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司法書士が解説|認知症で不動産が売れない本当の理由
「認知症だから売れない」の本当の理由、ご存知ですか?
「親が認知症になってしまったので、施設入居の費用を捻出するために実家を売りたい…」「不動産会社に相談したら、認知症だと売却は難しいと言われてしまった…」
ご家族を想う大切なお気持ちとは裏腹に、予期せぬ壁に突き当たり、途方に暮れていらっしゃるのではないでしょうか。多くの方が「認知症だと契約ができないから」という理由を耳にされるかと思いますが、実は、問題の核心はもう少し別のところにあります。
この記事では、なぜ認知症の方の不動産売却が難航するのか、その「本当の理由」を、日々の業務で不動産登記に深く関わる私たち司法書士の視点から、一歩踏み込んで解説します。
そして、最も大切なことですが、道が閉ざされたわけではないということもお伝えしたいと思います。正しい手順を踏めば、ご本人の財産を守りながら、不動産を売却することは可能です。
一人で抱え込まず、まずはこの記事を読んで、問題の全体像を一緒に整理していきましょう。
不動産売却の最後の砦「司法書士」が登記を認めない現実
不動産売却が頓挫してしまう最大の関門、それは不動産の最終的な名義変更手続き、すなわち「所有権移転登記」にあります。そして、この手続きを担うのが私たち司法書士です。なぜ、私たちが登記申請を受け付けられないケースがあるのでしょうか。その背景には、専門家としての重い責任が隠されています。

なぜ?司法書士が登記手続きを止める本当の理由
認知症の方の不動産が売れない理由として、よく「売買契約が法律的に無効になるから」と説明されます。これは間違いなく事実なのですが、いわば“建前”の部分。
仮に、ご本人の判断能力が低下している状態でも、必要な書類がすべて揃っていれば、法務局は登記を受け付けてしまいます。では、なぜ司法書士は「待った」をかけるのでしょうか。
それは、万が一、後から「本人の意思に基づかない不当な取引だった」として親族などから訴訟が起こされた場合、その取引に関与した司法書士は、多額の損害賠償責任を問われたり、場合によっては司法書士の資格を失うリスクがあるからです。
司法書士が名義変更の登記を完了させなければ、買主様は代金を支払うことができません。つまり、売買が成立しないのです。これが、認知症の方の不動産売却がストップしてしまう、現場のリアルな実情です。
司法書士が行う「意思能力」の確認、その具体的な中身とは
私たちが登記手続きをお受けする際、特にご高齢の方の場合は、必ずご本人と直接お会いして「意思能力」の確認を行います。これは、ご自身の行為の結果を正しく理解し、判断できる能力があるかどうかを確認する、非常に重要なプロセスです。住所やお名前、生年月日、売却意志の有無などを中心にご質問していきます。
これらの質問にスムーズにお答えいただけない場合、残念ながら「意思能力に疑いあり」と判断せざるを得ず、登記手続きを進めることはできません。これは、ご本人の大切な財産を守るための、そして買主様をトラブルから守るための、司法書士としての責務なのです。
【実例】スムーズな登記のためにご家族ができること
法律的な判断はもちろん重要ですが、手続きを円滑に進めるためには、ご家族の協力体制も実は大きなポイントになります。これは、私が実際に経験したことからお伝えできる、大切なアドバイスです。
売却活動の前にご相談を受けたケース
あるご家族から、「父が高齢なので、実家を売る前に認知能力に問題がないか一度確認してほしい」とご相談がありました。早速お父様と面談させていただいたところ、ご自身の状況や売却の理由をしっかりとご説明くださり、意思能力に問題はないと判断しました。
ただ、売却の決済までには時間がかかります。その間にご本人の状態が変わる可能性もゼロではありません。そこで私は、ご家族にこう助言しました。「決済を担当する司法書士の先生が最終判断をされるまで、ご家族間で揉め事を起こさないように気をつけてください。そして、先生が行う本人確認には、どうか快く協力してあげてください」と。
司法書士も人間です。ご家族の間でトラブルの気配がしたり、何かを隠そうとしている雰囲気を感じ取ったりすると、どうしても慎重にならざるを得ません。スムーズに手続きを進めるためには、専門家の要請に誠実に応じていただく姿勢が、現実問題として非常に大切なのです。
道はあります。成年後見制度で不動産売却を実現する方法
「では、意思能力がないと判断されたら、もう売却は諦めるしかないの?」いいえ、そんなことはありません。ご本人の判断能力が低下している場合でも、法律に則った手続きを踏むことで、不動産を売却する道がちゃんと用意されています。それが「法定後見・任意後見」で知られる成年後見制度です。

成年後見制度とは?基本をわかりやすく解説
成年後見制度とは、認知症や知的障がい、精神障がいなどによって判断能力が不十分な方々を保護し、支援するための制度です。ご家族などが家庭裁判所に申立てを行うことで、ご本人のために財産管理や身上監護(生活や医療・介護に関する契約など)を行う「成年後見人」が選任されます。
成年後見人が選ばれると、その人がご本人に代わって法的な手続きを行えるようになります。つまり、成年後見人がご本人に代わって買主と売買契約を結び、司法書士に登記手続きを依頼することで、不動産を正式に売却できるようになるのです。ただし、ご本人が居住している不動産を売却する場合は、家庭裁判所の処分許可が必要となることがあり、許可が得られて初めて売却手続きが可能になります。
不動産売却までの流れと期間の目安
成年後見制度を利用して不動産を売却する場合、一般的な流れは以下のようになります。
- 家庭裁判所への後見開始の申立て:必要書類を収集・作成し、申立てを行います。
- 成年後見人の選任:家庭裁判所が審査を行い、候補者の中から(または弁護士や司法書士などの専門職から)成年後見人を選任します。(申立てから約2〜4ヶ月)
- 居住用不動産処分許可の申立て:売却する不動産がご本人のご自宅である場合、売却に先立ち「この不動産を売却することを許可してください」という申立てを家庭裁判所に行い、許可を得る必要があります。
- 不動産の売買活動・契約:後見人が不動産会社と媒介契約を結び、買主を見つけ、売買契約を締結します。
- 決済・登記:買主から売買代金を受け取り、司法書士が所有権移転登記を申請します。
申立てから後見人が選任されるまでに数ヶ月、さらに居住用不動産の売却許可にも時間がかかるため、全体としては半年以上の期間を見ておけるとよいでしょう。
メリットと知っておくべき注意点
成年後見制度には、メリットだけでなく、知っておくべき注意点もあります。両方を理解した上で、利用を検討することが大切です。
メリット
- 法的に正当な手続きで不動産を売却できる:後々のトラブルの心配なく、堂々と売却手続きを進められます。
- 本人の財産が守られる:後見人は家庭裁判所の監督下にあり、本人の利益に反するような財産の使い方はできません。悪質な詐欺などから財産を守ることにも繋がります。
注意点
- 申立てや後見人への報酬に費用がかかる:申立ての実費のほか、専門家が後見人に選ばれた場合は、月々の報酬が発生します。
- 後見は原則として本人が亡くなるまで続く:不動産売却という目的が達成された後も、後見人による財産管理は続きます。
- 財産の利用に一定の制限がかかる:本人の財産は本人のためにしか使えなくなるため、例えば家族の生活費に充てる、といったことは原則として認められません(例外あり)。
不動産と法律の専門家だからできる、私たちの強み
認知症の方の不動産売却は、法律の知識だけ、あるいは不動産取引の知識だけでは、スムーズに進めることが非常に困難です。その両方に精通していることこそ、下北沢司法書士事務所の強みです。

宅建士資格と不動産実務経験を活かしたサポート
当事務所では司法書士資格に加えは、宅地建物取引士・管理業務主任者の資格を保有しています。また、過去には不動産会社やマンション管理会社での勤務経験もあり、不動産業界の慣習や実務を理解しています。
そのため、単に登記手続きを代行するだけでなく、
- 信頼できる不動産会社の選び方
- 売却活動の進め方に関するアドバイス
- 売買契約書の内容チェック
など、不動産売却のプロセス全体を見据えた、実践的なサポートが可能です。法律と実務、両方の視点から、あなたにとって最善の道筋をご提案します。
成年後見人としての不動産売却サポート
私たちは、家庭裁判所から選任され、成年後見人としてご本人の財産管理を行う業務にも力を入れています。これまでにも、成年後見人という立場で、ご本人に代わって不動産売却の手続きを担当した経験がございます。
家庭裁判所への複雑な許可申立ての手続き、不動産会社との連携、買主様との条件交渉など、豊富な経験と実績があります。困難な状況であっても、安心して私たちにお任せください。
まとめ:一人で悩まず、まずは専門家にご相談ください
ご親族が認知症になった中での不動産売却は、法律的な手続きの複雑さに加え、ご家族の精神的なご負担も大きい、非常にデリケートな問題です。
この記事でお伝えしたかったことは、以下の2点です。
- 認知症を理由に、不動産売却を諦める必要はないこと。成年後見制度という、国が定めた正式な手続きがあります。
- 問題を解決するためには、不動産と法律、両方の知見を持った専門家のサポートが不可欠であること。
何から手をつけていいか分からない、誰に相談すればいいか分からない、そんな時は、どうか一人で抱え込まないでください。
当事務所の司法書士は、心理カウンセラーの資格も有しており、ご相談時には皆様のお気持ちに配慮し、丁寧にお話を伺うことを大切にしています。ご状況を整理し、法的な観点から解決策をご提案いたします。
成年後見人の就任実績エリアも事務所のある世田谷の方だけでなく、中野区の方や茨城県の方、横浜市の方や千葉県の方など広範囲で実績があります。
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下北沢司法書士事務所 竹内友章

東京都世田谷区北沢にある下北沢司法書士事務所は、相続手続き、遺言作成、相続放棄、会社設立、不動産売却など、幅広い法務サービスを提供しています。代表の竹内友章は、不動産業界での経験を持ち、宅地建物取引士や管理業務主任者の資格を活かし、丁寧で分かりやすいサポートを心掛けています。下北沢駅から徒歩3分の便利な立地で、土日も対応可能です。お気軽にご相談ください。
成年後見の不動産売却|契約後のトラブル解決実例
売買契約後に発覚した判断能力の問題。あなたならどうしますか?
「お父様は、ご自身の意思で不動産を売却できる状態にないようです。このままでは決済手続きは進められません」
不動産売買の決済(残代金の支払いと物件の引渡し)目前で、司法書士からこう告げられたらあなたはどうしますか?
良かれと思って進めてきた親御さんの不動産売却。契約も無事に終わり、あとはお金を受け取るだけ…そう思っていた矢先の出来事です。頭が真っ白になり、「契約が無効になる?」「買主から違約金を請求されるのでは?」「他の兄弟にどう説明すれば…」といった不安が一気に押し寄せてくるのではないでしょうか。
高齢化が進む現代において、これは決して他人事ではありません。不動産売買契約という重要な法律行為の途中で、売主様の判断能力が問題となるケースは、残念ながら少なくないのです。
この記事では、実際にあった相談を基に、契約無効の危機に瀕した不動産売却を成年後見制度を利用して解決に導いた類型的な事例をモデルケースとして、その具体的な解決プロセスを詳細に解説します。
当事務所は、単に法律手続きを行うだけでなく、代表司法書士が持つ不動産会社での実務経験や宅地建物取引士としての知見を活かし、このような複雑な事案について対応実績がございます。もし今、あなたが同じような状況で出口の見えない不安の中にいるのなら、この記事が解決への一つの参考情報となれば幸いです。

