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仮登記

2017-06-12

仮登記という不動産登記上の技術があります。仮登記には登記が本来持っている「対抗力」という力がありません。自分が不動産を所有していることを仮登記しておいても、他の方に「この不動産をもっているのは自分ですよ」と主張できません。仮登記の効力としては、通常の登記を将来しておくことを「予約」しておくことです。もしも仮登記をした後に、他の方が通常の登記をしても仮登記に基づいて本登記をすれば、優先順位が上にできます。条文上は、必要な書類が整わない場合に優先順位だけ早めに確保したい場合、あるいは将来、契約の効力が生じる予約がある場合などにこの制度が使えるとされています。万が一、自分が購入する不動産などにこの仮登記がされていたら対応が必要です。そのままにしておくと将来、不動産を失うことになりかねません。基本的には抹消することになると思いますが、仮登記される権利の内容も様々なので、状況にあわせた対応が必要です。

昨日は割と過ごしやすかったですね。今日もあまり暑くならないと助かります。

下北沢司法書士事務所 竹内友章

遺言が無効になってしまうケース

2017-06-05

遺言が無効になる主なケースと確認すべきポイント

残されたご家族への最後のメッセージであり、愛情のしるしでもある遺言書。しかし、その大切な想いが、ほんの些細な形式的な不備によって、遺言としての法的効力が認められない場合があります。

特に、手軽さから選ばれがちな「自筆証書遺言」には、知らず知らずのうちに無効と判断される原因になりやすい不備が複数あります。「自分で書いたこの遺言は、本当に大丈夫だろうか?」「親族が残したこの遺言書は、法的に有効なのだろうか?」そんな不安を抱えている方も少なくないでしょう。

遺言が無効になれば、故人の意思は実現されず、相続人同士の紛争につながる可能性があります。この記事では、司法書士という専門家の視点から、遺言が無効になってしまう具体的なケースと、そうした事態を避けるために検討したい対策を分かりやすく解説します。あなたの、そしてご家族の未来を守るための知識を、ここでお伝えします。

遺言書を作成する理由について、さらに詳しく知りたい方は、遺言書を作成する必要性もご参照ください。

自筆証書遺言でやりがちな無効4大ポイント

公正証書遺言と違い、自筆証書遺言はご自身で作成するため、法律で定められた厳格な要件を満たしていないケースが後を絶ちません。ここでは、特に無効の原因となりやすい4つのポイントを、実務上の注意点を交えて詳しく見ていきましょう。

遺言書の様式に関する詳細なルールについては、法務省のウェブサイトでも確認することができます。

参照:遺言書の様式等についての注意事項(法務省)

①全文手書きの原則:PC作成や代筆は無効

自筆証書遺言は、その名の通り「全文を、遺言者本人が手書き(自書)する」ことが大原則です。これは、筆跡によって遺言者本人の意思であることを確認し、偽造を防ぐための極めて重要な要件です。

そのため、パソコン(ワープロ)で作成した遺言書や、たとえ本人の意思であっても他人が代筆したものは、原則として無効となります。

自筆証書遺言の有効な例と無効な例を比較した図解。有効な例として手書き、正確な日付、氏名、押印が挙げられ、無効な例としてPC作成、日付不備、署名・押印漏れが挙げられている。

「病気で手が震えてうまく字が書けない」という場合に、他人が手を添えて補助すること(添え手)が認められた判例もあります。しかし、どこまでが有効な補助で、どこからが無効な代筆と判断されるかは非常に専門的で難しく、争いの原因になりやすいのが実情です。もしご自身で書くことに不安がある場合は、無理をせず、初めから公証人が作成する公正証書遺言を選択するのが賢明な判断と言えるでしょう。

なお、法改正により、相続財産の詳細を記した「財産目録」については、パソコンでの作成や、通帳のコピー・登記事項証明書などを添付することが認められるようになりました。ただし、その目録の全てのページに署名と押印が必要です。より具体的な方式については、相続法改正のポイント-自筆証書遺言の方式についてで詳しく解説していますので、ご参照ください。

②日付の欠落・不備:「○月吉日」はNG

遺言書には、作成した「年月日」を正確に手書きで記載する必要があります。日付は意外と忘れがちなポイントですが、これが抜けているだけで遺言書全体が無効になってしまいます。

