリットは、遺産の価値が相続人間で完全に均等になりにくく、不公平感が出やすい点です。不動産とその他の財産の価値を正確に評価しなければ、「自分だけ損をした」という不満につながる可能性があります。そのため、現物分割を選択する場合は、すべての財産をリストアップした相続財産目録を作成し、それぞれの財産価値を客観的に評価することが円満解決の鍵となります。詳しい手順については、相続財産目録の作成方法をご覧ください。

方法2:換価分割|誰も住まない場合に公平な分け方

換価分割は、不動産を売却して現金化し、その現金を相続人間で分ける方法です。誰も実家に住む予定がない場合に、最も分かりやすく公平な方法と言えるでしょう。

メリットは、1円単位で公平に分割できるため、相続人間の不満が出にくいことです。

デメリットとしては、大切な実家がなくなってしまうこと、そして売却には仲介手数料や税金などの費用がかかる点が挙げられます。特に、売却して利益が出た場合には譲渡所得税が課されます。ただし、一定の要件を満たせば「相続空き家の3,000万円特別控除」などの特例を使える可能性もあり、税務知識の有無で手元に残る金額が大きく変わることもあります。より具体的な手順については、相続空き家の3,000万円特別控除の手順をご覧ください。

方法3:代償分割|誰かが住み続ける場合の解決策

代償分割は、この記事の主題ともいえる方法です。特定の相続人(例えば長男)が不動産をすべて相続する代わりに、他の相続人(例えば次男)に対して、その人の法定相続分に相当するお金(代償金)を支払う方法を指します。

例えば、3,000万円の価値がある実家を兄弟2人で相続する場合、兄が実家を取得し、弟に代償金として1,500万円を支払うことで公平性を保ちます。

メリットは、実家を売却せずに誰かが住み続けられること、そして相続人間の公平を保てることです。

しかし、デメリットとして、不動産を取得する側に代償金を支払うための十分な資力が必要であること、そして「不動産の価値をいくらと評価するか」で揉める可能性がある点が挙げられます。この評価方法は代償分割で特に重要な論点であり、後の章で詳しく解説します。より具体的な手順については、相続した実家の代償分割|兄弟に渡す公平な金額の決め方をご覧ください。

方法4:共有分割|将来のトラブルに注意が必要な方法

共有分割とは、不動産を相続人全員の共有名義にする方法です。例えば、兄弟2人で相続する場合、それぞれ持分2分の1ずつで登記します。

一見すると、メリットとして一時的に公平な形を保てるように思えるかもしれません。しかし、これは専門家としては最も推奨できない方法であり、「問題の先送り」に他なりません。

デメリットは非常に大きく、将来のトラブルにつながる可能性があります。共有名義の不動産は、売却のような処分行為には原則として共有者全員の同意が必要です。また、リフォームや賃貸などの活用についても、内容によって必要な同意の範囲が異なるため、単独で自由に進められない場面が多くあります。兄弟のうち一人でも反対すれば、何もできなくなってしまうのです。さらに、共有者の誰かが亡くなると、その持分はさらにその人の子どもたちへと相続され、権利関係が世代を重ねるごとに複雑化していきます。最終的には、誰が所有者か分からなくなり、売却や活用が難しい不動産になってしまうリスクがあります。安易な共有分割は避け、他の3つの方法を真剣に検討することが重要です。

代償分割の最重要ポイント|代償金の評価方法はどう決める?

代償分割を進める上で、最も慎重な話し合いが必要なのが「不動産の評価額」です。代償金は「不動産評価額 × 法定相続分」で計算されるため、どの評価額を基準にするかで、支払う金額、受け取る金額が大きく変わってきます。この評価額の決定に絶対的なルールはなく、相続人全員の合意で決めるのが大原則です。

主な評価方法には以下の3つがあります。

  • ①実勢価格(時価):実際に市場で売買されると想定される価格。
  • ②相続税評価額(路線価):相続税の計算に用いられる価格。実勢価格の8割程度が目安。
  • ③固定資産税評価額:固定資産税の計算に用いられる価格。実勢価格の7割程度が目安。

どの評価方法を選ぶかで、各相続人の利害がどう変わるのかを理解することが、円満な合意への第一歩となります。より具体的な手順については、相続登記時の不動産査定は司法書士へ!営業なしで価値を知る方法をご覧ください。

【支払う側 vs もらう側】評価方法ごとの利害を理解する

一般的に、価格は「実勢価格 > 相続税評価額 > 固定資産税評価額」の順に高くなります。この価格差が、兄弟間の利害対立を生む構造につながります。

代償分割における評価方法の利害対立図。代償金を支払う側は低い評価額を、もらう側は高い評価額を望む構造を示している。

つまり、不動産を取得して代償金を「支払う側」は、評価額が低い方が支払う金額が少なくなるため、固定資産税評価額などを主張したくなります。一方で、代償金を「もらう側」は、評価額が高い方が受け取る金額が多くなるため、実勢価格を主張したくなるのです。

この構造を理解せずに話し合いを始めると、「兄は安く済ませようとしている」「弟は多くもらおうと欲張っている」といった感情的な対立に陥りがちです。なぜ評価方法で意見が食い違うのか、その背景にある利害関係を冷静に認識することが、円満な合意形成の出発点となります。不動産の評価は、相続税の申告にも影響するため、慎重な判断が求められます。

実勢価格(時価)で決めるのが最も公平

では、どの評価額を基準にするのが最も望ましいのでしょうか。結論から言えば、「実勢価格(時価)」を基準にすることが、最も公平でトラブルになりにくい方法です。

なぜなら、実勢価格はその不動産が持つ「現在の本当の価値」に最も近いからです。もし換価分割を選んでいれば、実勢価格で売却したお金を分けることになります。代償分割も、換価分割の代わりに現物で取得する方法と捉えれば、実勢価格を基準にするのが論理的であり、誰もが納得しやすいと言えるでしょう。