【司法書士の実例】契約無効の危機から不動産売却を成功させた方法
これは、実際にあったご相談をモデルケースとして再構成した、あるご家族の物語です。特定の個人が識別されないよう内容は抽象化していますが、皆様が直面しうる問題の核心に触れるものです。
司法書士が見た、ある売却トラブルの顛末
「もうどうしていいか分からないんです」
ご相談に来られたのは、憔悴しきった表情のご長男でした。お父様が施設に入所されたため、空き家になったご実家を売却する話を進めていたとのこと。買主も見つかり、売買契約も締結。あとは決済を待つばかりでした。しかし、決済直前の司法書士による本人確認の場で、事態は暗転します。お父様との会話が成り立たず、「ご本人の意思で売却するとは判断できない」と指摘されてしまったのです。
買主は当然、予定していた新生活のプランが崩れ、憤慨しています。決済日は刻一刻と迫り、このままでは契約違反として違約金問題に発展しかねません。さらに、売却を主導したご長男に対し、他のご兄弟から「一体どうなっているんだ」と非難の声が上がり始めていました。
まさに八方塞がりの状況で、ご長男は当事務所の扉を叩かれました。私は、ご親族からの要請を受け、家庭裁判所に申立てを行い、お父様の成年後見人に就任。この状況から、売買を完遂させるのが仕事でした。
成年後見人に就任したからといって、すぐに売却できるわけではありません。むしろ、ここからが大変でした。なぜなら、法的に見れば「契約締結時点でお父様に判断能力がなかった可能性が高く、そもそも売買契約自体が無効である」という風にも考えられるからです。
無事に売却するために、私は3つの関門を突破する必要がありました。
第一の関門:契約無効を回避し「追認」する
まず乗り越えるべきは、「契約が無効かもしれない」という問題です。
不動産売買のような重要な契約は、当事者が「自分が何をしているか」を正しく理解していること(これを「意思能力」と言います)が前提となります。もし契約時に意思能力がなかったと判断されれば、その契約は法律上、初めからなかったこと(無効)になります。
しかし、今回のように成年後見人が就任した場合、後からその契約を有効なものとして認める「追認(ついにん)」という手続きが可能です。
本件の状況を総合的に考慮した結果、私はこの「追認」こそが、状況を打開するための有力な選択肢だと考えました。なぜなら、契約を白紙に戻して一から買主を探し直すことは、以下のような多大なデメリットを伴うからです。
- 時間と費用のロス:新たな買主が見つかる保証はなく、売却までにさらに時間がかかれば、固定資産税などの維持費もかさみます。
- 買主との深刻なトラブル:契約が無効となれば、手付金の返還等で問題が複雑化する可能性があります。例えば、民法第557条は手付による契約解除について定めていますが、履行に着手していた場合など状況は単純ではありません。買主が被った損害(新居の仮住まい費用など)について、賠償を求められる訴訟に発展するリスクもありました。
- より不利な条件での売却:一度トラブルがあった物件として、同条件で売却できるとは限りません。
そこで私は、家庭裁判所に対し、成年後見人としてこの契約を「追認」し、売却を前に進める方針を立てました。これは、単に手続きを簡略化するためではありません。ご本人様とご家族にとって、最も負担が少なく、かつ有益な解決策である考えたからです。
第二の関門:家庭裁判所を「説得」する論理
成年後見人が居住用不動産を売却するには、家庭裁判所の許可が不可欠です。ご本人様がお住まいになっていた不動産(居住用不動産)の売却は、生活基盤を失わせる重大な行為であるため、裁判所は非常に慎重に審査します。なぜこの契約をそのまま活かした方がいいのか、明確に言語化して説明する必要がありました。
私は後見人として、この売買契約を追認することが「ご本人様の利益に繋がる」ことを、多角的な視点から裁判所に説明しました。私が提示した説得の根拠は、主に以下の3点です。

- ご本人様の財産管理上の利益
お父様は既に施設に入所されており、今後ご自宅に戻って生活する可能性は身体的な問題から考えても極めて低い状況でした。空き家のまま所有し続けることは、固定資産税や管理費がかかるだけで、財産を減らす一方です。この契約条件は市場価格から見ても妥当であり、不動産を売却して管理しやすい預貯金に変えることは、ご本人様の財産を守る上で合理的かつ有益であると主張しました。 - 買主とのトラブル回避という利益
契約を一方的に破棄すれば、買主との間で深刻な法的トラブルに発展する可能性も高い状況でした。既に手付金も受け取っており、違約金や損害賠償請求に発展すれば、かえってご本人様の財産を大きく損なう結果になります。締結済みの契約を履行することこそが、無用な紛争を避け、経済的損失を防ぐ最善の道であることを訴えました。 - ご家族の心情への配慮(身上監護)
もしこの件が訴訟トラブルになれば、売却を主導したご長男に他のご兄弟からの非難が集中することも予想できました。親御さんとして、ご自身の財産が原因で子ども達が争うことを望むはずがありません。ご家族の平穏を保つことも、後見人としてのご本人様の心情に配慮する「身上監護」の重要な役目であると説明しました。
これらの主張は、司法書士としての法律知識だけでなく、宅地建物取引士として不動産取引の妥当性を判断する知識、そして後見人としてご本人様やご家族の状況を深く理解する視点が一体となって初めて構築できるものです。結果として、裁判所はこちらの方針を理解し、無事に売却の許可を得ることができました。
参考:成年被後見人(被保佐人、被補助人)の居住用不動産の処分について
第三の関門:「決済トラブル・違約金」を回避する交渉術
後見人の申し立て(申請手続き)をして後見人に就任、家庭裁判所の許可を得て不動産を売却するには数か月はかかってしまいます。当初の決済日はとうに過ぎてしまっており、買主の不満は募る一方でした。
ここで重要になるのが、買主との交渉です。私は後見人として直ちに買主側の不動産会社と連絡を取り、事情を丁寧に説明しました。そして、単に待ってほしいとお願いするのではなく、「決済日を延長するための覚書」の締結をこちらから提案しました。
この覚書には、
- 成年後見人として売却に向けて裁判所と調整中であること
- 家庭裁判所の許可が得られ次第、速やかに決済を行うこと
- 手続き中の進捗を定期的に報告すること
などを明記し、法的な手続きに則って売却を進めるという真摯な姿勢を示しました。これにより、買主にも「ただ待たされる」のではなく、「法的なプロセスに則って確実に所有権が移転される」という安心感を持ってもらうことができました。
このような不動産実務に即した対応は、不動産会社での勤務経験があるからこそできる交渉術です。相手がどうすれば安心なのか、経験上分かりました。結果的に、買主のご理解を得て違約金等の請求を受けることなく、裁判所の許可後に無事決済を完了させることができました。

放置は危険!契約後の判断能力問題が招く最悪のシナリオ
もし、あのご家族が専門家に相談せず、問題を放置していたらどうなっていたでしょうか。考えられる最悪のシナリオは、一つではありません。
- 契約無効と違約金の支払い
買主側から契約の無効を主張され、受領した手付金の返還はもちろん、契約書に基づき手付金と同額の違約金を請求される可能性があります。 - 損害賠償請求訴訟
買主がこの売買を前提に他の家を売却していたり、引っ越しの手配を進めていたりした場合、違約金だけでは収まらず、それによって生じた損害の賠償を求める訴訟を起こされるリスクがあります。 - 不動産の塩漬け状態
トラブルが解決するまで、その不動産を他の人に売ることもできません。訴訟になれば数年単位で身動きが取れなくなり、その間の管理費や税金は払い続けなければなりません。 - 家族関係の崩壊
金銭的な損失以上に深刻なのが、家族間の亀裂です。「なぜあんな契約をしたんだ」「お前のせいで大変なことになった」と責任のなすり合いが始まり、修復不可能な関係になってしまうことも少なくありません。
一度こじれてしまった不動産トラブルを、当事者だけで解決するのは極めて困難です。感情的な対立も絡み合い、時間と共に問題はより複雑化していくのです。
高齢者の不動産売却こそ、専門家への相談が有効な選択肢です
今回の実例でお分かりいただけたように、成年後見が関わる不動産売却は、単に書類を作成して提出するだけの手続きではありません。それは、法律の知識、不動産取引の実務、そして裁判所や関係者を説得する交渉力が一体となって初めて前に進めることができる、専門的な知識と経験を要する業務と言えるでしょう。
当事務所の代表司法書士は、司法書士資格に加え、宅地建物取引士の資格と不動産営業マンとしての実務経験を有しており、依頼者様ごとに最適な解決策をご提案できるよう努めております。過去の不動産会社やマンション管理会社での勤務経験で培った「現場感覚」と、後見人として数多くの売却実績で得た「裁判所を説得するノウハウ」を兼ね備えています。
もしあなたが今、判断能力に不安のあるご家族の不動産売却でお悩みでしたら、一人で抱え込まないでください。問題が深刻化する前に、ぜひ一度、私たちの話を聞かせていただけませんか。状況を整理し、あなたにとって最善の道筋を一緒に考えます。エリアも東京23区(事務所のある世田谷から遠い区でも大丈夫です!)のご相談だけでなく、千葉・埼玉・神奈川など首都圏のご相談に対応します。
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下北沢司法書士事務所 竹内友章