なぜ日付がそれほど重要なのでしょうか。理由は主に二つあります。

  1. 遺言書を作成した時点で、遺言者に十分な判断能力(遺言能力)があったかを判断するため。
  2. もし複数の遺言書が見つかった場合に、どちらが新しい(=有効な)ものかを確定させるため。

日付はゴム印や日付スタンプの使用は認められず、必ず手書きでなければなりません。また、「令和〇年7月吉日」といった、日付が特定できない記載も無効です。過去の判例(最判昭和54年5月31日)でも、「昭和41年7月吉日」と記載された遺言書が無効と判断されており、いかに厳格に特定性が求められているかが分かります。

③氏名の記載漏れ:戸籍上の氏名が最も確実

当然のことながら、誰が書いた遺言書なのかを明確にするため、氏名も手書きで記載する必要があります。

過去には、ペンネームや通称でも、様々な状況から本人だと特定できれば有効とされた判例もあります。しかし、これはあくまで例外的なケースです。相続手続きでは、亡くなった方の戸籍謄本と遺言書を照合して本人確認を行います。その際に、通称などでは本人であることの証明が難しくなり、手続きが滞ったり、相続人間の争いの原因になったりする可能性があります。

無用なトラブルを避けるためにも、戸籍に記載されている正式な氏名を、正確に記載すべきです。これが最も確実で間違いのない方法です。

④押印忘れ:認印でも有効だが実印を推奨

最後に、署名の横に印鑑を押す「押印」も必須の要件です。押印がなければ、たとえ他の要件をすべて満たしていても遺言書は無効となってしまいます。

法律上は認印や、極端な例では拇印(指印)でも有効とされています。しかし、実務家の立場からは、実印を使用し、印鑑登録証明書を遺言書に添付しておくことを強くお勧めします。なぜなら、実印は市区町村に登録された公的な印鑑であり、本人の意思に基づいて押印されたことの証明力(証拠としての価値)が格段に高いからです。将来、「この印鑑は本人のものではない」といった疑義が生じるリスクを最小限に抑え、紛争を未然に防ぐ効果が期待できます。

遺言書の種類について、さらに詳しく知りたい方は、遺言書の種類もご参照ください。

公正証書遺言でも安心できない?無効になる意外な落とし穴

「それなら、公証人が作成する公正証書遺言なら安心できる」と思われるかもしれません。確かに、公証人が関与するため、これまで述べたような形式的な不備で無効になることはまずありません。

しかし、公正証書遺言であっても無効になるケースが存在します。それが「遺言能力の欠如」を理由とする場合です。

遺言能力とは、遺言の内容を正しく理解し、その結果どうなるかを判断できる能力のことです。認知症が進行しているなど、遺言者にこの能力がなかったと判断されると、たとえ公正証書であっても遺言は無効とされてしまうのです。

公証役場で公正証書遺言を作成する高齢男性。公証人から説明を受け、遺言能力の重要性について考えている様子。

実際に、司法書士が関与して作成された公正証書遺言が、後に遺言者の認知症を理由に「遺言能力がなかった」として無効と判断された裁判例(東京高裁平成22年7月15日判決)もあります。この事例は、専門家が立ち会ったからといって、遺言能力の問題が常に解消されるわけではない、という厳しい現実を示しています。

このことから分かるのは、形式を整えるだけでなく、遺言者がしっかりとした判断能力を持っている状態で遺言を作成することの重要性です。この判断は非常にデリケートであり、家族信託はなぜ失敗?令和3年判例に学ぶ意思確認の重要性がいかに重要であるかを物語っています。

無効な遺言を放置した場合に起こり得る3つの問題

もし、残された遺言書が無効だと判断された場合、具体的にどのような事態が待ち受けているのでしょうか。単に「相続争いになる」という言葉だけでは済まされない、ご家族に生じる可能性がある3つの問題を確認します。