実勢価格を調べる最も一般的な方法は、不動産会社に査定を依頼することです。このとき、1社だけでなく、複数の会社に査定を依頼し、その平均値を取るなどして客観性を担保することが重要になります。元不動産業界出身の司法書士としてのアドバイスですが、査定を依頼する際は「遺産分割のための査定である」と目的を明確に伝え、根拠のある査定額を提示してくれる信頼できる会社を選ぶことが肝心です。より具体的な手順については、元不動産会社社員の司法書士が伝える不動産査定の秘密をご覧ください。

合意形成のコツ|第三者の専門家を交えるメリット

当事者同士の話し合いがどうしても平行線になってしまうことも少なくありません。長年の兄弟関係や親への想いなどが絡み合い、感情的な対立に発展してしまうと、解決は一層困難になります。

そのような場合は、司法書士に相続登記や遺産分割協議書作成に関する相談をし、当事者間で紛争性が高い場合には弁護士への相談も検討することをお勧めします。専門家が間に入ることで、感情的なぶつかり合いを避け、法的に妥当な評価額や代償金の算定に基づいた冷静な議論が可能になります。また、心理カウンセラーの資格も持つ司法書士として、単なる法律論だけでなく、お互いの気持ちを整理し、感情的なもつれを解きほぐしながら、全員が納得できる着地点を見つけるお手伝いができます。

【贈与税に要注意】代償分割の遺産分割協議書の書き方

代償分割で最も注意すべき税金が「贈与税」です。手続きを間違えると、不動産を取得した兄から弟へ支払われた代償金が、単なる「個人間の贈与」とみなされ、高額な贈与税が課されてしまうリスクがあります。

このリスクを回避するために絶対に必要なのが、法的に有効な「遺産分割協議書」を作成し、その中に特定の文言を明確に記載することです。遺産分割協議書に代償分割であることを明記することで、代償金の支払いが単なる贈与ではなく、遺産分割に伴う代償財産の交付であることを説明しやすくなります。相続税の課税価格は、代償財産を交付した人は取得した現物財産の価額から代償財産の価額を控除し、代償財産を受け取った人はその価額を基に計算します。遺産分割協議書の作成については、遺産分割協議書の作成で体系的に解説しています。

遺産分割や相続登記に関する情報は、以下の公的機関のウェブサイトも参考にしてください。

参照:不動産を相続した方へ ~相続登記・遺産分割を進めましょう~ (法務省)

必須!「代償として支払う」旨を明確に記載する

贈与税を回避するための生命線は、遺産分割協議書に代償分割であることを明確に記載することです。具体的には、以下のような文言を盛り込む必要があります。

【文例】
相続人〇〇(兄)は、別紙記載の不動産を取得する。
相続人〇〇(兄)は、上記遺産分割の代償として、相続人△△(弟)に対し、金〇〇円を支払う。

この「代償として」という一文の有無は、税務上の扱いを説明するうえで重要です。このほか、誰がどの財産を相続するのかを正確に記載し、相続人全員が署名し、実印を押印することが遺産分割協議書の絶対的な要件です。

トラブルを防ぐための付帯条項(支払期限・分割払いなど)

代償金の額だけでなく、支払いに関する細かい条件を定めておくことも、将来のトラブルを防ぐ上で非常に重要です。司法書士として実務に携わっていると、口約束で済ませてしまったために後々問題になるケースを多く見かけます。

具体的には、以下の項目を遺産分割協議書に盛り込むことをお勧めします。

  • 支払期限:いつまでに支払うのか(例:令和〇年〇月〇日まで)
  • 支払方法:一括払いか、分割払いか。分割の場合は回数や毎月の支払額。
  • 振込口座:どの金融機関のどの口座に振り込むのか。
  • 振込手数料の負担者:どちらが負担するのか。
  • 遅延損害金:支払いが遅れた場合のペナルティ。

これらの詳細な取り決めは、後から発見された財産の扱いを定める「その他一切の財産」条項と同様に、将来の紛争の芽を摘むために不可欠です。より具体的な手順については、遺産分割協議書の「その他一切の財産」に関する解説をご覧ください。

司法書士が作成するメリットとは?公正証書の活用も

遺産分割協議書はご自身で作成することも可能ですが、専門家である司法書士に依頼することには大きなメリットがあります。

第一に、法的に不備のない、登記や税務申告に通用する正確な書類を作成できることです。第二に、中立的な立場から相続人全員の意思を確認し、上記のような将来の紛争リスクを回避するための条項を盛り込む提案ができます。特に相続人が遠方に住んでいる場合など、複数枚にわたる遺産分割協議書の作成もスムーズに進められます。

さらに、代償金の金額が大きい場合や分割払いの場合は、遺産分割協議書を「公正証書」として作成することも有効です。公正証書に強制執行認諾文言を入れておくことで、万が一支払いが滞った場合に、裁判を起こさずに強制執行の手続きを利用できる可能性があり、支払いの実効性を高めることができます。

代償分割に関するQ&A|よくある疑問を専門家が解決

最後に、代償分割に関してよく寄せられるご質問にお答えします。

Q. 代償金を支払う現金がない場合はどうすれば?

代償分割における最大のハードルが、代償金を支払うための資金確保です。現金が手元にない場合の対処法としては、以下のような選択肢が考えられます。

  1. 生命保険金の活用:不動産を取得する人が、被相続人から死亡保険金を受け取っている場合、それを代償金の支払いに充てることができます。
  2. 相続した預貯金からの支払い:不動産以外に預貯金も相続している場合、そこから支払うのが最もシンプルな方法です。
  3. 不動産担保ローンなどの借り入れ:相続した不動産を担保に金融機関から融資を受け、代償金を支払う方法です。ただし、返済計画を慎重に立てる必要があり、安易な利用は禁物です。
  4. 他の分割方法への切り替え:どうしても資金の目処が立たない場合は、換価分割など、他の方法を再検討することも必要です。