東京都世田谷区北沢にある下北沢司法書士事務所は、相続手続き、遺言作成、相続放棄、会社設立、不動産売却など、幅広い法務サービスを提供しています。代表の竹内友章は、不動産業界での経験を持ち、宅地建物取引士や管理業務主任者の資格を活かし、丁寧で分かりやすいサポートを心掛けています。下北沢駅から徒歩3分の便利な立地で、土日も対応可能です。お気軽にご相談ください。
不動産売却、契約後の判断能力問題。専門家が事例解説
「契約は済んだのに…」不動産売却、決済直前の落とし穴
ご高齢の親御様が所有する不動産の売却。長い時間をかけて買主様を見つけ、無事に売買契約を締結し、あとは数か月後の決済(残代金の受領と物件の引渡し)を待つばかり…。「これで一安心」と胸をなでおろしたのも束の間、順調に進んでいたはずの計画が、ある日突然、暗礁に乗り上げてしまうことがあります。
その最大の原因の一つが、「売主様の判断能力の問題」です。
特に、売買契約が終わってから決済日までの間に、司法書士による本人確認などをきっかけにこの問題が発覚するケースは少なくありません。契約書に署名・捺印が済んでいるから大丈夫、というわけではないのです。
もし決済直前に「売主様は、ご自身の意思で不動産を売却することを本当に理解していますか?」という問いが突き付けられたらどうしますか? これは、決して他人事ではありません。大切な資産を守り、円満な取引を実現するために、すべての関係者が知っておくべき、不動産売却に潜む重大な落とし穴について解説します。
【実例】決済直前に司法書士から「診断書を」と言われたら
これは、当事務所が実際に経験したご相談です。(プライバシー保護のため事例は内容を一部変更・匿名化しています)この事例ほど、不動産売却における売主様の判断能力の重要性を痛感させられた案件はありませんでした。
司法書士が見た、ある不動産売却の舞台裏
ご相談者は、高齢のお父様が所有する不動産の売却を進めていたお子様でした。お父様は施設に入居されており、外出が難しいため、売却活動から買主様との契約まで、すべてお子様が代理人として進めてこられました。
滞りなく売買契約は完了。あとは2か月後の決済を待つだけという、まさに最終段階でした。
ところが、決済を目前に控えたある日、事態は急変します。決済時の登記手続きを担当する司法書士が、お父様の本人確認のために施設を訪れた後、不動産会社の担当者を通じてこう告げたのです。
「お父様の診断書を取得してください」
このまま淡々と決済手続きに向かうと思っていたご親族と不動産会社はかなり違和感を感じたようです。診断書取得の前に、同じ司法書士である私、竹内のもとへご相談が寄せられたのです。
この「診断書を」という言葉の裏にある本当の意味を、私は理解しました。これは、単なる確認書類の依頼ではありません。おそらく、「このままでは決済はできません。成年後見制度を利用しなければ、登記手続きは進められない」という意味です。
裁判所が成年後見の必要性を判断する際に参考とする医師の診断書(家庭裁判所所定様式の意見書)が重要な役割を果たします。診断書には医師の所見が記載され、必要に応じて認知機能検査の結果(MMSE・HDS‑R等)が添付されることがありますが、必ずしも特定の“計算問題”形式に限定されるわけではありません。ご高齢の方がこれを受けて「判断能力に全く問題なし」という結果を得るのは、かなり難しいように思えました。
状況を正確に把握するため、私もご本人様との面談をセッティングしていただきました。施設でお会いしたお父様は、残念ながらご自身の住所はおろか、お名前さえもはっきりとおっしゃることができない状態でした。診断書を取るまでもなく、ご自身の財産を売却するという重大な判断ができる状態ではないことは明らかでした。
最初の司法書士さんは、買主側の不動産会社が依頼した先生だったようです。おそらく、普段から付き合いのある買主様の手前、「決済は不可能です」と断言することができず、遠回しな表現になったのでしょう。
私はご家族に状況をありのままに説明しました。そしてご家族からの要請を受けて成年後見に就任し、裁判所との調整の上無事に売却を完了させました。
結果としては無事に売却できましたが、当初の決済予定日は数か月も後ろ倒しになりました。買主様のご理解があったからこそ契約解除には至りませんでしたが、一歩間違えれば、すべてが白紙に戻り、多額の違約金が発生していたかもしれないのです。
この一件は、売買契約を結ぶ「前」に、売主様の判断能力の状態を専門家が確認することの重要さを、改めて浮き彫りにした事例でした。

なぜ契約が無効に?不動産売買と「意思能力」の重要性
先の事例で、なぜ決済直前に手続きがストップしてしまったのでしょうか。それは、法律行為が有効に成立するための大前提である「意思能力」が関係しています。
意思能力とは、かんたんに言えば「自分が行う行為の結果を正しく理解し、判断できる能力」のことです。不動産売却でいえば、「この不動産を、いくらで、誰に売るのか。その結果、自分は所有権を失い、代わりに代金を受け取る」という契約内容を、きちんと理解している状態を指します。
民法第3条の2は、法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときはその法律行為は無効になると定めています(令和2年改正民法で明文化された規定です)。たとえ売買契約書に本人の署名や実印の押印があったとしても、契約時に意思能力がなければ、その契約は法的に効力を持ちません。
この「契約無効」のリスクは、売主様だけでなく、買主様や取引に関わるすべての人にとって、極めて深刻な問題を引き起こします。
司法書士が必ず行う「本人確認・意思確認」とは
不動産取引の最終段階である決済時には、必ず司法書士が立ち会います。司法書士の重要な役割の一つが、所有権移転登記の申請代理です。この登記を行うにあたり、司法書士には売主様ご本人の「本人確認」と「登記原因(売却の事実)の確認」、そして「売却する意思の確認」を行う法的義務があります。
たとえご家族が代理で手続きを進めていても、最終的には司法書士が売主様ご本人と直接面談し、「この不動産をご自身の意思で売却することに間違いありませんね?」と確認しなければなりません。この確認が取れない限り、司法書士は怖くて登記申請の委任を受けることができないのです。
先の事例で、買主側の司法書士が「診断書を」と要求したのは、この意思確認の過程で「ご本人に有効な売却の意思(意思能力)があるとは断定できない」と判断したためです。これは、司法書士としての当然の職責なのです。
「認知症=即、契約無効」ではないが…潜むリスク
ここで注意が必要なのは、「認知症っぽいからといって、即座にすべての契約が無効になる」というわけではない、という点です。認知症の症状には波があり、軽度であれば契約内容を十分に理解できる方もいらっしゃいます。
しかし、問題なのは、その判断が非常に難しいということです。契約時点での意思能力の有無は、後になってから他の親族などが「あの時の契約は無効だ」と裁判で争う火種になり得ます。
買主様からすれば、代金を支払ったのに、後から契約の無効を主張されて所有権を失うかもしれない、という大きなリスクを抱えることになります。このような不確実性がある以上、少しでも意思能力に疑いがあれば、専門家は手続きを進めることに慎重にならざるを得ません。安易な自己判断は、関係者全員を大きなトラブルに巻き込む危険性をはらんでいるのです。

対応が遅れた場合の最悪のシナリオ
「少し様子を見よう」「なんとかなるだろう」といった対応の遅れは、取り返しのつかない事態を招く可能性があります。具体的にどのようなリスクが考えられるのか、それぞれの立場から見ていきましょう。
買主への違約金発生と信頼失墜
売主側の事情で定められた決済日に物件を引き渡せない場合、契約違反となります。これにより、売買契約書に基づき、買主様に対して違約金を支払う義務が生じる可能性があります。違約金は契約書で個別に定められるため金額はケースバイケースですが、実務上、契約書で売買価格の10%~20%程度に設定されることもあり、例えば3,000万円の物件であれば300万円から600万円もの高額な金銭的負担が発生しかねません。
さらに、買主様が住宅ローンを利用する場合、金融機関との金銭消費貸借契約にも影響が及びます。決済の遅延は、買主様の人生設計を大きく狂わせ、売主様は社会的な信用を失うことにも繋がります。
売却機会の損失と資産価値の下落
一度契約が白紙に戻ってしまうと、同じ条件で新たな買主様を見つけるのは容易ではありません。不動産業界では情報が広まりやすく、「何か問題があった物件(訳あり物件)」というレッテルを貼られてしまう恐れがあります。
その結果、次の買主様が見つかりにくくなったり、売却価格を大幅に下げざるを得なくなったりするケースも少なくありません。対応が遅れるほど、大切な資産の価値が目減りしていくという、まさに「時間との勝負」になるのです。
家族・親族間のトラブルへの発展
不動産という高額な資産が絡む問題は、家族や親族の関係に深刻な亀裂を生じさせることがあります。判断能力の問題が発覚すると、「なぜもっと早く気づかなかったのか」「対応が悪いからこうなった」といった責任のなすり合いが始まることがあります。
また、売却手続きを進めていなかった他のご兄弟などから、「親の判断能力がないのに勝手に話を進めたのではないか」と疑念を抱かれ、関係が悪化することも考えられます。法律問題が、解決の難しい感情的なしこりを残してしまうのです。心理カウンセラーの視点からも、このようなご家族の精神的負担は計り知れないものがあると実感しています。

唯一の解決策「成年後見制度」の利用と専門家の役割
では、売主様の意思能力が不十分だと判断された場合、不動産売却を諦めるしかないのでしょうか。いいえ、そうではありません。
このような状況で、法的に正しく、安全に不動産売却を進めるためのほぼ唯一の手段が「成年後見制度」の利用です。
成年後見制度とは、判断能力が不十分な方に代わって財産を管理したり、契約などの法律行為を行ったりする「成年後見人」を、家庭裁判所が選任する制度です。ご親族または司法書士などの専門家が後見人となり、ご本人の利益を守るために活動します。
自宅不動産を売却する場合は、後見人が単独で判断するのではなく、「居住用不動産処分許可」を家庭裁判所に申し立て、その許可を得る必要があります。裁判所が「ご本人のために売却が必要である」と判断して初めて、後見人は本人に代わって買主様と売買契約を結び、決済手続きを進めることができるのです。
この一連の手続きは、専門的な知識と多くの書類作成が必要となるため、司法書士のような専門家のサポートが不可欠です。専門家が関与することで、法的に保護された安全な取引を実現し、買主様や関係者にも安心して手続きを進めてもらうことができます。
手遅れになる前に。判断能力の確認は「契約前」が鉄則
ここまで解説してきたように、判断能力の問題は、発覚するタイミングが遅れれば遅れるほど、関係者全員に大きな負担と損害を与えます。
このトラブルを未然に防ぐために最も重要なことは、たった一つです。
それは、不動産会社と媒介契約を結ぶ前、あるいは売買契約を締結する「前」の段階で、売主様の判断能力について専門家による客観的な確認を行うことです。というよりも、売却活動の初動から判断能力を確認しながら進めるべきです。
「うちの親はまだ大丈夫だろう」「家族がしっかりしているから問題ない」といった希望的観測は禁物です。少しでもご不安な点があれば、売却活動を本格的に開始する前に、一度司法書士にご相談ください。
事前に成年後見制度の利用が必要だと分かっていれば、売却活動のスケジュールもそれに合わせて組むことができます。買主様にも事情を説明した上で契約に臨めるため、決済直前になって慌てることも、契約が破談になるリスクもありません。結果として、それが時間と費用、そして何よりご家族の精神的な平穏を守るための、最も確実な近道となるのです。
不動産売却の判断能力でお悩みなら当事務所へご相談を
高齢の親御様の不動産売却は、法律や税金の手続きだけでなく、ご本人の意思やご家族のお気持ちなど、非常にデリケートな問題が絡み合います。
「親の判断能力について、誰に相談すればいいか分からない」
「不動産会社から、後見制度の利用を勧められたが、どうすれば…」
「契約を控えているが、このまま進めて良いのか不安だ」
このようなお悩みを抱えていらっしゃるなら、ぜひ一度、下北沢司法書士事務所にご相談ください。
当事務所の代表司法書士は、不動産会社での勤務経験があり、法律だけでなく不動産取引の実務にも精通しています。机上の空論ではない、現場の実情を踏まえた具体的なアドバイスが可能です。
また、司法書士だけでなく上級心理カウンセラー資格を有しており、法律的な問題解決と同時に、ご家族が抱える不安やストレスに寄り添い、心に優しいサポートを提供することを目指しています。成年後見制度を利用すべきか迷われている段階でも構いません。ご家族にとって最善の道は何かを「一緒に考え、提案する」パートナーになります。
初回のご相談は無料です(要予約)。土日祝日のご相談も承っておりますので、まずはお気軽にお気持ちをお聞かせください。専門家として、事案に応じた適切な対応を一緒に検討させていただきます。エリアも東京23区や狛江市、稲城市などの東京都下、首都圏(千葉・神奈川・埼玉・茨城など)のご相談に対応しています。
対応エリア | 相続手続、遺言、相続放棄、会社設立、不動産売却なら下北沢司法書士事務所
ぜひお気軽にご相談ください!
下北沢司法書士事務所 竹内友章