  1. 遺産分割協議が必須になり、手続きが長期化する
    遺言が無効になると、相続は法律の定めに従うことになり、相続人全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」が必須となります。相続人の中に一人でも合意しない人がいれば協議は成立せず、家庭裁判所での調停や審判へと移行し、解決までに数年を要することも珍しくありません。
  2. 想定外の相続人が出現し、話し合いが難航する
    遺産分割協議には、法律上の相続人全員が参加しなければなりません。長年連絡を取っていない親族や、存在すら知らなかった親族(前妻の子など)が相続人として現れる可能性もあります。疎遠な関係の当事者が加わることで、感情的な対立が生まれ、話し合いはさらに困難を極めるでしょう。
  3. 不動産が「塩漬け」状態になる
    遺産分割協議がまとまらないと、不動産は相続人全員の共有名義のままとなります。この状態では、売却や担保設定など共有物の処分に当たる行為には共有者全員の同意が必要となり、賃貸に出す場合も契約内容や期間によって必要な同意の範囲を確認する必要があります。結果として、不動産の活用が進まず、固定資産税や管理費用の負担が継続することがあります。具体的な多数の相続人がいる不動産の売却は、非常に複雑な手続きを要します。

故人の想いを実現するために残したはずの遺言が、かえって家族間の紛争や手続きの長期化を避けるためにも、遺言の有効性を事前に確認しておくことが重要です。

遺言の有効性に疑問を感じたら?司法書士が示す最初のステップ

「この遺言、もしかしたら無効かもしれない…」そう感じたとき、どう行動すればよいのでしょうか。まず大切なのは、感情的に他の相続人と対立する前に、冷静に専門家へ相談することです。

私たち司法書士は、遺言の有効性に関する問題に対し、次のようなサポートを提供できます。

  • 遺言書の形式チェック
    まずは、法律で定められた要件を満たしているか、専門家の目で厳密にチェックします。形式不備の有無を正確に判断することが、すべての始まりです。
  • 遺言作成時の状況調査
    遺言能力が争点になる場合、遺言が作成された当時のご本人の心身の状態や、周囲の状況などを調査する必要があります。ご家族からお話を伺ったり、医療記録や介護記録を参考にしたりしながら、遺言能力を判断するための材料を集めるお手伝いをします。
  • 法的手続きのサポートと専門家連携
    相続人間での話し合いで解決しない場合は、家庭裁判所での調停や、地方裁判所などでの遺言無効確認訴訟といった法的手続きに進むことがあります。司法書士は、これらの手続きに必要な書類作成をサポートします。また、代理人として交渉や訴訟活動が必要な場合は、弁護士などの他士業と連携し、最適な解決策をご提案します。

一人で悩まず、まずは専門家の客観的な意見を聞くことが、問題をこじらせずに解決へと向かうための重要な第一歩です。

遺言書の有効性に疑問を感じ、司法書士に相談する女性。専門家が親身に話を聞いている。

有効性に配慮した遺言作成は司法書士へ。下北沢司法書士事務所が選ばれる理由

故人の大切な想いを確実に未来へ繋ぎ、残されたご家族が円満に相続手続きを進められるようにするためには、遺言書作成の段階から専門家である司法書士に相談することは、有効性に配慮した遺言を作成するための有力な方法です。

下北沢司法書士事務所では、単に法律の要件を満たすだけの書類作成に留まらない、お客様一人ひとりに寄り添ったサポートを心がけています。

  • 不動産実務経験を活かした提案
    代表司法書士は不動産業界での実務経験が豊富です。相続財産に不動産が含まれるケースでは、将来の相続登記や売却までを見据え、将来のトラブルを予防する観点から遺言内容をご提案します。
  • 心理カウンセラーの資格を持つ司法書士
    相続や遺言は、ご家族の歴史やデリケートな人間関係が深く関わる問題です。代表は心理カウンセラーの資格も有しており、法律的な問題だけでなく、お客様が抱える不安や心の葛藤にも丁寧に耳を傾け、安心してご相談いただける環境を整えています。
  • 気軽に話せる無料相談
    「何から話せばいいか分からない」「費用が心配」という方でも、安心して最初の一歩を踏み出せるよう、無料相談を実施しています。まずはお客様のお話をじっくり伺うことを最優先に、問題解決への道筋を一緒に考えます。当事務所の料金一覧についても、事前に丁寧にご説明いたしますのでご安心ください。

大切なご家族のために、そしてご自身の想いを確かに残すために。遺言書の作成や、その有効性について少しでもご不安があれば、どうぞお気軽に下北沢司法書士事務所までお問い合わせください。あなたの心に優しく寄り添い、状況に応じた解決策をご提案します。