遺産の中に借金などのマイナスの財産がある場合は、さらに複雑になりますので専門家にご相談ください。

Q. 代償分割と相続税の関係はどうなりますか?

代償金のやり取りそのもので、相続財産全体の評価額が変わるわけではないため、相続税の総額は変わりません。しかし、各相続人が負担する相続税額は変わってきます。

具体的には、代償金を支払った人は、その分だけ相続財産が減るため、課税対象額が減り、相続税負担は軽くなります。逆に、代償金を受け取った人は、その分だけ相続財産が増えるため、課税対象額が増え、相続税負担は重くなります。

なお、相続税には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除額があり、遺産総額がこの範囲内であれば相続税はかかりません。例えば、相続人が兄弟2人の場合、基礎控除額は4,200万円です。前述の例のように、2,000万円の不動産を分け、代償金1,000万円を支払った場合、それぞれの取得財産は1,000万円となり、基礎控除の範囲内ですので相続税は発生しません。

ただし、実家を相続する際には「小規模宅地等の特例」が適用できるかで相続税額が劇的に変わることがあります。この特例の適用可否は専門的な判断を要するため、相続税が少しでも心配な場合は、税理士と連携できる司法書士に相談することが重要です。相続税申告の全体像については、相続登記と相続税申告|司法書士が連携の重要性を解説で体系的に解説しています。

相続税の計算方法については、国税庁のウェブサイトもご参照ください。

Q. 兄弟が話し合いに応じてくれません。どうすればいいですか?

相続は「争族」とも言われるように、当事者間での話し合いが難航することは珍しくありません。感情的なしこりがあり、直接の対話が難しい場合もあるでしょう。

そのような場合は、まず司法書士に相続登記や遺産分割協議書作成の進め方を相談し、相続人間で対立が深い場合や代理交渉が必要な場合には、弁護士への相談を検討することをお勧めします。第三者の専門家に相談することで、手続き上の論点を整理しやすくなります。

それでも解決しない場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てるという次のステップがあります。調停は、裁判官と調停委員が間に入り、話し合いによる合意を目指す手続きです。決して特別なことではなく、法的に定められた解決手段の一つです。問題を放置せず、状況に応じて適切な手続きに進むことも検討しましょう。どの専門家に相談すべきか迷った際は、信頼できる弁護士の選び方も参考にしてください。

まとめ|不動産相続は専門家への相談が円満解決の鍵です

ここまで、兄弟で実家を円満に分けるための4つの方法、特に代償分割について詳しく解説してきました。

不動産の相続は、単に財産を分けるだけでなく、家族の想いを整理する大切なプロセスです。しかし、不動産の評価、税金の問題、法的な書類作成など、専門的な知識がなければ思わぬトラブルに発展しかねません。

兄弟間の感情的な対立を避け、全員が納得できる円満な解決を目指すためには、できるだけ早い段階で司法書士などの専門家に相談することで、必要な手続きや注意点を整理しやすくなります。当事務所は不動産業界での経験も豊富であり、必要に応じて税理士とも連携し、相続人の方々の意向を最大限に反映した遺産分割協議書を作成いたします。

初回のご相談は無料です。相続不動産の分け方でお困りの場合は、まずはご相談ください。

不動産の権利について

2017-09-02

「借地権付き」は本当に“買い”か?後悔しないための基礎知識

「この立地でこの価格?」都心や駅近で、相場より明らかに安い物件を見つけたとき、詳細を見ると「借地権付き」と書かれていることがあります。初期費用を抑えられる魅力に心惹かれる一方で、「所有権と何が違うんだろう?」「将来、何か面倒なことになるんじゃないか?」そんな漠然とした不安を感じて、一歩踏み出せない方も多いのではないでしょうか。

不動産の権利は、一見すると難しく感じられるかもしれません。しかし、権利関係を理解することは、購入後の費用負担や住み続けられる期間、将来の売却・相続を考えるうえで重要です。価格の安さという目先のメリットだけで判断して後悔しないために、権利の違いがもたらす長期的な影響をしっかりと把握することが大切です。

この記事では、不動産の権利の専門家である司法書士として、所有権と借地権の根本的な違いから、購入前に知っておくべきメリット・デメリット、そしてあなたのライフプランにどちらが合っているのかまで、丁寧に解説していきます。読み終える頃には、判断に必要な基本的な視点を整理しやすくなるはずです。

所有権と借地権、最大の違いは「土地が誰のものか」

まず、最も基本的な違いからお話ししましょう。不動産は「土地」と、その上にある「建物」で構成されています。この両方を自分のものにできるのが「所有権」です。

所有権は、その不動産を自由に使用し、収益を上げ(賃貸など)、処分する(売却など)ことができる絶対的な権利です。まさに「自分の土地に自分の家がある」状態ですね。

一方、「借地権」は、地主さんから土地を借りて、その上に自分の建物を建てる(または所有する)権利のことを指します。つまり、建物はあなたのものですが、土地はあくまで借り物、ということになります。これが両者の最大の違いです。

借地権付き物件が安い理由は、この点にあります。購入価格には土地の所有権価格は含まれませんが、建物価格に加えて借地権の価値や契約条件に応じた一時金等が反映される場合があります。その代わり、土地の所有者である地主さんに対して、毎月「地代」を支払う必要があります。この「自分の土地か、借り物の土地か」という違いが、後ほど解説する様々なメリット・デメリットにつながっていくのです。

借地権にも種類がある?「地上権」と「賃借権」

「借地権」と一括りにされがちですが、実は法律上、主に2つの種類に分けられます。それは「地上権」と「賃借権」です。この違いは、権利の強さに直結するため非常に重要です。