東京都世田谷区北沢にある下北沢司法書士事務所は、相続手続き、遺言作成、相続放棄、会社設立、不動産売却など、幅広い法務サービスを提供しています。代表の竹内友章は、不動産業界での経験を持ち、宅地建物取引士や管理業務主任者の資格を活かし、丁寧で分かりやすいサポートを心掛けています。下北沢駅から徒歩3分の便利な立地で、土日も対応可能です。お気軽にご相談ください。
不動産売却に強い司法書士とは?宅建士登録まである司法書士が解説
不動産売却、こんなお悩みありませんか?
大切な不動産の売却を考えたとき、多くの方が手続きの複雑さや将来への不安に直面します。特に、一筋縄ではいかない事情が絡むと、その悩みはさらに深くなるものです。
- 親から不動産を相続したけれど、相続人が複数いて話がまとまらない…。
- 遠方に住んでいて、空き家になった実家の管理も売却手続きも大変で困っている。
- 共有名義になっている不動産を売りたいが、他の共有者にどう説明し、どう分配すれば納得してもらえるか分からない。
- 実は、売却したい物件で孤独死があり、何から手をつければ良いのか途方に暮れている。
- 住宅ローンの返済が厳しくなって来た。任意売却も選択肢に入れたいが、誰に相談すれば…。
このようなお悩みは、単に不動産を売るというだけでなく、法律や税金、そしてご家族の感情といった様々な要素が複雑に絡み合っています。不動産会社に相談するだけで、本当にすべて解決できるのでしょうか?
もし少しでも不安を感じていらっしゃるなら、この記事がきっとお役に立てるはずです。複雑な不動産売却を円満に進めるための、新しい視点をご紹介します。

なぜ「ただの司法書士」では不十分なのか?
不動産の売却といえば、「司法書士は登記をする人」というイメージが強いかもしれません。もちろん、それは司法書士の重要な役割の一つです。しかし、複雑な事情を抱えた不動産売却では、登記手続きを専業にする司法書士に相談するのはもったいない。宅地建物取引士でもある司法書士に相談することによって、出口になる売却まで見据えた段取り設計が可能になります。
登記はできても、不動産取引の実務は専門外
司法書士は、不動産の権利関係を法的に確定させる「登記」の専門家です。売買が成立した後、買主様へ間違いなく所有権が移転したことを法務局に申請し、登記簿に記録する手続きは、私たちの独占業務です。
しかし、その前段階である「どうすれば不動産が適正な価格で、スムーズに売れるか」という不動産取引の実務、例えば市場の動向分析、売却価格の査定、販売戦略の立案、購入希望者との交渉といったプロセスは、本来、不動産仲介会社が担う領域です。
つまり、一般的な司法書士は、法律と手続きのプロではあっても、不動産取引そのものはあまり詳しくないというか、全然知らないことも多いのです。
複雑な案件ほど、手続きと実務の連携が不可欠に
特に、相続や共有名義の不動産、孤独死があった物件など、複雑な案件になればなるほど、法的手続き(登記)と不動産実務(売却活動)の連携が成功のカギを握ります。
- 相続不動産の場合:相続人全員の協力がなければ遺産分割協議はまとまらず、相続登記もできません。多くの場合、名義関係が整理されていることがスムーズな売却に有利です。
- 共有名義不動産の場合:共有者全員の「売りたい」という意思と、売却価格や経費負担、手取り額の分配方法についての合意がなければ、売買契約は結べません。
- 孤独死があった物件の場合:相続手続きと並行して、特殊清掃の手配や心理的な問題(瑕疵)をどう買主に伝えるかなど、法務と実務の両面から慎重な対応が求められます。
手続きと実務は車の両輪のようなもの。片方だけが進んでも、もう片方が止まっていては、不動産売却というゴールにはたどり着けないのです。

宅建士登録済の司法書士が持つ「3つの解決力」
では、どうすればこの「手続き」と「実務」の壁を乗り越えられるのでしょうか。その答えが、宅地建物取引士(宅建士)の資格を持ち、実務登録まで済ませている司法書士に相談することです。私は司法書士になる前に、不動産会社に営業マンとしての勤務経験とマンション管理会社への勤務経験があります。ここでは不動産取引の現場を知り尽くしているからこそ提供できる、3つの「解決力」をご紹介します。
解決力1:不動産会社と対等に話せる「実務知識」
不動産売却を成功させるには、信頼できる不動産会社との連携が欠かせません。しかし、専門用語が飛び交う打ち合わせや、提示された査定価格、売却戦略が本当に妥当なのか、一般の方が判断するのは難しいものです。
私自身、過去に不動産会社の営業として勤務した経験があるため、業界の慣習や営業担当者の考え方を深く理解しています。そのため、不動産会社と対等な立場で、専門的な視点からコミュニケーションをとることができます。
売主様にとって不利な条件になっていないか、より良い売却方法はないかといった点を、不動産会社との連携や法的手続きの面でサポートします。
解決力2:共有者も納得する「手取り額の精密計算」
共有名義の不動産売却で最もトラブルになりやすいのが、「お金」の問題です。「最終的に、自分の手元にいくら残るのか」が不明確なままでは、共有者全員の合意を得ることは困難です。
私たちは、単に登記手続きを行うだけではありません。売却価格から、不動産会社に支払う仲介手数料、登記費用、印紙代、などをすべて差し引き、各共有者の持分に応じた「手取り額」の概算見積を算出します。
必要に応じて税理士とも連携し、客観的で透明性の高い資料を作成してご説明することで、感情的な対立を避け、全員が安心して納得できる円満な合意形成をお手伝いします。
解決力3:困難な売却を実現する「豊富な経験」
宅地建物取引士の資格は試験合格後に都道府県知事への登録が必要です。。宅地建物取引士は試験に合格するだけでなく、原則として2年以上の「実務経験」が無いと登録できません。そのため、司法書士の資格に加えて宅建士の「登録」までしている専門家は、実はそれほど多くありません。
私は不動産営業としての実務経験があるため、この登録をしています。この経験は、教科書的な知識だけでは対応できない、現実の複雑な課題を解決するために不可欠です。
これまで、成年後見人の方がご本人に代わって不動産を売却するケース、相続人が多数にのぼるケースや相続人間での話し合いが難しいケース、長年放置された空き家の売却、特殊な事情のある物件の売却、そして借金の返済に悩む方の任意売却など、様々なパターンの売却をサポートしてまいりました。これらの経験があるからこそ、お客様一人ひとりの状況に合わせた最適な解決策をご提案できるのです。

【事例別】司法書士がサポートする不動産売却の流れ
それでは、具体的にどのようなサポートが受けられるのか、代表的なケースを例にご紹介します。
ケース1:相続人が複数いる不動産の売却
- ご相談・相続人調査:まず、誰が相続人になるのかを戸籍等で正確に確定させます。
- 遺産分割協議のサポート:相続人全員で、誰が不動産を相続し、どのように売却して代金を分けるかを話し合います。私たちは法律の専門家として、また中立的な第三者として話し合いに参加し、円満な合意形成をサポートします。
- 遺産分割協議書の作成:合意内容を法的に有効な書面(遺産分割協議書)として作成します。
- 相続登記の申請:協議書に基づき、不動産の名義を代表の相続人様へ変更します(不動産の名義変更(相続登記))。相続登記が完了していることが売却を円滑にする重要な要素ですが、物件状況や売却方法によっては登記手続と並行して販売準備を進めることもあります。具体的な対応は個別にご相談ください。
- 不動産会社との連携・売却活動:信頼できる不動産会社と連携し、売却活動を開始します。私たちは売主様の代理人として、不動産会社とのやり取りを全面的にサポートします。
- 売買契約・決済・代金分配:買主様が見つかったら売買契約を結び、代金の決済を行います。決済の場には司法書士として立ち会い、所有権移転登記を確実に申請します。その後、事前に作成した計算書に基づき、各相続人様へ売却代金を正確に分配します。
- ケース1:相続人が複数いる不動産の売却
- ご相談・相続人調査:まず、誰が相続人になるのかを戸籍等で正確に確定させます。
- 遺産分割協議のサポート:相続人全員で、誰が不動産を相続し、どのように売却して代金を分けるかを話し合います。私たちは法律の専門家として、また中立的な第三者として話し合いに参加し、円満な合意形成をサポートします。
- 遺産分割協議書の作成:合意内容を法的に有効な書面(遺産分割協議書)として作成します。
- 相続登記の申請:協議書に基づき、不動産の名義を代表の相続人様へ変更します(不動産の名義変更(相続登記))。相続登記が完了していることが売却を円滑にする重要な要素ですが、物件状況や売却方法によっては登記手続と並行して販売準備を進めることもあります。具体的な対応は個別にご相談ください。
- 不動産会社との連携・売却活動:信頼できる不動産会社と連携し、売却活動を開始します。私たちは売主様の代理人として、不動産会社とのやり取りを全面的にサポートします。
- 売買契約・決済・代金分配:買主様が見つかったら売買契約を結び、代金の決済を行います。決済の場には司法書士として立ち会い、所有権移転登記を確実に申請します。その後、事前に作成した計算書に基づき、各相続人様へ売却代金を正確に分配します。
ケース2:成年後見人に就任した上での不動産売却
- ご相談・現状把握:成年後見制度は認知症になった方の財産管理をする制度。判断能力がないと思われる程度まで認知症が進んで方はこの制度を利用しないと売却ができません。まずはご家族にお話を聞く、実際にご本人とお会いするなど状況把握をします。
- 家庭裁判所へ後見申し立て:後見人になるのは、ご要望に応じてご司法書士が後見人になる方向で裁判所への提出書類を作成します。この時誰が後見人になるかは重要ポイントですので、しっかりとご本人のご親族に今後どのような展開になるのかなどを説明します。また、家庭裁判所への提出書類には売却を前提としており、後見人の候補者となる人がなぜふさわしいかなど、無事に選ばれるよう意識した書類作成が大事になります。
- 不動産会社との連携・売却戦略の立案:後見制度を利用した不動産売却は、裁判所の許可や調整など通常の売却とは違う要素が加わります。相手方とのトラブルにならないためにも、裁判所対応でかかる時間などを見越した段取りを組む必要があります。売却後にトラブルになると対応もしにくいため契約不適合責任を免責にするのも大事です。
- 家庭裁判所の許可:売却相手や金額が固まったら、家庭裁判所の許可を得ます。成年後見制度を利用した不動産売却は自宅の場合は家庭裁判所の許可が必要ですし、例え収益用などで居住していない場合でも家裁に黙ってやるのはほぼトラブルになると考えた方が良いです。事実上、いずれにしても許可が必要であり裁判所への理由説明・求められる添付書類の準備などで技術が求められる場面です。
- 決済手続き:裁判所への報告:裁判所との調整がつくといよいよ売買契約や決済手続きです。通常の決済と売買登記の添付書類が違ったり、売却後には資料を添付して家庭裁判所への報告が必要などここでも通常の売買とは違う点があります。
ケース2:孤独死があった物件の売却
- ご相談・現状把握:まずは大家さんに状況を丁寧にお伺いします。
- 孤独した方の相続人とのやりとり:ここでは孤独死した方の相続人との間のトラブルを防ぐため、円満解決に向けたやりとりをします。詳しくはこちらの記事もご参照ください。
- 不動産会社との連携・売却戦略の立案:孤独死があった物件(心理的瑕疵物件)の売却経験が豊富な不動産会社と連携します。買主様への告知義務を適切に果たしながら、適正な価格で売却できるよう戦略を練ります。入居が全員退去するまで時間や保証費用は要しますが、更地にして売却するのも有力な選択肢。詳しくは当事務所の「売却のコツ!孤独死があった不動産」に関する記事でも解説しています。
- 売買契約・決済:通常の売却と同様に、契約から決済まで責任を持って立ち会い、最後まで安心して取引を終えられるようサポートします。