株式会社-残余財産の分配請求権

2017-06-01

株式会社は当然、株を発行しますが同一の会社において数種類の株式を発行することも可能です。「普通株式と比較して、どのように違う株式を発行できるか?」について会社法108条において、9種類定められています。その中の1つ「残余財産分配請求権の優先株式」。いつか会社を清算するときに、普通株式の株主より優先して残余財産の分配を受けられます。ちょっとややこしいですが、①創業して②会社が成長し出資者が登場③他の会社に、自社を売却する(吸収合併される)という展開を想定してみましょう。1人で出資して資本金100万円の会社を創業したとしても、出資者が現れる時は企業価値が10倍の1000万円になっているかもしれません。新たな出資者は創業者の10倍のお金を出して株式を買うことになります。じゃあこの会社を「1500万で買います」という方が現れたらどうでしょうか?創業者と出資者で半分づつ株式をもっていたらそれぞれ750万円づつお金を手にします。創業者は「750万円ー100万円」で600万円得します。しかし、出資者は「750万円ー1000万円」で250万円損します。これでは出資者は売却に同意しません。しかし出資者の手にする株式が「会社を清算するときはまずは、1000万円優先して配当を受ける。残りの財産を普通株式の株主と1対1で分ける」との内容だったらどうでしょうか?まずは出資者が投資額の1000万円を手にし、残った500万円を2人で分けます。創業者は500万の半分の250万円から創業時に投資した100万円をひいて150万円のプラス、出資者は250万円のプラスなので創業者も出資者も得をすることになりますね.これなら話がまとまるかも知れません。仮定に仮定を重ねてしまってますが、こんなことも起こりえます。出資者と投資契約を結ぶときは契約内容を良く擦り合わせる必要があると思います。

 

仕事上、よくいく法務局世田谷出張所の写真です。この建物の2階に法務局がありますが、新しくとても綺麗な建物です。

下北沢司法書士事務所 竹内友章

遥か昔の抵当権

2017-05-27

時々、ずっと前の抵当権が登記簿に残ったままということがあります。昭和初期とかもしかしたら明治とかもあり得るかもしれません。登記簿の抵当権の欄には「この不動産はいくらの借金のために担保にとられているか?」ということが書かれます。普通は何千万とか何億になるのでしょうが、このずっと昔の抵当権(休眠抵当権)は数千円とかもありえます。遥か昔で貨幣価値が今と全然違うからです。たいした額じゃないので気にしない、別にそのままでも困らない、そもそも抵当権の存在に気が付かない・・・ということで大抵の方はそのままにしておくでしょう。ところが売却するときは商慣習上、抵当権を消さないと売却できないので、そういうときになって初めて困るのだと思います。普通、抵当権を消すときには「お金を貸した人」の協力がいりますが、どこにいるか分からないし、第一ご存命とも思えない・・・。解決方法としては裁判所を利用して判決をとってしまう、「休眠担保権の抹消」といって少し特殊な手続きを使うなどいくつかやりかたがあります。お金を返したことが証明ができるのかなど、状況によって適した制度を選んでいくことになりますがいずれにしても時間がかかります。「まずい、売買の日に間に合わない!」とならないようもしも気が付いたら早めにご相談ください。

昨日、早歩きで法務局まで歩いてたらほんの少し息があがった感じがしました。「リーサルウエポン」という映画でメル・ギブソンが体力の衰えを感じてショックうけるシーンを思い出しました・・・。メルさんは犯人と格闘してですけど、私歩いただけですからね・・・。

下北沢司法書士事務所 竹内友章

 

事業年度の決め方

2017-05-23

会社設立時に決めなければならないことに、事業年度があります。4月から3月あるいは1月から12月が多いと思いますが、いつでも会社の任意の時期に決められます。ただ、事業年度の終わりが決算日になるので、その点を踏まえて決めた方がいいと思います。例えば、①決算月から2か月以内が確定申告の期限なので、繁忙期と確定申告の時期をずらし忙しくなりすぎないようにする。②在庫を抱える仕事内容であれば、棚卸作業に備えて在庫が少ない時期を選ぶ③1期目をなるべく長くするようにする(会社を5月に設立して6月が決算月だと、設立してすぐ確定申告なので大変です。また消費税免税事業者である期間を長くとるために1期目を長くした方がいい場合も考えられます)ざっとこんなポイントがあげられます。相談しながら決めていきましょう。

http://start-setagaya.com/

上のリンク、当事務所が参加する会社設立パッケージのサイトです。税理士さんも参加しています。

下北沢司法書士事務所 竹内友章

 

