創業・事業承継をお考えの方へ。補助金活用の第一歩、踏み出せていますか?
これから会社を立ち上げよう、あるいは大切な事業を次の世代へ引き継ごうとお考えのとき、資金計画は大きな課題の一つではないでしょうか。「返済不要の補助金が使えるらしいけど、種類が多すぎて何から調べればいいか分からない」「応募要件が複雑で、自分が対象になるのか判断できない」そんな声もよく耳にします。情報が溢れているからこそ、かえって混乱し、貴重な一歩を踏み出せずにいる方も少なくありません。
この記事では、創業や事業承継で補助金を検討する際に確認したい基本事項を整理します。単に制度を解説するだけでなく、創業や事業承継という人生の大きな転機において、補助金をどう活用できるのか、その具体的な道筋を明らかにします。私たち下北沢司法書士事務所は、これまで多くの起業家や経営者様の法務サポートに携わってきました。司法書士が、複雑な制度の内容を一つひとつ整理し、必要な手続きを検討する際のサポートを行います。まずは、どのような選択肢があるのか、一緒に見ていきましょう。
相続と事業承継に関するより深い情報も、ぜひご参照ください。相続と事業承継
まずは知っておきたい代表的な2つの補助金
創業や事業承継で活用できる補助金は数多くありますが、まずは代表的な2つの柱を理解することから始めましょう。それは「新たに事業を始める人」を応援する補助金と、「事業を引き継ぐ人」を応援する補助金です。ご自身の状況がどちらに近いか考えながら読み進めてみてください。

① 新たに事業を始める方向け「創業補助金」
「創業補助金」は、その名の通り、新しいビジネスアイデアで起業する方を後押しするための制度です。事業をゼロから立ち上げる時期は、オフィスや店舗の家賃、設備の購入費、広告宣伝費など、何かと物入り。こうした初期投資の負担を和らげ、事業が軌道に乗るまでを経済的にサポートすることを目的としています。
代表的なものに「地方創生起業支援事業(起業支援金)」があります。これは、地域の課題解決に繋がるような事業を支援する制度で、補助率は経費の2分の1、上限額は最大200万円程度となるケースが多いです。新たな挑戦を始める創業者にとって、非常に心強い味方となってくれるでしょう。こうした制度を活用することで、会社設立時の税金の節約だけでなく、事業そのものの資金調達も有利に進められる可能性があります。
【参考情報】
より詳しい情報については、以下の公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。
地方創生サイト:起業支援金
② 事業を引き継ぐ方向け「事業承継補助金」
一方、「事業承継補助金」は、後継者不足に悩む中小企業の事業を、次世代へ円滑に引き継ぐための制度です。単に事業を引き継ぐだけでなく、その機会を捉えて新しい挑戦(経営革新)を行うことを力強く後押しします。事業承継(会社の引継ぎ)は、司法書士が専門性を発揮できる分野でもあります。
代表例である「事業承継・M&A補助金」では、事業を引き継いだ後の設備投資や販路開拓、M&A(企業の合併・買収)にかかる専門家への依頼費用などが対象となります。補助率は類型により3分の1から3分の2、補助上限額は最大2,000万円とされています。事業の歴史を守りつつ、未来に向けた新たな一歩を踏み出す経営者にとって、大きな支えとなる制度です。
【参考情報】
制度の詳細や最新情報は、公式サイトで確認することをおすすめします。
事業承継・M&A補助金事務局サイト
私は対象?創業補助金の応募要件セルフチェック
「魅力的な制度なのは分かったけれど、果たして自分は対象になるのだろうか?」ここが一番気になるところですよね。公募要領の難しい言葉を読み解くのは大変です。そこで、多くの創業補助金で共通して問われるポイントを、簡単なチェックリストにまとめました。ご自身の計画と照らし合わせながら、確認してみてください。
チェック1:事業を開始する場所はどこですか?