不動産売却に強い司法書士への相談費用
「専門家に頼むと、費用が高くなるのでは…」とご心配されるかもしれません。当事務所では、お客様に安心してご相談いただけるよう、明確な料金体系を心がけております。
お話の内容を丁寧に伺った上、内訳の詳細を記載したお見積りを作業前に取り掛かる前に提示します。大切なのはトータルでの費用対効果です。相続手続き、不動産会社とのやり取り、税金の計算などを個別の専門家に依頼した場合、かえって時間や手間、費用が膨らんでしまう可能性があります。
司法書士、そして宅建士という両方の視点からワンストップでサポートすることで、無駄な手続きを省き、結果としてお客様の負担を軽減できるケースも少なくありません。もちろん、全体としてお客様にメリットが大きい、そんな金額でのご提案を心がけています。相続財産額が小さいのに費用ばかりかかって費用倒れになる。そんなことはないような提案をしますのでご安心ください。
まとめ:不動産売却を考えている時は、出口戦略まで見据えた司法書士へ
不動産の売却は、多くの方にとって人生で何度も経験することのない大きな出来事です。特に、相続などが絡む複雑な案件では、法律や登記の知識だけ、あるいは不動産取引の知識だけでは、乗り越えられない壁に突き当たることがあります。
法的な手続きを正確に進める「登記の専門知識」と、不動産市場や取引の慣習を熟知した「実務の知見」。この両方を兼ね備えた宅建士登録済みの司法書士は、売主様の不安に寄り添い、あらゆる問題を整理し、円満な売却というゴールまで伴走できる、最も頼れるパートナーとなり得ます。
もしあなたが今、複雑な不動産売却を前にお一人で悩んでいるのであれば、どうかそのお悩みを私たちにお聞かせください。法律家として、そして不動産実務の経験者として、心理的配慮もしながら対応し、最善の解決策を一緒に見つけていくために尽力いたします。
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手続きの煩わしさやストレスから解放され、新たな一歩を踏み出すために。まずは、当事務所の無料相談はこちらから、お気軽にご連絡ください。

東京都世田谷区北沢にある下北沢司法書士事務所は、相続手続き、遺言作成、相続放棄、会社設立、不動産売却など、幅広い法務サービスを提供しています。代表の竹内友章は、不動産業界での経験を持ち、宅地建物取引士や管理業務主任者の資格を活かし、丁寧で分かりやすいサポートを心掛けています。下北沢駅から徒歩3分の便利な立地で、土日も対応可能です。お気軽にご相談ください。
孤独死で相続放棄された大家さんへ|司法書士の交渉術
相続放棄され八方塞がり…大家さん、一人で悩んでいませんか?
「入居者様が室内で亡くなられました」一本の電話から、大変な状況に追い込まれる大家さんはたくさんいらっしゃいます。警察の現場検証が終わり、ようやくご遺族と連絡が取れたと思ったら、数週間後に届いたのは「相続放棄するので何もできません」との連絡。目の前の部屋には、故人の生活の痕跡が生々しく残されたまま。家賃は途絶え、部屋を片付けることも、次の入居者を募集することもできない。時間は過ぎていくのに、何も前に進まない。そんな八方塞がりの状況に、一人で途方に暮れてはいませんか?
孤独死の精神的、経営的なショックに加え、相続人全員に相続放棄されてしまうと、大家さんは法的な迷路に迷い込んでしまいます。「残置物を勝手に処分していいのか?」「このまま部屋を放置し続けるしかないのか?」次から次へと湧き上がる不安と焦りに、夜も眠れない日々を過ごされているかもしれません。
ですが、どうかご安心ください。あなたは一人ではありません。このような複雑で困難な状況を打開し、解決へと導くための法的な道筋は、確かに存在します。この記事では、単に法律を解説するだけでなく、あなたのその辛いお気持ちに寄り添いながら、具体的な解決策を一つひとつ丁寧に紐解いていきます。

なぜ相続人は残置物撤去に同意してくれないのか?
大家さんにとって不可解に思えるのが、「相続放棄したのなら、もう関係ないのだから、せめて部屋の片付けくらい協力してくれても…」という気持ちではないでしょうか。しかし、相続人が残置物撤去に非協力的なのには、明確な法的・心理的な理由があります。
最大の理由は、相続放棄者が「相続財産に手を出すと、相続放棄が無効になる(単純承認とみなされる)かもしれない」という強い懸念を抱いているからです。
相続放棄の手続きを依頼した弁護士や司法書士から、多くの場合、「故人の財産には一切手をつけてはいけません。下手に動くと、借金も含めてすべてを相続する『単純承認』とみなされるリスクがあります」と指導されています。相続人にとって、残置物は「故人の財産」であり、それを自ら処分することは「相続財産を処分した」と解釈されかねない危険な行為なのです。
また、法的に見ても、相続放棄をした人は、その相続に関して初めから相続人ではなかったことになります(民法第939条)。つまり、残置物を撤去する法的な義務は一切ありません。
大家さんとしては一日も早く部屋を原状回復したいという切実な思いがある一方で、相続人側には「法的な義務はなく、むしろ下手に動くとリスクを負う」という状況があるのです。この認識のズレが、両者の対立を生む根本的な原因となっています。したがって、感情的に撤去を要求するだけでは、交渉は平行線をたどるばかりか、かえって相手の態度を硬化させてしまうことになりかねません。

当事務所が行う交渉の方針と手法
では、どうすればこの膠着状態を打開できるのでしょうか。重要なのは、相手を追い詰めるのではなく、相手の法的リスクに配慮しながら、こちらの要望を受け入れてもらえるよう、交渉を進めることです。当事務所では、このような状況で円満な合意形成を図るため、専門的な知識と経験に基づいた交渉術を実践しています。
ステップ1:相続放棄の事実確認と相手への共感
交渉の第一歩は、感情的な要求をぶつけることではありません。まずは冷静に、法的な事実関係を確定させることが重要です。
具体的には、まず相手方に対し、家庭裁判所が発行する「相続放棄申述受理証明書」の提供を丁寧に依頼します。これにより、「相続放棄をした」という事実が口頭の伝聞ではなく、公的な書面で確認できます。これは、後の手続きを円滑に進めるための基礎となります。
その上で、交渉の際には「この度はご愁傷様でございます。また、ご事情があって相続放棄をされたとのこと、お察しいたします」といった、相手の立場に寄り添う言葉を伝えることが、信頼関係を築く上で非常に重要です。突然のことで動揺し、法的な手続きに不安を感じているのは相手も同じです。高圧的な態度ではなく、共感的な姿勢で接することが、相手の心を開き、その後の交渉をスムーズに進めるための鍵となります。
ステップ2:「所有権の放棄」ではなく「異議なきことの表明」を求める
ここが交渉における最も専門的で重要なポイントです。相続放棄者が最も恐れている「単純承認のリスク」を完全に排除し、安心して協力してもらえるようなロジックを構築します。
私たちは、相続放棄者に対して「残置物を片付けてください」と直接要求する(=所有権の行使を促す)のではありません。そうではなく、「大家であるこちらが、残っているお荷物を処分することについて、相続財産ではないため異議はありません」という意思を表明してもらう(=同意書に署名捺印してもらう)というアプローチを取ります。この方法は相続放棄者の懸念を和らげる一手段となる場合がありますが、文言の設計や個別の状況によって法的な影響は異なるため、詳細は専門家にご相談いただくことが重要です。
■ある司法書士の交渉記録から:なぜ「異議なし」が有効なのか
以前、賃借人が孤独死し、相続人全員に相続放棄されてしまった大家さんからご相談がありました。相続人は、「相続放棄したので一切関係ない。残置物に触れると相続放棄が無効になるリスクがあるので、同意もできない」と一点張りで、完全に手詰まりの状態でした。
そこで私は、まず書面で相手方の相続人に対し、「相続放棄申述受理証明書」の提出をお願いし、事実関係を確認しました。その上で、相手の立場に理解を示しつつ、次のような論理で交渉を進めました。
「残置物の撤去を積極的に『行う』ことは、ご指摘の通り、ご自身の財産であることを前提とした行為と見なされ、相続放棄の無効原因となり得ます。そのご懸念はもっともです。しかし、今回お願いしたいのは、『大家が残置物を処分することに対し、ご自身の財産ではない以上、何ら異議を述べない』という意思を表明していただきたい、という一点です。これは、むしろご自身の財産ではないことを明確にする行為であり、相続放棄の趣旨に反するものではありません。」
この説明により、相手方もリスクがないと判断し、最終的に相続人から「残置物の処分に対し異議がない」旨の同意書を取得することができました。この「異議なきことの表明」というアプローチこそが、相手の懸念を払拭し、膠着した状況を打開する鍵になりました。
ステップ3:司法書士の「簡裁代理権」で交渉を代行
とはいえ、大家さんご自身が、法的な知識を背景にこうした専門的な交渉を行うのは、精神的にも時間的にも大きな負担となります。
このような場合、私たち司法書士が大家さんの代理人として、相手方との交渉を行うことができます。司法書士には、法務大臣の認定を受けることで、訴額が140万円以下の事件の簡易裁判所における訴訟代理権が与えられています。これには、裁判外での和解交渉や、それに伴う書面作成の代理も含まれます(簡裁訴訟代理等関係業務)。単身者用のアパートであればこの要件に該当することは非常に多く、その場合は大家さんの代理人として交渉することもできます。
具体的には、以下のような業務を大家さんに代わって行います。
- 通知書の作成・送付
- 相手方(相続放棄者やその代理人)との交渉
- 残置物処分に関する同意書の作成と取り交わし
法律の専門家が代理人として交渉することで、相手方も安心して話し合いに応じやすくなり、大家さんの精神的・時間的なご負担を大幅に軽減しながら、円満な解決を目指すことが可能になります。