 

 

 

 

法定相続情報証明制度

2017-05-18

5月29日(月)からはじまる「法定相続情報証明制度」。亡くなられた方の戸籍一式をそろえて、法務局に提出すると法定相続関係を法務局が提出してくれる制度です。司法書士以外の各士業も代理できますが、不動産の相続登記と用意する書類がかなり重なります。下北沢司法書士事務所では、相続登記をご依頼の方は、この制度の代理も当面の間サービスで代理します。法務局に支払う手数料などもかかりません。また「不動産はないけどこの制度は利用したい」という場合、亡くなられたの戸籍を集めるが大変かと思います。そういった場合も、司法書士が戸籍を代理取得することが可能です。よろしければお問い合わせください。

「法定相続情報証明制度」の説明文  http://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00284.html

絵を描いた人のプロフィール https://www.creema.jp/c/yuninona

なんで子供ってアイス買ったことママに報告しちゃうんでしょうね。また怒られました。

下北沢司法書士事務所 竹内友章

 

 

 

 

 

創業・事業承継の補助金

2017-05-16

創業・事業承継をお考えの方へ。補助金活用の第一歩、踏み出せていますか?

これから会社を立ち上げよう、あるいは大切な事業を次の世代へ引き継ごうとお考えのとき、資金計画は大きな課題の一つではないでしょうか。「返済不要の補助金が使えるらしいけど、種類が多すぎて何から調べればいいか分からない」「応募要件が複雑で、自分が対象になるのか判断できない」そんな声もよく耳にします。情報が溢れているからこそ、かえって混乱し、貴重な一歩を踏み出せずにいる方も少なくありません。

この記事では、創業や事業承継で補助金を検討する際に確認したい基本事項を整理します。単に制度を解説するだけでなく、創業や事業承継という人生の大きな転機において、補助金をどう活用できるのか、その具体的な道筋を明らかにします。私たち下北沢司法書士事務所は、これまで多くの起業家や経営者様の法務サポートに携わってきました。司法書士が、複雑な制度の内容を一つひとつ整理し、必要な手続きを検討する際のサポートを行います。まずは、どのような選択肢があるのか、一緒に見ていきましょう。

相続と事業承継に関するより深い情報も、ぜひご参照ください。相続と事業承継

まずは知っておきたい代表的な2つの補助金

創業や事業承継で活用できる補助金は数多くありますが、まずは代表的な2つの柱を理解することから始めましょう。それは「新たに事業を始める人」を応援する補助金と、「事業を引き継ぐ人」を応援する補助金です。ご自身の状況がどちらに近いか考えながら読み進めてみてください。

創業補助金と事業承継補助金の比較図。創業補助金は「これから事業を始める人」向け、事業承継補助金は「事業を引き継ぐ人」向けであることを示している。

① 新たに事業を始める方向け「創業補助金」

「創業補助金」は、その名の通り、新しいビジネスアイデアで起業する方を後押しするための制度です。事業をゼロから立ち上げる時期は、オフィスや店舗の家賃、設備の購入費、広告宣伝費など、何かと物入り。こうした初期投資の負担を和らげ、事業が軌道に乗るまでを経済的にサポートすることを目的としています。

代表的なものに「地方創生起業支援事業(起業支援金)」があります。これは、地域の課題解決に繋がるような事業を支援する制度で、補助率は経費の2分の1、上限額は最大200万円程度となるケースが多いです。新たな挑戦を始める創業者にとって、非常に心強い味方となってくれるでしょう。こうした制度を活用することで、会社設立時の税金の節約だけでなく、事業そのものの資金調達も有利に進められる可能性があります。

【参考情報】
より詳しい情報については、以下の公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。
地方創生サイト:起業支援金

② 事業を引き継ぐ方向け「事業承継補助金」

一方、「事業承継補助金」は、後継者不足に悩む中小企業の事業を、次世代へ円滑に引き継ぐための制度です。単に事業を引き継ぐだけでなく、その機会を捉えて新しい挑戦(経営革新)を行うことを力強く後押しします。事業承継(会社の引継ぎ)は、司法書士が専門性を発揮できる分野でもあります。