地上権は、土地を直接支配できる非常に強力な権利(物権)です。地主の承諾がなくても、建物の売却や建て替え、転貸(又貸し)が自由にできます。また、地上権は登記することで第三者に対抗できる権利であり、実務上も登記の有無が重要になります。しかし、これだけ強い権利のため、地主さんにとって制約が大きく、個人の住宅で設定されることは非常に稀です。

一方で、私たちが目にする借地権付き物件のほとんどは賃借権です。これは、あくまで地主さんとの「契約」に基づいて土地を借りる権利(債権)です。そのため、建物を売却したり、建て替えたりする際には、原則として地主さんの承諾が必要になります。承諾を得る際には、承諾料の支払いが必要になることも少なくありません。また、賃借権は登記の義務がないため、契約書の内容が権利関係を証明する上で非常に重要になります。

より詳しい手続きについては、借地権信託は地主の承諾が必要?承諾料の相場と実務を解説をご覧ください。

項目地上権賃借権
権利の性質物権(土地を直接支配する権利)債権(契約に基づく権利)
譲渡・転貸原則自由(地主の承諾不要)地主の承諾が必要
登記義務あり義務なし
地上権と賃借権の主な違い
所有権と借地権の違いを図解したインフォグラフィック。所有権は土地と建物が自己所有である一方、借地権は建物のみ自己所有で土地は地主から借りて地代を支払う関係性を示している。

借地権付き物件のメリット・デメリットを比較する

権利の基本的な違いを理解したところで、次に、借地権付き物件の具体的なメリットとデメリットを確認します。これらを客観的に比較検討することが、後悔のない選択への第一歩です。

メリット:初期費用を抑えて好立地に住める可能性

借地権付き物件には、所有権物件にはない魅力的なメリットがあります。特に大きなものは以下の3つです。

  1. 購入価格が安い
    最大のメリットは、やはり価格の安さでしょう。土地代が含まれないため、周辺の所有権物件と比べて、おおよそ6~8割程度の価格で購入できるケースが多いです。特に地価の高い都心部や人気のエリアでは、この価格差は非常に大きな魅力となり、同じ予算でもより広く、より便利な場所に住むという選択肢が生まれます。
  2. 土地に関する税金の負担がない
    土地にかかる固定資産税や都市計画税は、土地の所有者である地主さんが納めます。そのため、建物の分の税金はかかりますが、土地の分の税負担はありません。これは毎年のランニングコストを抑える上で、地味ながらも確かなメリットと言えるでしょう。
  3. 好立地の物件が多い
    代々受け継がれてきた土地など、地主さんが「売りたくはないけれど、活用はしたい」と考えるような、駅近や都心の一等地が借地権として市場に出ることがあります。そのため、所有権ではなかなか手が出ないような好立地の物件に出会える可能性も、借地権付き物件ならではの魅力です。より詳しい情報については、ご自宅、借地権で購入するメリットで解説しています。

デメリット:将来にわたる費用と制約

一方で、価格の安さの裏には、知っておかなければならないデメリットや制約も存在します。これらを軽視すると、将来思わぬ出費やトラブルに見舞われる可能性があります。

  1. 毎月の地代が発生する
    土地を借りているため、住宅ローンとは別に、毎月地主さんへ地代を支払う必要があります。地代は固定ではなく、社会情勢や周辺の地価の変動によって将来値上がりする可能性もあります。
  2. 更新料や承諾料がかかる場合がある
    契約を更新する際には「更新料」が、建て替えや売却で地主さんの承諾を得る際には「譲渡承諾料」や「建替承諾料」といった一時的な費用が発生することが一般的です。これらは決して安い金額ではないため、将来の資金計画に組み込んでおく必要があります。
  3. 住宅ローンの審査が厳しい傾向にある
    土地が担保にならないため、金融機関によっては借地権付き物件を担保評価が低いと判断し、住宅ローンの審査が厳しくなったり、利用できる金融機関が限られたりすることがあります。
  4. 売却や増改築の自由度が低い
    前述の通り、賃借権の場合、建物を売却したり、大規模な増改築を行ったりする際には地主さんの承諾が必要です。承諾が得られない、あるいは高額な承諾料を求められるといったリスクもゼロではありません。このため、借地権の売却は所有権に比べてハードルが高くなる傾向があります。
借地権付き物件のメリットとデメリットを天秤で比較する図解。メリットとして価格の安さ、税負担の軽さ、好立地が挙げられ、デメリットとして地代、更新料、ローン審査、自由度の低さが示されている。

【重要】契約期間の終わりは?定期借地権と普通借地権

借地権を検討する上で、メリット・デメリットと並んで絶対に理解しておかなければならないのが、「契約期間」と「更新」のルールです。これによって、将来住み続けられるかどうかが決まります。借地権には大きく分けて「普通借地権」と「定期借地権」の2種類があります。

更新できる「普通借地権」:半永久的に住めるが…

普通借地権は、契約期間が満了しても、借主が希望すれば原則として契約が更新されるタイプの借地権です。地主さんが更新を拒絶するには、立ち退き料の提供など、よほどの「正当な事由」が必要とされ、借主の権利が強く保護されています。そのため、更新を続けることで半永久的にその土地に住み続けることも可能です。

ただし、契約を更新する際には、一般的に「更新料」の支払いが必要となります。更新料の金額は法律で定められているわけではなく、地主さんとの交渉によって決まります。この更新料が、将来の大きな出費となる可能性があることは覚えておく必要があります。また、借地権の相続が発生した場合も、権利関係は引き継がれます。

更新できない「定期借地権」:期間満了で土地を返還

定期借地権は、その名の通り、定められた契約期間(一般定期借地権の場合50年以上)が満了すると、契約が更新されることなく終了するタイプの借地権です。これが普通借地権との決定的な違いです。