相続財産清算人。相続放棄に対する解決方法ではあるが・・・
ところで、相続人がいない場合の対応として法律的に真っ先にあげられるのは、「相続財産清算人」の選任です。この方法では対応できないでのでしょうか。相続財産清算人は、亡くなった人の財産を清算し、相続手続きを完了させる立場です。もちろんこの方法によることもできますが裁判所への申し立て、清算人の選任、債権者の申し出期間など手続きと期間が法律で決められおり、1年以上の期間や費用がかかります。確かに相続財産清算人を選ぶのが正しい手続きかも知れませんが、賃貸アパートの1室の孤独死対応としては、あまりにも手続きが重すぎます。
残置物撤去後、物件を再生し未来へつなげるには
相続放棄者からの同意を得て、無事に残置物を撤去できた後、大家さんには次のステップが待っています。それは、大切な資産である物件を再生し、未来へつなげることです。相手を追い詰めすぎず、立場に配慮しながら円満に解決することで、この未来への一歩をスムーズに踏み出すことができます。
残置物撤去後の選択肢は、大きく分けて2つ考えられます。
- 特殊清掃・リフォームを行い、新たな賃借人を募集する
孤独死があった場合、通常のハウスクリーニングでは対応できない特殊清掃や消臭、場合によっては内装のリフォームが必要となります。物件を再び収益資産として蘇らせるための、最も基本的な選択肢です。 - 解体後、更地売却する
アパートの場合、売却を検討なされる方も非常に多くいらっしゃいます。古い物件の場合は、孤独死が無くとも売却を考えていたという大家さんもたくさんいらっしゃいます。全ての賃借人が退去するまで粘り強く交渉したり、待つ必要がありますが建物を解体して更地にすれば、思いのほか孤独死による価値の低下も抑えられる可能性も十分にあります。不動産売却の流れについては、相続における不動産売却の流れのページも、よろしければご参照ください。
当事務所では不動産会社と連携し、孤独死対応→賃借人との退去交渉→解体し売却活動→売却までを見据えて解決までの段取りを整えることも可能です。ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ:複雑な交渉は専門家へ。まずはご相談ください
賃貸物件での孤独死、そして相続人全員による相続放棄。これは、大家さんにとって法的に極めて複雑で、精神的にも大きなご負担を強いる深刻な問題です。ここまでお読みいただいたように、解決への道筋は確かに存在しますが、そこには専門的な知識と交渉の技術が不可欠です。
一人で抱え込み、貴重な時間と資産を失ってしまう前に、ぜひ専門家にご相談ください。
私は司法書士に加え、宅地建物取引士の資格も有しており不動産会社の営業マンとして実務経験もあります。、また相手の心理についても知見を持つため上級心理カウンセラー(民間資格)でも資格も取得しておます。法律・不動産・心理という三つの専門性から、大家さんと併走し杓子定規でない現実的なあ課題解決を目指しています。
エリアも幅広く類似事例で事務所のある世田谷区だけでなく、川崎市・相模原・調布市・八王子など首都圏で問題に対応してきました。
対応エリア | 相続手続、遺言、相続放棄、会社設立、不動産売却なら下北沢司法書士事務所
まずはお気軽にお問い合わせはこちらからご連絡ください。
下北沢司法書士事務所 竹内友章

東京都世田谷区北沢にある下北沢司法書士事務所は、相続手続き、遺言作成、相続放棄、会社設立、不動産売却など、幅広い法務サービスを提供しています。代表の竹内友章は、不動産業界での経験を持ち、宅地建物取引士や管理業務主任者の資格を活かし、丁寧で分かりやすいサポートを心掛けています。下北沢駅から徒歩3分の便利な立地で、土日も対応可能です。お気軽にご相談ください。
みなし解散後、連絡が取れない法定清算人を円満に退任させる方法
「みなし解散」後、会社は放置されていませんか?
最後の登記から12年以上が経過した株式会社は、法律の規定により、登記官の職権で解散させられてしまいます。これを「みなし解散(休眠会社の整理)」と呼びます。法務局から通知が届き、登記簿上も「解散」と記載されるため、多くの方が「これで会社がなくなった」と安心してしまうかもしれません。
しかし、登記上は解散したはずなのに、なぜかスッキリしない…。心のどこかで、何かやり残したことがあるような、漠然とした不安を感じてはいないでしょうか。もしそうであれば、その感覚は正しいものです。実は「みなし解散」は、会社を完全に閉じるための手続きの一部に過ぎません。
この記事では、その不安の正体を明らかにし、特に元役員と連絡が取れなくなってしまったケースで、いかにして会社を円満かつ完全に閉じることができるのか、具体的な解決策を専門家の視点から解説します。当事務所独特の解決方法をお客様に提案した事例も記載しています。ぜひご一読ください。
解散しても会社は消滅しない「清算会社」という状態
「みなし解散」の登記がされても、会社の法人格がすぐに消滅するわけではありません。会社は、残された財産の整理や債務の弁済といった後片付けを行うための「清算会社」として、法的に存続し続けます。
つまり、会社を完全に消滅させるためには、この後片付けの手続きである「清算」を完了させ、法務局に「清算結了」の登記を申請する必要があるのです。この清算結了登記が完了して初めて、会社は名実ともに消滅します。したがって、「みなし解散」の状態で放置しているということは、法的に不安定な「清算会社」を管理しないまま放置しているのと同じことなのです。
自動的に就任する「法定清算人」とその重い責任
では、誰が清算手続きを進めるのでしょうか。みなし解散の場合、原則として、解散当時に取締役だった方々が自動的に「法定清算人」に就任します。
この「法定清算人」には、会社の財産を調査・管理し、債権者に弁済し、残った財産を株主に分配するという、法律上の重い責任が課せられます。たとえご自身にそのつもりがなくても、法律上は会社の最終的な後始末を担う責任者とみなされているのです。
もし、あなたが元役員の一人であれば、知らず知らずのうちにこの責任を負っている可能性があります。そしてそれは、今では連絡が取れなくなってしまった、かつての同僚である元役員も同様なのです。
解散状態の会社を放置するリスク
解散状態の会社を放置したままにしても、永久に法定清算人としての責任が生じ続けます。更に会社が存続する以上、将来相続が発生したら、あなたの相続人がその解散状態の会社の株主となってしまいます。しっかりと清算結了させることが重要です。
法定清算人を1人に絞るには?
では、清算人からもう連絡が取れない前の取締役をはずすことができないのでしょうか。連絡が取れないのですから辞任は求められません。次に考えるのは清算人を株主総会で「解任」するという方法です。しかし、解任にも問題がないわけではありません。
解任も可能だができるなら避けたい。なぜなら・・・
株主総会の決議による清算人の「解任」は、法律で認められた手続きです。しかし、この方法にはいくつかの問題点があります。
まず、「解任」という言葉には、「クビにする」という非常にネガティブな響きがあります。たとえ連絡が取れなくても、かつて共に事業を営んだ仲間を一方的に解任することに、心理的な抵抗を感じる方も少なくありません。もし後日、その事実を知った元役員との間で、感情的なしこりが残る可能性も否定できません。
さらに、法務局に登記される際、その役員の退任理由は「解任」と明確に記録されます。これは公的な記録として残り続けるため、無用なトラブルの火種となりかねないのです。

当事務所がこの問題を解決したケース
当事務所もこの課題に直面したことがありました。その時に依頼者さまに提案したのが、株主総会で定款を変更し、新たに「清算人の任期」を設けるという手法です。多くの会社の定款には、取締役の任期は定められていても、清算人の任期については定めがありません。任期の定めがなければ、清算人は清算結了までその職務を続けることになり、自ら辞任しない限り退任することはないのです。
そこで、以下のような手順を踏みます。
- 株主の確定:まず、現在の株主が誰であるかを正確に調査・確定します。
- 株主総会の開催:株主総会を招集し、「清算人の任期を〇年とする」という定款変更の決議を行います。
- 任期満了による退任:定款で定めた任期が経過すれば、連絡が取れない清算人を含め、すべての清算人は「任期満了」という非常に自然な形で退任することになります。
- 新清算人の選任:その後、改めて株主総会で、連絡が取れ、積極的に手続きに関与できる方のみを新しい清算人として選任します。
この方法により、解任を回避して退任理由を「任期満了」とする運用が検討できます。ただし、個々の事案により手続きの可否やリスクは異なるため、詳細は個別にご相談ください。当事務所では、関係者の感情や実情を考慮した手続きを提案しています。
【司法書士より】実体に寄り添う手続きの重要性
清算人の任期規定を定款に明記することにより得られる法的効果や手続き上の利点について、個別の事情に応じてご説明します。
長年連絡が取れなくなったとはいえ、かつては共に汗を流した仲間です。その方に、一方的に「解任」という不名誉な記録を残すことが、本当に最善の道でしょうか。また、連絡が取れないその方にとっても、知らないうちに法的な責任を負わされ続けることは本意ではないはずです。
「任期満了」という形をとることで、関係者全員にとって心理的な負担が少なく、誰も傷つかない形で問題を解決できます。手続き上のスムーズさだけでなく、関わる人々の心にも配慮すること。これこそが、将来の予期せぬトラブルを防ぎ、お客様にとって真の安心につながる「実体に即した手続き」であると、私たちは信じています。
手続きは複雑。まずは司法書士にご相談ください
ここまで解説してきた「清算人の任期規定」を設ける手続きは、非常に有効な解決策ですが、定款変更や株主総会決議、複数回にわたる登記申請など、専門的な知識と正確な手順が求められます。ご自身で進めるには、多くの時間と労力がかかり、手続きに不備があればやり直しになる可能性もあります。
このような複雑な状況にこそ、私たち司法書士がお力になれます。ぜひ一度、初回無料相談(30分・司法書士業務に関する相談に限る)をご希望の方はこちらからお申し込みください。をご利用ください。
株主の確定から定款変更、登記申請まで一括サポート
当事務所では、定款変更・登記申請等の司法書士業務を一括してサポートします。
- 株主の調査・確定:長年放置された会社の現在の株主が誰なのか、過去の資料や記録を基に株主調査をサポートします。
- 法的手続きのプランニング:お客様の会社の状況を丁寧にお伺し、最適な手続きの流れをご提案します。
- 必要書類の作成:株主総会の招集通知、議事録、定款、登記申請書など、法的に有効な書類をすべて作成します。
- 法務局への登記申請:作成した書類を基に、法務局への一連の登記申請を代行します。
お客様には、必要最低限のご負担で、スムーズかつ確実に会社を閉じることができるよう、責任をもってサポートいたします。
心に寄り添い、最適な解決策を一緒に考えます
長年放置してしまった会社の問題は、単なる法律手続き以上の、心理的なご負担も伴うものです。当事務所では皆様の手間や負担を最大限軽減するよう、心がけながら業務に取り組んでいます。以前に経営していた会社の清算手続きを済ませないでそのままになっているなら、何年たっていても構いません。ぜひ当事務所にご相談ください。エリアも東京23区はもちろん首都圏全般からご依頼をいただいております。
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下北沢司法書士事務所 竹内友章