代表例である「事業承継・M&A補助金」では、事業を引き継いだ後の設備投資や販路開拓、M&A(企業の合併・買収)にかかる専門家への依頼費用などが対象となります。補助率は類型により3分の1から3分の2、補助上限額は最大2,000万円とされています。事業の歴史を守りつつ、未来に向けた新たな一歩を踏み出す経営者にとって、大きな支えとなる制度です。

【参考情報】
制度の詳細や最新情報は、公式サイトで確認することをおすすめします。
事業承継・M&A補助金事務局サイト

私は対象?創業補助金の応募要件セルフチェック

「魅力的な制度なのは分かったけれど、果たして自分は対象になるのだろうか?」ここが一番気になるところですよね。公募要領の難しい言葉を読み解くのは大変です。そこで、多くの創業補助金で共通して問われるポイントを、簡単なチェックリストにまとめました。ご自身の計画と照らし合わせながら、確認してみてください。

チェック1:事業を開始する場所はどこですか?

多くの創業補助金は、地域経済の活性化を大きな目的としています。そのため、「どこで事業を始めるか」は非常に重要な要件です。

特に「地方創生起業支援事業」では、原則として東京圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)以外で起業することが条件となっています。これは、地方での新しいビジネスの創出を促すためです。ただし、東京圏内であっても「条件不利地域」に指定されているエリアであれば対象となる例外もあります。まずは、ご自身の創業予定地がどの地域に該当するのかを確認してみましょう。自治体によっては、独自の創業融資制度を設けている場合もありますので、あわせて調べてみることをお勧めします。

チェック2:どのような事業を計画していますか?

補助金は、どんな事業でも支援対象となるわけではありません。国の政策目的に合致している必要があります。特に創業補助金では、「地域の課題解決に資する社会的事業」というキーワードが非常に重要になります。

例えば、以下のようなテーマが挙げられます。

  • 子育て支援や地域コミュニティの活性化に繋がる事業
  • 地域の特産品や観光資源を活用した新しいサービス
  • 高齢者など、いわゆる買い物弱者を支援する事業
  • 地域のまちづくりや活性化を推進する事業

あなたのビジネスプランが、どのように地域社会に貢献できるのか。その「社会性」や「地域貢献性」が、審査において高く評価されるポイントになります。

チェック3:申請するのはいつのタイミングですか?

申請のタイミングは、応募資格を左右する非常に重要な問題です。特に、法人設立の登記や個人事業の開業届を出す「前」か「後」かは、注意深く確認しなければなりません。

多くの創業補助金では、「国の交付決定日以降、補助事業期間が完了する日までに設立・開業を行うこと」が要件とされています。つまり、フライングで会社を作ってしまうと対象外になる可能性があるのです。一方で、すでに開業・設立済みの場合でも、「創業後5年未満」などを対象とする補助金も存在します。ご自身の状況に合わせて最適な制度を選ぶことが大切です。会社設立時の定款記載事項を検討する段階で、補助金の申請スケジュールも視野に入れておくとスムーズに進められるでしょう。

司法書士事務所で相談する若い起業家。司法書士が親身にアドバイスしている。

事業承継補助金の申請要件、3つの重要ポイント

次に、事業承継補助金の申請を考える上で、絶対に押さえておきたい3つの重要ポイントを解説します。こちらも複雑な要件を分かりやすく整理しましたので、ご自身の状況と照らし合わせてみてください。円滑な相続と事業承継を実現するためにも、ぜひ参考にしてください。

ポイント1:承継の形態(誰が、誰から引き継ぐか)

まず、どのような形で事業を引き継ぐかがポイントです。事業承継補助金は、多様な承継の形に対応しています。

  • 親族内承継:親から子へなど、親族間で事業を引き継ぐケース
  • 従業員承継:会社の役員や従業員が事業を引き継ぐケース
  • M&A:社外の第三者が事業を引き継ぐケース

現在の事業承継・M&A補助金では、補助対象となる取組や経費に応じて「事業承継促進枠」「専門家活用枠」「廃業・再チャレンジ枠」「PMI推進枠」などに分かれています。まずはご自身のケースがどの類型に当てはまるのかを確認することが第一歩です。事業承継では、名義株式の整理といった法的な課題も生じやすいため、専門家のアドバイスが役立ちます。

ポイント2:承継のタイミング(未来の承継も対象に)

