会社設立時の定款記載事項

会社設立の第一歩「定款」とは?基本を優しく解説

「会社を作ろう!」そう決意したとき、多くの方が最初に耳にする専門用語の一つが「定款(ていかん)」ではないでしょうか。言葉の響きから、少し難しそうだと感じてしまうかもしれませんね。でも、ご安心ください。

定款とは、一言でいえば「会社の憲法」であり、基本的なルールを定めた「会社のルールブック」のようなものです。これからあなたが創る会社が、どのような目的で、どのような仕組みで運営されていくのかを記した、とても大切な書類なのです。

会社設立の手続きは、まずこの定款を作成することから始まります。つまり、定款作成は、あなたの会社のビジョンを形にするための、記念すべき第一歩と言えるでしょう。この記事を最後までお読みいただければ、定款に何を書けばよいのか、そして将来を見据えた賢い定款の作り方まで、基本的な知識をしっかりと身につけることができます。

会社の形態には株式会社や合同会社など様々ですが、いずれの場合も定款は必要不可欠です。私たち専門家が、あなたの不安に寄り添いながら、一つひとつ丁寧に解説していきますので、安心して読み進めてくださいね。

定款に必ず記載する「絶対的記載事項」(株式会社の場合)5つのポイント

定款に記載する項目は、その重要度によって3つの種類に分けられます。その中でも最も重要なのが「絶対的記載事項」です。これは、その名の通り必ず記載しなければならない項目で、漏れがあると定款の認証や設立手続が進められない可能性があります。会社の根幹をなす、いわば「土台」の部分です。

具体的には、株式会社の場合、会社法で定められた以下の5つの項目が該当します。

  • ① 商号(会社名)
  • ② 目的(事業内容)
  • ③ 本店の所在地
  • ④ 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
  • ⑤ 発起人の氏名または名称および住所

これらは会社を特定し、その骨格を定義するための基本情報です。一つずつ、どのような点に注意して決めればよいのか見ていきましょう。

司法書士として実務に携わっていると、これらの項目をどう決めるかで、その後の会社運営のスムーズさが変わってくることを実感します。例えば、①商号は会社の顔です。使用できる文字や記号には細かなルールがありますので、事前に法務局のWebサイトなどで確認しておくと安心です。②目的には、現在行う事業だけでなく、将来的に展開する可能性のある事業も記載しておくと、後々の変更手続きの手間を省けます。「広告・書籍の編集・制作及び販売」のように、具体的な活動がイメージできるように記載するのがポイントです。

会社の定款に必ず記載が必要な「絶対的記載事項」6項目(商号、目的、本店所在地、資本金、発起人、発行可能株式総数)をアイコン付きで解説した図解。

③本店の所在地は、最小行政区画(例:「東京都世田谷区」)まで記載すれば足ります。番地まで詳細に記載することも可能ですが、同じ市区町村内で移転する際に定款変更が不要になるため、最小行政区画での記載が一般的です。自宅を本店にする方も多いですが、プライバシーの観点から注意も必要です。より詳しい情報については、会社設立時の個人情報リスクと住所・旧姓を守る手続きをご覧ください。

④設立に際して出資される財産の価額は、いわゆる資本金のことです。金銭だけでなく、不動産や自動車といった「現物出資」も可能です。⑤発起人とは、会社設立を企画し、資本金を出資する人のことです。また発行可能株式総数は、その会社が発行できる株式の上限数を定めるもので、定款に定めがない場合は株式会社の成立時までに定款変更で定めを設ける必要があります。

これらの5項目は、会社の基盤を固める上で欠かせない要素です。しっかりと検討して、間違いのないように記載しましょう。

(参照:e-Gov法令検索|会社法

会社の個性を決める「相対的・任意的記載事項」とは?

絶対的記載事項が会社の「土台」だとすれば、これからご紹介する「相対的記載事項」と「任意的記載事項」は、その上に築く「会社の個性や独自ルール」を定めるものです。これらを適切に定めることで、より自社の実情に合った、円滑な会社運営が可能になります。

記載して初めて効力が生まれる「相対的記載事項」

「相対的記載事項」とは、定款に記載しなければその法的な効力が認められない項目のことです。定めなくても定款自体は有効ですが、会社運営の重要なルールに関わるものが多いため、慎重な検討が必要です。

特に中小企業にとって重要なのが「株式の譲渡制限に関する規定」です。これを定めておくと、株主が株式を第三者に譲渡する際に会社の承認が必要になります。これにより、意図しない人物が経営に参加してくるのを防ぎ、経営権の安定化を図ることができます。円滑な事業承継を考える上でも、非常に重要な規定といえるでしょう。

また、「役員の任期」も代表的な相対的記載事項です。株式の譲渡制限を設けている非公開会社の場合、役員の任期を最長10年まで伸長できます。役員変更登記は任期満了ごとに行う必要があり、その都度手間と費用(登録免許税)がかかります。任期を伸長することで、これらの負担を軽減できるという実務的なメリットがあるのです。