契約期間が満了したら、借主は建物を自らの費用で解体・撤去し、土地を更地にして地主さんに返還する義務があります。つまり、「いつか必ず出ていかなければならない」ことが確定しているのです。この「終わり」が決まっている点は、所有権の感覚とは全く異なります。そのため、定期借地権付きの物件を購入する場合は、将来の住み替え計画や、建物の解体費用の準備などをあらかじめ考えておく必要があります。この点は、借地上の建物の相続や売買においても重要なポイントとなります。

参照:国土交通省「定期借地権の解説」

あなたはどっち?ライフプランで考える所有権と借地権

ここまで見てきたように、借地権と所有権にはそれぞれ一長一短があります。どちらが良い・悪いということではなく、あなたのライフプランや価値観にどちらが合っているか、という視点で考えることが重要です。

借地権付き物件が向いているケース

以下のような考え方やライフプランをお持ちの方には、借地権付き物件が合理的な選択肢となる可能性があります。

  • とにかく初期費用を抑え、立地を最優先したい方
    「子供の学区を変えたくない」「通勤時間を短縮したい」など、特定のエリアに住むことを強く希望しており、そのために初期投資を抑えたい場合には、借地権は有効な選択肢です。
  • 住む期間がある程度決まっている方
    「子供が独立するまでの20年間だけ」「定年退職後は地方に移住する予定」など、その家に永住するつもりがなく、住む期間が決まっている場合、定期借地権の「終わりのある住まい方」がライフプランに合致する可能性があります。
  • 家を資産として次世代に残すことにこだわらない方
    土地という資産を子供に残すことよりも、自分たちの代で、手頃な価格で豊かな生活を送ることを重視する価値観の方にも向いているでしょう。

相続後の借地権付き建物の売却や管理についても、事前に理解しておくことが大切です。

所有権付き物件を選ぶべきケース

一方で、次のような希望をお持ちの場合は、借地権の制約がデメリットになる可能性が高く、所有権付き物件を選ぶ方が賢明です。

  • 終の棲家として生涯にわたって安心して住み続けたい方
    更新料や地代の値上がり、地主さんとの関係といった不確定要素をできるだけ避けたい場合は、所有権付き物件が有力な選択肢になります。
  • 将来、自由に売却、建て替え、賃貸をしたい方
    ライフステージの変化に合わせて、家を売却したり、建て替えたり、人に貸したりといった活用を自由に考えたい場合、地主の承諾が不要な所有権の方が、活用の自由度は高い傾向にあります。
  • 土地も資産として子供に相続させたい方
    建物だけでなく、土地という永続的な資産を次世代に残したいと考えるなら、所有権付き物件を中心に検討することになります。遺言によって不動産の持分を相続させることも可能です。

購入を決める前に。司法書士と確認すべき3つのチェックポイント

もし借地権付き物件の購入を具体的に検討する段階に進んだら、契約前に必ず確認していただきたい3つのポイントがあります。これらは将来のトラブルを防ぐための、非常に重要なチェック項目です。

①登記簿で権利関係を確認する

まずは法務局で「登記簿(登記事項証明書)」を取得し、権利関係の基本を確認しましょう。土地の登記簿の「乙区」を見れば、地上権や賃借権が登記されているかを確認できます。ただし、借地権自体の登記がなくても、借地上の建物が登記されていれば第三者に対抗できる場合があるため、土地と建物の登記事項をあわせて確認する必要があります。また、建物の登記簿の「甲区」で、現在の所有者名義が売主と一致しているかを確認します。一見難しそうですが、権利の出発点を確認する重要な作業です。不動産の権利証の確認と合わせて、専門家と一緒に見るのが確実です。

②土地賃貸借契約書の内容を読み解く

登記簿以上に重要なのが、地主さんと交わされる「土地賃貸借契約書」です。特に以下の項目は、あなたの将来の負担や権利に直接影響するため、隅々まで読み解く必要があります。

  • 借地権の種類:普通借地権か、定期借地権か。
  • 契約期間と残存期間:あと何年住めるのか。
  • 地代の金額と改定に関する条項:地代はどのように決まり、将来どのように変わる可能性があるのか。
  • 更新料の有無と金額:更新料の定めはあるか、あるなら金額の目安は。
  • 譲渡・増改築の承諾に関する特約:承諾料の金額や条件が具体的に定められているか。

これらの条項に少しでも不明な点や不利に感じる点があれば、契約前に必ず専門家に相談してください。不動産取引で重要な書面を正しく理解することが、自分を守ることに繋がります。

③地主との関係性や過去の慣習をヒアリングする

法律や契約書には書かれていない、しかし非常に重要なリスクが「地主さんとの関係性」です。これは、不動産仲介会社を通じて、可能な限り情報を集めるべきです。

  • これまでの地代改定や更新料の支払いはスムーズに行われてきたか。
  • 他の借地人との間でトラブルは起きていないか。
  • 地主さんはどのような人柄で、話し合いに応じやすい相手か。

たとえ契約書の内容が標準的でも、地主さんとの関係が良好でなければ、将来何かあったときに円滑な話し合いができない可能性があります。契約前のこうした情報収集が、将来の安心を大きく左右するのです。特に、相続した借地権付き建物の売却などを考える際には、地主との良好な関係が不可欠です。

まとめ:不動産の権利は、購入後の暮らしや資産計画に影響する

不動産の所有権と借地権。その違いは、単なる法律上の区別ではありません。所有権と借地権の違いは、購入後の住み方、費用負担、売却や相続のしやすさに大きく影響します。

借地権付き物件は、初期費用を抑えて理想の立地に住めるという大きな魅力があります。しかしその一方で、地代や更新料といった継続的な費用、そして売却や建て替えの際の制約も伴います。