「もう承継が終わっていないと申請できないのでは?」と誤解されがちですが、実は未来の承継も対象になる場合があります。

例えば、「5年以内に親族内承継や従業員承継を予定している」後継者候補でも申請できる制度があります。これは、まだ準備段階にある方も含めて、早い時期から計画的に事業承継を進めてもらうための支援です。ただし、制度上定められた期限までに事業承継を完了する計画が必要となるため、これから承継を考えている方にとっては非常に心強い制度と言えるでしょう。将来を見据え、有限会社から株式会社への変更などを検討するのも一つの戦略です。

ポイント3:承継後の取り組み(経営革新など)

事業承継補助金で最も重視されるのが、「事業承継をきっかけとした、新しい取り組み」です。単に事業を引き継ぐだけでは対象にならず、その後の成長戦略が問われます。

具体的には、以下のような「経営革新」が求められます。

  • 生産性を向上させるための新しい設備投資
  • 時代に合わせた新商品や新サービスの開発
  • 新たな顧客を獲得するための販路開拓

そして、これらの取り組みは「後継者が主導して行う」ことが要件となる場合が多いです。これは、後継者が自身のビジョンを実現し、会社をさらに発展させていくことを応援するための制度だからです。補助金は、守りのためだけでなく、「攻め」の経営にも大いに活用できるのです。事業承継時には、株主分散によるリスクを解消し、経営の自由度を高めておくことも重要になります。

【重要】補助金の併用はできる?できない?基本ルールを解説

「もし使えるなら、複数の補助金を組み合わせて、もっと有利に資金調達したい」と考えるのは自然なことです。結論から言うと、補助金の併用は「条件付きで可能」です。しかし、そこには絶対に守らなければならない大原則があります。ここでそのルールをしっかり理解しておきましょう。

補助金の併用ルールについての図解。同じ経費に複数の補助金は使えないが、経費を分ければ併用可能であることを示している。

大原則:「同じ経費」に複数の補助金は使えない

補助金併用の最も重要なルールは、「一つの経費に対して、複数の補助金を重複して申請することはできない」というものです。これは、公的な資金を公平に配分するための大原則です。

NG例:「Aという機械の購入費500万円」に対して、国の補助金と県の補助金を両方申請する。

これはできません。しかし、経費の使い道を明確に分ければ話は変わってきます。

OK例:「Aという機械の購入費」には国の補助金を、「Bというシステムの導入費」には県の補助金を申請する。

このように、どの経費にどの補助金を使うかを明確に切り分けることができれば、併用は可能になります。

賢い組み合わせ方:目的が違えば併用できるケース

大原則を踏まえた上で、より戦略的に併用を考えるなら、「事業の目的」に着目するのがポイントです。目的が異なる事業であれば、それぞれに別の補助金を活用できる可能性があります。

例えば、こんな組み合わせが考えられます。

  • 目的A「生産性向上」:ものづくり補助金を活用して、新しい製造機械を導入する。
  • 目的B「販路開拓」:小規模事業者持続化補助金を活用して、新商品のPR用ウェブサイトを制作する。

このように、事業計画全体を確認し、各施策の目的に合わせて補助金の対象経費を整理することで、自己負担を軽減できる可能性があります。

国の補助金と自治体の補助金の組み合わせ

併用戦略の中でも特に有効なのが、「国」「都道府県」「市区町村」といった、階層の違う機関が提供する補助金を組み合わせる方法です。

国の大きな補助金(例:事業再構築補助金)で大規模な設備投資を行い、同時に、より地域に密着した市区町村の補助金(例:〇〇市創業支援補助金)で店舗の改装費を賄う、といった活用法が考えられます。これにより、より手厚い支援を受けられる可能性があります。

ただし、一点だけ注意が必要です。自治体の補助金の中には、公募要領で「国の補助金との併用は不可」と明確に定めている場合があります。必ずそれぞれの制度のルールを個別に確認することが、専門家としてのアドバイスです。地域独自の融資制度と組み合わせるなど、様々な選択肢を検討してみましょう。

補助金申請で迷ったら。司法書士ができること

ここまで読んでいただき、「自分にもチャンスがあるかもしれない」と感じられた一方で、「でも、一人で全部手続きを進めるのはやっぱり不安だ…」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。そのお気持ちは、とてもよく分かります。