その他にも、以下のような項目が相対的記載事項にあたります。

  • 株主総会や取締役会以外の機関の設置(監査役など)
  • 現物出資に関する事項
  • 株主名簿の管理人についての定め
  • 取締役会の設置

これらの項目は、会社の規模や将来の展望に合わせて、戦略的に定めていくことが肝心です。

より円滑な会社運営のための「任意的記載事項」

「任意的記載事項」は、法律上の定めはなく、定款に記載しなくても特に問題がない項目です。しかし、あえて記載することで社内ルールが明確になり、将来の無用なトラブルを防ぐ効果が期待できます。

代表的な例としては、「事業年度(決算期)」が挙げられます。会社の決算をいつにするかというルールですが、これは会社の繁忙期を避けたり、消費税の納税義務のタイミングを考慮したりと、税務戦略にも関わってくる重要な決定です。自由に決めることができますが、一度定款に明記しておけば、社内の共通認識となります。

ほかにも、以下のような項目が任意的記載事項として定められることがあります。

  • 定時株主総会の招集時期
  • 役員の員数(例:「取締役は3名以内とする」など)
  • 公告の方法(官報、日刊新聞紙、電子公告など)

これらは、いわば会社の「ハウスルール」です。法律の範囲内であれば自由に定めることができますので、自社の運営がよりスムーズになるようなルールを盛り込んでいくとよいでしょう。

将来の事業計画を考えながら、戦略的な定款作成について思案する若い男性起業家のイラスト。

戦略的な定款作成|相続対策や将来の変更も見据えて

定款は、ただ会社を設立するためだけの書類ではありません。長期的な視点を持って作成することで、将来起こりうる様々なリスクに備え、経営の安定化を図るための強力なツールとなり得ます。

会社設立を「相続対策」に活かすための定款の工夫

近年、ご自身の資産管理や相続対策を目的として会社を設立する方が増えています。特に、不動産を多く所有している方が「資産管理会社」を設立するケースは少なくありません。

このような目的で会社を設立する場合、定款の作り方にも工夫が必要です。まず、定款の「目的」の欄に、「不動産の賃貸、管理、保有及び運用」といった文言を明確に記載しておく必要があります。これにより、会社が資産管理を主たる業務とすることが対外的にも明らかになります。

さらに、相続を円滑に進める上で鍵となるのが、先ほども触れた「株式の譲渡制限規定」です。この規定を設けておくことで、相続によって会社の株式が意図せず親族外に流出してしまう事態を防げます。また、合同会社の場合は、定款で持分の承継について特定の相続人に引き継がせる旨を定めることも可能で、財産の分散を防ぎ、円満な法人資産の承継に繋がります。

このように、定款の規定を戦略的に活用することで、節税というメリットだけでなく、大切な資産を誰にどう引き継いでいくかをコントロールし、親族間の無用なトラブルを未然に防ぐことにも繋がるのです。

将来の事業変更に備える「定款変更」の注意点

会社は生き物です。設立当初は想定していなかった新しい事業を始めたり、事業の成長に伴って本店を移転したりすることもあるでしょう。そうした会社の変化に合わせて、定款も変更していく必要があります。

定款の内容を変更するには、原則として「株主総会の特別決議」という、非常に厳格な手続きが必要です。これは、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上の賛成がなければ可決されないというものです。さらに、商号や目的、本店所在地といった登記事項を変更した場合は、法務局で変更登記の手続きが必要となり、登録免許税(例:本店移転は管轄内3万円、管轄外は合計6万円)もかかります。

こうした将来の手間やコストを見越して、設立当初の定款作成時に工夫を凝らすことが「賢い初期設定」といえます。

  • 事業目的は幅広く設定する:将来展開する可能性のある事業をあらかじめ記載しておく。
  • 本店所在地は最小行政区画で記載する:同じ市区町村内での移転なら定款変更が不要になる。
  • 役員の任期を伸長する:役員変更登記の頻度を減らし、コストを削減する。(非公開会社の場合)

未来を100%予測することはできませんが、少しの工夫で将来の負担を大きく減らすことが可能です。ぜひ、長期的な視点を持って定款作成に臨んでみてください。

定款作成で迷ったら司法書士に相談という選択肢

ここまで定款の記載事項について解説してきましたが、「自社の場合はどう書けばいいのだろう?」「法的に間違いがないか不安だ」と感じる点も少なくないかもしれません。

定款作成はご自身で行うことも不可能ではありません。しかし、会社の憲法ともいえる重要な書類ですから、法的な正確性は絶対に担保されなければなりません。また、将来の事業展開や相続まで見据えた戦略的な内容にするには、やはり専門的な知識と経験が不可欠です。

私たち司法書士にご相談いただければ、単に書類を作成するだけでなく、お客様一人ひとりの状況や将来のビジョンを丁寧にお伺いした上で、最適な定款の内容をご提案します。法的なミスを防ぎ、時間や手間を大幅に削減できるだけでなく、将来のリスクを回避するためのアドバイスも可能です。どのような専門家に相談すればよいか迷う場合でも、まずはお話をお聞かせください。

お客様からのご相談は相続、後見、債務整理、中小企業法務など様々ありますが、法技術や税務面など多角的に課題を検証しバランスのいい結論を出すお手伝いをするのも当事務所の特徴です。心に優しく、多角的に丁寧に課題と向き合う下北沢司法書士事務所にぜひご相談ください!

無料相談(お問い合わせフォーム)

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

0368055496電話番号リンク 問い合わせバナー