大切なのは、価格の安さという一面だけで判断しないこと。この記事で解説したメリットとデメリットを比較し、ご自身のライフプラン、資金計画、将来の売却・相続の方針に照らして判断することです。

もし、少しでも契約内容に不安を感じたり、権利関係が複雑でよく分からないと感じたりしたときは、決して一人で悩まないでください。私たち司法書士のような専門家にご相談いただくことが、将来の「こんなはずではなかった」を防ぐための有効な手段の一つとなります。

このテーマの全体像については、無料法律相談で体系的に解説しています。お気軽にお問い合わせください。

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不動産登記・・・居住用住宅の税金の減額

2017-08-24

【数十万円の差】住宅用家屋証明書で登記の税金はここまで安くなる

マイホームを取得する際の手続きで確認しておきたい費用の一つが、「登記」にかかる税金である登録免許税です。実はこの税金、決して安くはありません。

例えば、建物の評価額が3,000万円で、売買による所有権移転登記をする場合を考えてみましょう。原則の税率2.0%で計算すると、登録免許税は60万円になります。この金額を知って、少し不安に感じた方もいらっしゃるかもしれません。

でも、ご自身で住むための住宅を取得した場合には、この税金を劇的に安くできる「住宅用家屋証明書」という制度があります。

この証明書を使うことで、税率が大幅に引き下げられます。先ほどの3,000万円の売買による所有権移転登記の例で言えば、60万円だった税金が9万円まで軽減される可能性があります。なお、所有権保存登記や抵当権設定登記では税率が異なるため、軽減額も変わります。軽減額が大きくなる場合には、住宅取得時の資金計画にも影響します。

「でも、手続きが複雑そう…」「自分は対象になるの?」そんな疑問や不安を解消するために、この記事はあります。この記事を最後までお読みいただければ、

  • ご自身が減税の対象になるか
  • そのために何をすればよいか

を整理して確認できます。知っているか知らないかで数十万円の差がつく、大切な登記の税金の減額制度について、専門家が分かりやすく解説していきます。

あなたは対象?簡単2ステップでわかる減税診断チャート

「自分の場合は、減税の対象になるのかな?」そう思われた方のために、簡単な診断チャートをご用意しました。複雑な要件を一つひとつ確認する前に、まずはこのチャートでご自身の状況をチェックしてみてください。

住宅用家屋証明書の減税対象かどうかがわかる2ステップの診断フローチャート。ステップ1で住宅タイプ、ステップ2で基本要件を確認する。

いかがでしたでしょうか?「可能性大!」と出た方は、ぜひ次の章で詳しい要件を確認していきましょう。「要件がネックかも?」と出た方も、該当しないと判断する前に、追加要件を確認する必要があります。特定の条件をクリアすれば対象となるケースもありますので、ご自身の状況に近い部分をじっくり読み進めてみてください。

【ケース別】住宅用家屋証明書の適用要件を完全解説

ここからは、住宅用家屋証明書を取得するための具体的な要件を、住宅のタイプ別に詳しく見ていきましょう。ご自身の状況に合わせて、必要な部分をご確認ください。

①新築住宅・建売住宅を購入した場合の要件

注文住宅を新築した場合や、誰も住んだことのない新築の建売住宅・分譲マンションを購入した場合の要件です。一番のポイントは「家を取得してから1年以内に登記をすること」です。

要件解説
取得後1年以内の登記個人が住宅を新築した日、または建売住宅や分譲マンションを取得した日から1年以内に登記をする必要があります。
自己の居住用であること投資用やセカンドハウスではなく、ご自身が主に住むための家であることが必要です。
床面積が50㎡以上であること登記簿に記載されている床面積が50平方メートル以上である必要があります。
店舗等との併用住宅の場合家の一部を店舗や事務所として使う場合は、居住部分の割合が全体の90%を超えている必要があります。
新築住宅・建売住宅の主な要件

②中古住宅(戸建て・マンション)を購入した場合の要件

中古の戸建てやマンションを購入した場合、新築の要件に加えて、昭和57年1月1日以後に建築された住宅であること、または一定の耐震基準等に適合する住宅であることなどの要件が加わります。しかし、この築年数をオーバーしていても、減税を受けられる救済策がありますので、しっかり確認していきましょう。

【中古住宅の耐震要件】

  • 登記簿上の建築日付が昭和57年1月1日以降の場合:原則として新耐震基準に適合している住宅用家屋とみなされます。
  • 登記簿上の建築日付が昭和56年12月31日以前の場合:耐震基準適合証明書、住宅性能評価書の写し、既存住宅売買瑕疵保険の保険付保証明書などにより、一定の耐震基準に適合することを証明する必要があります。

【昭和56年12月31日以前に建築された中古住宅の場合】
登記簿上の建築日付が昭和56年12月31日以前の中古住宅でも、以下のいずれかの書類により一定の耐震基準に適合することを証明できれば、減税の対象となる可能性があります。

  • 耐震基準適合証明書:建築士などが発行する、現行の耐震基準を満たしていることを証明する書類です。
  • 既存住宅売買瑕疵(かし)保険の付保証明書:住宅の欠陥を保証する保険に加入していることを証明する書類です。
  • 住宅性能評価書の写し:耐震等級が1、2または3であることを証明できるもの。

古い物件だからと諦めずに、不動産会社にこれらの書類が取得可能か確認してみる価値は十分にあります。

③全てのケースに共通する基本要件

最後に、新築・中古を問わず、すべての住宅で満たす必要がある基本的な要件をまとめます。これらの要件は、登記手続きの基本となる部分です。

  • 自己の居住用であること:
    この制度は、あくまでご自身が住むための家を対象としています。そのため、登記手続きの後、速やかに対象の家屋に住民票を移すことが「居住用」であることの証明になります。別荘や賃貸用の物件は対象外です。
  • 床面積が50㎡以上であること:
    登記簿に記載される床面積が50平方メートル以上必要です。マンションの場合、パンフレットなどに記載されている壁心面積ではなく、登記簿上の内法(うちのり)面積で判断される点に注意が必要です。この面積の確認は、土地家屋調査士や司法書士といった専門家が正確に行います。
  • 店舗等との併用住宅の要件:
    自宅兼事務所や店舗の場合、建物の総床面積のうち、居住用スペースが90%を超えている必要があります。