東京都世田谷区北沢にある下北沢司法書士事務所は、相続手続き、遺言作成、相続放棄、会社設立、不動産売却など、幅広い法務サービスを提供しています。代表の竹内友章は、不動産業界での経験を持ち、宅地建物取引士や管理業務主任者の資格を活かし、丁寧で分かりやすいサポートを心掛けています。下北沢駅から徒歩3分の便利な立地で、土日も対応可能です。お気軽にご相談ください。
再婚前の相続登記|亡き配偶者の親との手続きを司法書士が解説
配偶者の死後、再婚を考えているあなたへ。相続登記は待ったなしです
今日は若くして配偶者を亡くされた方向けのコラムです。配偶者を亡くした悲しみの中、義両親との関係性も非常に難しくなるでしょう。しかし、相続の問題を考えると義両親との遺産分割協議は避けて通れないものになるケースも多いです。特に再婚をお考えの方は、更に問題が難しくなります。
亡き配偶者様と暮らしたご自宅などの不動産がある場合、相続手続きは避けて通れません。そして、お子様がいらっしゃらないケースでは、亡き配偶者様のご両親、つまりあなたにとっての義両親様も法律上の相続人となります。
「新しい生活のために、この家は売却したい…」
「でも、義両親とは少し疎遠になっている…」
「再婚の話をしたら、どう思われるだろうか…」
このような、法的な問題と感情的な問題が複雑に絡み合い、どう切り出してよいか分からず、一人で悩みを抱えていらっしゃる方は少なくありません。
しかし、この問題はもう先延ばしにできない側面もあります。2024年4月1日から相続人が多数・不明でも大丈夫!相続登記義務化の解決事例でも解説している通り、相続登記が法律で義務化され、正当な理由なく手続きを怠ると罰則が科される可能性も出てきました。あなたの新しい一歩を晴れやかな気持ちで踏み出すためにも、この課題に真正面から向き合う必要があります。
この記事では、司法書士として多くの相続問題に携わってきた経験から、あなたが直面している状況を乗り越え、円満に不動産の相続手続きを進めるための知識と具体的な方法を解説します。
参考:【法務省/相続登記の義務化】不動産を相続したらかならず …
【司法書士の実例】再婚を前に、亡き夫の両親との相続を乗り越えたAさん
以前、当事務所にご相談に来られたAさん(40代女性・仮名)の事例をご紹介します。Aさんは8年ほど前にご主人を亡くされ、お子さんはいらっしゃいませんでした。亡きご主人と共有名義で購入したマンションがありましたが、新しいパートナーとの再婚を考える中で、そのマンションの売却を希望されていました。しかし、ご主人の持分は義両親も相続するため、手続きが課題となっていました。当事務所でAさんと方針を協議し、義両親様へ丁寧にご連絡を取った結果、皆様のご理解を得て、最終的にマンションをAさん単独の名義とする相続登記を無事に完了することができました。後述しますが、義両親への相談を最初は依頼者様から持ち掛けていただいたのも大きなポイントでした。詳しい説明は司法書士に任せるにしても、交流のある親族には(大変でも)依頼者様からお話しいただいた方が良いです。話しにくい場合は、手紙でも良いでしょう。また、今回は義両親から承諾を得られましたが、得られない場合は売却して現金で清算する計画と依頼者さんは考えていました。このように、うまく行かなかったときの次の手段を考えておくのも重要です。
なぜ義両親が相続人に?知っておくべき法律の基本
「亡くなった夫の財産なのに、なぜ義両親が関係してくるの?」と疑問に思われるかもしれません。この疑問を解消することが、円満解決への第一歩です。ここでは、相続に関する法律の基本的なルールを分かりやすく解説します。

子どもがいない場合の相続順位
民法では、誰が遺産を相続するかについて「相続順位」が定められています。亡くなった方(被相続人)の配偶者は、常に相続人となります。そして、配偶者以外の相続人には、以下のような順位があります。
- 第1順位:子ども(子どもが先に亡くなっている場合は孫)
- 第2順位:親(親が先に亡くなっている場合は祖父母などの直系尊属)
- 第3順位:兄弟姉E�(兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は甥・姪)
あなたのケースのように、亡くなった配偶者との間にお子様がいない場合、第1順位の相続人が存在しないことになります。そのため、相続権は第2順位である「亡き配偶者の親(直系尊属)」に移ります。これが、義両親様が相続人となる法的な理由です。
あなたと義両親の「法定相続分」は?
では、具体的にどのくらいの割合で財産を相続する権利があるのでしょうか。これも法律で「法定相続分」として定められています。
配偶者と第2順位の親が相続人となる場合、その割合は以下の通りです。
- 配偶者:3分の2
- 親(直系尊属):3分の1
この「3分の1」は、親の人数で均等に分けます。つまり、義父様と義母様がお二人ともご健在の場合は、それぞれ「6分の1」ずつ(1/3 × 1/2)の権利を持つことになります。
例えば、亡き配偶者様名義の不動産の価値が3,000万円だったとしましょう。この場合、法律上の権利は以下のようになります。
- あなた:2,000万円(3,000万円 × 2/3)
- 義父様:500万円(3,000万円 × 1/6)
- 義母様:500万円(3,000万円 × 1/6)
この法定相続分は、あくまで法律上の目安です。最終的には、相続人全員での話し合い(遺産分割協議)によって、誰がどの財産を相続するかを自由に決めることができますし、もし遺言があれば遺言通りに相続するのが基本です。しかし、特に遺言がない場合は「法律上の権利」をお互いが理解しておくことが、冷静な話し合いのスタートラインとなります。

放置は更に問題が複雑に・・・。相続登記をしない3つの末路
「義両親と話すのは気が重い…」「もう少し落ち着いてから考えよう…」と、手続きを先延ばしにしたい気持ちはよく分かります。しかし、この問題の放置は、あなたの未来にとって百害あって一利なしです。ここでは、相続登記をしない場合に起こりうる、3つのシナリオをご紹介します。
末路1:【義務化の過料】最大10万円の罰金が科される
前述の通り、2024年4月1日から相続登記が義務化されました。これにより、「相続の開始及び所有権を取得したことを知った日から3年以内」に相続登記を申請することが法的な義務となったのです。
もし、正当な理由なくこの義務を怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。これまでは「いつかやればいい」で済まされていた手続きが、今は明確な期限と罰則のある「やらなければならないこと」に変わったのです。感情的な問題とは別に、法律違反のリスクがあることをまず認識してください。
末路2:【売却不可】再婚の資金計画が根本から崩れる
あなたが再婚後の新生活のために不動産の売却を考えているなら、これは最も直接的なリスクです。不動産を売却するには、その前提として、不動産の名義が現在の所有者(あなた)になっている必要があります。
亡き配偶者様との共有名義のままでは、売却することはできません。相続人全員で遺産分割協議を行い、その内容に基づいて相続登記を完了して初めて、あなたは買主と売買契約を結ぶことができるのです。
手続きを先延ばしにすればするほど売却のタイミングは遅れ、「新しい家を買うための頭金が…」「新生活の準備資金が…」といった、あなたが描く未来の資金計画そのものが根底から崩れてしまう恐れがあります。
末路3:【相続人が増殖】義両親の他界で関係者が倍々に…
これが、時間経過がもたらす最も恐ろしいリスクです。もし、あなたが手続きをしないまま、義父様や義母様が亡くなられたらどうなるでしょうか。
その場合、義父様や義母様が持っていたはずの相続権は、さらにその方々の相続人へと引き継がれます。これを「数次相続」と呼びます。具体的には、亡き配偶者様の兄弟姉妹(あなたにとっての義理の兄弟姉妹)が新たな関係者として登場することになります。
もし、義理の兄弟姉妹も亡くなっていたら、その子どもである甥や姪までが相続関係者となります。
これまでほとんど交流のなかった、あるいは顔も知らない親族が、あなたの家の相続権を主張する権利を持つことになるのです。関係者が増えれば増えるほど、話し合いは困難を極め、遺産分割協議をまとめるのは絶望的になります。問題は時間と共に解決するのではなく、雪だるま式に複雑化し、解決不可能なレベルにまで悪化してしまうのです。詳しくは数次相続の相続放棄|遺産分割の代用にする際の注意点の記事でも触れていますが、こうなる前に行動することが何よりも重要です。