私たち司法書士は、単に会社設立の登記手続きをするだけではありません。お客様のお話を丁寧に聞き取り、事業計画の前提となる法的な課題を整理し、必要な手続きがスムーズに進むようサポートします。補助金の申請は、事業計画の策定から始まり、法人設立、各種契約、そして実績報告まで、長期間にわたるプロセスです。その複雑な道のりにおいて、法律の専門家が伴走することで、安心して本業に集中していただける環境を整えることができます。

司法書士は、お客様からお伺いした状況やご希望と法律を照らし合わせ、そのご希望を叶える、あるいは最も近い形を実現するにはどうすればよいかを一緒に考え、ご提案します。心に優しく、多角的に丁寧に課題と向き合うこと。それが私たち下北沢司法書士事務所の信条です。もし少しでも迷うことがあれば、まずは無料相談をご利用ください。あなたの一歩を、私たちが全力でサポートします。

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相続対策としての生前贈与

2017-05-09

相続対策の選択肢である生前贈与。生前贈与とは被相続人の方が亡くなる前に、節税対策として行われる贈与のことを指します。贈与によって発生する不動産の名義変更の登記については司法書士の専門分野ですが、本質である節税効果は勉強不足ですので調べてみました。生前贈与を行うのは「相続時精算課税制度」を利用できるからのようです。「相続時精算課税制度」とは、贈与税を2500万円まで非課税にできる制度。この制度を理由するために、相続が発生した際に被相続人から相続される予定の財産を、存命中に相続予定者に贈与しておきます(要するに生前贈与しておきます)。制度利用するための要件は、贈与を実地する歳の1月1日現在で贈与者が満60歳以上で、親または祖父母から子又は孫である推定相続人への贈与であること。ただし住宅資金の贈与の場合は親の年齢制限をなくすための特例もあるようです。

 

下北沢司法書士事務所 竹内友章

株式会社を選択する理由

2017-05-06

ホームページの会社設立のページで株式会社と合同会社の違いについて少し触れています。ここでは違う角度から、株式会社と合同会社について考えてみたいと思います。まず株式、合同両方に共通している特徴は「有限責任」であるということ。実は株式と合同以外にも「合名会社」と「合資会社」という類型がありますが、こちらは「無限責任」を負う方が存在します。「有限責任」と「無限責任」の違いは、出資者が会社の債務を負うか否かにあります。「有限責任」だと会社が1億の借り入れをしたら出資をした方も1億の債務を負うことになってしまいます。これでは、安心して出資ができませんね。有限責任では、出資者が出資した額以上に責任を負いません。この点から会社設立の場合の選択肢は事実上、株式会社か合同会社の二択になります。ではこの2つの違いについてですが、合同会社の方が定款自治が広く認められている(つまり社内ルールを柔軟に決めることができる)と一般的に言われます。ただ、個人的な感覚ではこの点を生かせる場面て実際にはそんなに無いようが気がします。やはり合同会社は設立費用の安さが魅力ですね。一方株式会社の場合、将来の株式上場が視野に入る、また投資家から出資を受ける場合は株式での投資が一般的です。大きくお金を集めて大きな仕事をする場合、株式会社のが断然使いやすそうですね。この辺も会社設立の際は株式会社が選ばれることが多い大きな理由だと思います。

クジラの絵、かわいいですよね。描いた人のプロフィールです。https://minne.com/@yuninona/profile

下北沢司法書士事務所 竹内友章

世田谷区の創業融資制度

2017-05-05

会社設立時に切り離せないのが事業資金の問題。世田谷区にも、創業融資制度があるようなので先日伺って概要を聞いてきました。創業融資制度といっても区から融資がでるわけではなく、金融機関に支払う利子の一部を区が補助する制度です。窓口になるのは三軒茶屋にある「世田谷区産業振興公社 経営支援係」。まずはここで金融機関に提出する事業計画書の作り方を相談します。予約して、4回以上は相談するルールのようです。その上で完成した事業計画書をもとに金融機関から融資を受けると利子の一部が区から補助されるのがおおまかな流れ。世田谷区内に本店が必要がある、過去2年以内に事業主の経験がないなどの要件がありますから利用を検討される方は窓口でパンフレットをもらってくるといいかも知れません。ちなみに私も何部かもらったのでお渡しできます。

世田谷区産業支援公社 ホームページ https://www.setagaya-icl.or.jp/3.html

 

ワンピースの最新刊、発売されてたんですね。コンビニで見かけて買っちゃいました(^▽^)/

下北沢司法書士事務所 竹内友章

 

 

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