住宅用家屋証明書の取得方法と必要書類【3ステップ】

ご自身が減税の対象になることがわかったら、次はいよいよ証明書を取得する手続きです。ここでは、具体的な流れを3つのステップに分けて解説します。

住宅用家屋証明書の取得方法を3ステップで解説した図解。ステップ1は書類準備、ステップ2は役所で申請、ステップ3は証明書取得と登記添付。

ステップ1:状況に応じた必要書類を準備する

申請には、まず必要書類を揃えることから始めます。書類は「どの住宅でも共通で必要なもの」と「住宅の状況によって追加で必要になるもの」があります。

【全ケース共通で必要な書類】

  • 住宅用家屋証明申請書:市区町村の役所の窓口やウェブサイトから入手できます。
  • 住民票の写し:新住所に住民票を移した後に取得します。もし登記の時点でまだ転居していない場合は、現在の住民票に加え「申立書」などの追加書類が必要になることがあります。
  • 本人確認書類:運転免許証やマイナンバーカードなど。

【住宅の状況別に追加で必要になる主な書類】

  • 新築(注文住宅)の場合:建築確認済証、建物の登記事項証明書(または登記完了証)など
  • 新築(建売・分譲マンション)の場合:建築確認済証、売買契約書または譲渡証明書、家屋未使用証明書など
  • 中古住宅の場合:売買契約書または譲渡証明書、建物の登記事項証明書など

必要書類は自治体によって若干異なる場合がありますので、申請前に必ず役所のウェブサイトで確認するか、電話で問い合わせておくと安心です。

参考情報として、自治体のウェブサイトの例を掲載します。
参照:いわき市の住宅用家屋証明書に関する案内

ステップ2:市区町村の役所窓口で申請手続きを行う

書類の準備ができたら、建物の所在地を管轄する市区町村役場の窓口で申請します。多くの自治体では、資産税課や建築指導課といった部署が担当していますが、名称は様々ですので、総合案内で「住宅用家屋証明書の申請をしたい」と伝えれば、適切な窓口を案内してもらえます。

申請時には、1通あたり1,300円程度の手数料が必要です。窓口の混雑状況にもよりますが、書類に不備がなければ、通常は即日〜数日で証明書が発行されます。

ステップ3:証明書を受け取り、登記申請時に添付する

無事に住宅用家屋証明書を受け取ったら、いよいよ最終段階です。この証明書を、所有権の保存登記や移転登記、住宅ローンの抵当権設定登記といった不動産の登記手続きの申請書と一緒に法務局へ提出します。

この証明書を登記申請時に添付して、はじめて登録免許税の軽減が適用されます。もし忘れてしまうと、原則通りの高い税金を支払うことになってしまうため、非常に重要な書類です。登記手続きを司法書士に依頼する場合は、この住宅用家屋証明書の取得も併せて代行してもらうのが一般的です。

手続きは自分でできる?司法書士に依頼するメリット

ここまで読んで、「意外とやることが多いな…」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。住宅用家屋証明書の取得から登記申請まで、ご自身で行うことも不可能ではありません。しかし、平日に何度も役所や法務局に足を運んだり、専門的な書類を不備なく準備したりするのは、時間も手間もかかります。

特に、お仕事で忙しい方や、書類の準備に不安がある方にとっては、大きな負担になりかねません。

私たち司法書士は、不動産登記の専門家です。ご依頼いただければ、住宅用家屋証明書の取得に必要な書類確認から、登記申請まで、司法書士の業務範囲内で一括してサポートいたします。床面積や耐震要件などの確認、市区町村役場での証明書申請、法務局への登記申請まで、必要な確認を行いながら、減税措置の適用を受けられるよう手続きを進めます。

新生活の準備で忙しい時期だからこそ、面倒で専門的な手続きはプロに任せて、心に余裕を持つという選択も一つです。当事務所では、お客様一人ひとりの状況を丁寧にお伺いし、最適な手続きをご提案することを大切にしています。

手続きに関するご不安やご質問があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
住宅用家屋証明書と登記手続きの無料相談

当事務所の無料相談では、お客様が気になっていることを第一に、丁寧にお話を伺います。まずはお気軽にお問い合わせください。

相続登記の落とし穴

2017-07-16

相続登記の際に、亡くなられた方の「住民票の除票」若しくは「戸籍の附票」を付けます。登記簿上の亡くなられた方(被相続人)と申請書や添付書類に記載されている被相続人の方が同一の方であることを書類上確認するためです。さてこの「住民票の除票」や「戸籍の附票」ですが保存期間が5年までです。相続登記を長期間しないでおくとこれらの書類がとれないことになります。こういった場合は区役所等から発行される「不在籍証明書」や「不在住証明書」をつけて代用することになります。この書類も取得も司法書士ができますのでお気軽にお問い合わせください。なお、一定の条件にあてはまる方の相続登記はパック料金として7万5000円で承ります。詳しくはこのホームページの「相続」のページをご覧ください。

昨日、今日と後見業務に関する研修を受けています。今日の日中はお電話いただくと、夕方に折り返し致します。土日にご連絡いただくのも全く問題ございません。仕事が好きです。

下北沢司法書士事務所 竹内友章

 