多くの創業補助金は、地域経済の活性化を大きな目的としています。そのため、「どこで事業を始めるか」は非常に重要な要件です。
特に「地方創生起業支援事業」では、原則として東京圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)以外で起業することが条件となっています。これは、地方での新しいビジネスの創出を促すためです。ただし、東京圏内であっても「条件不利地域」に指定されているエリアであれば対象となる例外もあります。まずは、ご自身の創業予定地がどの地域に該当するのかを確認してみましょう。自治体によっては、独自の創業融資制度を設けている場合もありますので、あわせて調べてみることをお勧めします。
チェック2:どのような事業を計画していますか?
補助金は、どんな事業でも支援対象となるわけではありません。国の政策目的に合致している必要があります。特に創業補助金では、「地域の課題解決に資する社会的事業」というキーワードが非常に重要になります。
例えば、以下のようなテーマが挙げられます。
- 子育て支援や地域コミュニティの活性化に繋がる事業
- 地域の特産品や観光資源を活用した新しいサービス
- 高齢者など、いわゆる買い物弱者を支援する事業
- 地域のまちづくりや活性化を推進する事業
あなたのビジネスプランが、どのように地域社会に貢献できるのか。その「社会性」や「地域貢献性」が、審査において高く評価されるポイントになります。
チェック3:申請するのはいつのタイミングですか?
申請のタイミングは、応募資格を左右する非常に重要な問題です。特に、法人設立の登記や個人事業の開業届を出す「前」か「後」かは、注意深く確認しなければなりません。
多くの創業補助金では、「国の交付決定日以降、補助事業期間が完了する日までに設立・開業を行うこと」が要件とされています。つまり、フライングで会社を作ってしまうと対象外になる可能性があるのです。一方で、すでに開業・設立済みの場合でも、「創業後5年未満」などを対象とする補助金も存在します。ご自身の状況に合わせて最適な制度を選ぶことが大切です。会社設立時の定款記載事項を検討する段階で、補助金の申請スケジュールも視野に入れておくとスムーズに進められるでしょう。

事業承継補助金の申請要件、3つの重要ポイント
次に、事業承継補助金の申請を考える上で、絶対に押さえておきたい3つの重要ポイントを解説します。こちらも複雑な要件を分かりやすく整理しましたので、ご自身の状況と照らし合わせてみてください。円滑な相続と事業承継を実現するためにも、ぜひ参考にしてください。
ポイント1:承継の形態(誰が、誰から引き継ぐか)
まず、どのような形で事業を引き継ぐかがポイントです。事業承継補助金は、多様な承継の形に対応しています。
- 親族内承継:親から子へなど、親族間で事業を引き継ぐケース
- 従業員承継:会社の役員や従業員が事業を引き継ぐケース
- M&A:社外の第三者が事業を引き継ぐケース
現在の事業承継・M&A補助金では、補助対象となる取組や経費に応じて「事業承継促進枠」「専門家活用枠」「廃業・再チャレンジ枠」「PMI推進枠」などに分かれています。まずはご自身のケースがどの類型に当てはまるのかを確認することが第一歩です。事業承継では、名義株式の整理といった法的な課題も生じやすいため、専門家のアドバイスが役立ちます。
ポイント2:承継のタイミング(未来の承継も対象に)
「もう承継が終わっていないと申請できないのでは?」と誤解されがちですが、実は未来の承継も対象になる場合があります。
例えば、「5年以内に親族内承継や従業員承継を予定している」後継者候補でも申請できる制度があります。これは、まだ準備段階にある方も含めて、早い時期から計画的に事業承継を進めてもらうための支援です。ただし、制度上定められた期限までに事業承継を完了する計画が必要となるため、これから承継を考えている方にとっては非常に心強い制度と言えるでしょう。将来を見据え、有限会社から株式会社への変更などを検討するのも一つの戦略です。
ポイント3:承継後の取り組み(経営革新など)
事業承継補助金で最も重視されるのが、「事業承継をきっかけとした、新しい取り組み」です。単に事業を引き継ぐだけでは対象にならず、その後の成長戦略が問われます。
具体的には、以下のような「経営革新」が求められます。
- 生産性を向上させるための新しい設備投資
- 時代に合わせた新商品や新サービスの開発
- 新たな顧客を獲得するための販路開拓
そして、これらの取り組みは「後継者が主導して行う」ことが要件となる場合が多いです。これは、後継者が自身のビジョンを実現し、会社をさらに発展させていくことを応援するための制度だからです。補助金は、守りのためだけでなく、「攻め」の経営にも大いに活用できるのです。事業承継時には、株主分散によるリスクを解消し、経営の自由度を高めておくことも重要になります。
【重要】補助金の併用はできる?できない?基本ルールを解説
「もし使えるなら、複数の補助金を組み合わせて、もっと有利に資金調達したい」と考えるのは自然なことです。結論から言うと、補助金の併用は「条件付きで可能」です。しかし、そこには絶対に守らなければならない大原則があります。ここでそのルールをしっかり理解しておきましょう。

大原則:「同じ経費」に複数の補助金は使えない
補助金併用の最も重要なルールは、「一つの経費に対して、複数の補助金を重複して申請することはできない」というものです。これは、公的な資金を公平に配分するための大原則です。
NG例:「Aという機械の購入費500万円」に対して、国の補助金と県の補助金を両方申請する。
これはできません。しかし、経費の使い道を明確に分ければ話は変わってきます。
OK例:「Aという機械の購入費」には国の補助金を、「Bというシステムの導入費」には県の補助金を申請する。
このように、どの経費にどの補助金を使うかを明確に切り分けることができれば、併用は可能になります。
賢い組み合わせ方:目的が違えば併用できるケース
大原則を踏まえた上で、より戦略的に併用を考えるなら、「事業の目的」に着目するのがポイントです。目的が異なる事業であれば、それぞれに別の補助金を活用できる可能性があります。
例えば、こんな組み合わせが考えられます。
- 目的A「生産性向上」:ものづくり補助金を活用して、新しい製造機械を導入する。
- 目的B「販路開拓」:小規模事業者持続化補助金を活用して、新商品のPR用ウェブサイトを制作する。
このように、事業計画全体を確認し、各施策の目的に合わせて補助金の対象経費を整理することで、自己負担を軽減できる可能性があります。
国の補助金と自治体の補助金の組み合わせ
併用戦略の中でも特に有効なのが、「国」「都道府県」「市区町村」といった、階層の違う機関が提供する補助金を組み合わせる方法です。
国の大きな補助金(例:事業再構築補助金)で大規模な設備投資を行い、同時に、より地域に密着した市区町村の補助金(例:〇〇市創業支援補助金)で店舗の改装費を賄う、といった活用法が考えられます。これにより、より手厚い支援を受けられる可能性があります。
ただし、一点だけ注意が必要です。自治体の補助金の中には、公募要領で「国の補助金との併用は不可」と明確に定めている場合があります。必ずそれぞれの制度のルールを個別に確認することが、専門家としてのアドバイスです。地域独自の融資制度と組み合わせるなど、様々な選択肢を検討してみましょう。
補助金申請で迷ったら。司法書士ができること
ここまで読んでいただき、「自分にもチャンスがあるかもしれない」と感じられた一方で、「でも、一人で全部手続きを進めるのはやっぱり不安だ…」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。そのお気持ちは、とてもよく分かります。
私たち司法書士は、単に会社設立の登記手続きをするだけではありません。お客様のお話を丁寧に聞き取り、事業計画の前提となる法的な課題を整理し、必要な手続きがスムーズに進むようサポートします。補助金の申請は、事業計画の策定から始まり、法人設立、各種契約、そして実績報告まで、長期間にわたるプロセスです。その複雑な道のりにおいて、法律の専門家が伴走することで、安心して本業に集中していただける環境を整えることができます。
司法書士は、お客様からお伺いした状況やご希望と法律を照らし合わせ、そのご希望を叶える、あるいは最も近い形を実現するにはどうすればよいかを一緒に考え、ご提案します。心に優しく、多角的に丁寧に課題と向き合うこと。それが私たち下北沢司法書士事務所の信条です。もし少しでも迷うことがあれば、まずは無料相談をご利用ください。あなたの一歩を、私たちが全力でサポートします。