電子委任状の普及の促進に関する法律

2017-07-07

「森友学園」「加計学園」「テロ等準備罪」「都議選での自民党惨敗」このあたりが、最近メディアで報道される政治の話題の中心だったと思います。しかし地味に企業間取引、官公庁と企業の取引、そして司法書士業務にも影響が出そうな法案が成立していました。「電子委任状の普及の促進に関する法律」という法律です。A社とB社が契約を結ぶ場面を想定してみます。A社が代表取締役でなく社員に契約を任せたとすると、B社としては「この社員は確かにA社から契約を締結する権限を与えられている」と確認できなくては心配ですね。紙の契約書なら代表取締役が持っている会社実印を押したり、会社から社員に対する業務権限を委任する旨の書面を確認したりすることができます。ところがオンライン上で契約をすると、このような確認をすることができません。そこでこの法律では、代表取締役が「電子委任状取扱事業者」という国から認定を受けた業者に電子委任状の保管させ、契約の相手方がそれを閲覧することにより契約の相手方は「この契約で、確かにこの社員に契約権限を委任しているな」と確認ができ、その社員が電子署名をすることで契約を成立させることができます。実際、どこまで利用されるのかわかりませんがそのうち印鑑が無くなるときがくるのかもしれません。

 

下北沢司法書士事務所 竹内友章

会社設立時の資本金・発行株式数

2017-06-21

会社設立時に決めなければならない資本金。よく「いくらにすればいいですかね?」とご質問いただきますが、特にこれといったルールはありません。開業準備(テナント代、コピー機などの事務機器、その他会社を始めるに際して必要なものを揃える)に必要なお金と、当面の運転資金を資本金とすればいいと思います。開業に必要な資金は業種によって大きく違いますし、当面の運転資金もどれくらい用意するのか業種や経営者の考えで変わりますので相談しながら決めましょう。ただし資本金が1000万以上だといきなり消費税の課税事業者になってしまいます。また、発行する株式の数も社長さんと相談しながら決めていきます。資本金を株式の数で割った値段が一株あたりの値段になります。1株いくらであろうと大きな問題はないですが、あまり株価が高くなると将来、出資者が募りにくくなります。資本金が100万円で1株しか発行しなかったら、「1株100万円」なので、出資なされる方は事実上100万円以下の出資は考えにくいでしょう。最初の出資者である会社設立者が100万円以下で出資させては損をしてしまいます。100株発行して「1株1万円」としといた方が出資しやすいですね。もちろん、皆さんの会社の株価はどんどんあがると思いますので、会社設立時の金額は将来の出資者にとって最低の金額です。一株1万円若しくは千円としとくのが妥当かなと思います。

 

当事務所が参加する会社設立用の特設サイト。税理士さんも参加してます。http://start-setagaya.com/

下北沢司法書士事務所 竹内 友章

信託の使い方

2017-06-16

昨日に続いて、信託が有効な場面について考えてみたいと思います。まだ小さなお孫さんに学費などでお金を残したい場合はどうでしょうか?中学生くらいになったお孫さんにお金を渡しても遊んで使ってしまいます(言い切って申し訳ないですが、中学生のうちから学費の心配してたらちょっと立派すぎだと私は思います)。ということは、きちんと「このお金は勉強のために使うんだぞ!」と使途を限定しておく必要があります。例えば財産を息子さんに委託し財産の使用時期を高校や大学の入学時などに限定、その上で財産からあがる利益をお孫さんとしておいたらいかがでしょうか?息子さんが財産を管理したうえで、お孫さんの学費に充てられると思います。これは学費だけではなく、お孫さんに障害などがありなかなかご自身で財産を管理するのが難しい場合にも当てはまる考え方だと思います。このように信託は、財産の信託される方の想いをより忠実に再現してくれる側面もあります。法定相続、遺言と一緒に検討してみてもいいかも知れません。

 

お昼に回転寿司食べたんですけど、あれもこれも食べたいと思ってたくさん食べちゃいました。おなかパンパンです。

 

下北沢司法書士事務所 竹内友章

信託はどんな時に使うのか?

2017-06-14

相続に関連して「信託」という言葉を聞くことが多いかも知れません。信託はその自由度の高さから複雑な設計も可能となります。自由で複雑ということは専門家でないと分かりにくいので、私も含めた士業や金融機関が積極的に皆様にお知らせし、仕事につなげようとしている側面は正直あると思います。なので本当に信託を使うべきなのか、最後はご自身で納得のいく判断を是非お願いしたいと思います。なお、信託の基本的なご説明は4月11日のブログにも書いていますので宜しければご参照ください。さて、私なりに信託が有効そうなケースを考えてみたいと思います。例えば、相続財産のうち賃貸マンションがが複数あるケース。賃貸マンションなどの収益物件がいくつかある場合、恐らくその不動産の価値が一緒ということはないでしょう。立地や築年数などで大きく変わってくると思います。そうすると相続人1人に1物件づつ相続させたのでは公平になりません。また、収益物件は管理能力が問われるので、管理が上手な方に任せた方がいい場合もあり得ると思います。こういう場合には、相続人全員がすべての収益物件を相続人の1人に委託し、そこからあがった収益を相続人全員で分配する枠組みが考えられます。また、委託を受けるのは特定の相続人ではなく一般社団法人などの法人にしてもいいかもしれません。法人の理事として数人の相続人が就任すれば、不動産の運営も合議制とすることができます。また、個人に委託するより法人に委託した方が病気になったりすることがないため枠組みの継続性が保てます。社団法人ではなく株式会社を設立することも考えられますが、株主が亡くなると今度は株式が相続財産となってしまうので出資金や剰余金がない社団法人が最初の選択肢だと思います。

法務や税務、不公平感の解消と様々な観点から皆さんの納得がいく結論が出しやすいのが信託です。実現したい思いがいくつかあるなら検討してみてもいいかも知れません。

 

下北沢司法書士事務所 竹内友章

 

 

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