円満解決の鍵は「連絡方法」。司法書士が実践する気遣いのコツ
リスクを理解した上で、次なる課題は「では、どうやって義両親に連絡すればいいのか」という点です。このデリケートな問題は、相手との現在の関係性によってアプローチを変えることが極めて重要です。当事務所では、ご相談者様の状況に合わせて、以下のような方法をご提案しています。
交流がある義両親へ:まずは、あなた自身の言葉で
もし、義両親様と交流があり、時々連絡を取り合っているのであれば、いきなり専門家から書面が届くのは得策ではありません。「何かあったのか」「事を荒立てるつもりか」と相手を身構えさせてしまい、かえって話がこじれる原因になりかねません。
このような場合は、まずあなたご自身の言葉で、(緊張するでしょうが)お電話などで連絡を入れるのが良いでしょう。その際、長々と話す必要はありません。
「実は、〇〇(配偶者名)名義の家のことで、相続登記の手続きが必要になりました。法律で義務になったみたいで…。また後日、お願いしている司法書士の先生から正式なご案内がいくと思うから、よろしくお願いします」
このように、まずは「相続登記という手続きが必要になった」という事実を伝え、専門家から連絡がいく旨を予告しておくのです。このワンクッションを置くだけで、相手の心の準備ができ、その後の手続きが驚くほどスムーズに進みます。
交流がない・疎遠な義両親へ:司法書士が「最初の窓口」に
一方で、義両親様と長年疎遠であったり、連絡先は知っているものの、どこか気まずさがあったりして、ご自身で連絡することに強い心理的負担を感じる場合もあるでしょう。そのようなときは、決して無理をする必要はありません。
私たち司法書士は、あなたに代わって「最初の窓口」として、相続手続きのご案内をすることができます。ご相談でお伺いする情報は厳重に管理し、司法書士の守秘義務に基づき外部に漏らすことはありません。まず、あなたからこれまでの経緯や義両親様との関係性、お人柄などを詳しくお伺いします。その上で、相手方の心証を損なわないよう、丁寧で配慮の行き届いた文面をあなたと一緒に考え、作成します。
専門家という第三者が客観的な立場でご連絡することで、感情的な対立を避け、相続登記が法律上の義務であるという事実を冷静に受け止めてもらいやすくなるというメリットもあります。あなたの精神的なご負担を軽減し、円滑なコミュニケーションの橋渡しをすること。それも私たちの重要な役割です。
あなたの新しい一歩のために。司法書士ができること
ここまでお読みいただき、ご自身がやるべきこと、そしてその難しさを感じていらっしゃることでしょう。複雑な法律手続きとデリケートな親族関係。この二つが絡み合う相続問題は、一人で抱え込むにはあまりにも重い課題です。
あなたの新しい人生への一歩を、過去のしがらみでためらう必要はありません。当事務所は、相続登記の手続きや関係者様への窓口対応などを通じて、皆様の課題解決をサポートします。
面倒な戸籍収集から遺産分割協議書の作成まで一括代行
相続手続きには、想像以上に煩雑な事務作業が伴います。
- 亡き配偶者様の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
- 不動産の登記事項証明書や固定資産評価証明書
これらの書類を全国の役所から収集するだけでも、大変な時間と労力がかかります。私たちは、これらの書類収集から、相続人全員の合意内容を法的に有効な形でまとめる「遺産分割協議書」の作成、そして法務局への相続登記申請まで、すべての手続きをあなたに代わって行います。あなたは、煩わしい作業から解放され、ご自身の未来のための時間を使うことができます。
義両親とのやり取りにおける精神的な負担を軽減
そして、何よりも大きなメリットは、精神的な負担が軽くなることです。特に、当事務所の代表は心理カウンセラーの資格も保有しており、単なる手続きの代行に留まらない、あなたの「心」に寄り添うサポートを信条としています。
義両親様とのやり取りにおいて、私たちはあなたの「緩衝材」となります。法的な観点からだけでなく、あなたの不安や辛さ、そして未来への希望を深く理解した上で、円満な解決への道を一緒に考え、提案します。手続きのストレスからあなたを解放し、バランスの取れた解決策を見つけ出すこと。それが、私たちが提供できる最大の価値です。
あなたの新しい人生は、もう始まっています。その大切な一歩を、相続問題でつまずくことのないよう、私たちが全力でサポートします。エリアも事務所のある世田谷区近辺だけでなく、江東区や墨田区、板橋区なども含めた東京23区、小平市や三鷹市などの東京都下、千葉・埼玉・神奈川・茨城などから多くご依頼をいただいております。
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対応エリア | 相続手続、遺言、相続放棄、会社設立、不動産売却なら下北沢司法書士事務所
もし少しでもご不安な点があれば、一人で悩まず、まずは無料相談で、あなたの状況をお聞かせください。ぜひお気軽にお問合せ下さい!
下北沢司法書士事務所 竹内友章

東京都世田谷区北沢にある下北沢司法書士事務所は、相続手続き、遺言作成、相続放棄、会社設立、不動産売却など、幅広い法務サービスを提供しています。代表の竹内友章は、不動産業界での経験を持ち、宅地建物取引士や管理業務主任者の資格を活かし、丁寧で分かりやすいサポートを心掛けています。下北沢駅から徒歩3分の便利な立地で、土日も対応可能です。お気軽にご相談ください。
成年後見人による施設移転|実際はどのように進むのか?
成年後見人による施設移転は可能か?基本的な考え方
今日は成年後見人として、認知症になったご本人の施設移転をしたケースをご紹介したいと思います。
後見人の権限と本人の意思尊重のバランス
まずは施設移転そのものを後見人がすることができるかどうかについて、基本的な考え方をお伝えしたいと思います。まず、、成年後見人にはご本人の住む場所を強制的に決める「居所指定権」はない、ということです。つまり、「今日からこの施設に住みなさい」と一方的に命令することはできません。
それにもかかわらず施設移転が可能になるのは、それがご本人の心身の状態や生活状況に照らして、安全や生活の質を維持・向上させるために必要不可欠な「身上保護」の義務を果たすことになるからです。
例えば、認知症の進行により一人暮らしでの火の不始末が心配な場合や、介護の必要性が高まりご自宅での生活が困難になった場合など、専門的なケアを受けられる施設へ移ることが、ご本人にとって最善の選択となるケースがあります。この手続きは、ご本人の意思を最大限尊重しつつ、客観的な必要性に基づいて慎重に進める必要があります。このバランス感覚が、後見人には求められます。
施設移転を検討すべき具体的なケースとは
では、具体的にどのような場合に施設移転が現実的な選択肢となるのでしょうか。ご自身の状況と照らし合わせながら、考えてみてください。
- 経済的な理由:ご自宅での生活費や訪問介護サービスの費用が、施設の利用料を上回ってしまうケースです。年金収入や預貯金の状況を考え、長期的に安定した生活を送るために移転を検討することがあります。
- 介護上の理由:在宅での介護がご家族の負担の限界を超えていたり、ご本人が常時見守りや専門的な医療ケアを必要とする状態になったりした場合です。より手厚いケアを受けられる環境に移ることで、ご本人もご家族も安心した生活を送れる可能性があります。
- 安全上の理由:お一人での生活で、転倒による怪我のリスク、火の不始末、緊急時の対応の遅れなどが心配される場合です。特に判断能力が低下していると、ご自身で危険を回避することが難しくなります。
これらの状況に当てはまる場合、施設への移転はご本人の大切な未来を守るための前向きな選択肢となり得ます。

として「登記事項証明書」の提出を求められますので、事前に複数枚取得しておくとスムーズです。
本人が施設移転を拒否する場合の対処法
手続きを進める上で、最も心を悩ませるのが、ご本人から施設への移転を拒否されてしまうケースです。長年住み慣れた家を離れることへの抵抗は、当然の感情です。ここでは、法的な視点だけでなく、心理的な側面からも、どのように向き合っていけばよいのかを考えていきましょう。
なぜ拒否するのか?本人の心理を理解する
まず大切なのは、「なぜ嫌なのだろう?」と、ご本人の心の内を想像してみることです。心理カウンセラーとしての視点から見ると、拒否の背景には様々な感情が隠されています。
- 愛着と喪失感:「住み慣れたこの家を離れたくない」という、場所への深い愛着と、それを失うことへの寂しさや不安。
- 変化への恐怖:「知らない場所、知らない人たちの中で暮らすのが怖い」という、新しい環境への適応に対する強い不安感。
- 自尊心と無力感:「まだ自分でできる」「人の世話にはなりたくない」というプライドや、「家族に迷惑をかけてしまう」という申し訳なさ。
- 意思の尊重:「自分の人生は自分で決めたい」という、一人の人間として尊重されたいという切実な願い。
こうした複雑な感情を無視して、「あなたのためだから」と一方的に話を進めても、かえって心を閉ざされてしまいます。まずは、ご本人の言葉に静かに耳を傾け、その不安な気持ちに寄り添うことが、対話の第一歩となります。
後見人としてできること:対話と環境整備
ご本人の気持ちを理解した上で、後見人としてできる具体的なアプローチを試してみましょう。大切なのは、一度で説得しようとしないことです。
- 対話の機会を分ける:時間をかけて、少しずつ、繰り返しお話をします。ご本人の体調や気分が良い時を見計らう配慮も必要です。
- 不安の傾聴:何が一番不安なのか、何が嫌なのかを具体的に聞き出し、「そうですよね、不安ですよね」と気持ちを受け止める姿勢を見せます。
- メリットを具体的に伝える:「施設に行けば、24時間誰かがいてくれるから安心だよ」「栄養バランスの取れた温かいご飯が毎日食べられるよ」など、ご本人の生活がどう良くなるのかを具体的に伝えます。
- 体験入所を提案する:百聞は一見に如かずです。まずはショートステイなどを利用して、施設の雰囲気をご本人に体験してもらうのも有効な方法です。
- 第三者の力を借りる:後見人やご家族から言われると感情的になってしまうこともあります。ご本人が信頼している医師やケアマネージャーなど、第三者の専門家から客観的な視点で移転の必要性を説明してもらうと、受け入れやすくなることがあります。後見人としてできること:対話と環境整備
- ご本人の気持ちを理解した上で、後見人としてできる具体的なアプローチを試してみましょう。大切なのは、一度で説得しようとしないことです。
親族の方の苦労にも配慮する
ここまで、成年後見人として施設移転に関する基本的な考え方やご本人の気持ちを大切することについてお話してきました。しかし、私は実際に成年後見人として業務に取り組むうちにあることに気が付きました。それはご本人の周囲にいる親族の方の苦労が置き去りになっていることです。成年後見制度に関する専門書はたくさんあり、そこには親族とのかかわり方についても記載されています。ですが、あくまでご本人のためにいかに親族と良い協力関係を作っていくかという視点で語られています。そこばかりに視点がいくと、結局は親族に対して「ご本人のためにこうして欲しい」という成年後見人とご親族の役割分担の話になりがちです。しかし、親族の方も普通の生活者の1人。ご自身の生活や仕事もあり、休みの日などを使ってご本人のために時間を割いていることに対しての敬意を忘れてはならないと思います。私たち職業後見人は報酬をいただいて仕事としてやっています。その中で、ご親族の方に意見を求めたり協力して欲しいことがある。まわりのご親族も自分の人生の主人公であることを忘れないようにしないとつくづく思います。
【司法書士の現場から】親族と連携し、本人の拒否を乗り越えた事例
私が後見人として関わった、ある方のケースをお話しします(ご本人の特定に繋がらないよう、事実関係を抽象化してご紹介します)。その方は認知症の影響で、ご自身の預貯金が減り続けていることを認識できず、「自分はお金持ちだ」と思い込んでいました。そのため、経済的に見合わない高額な施設への入居にこだわり、親族の方が費用的に無理のない施設への移転を提案すると、感情的に怒り出し、話が全く進まない状況でした。
ご親族は、ご本人の意思に反して移転させることに強い罪悪感を抱き、何年も身動きが取れずにいました。その間に、預貯金はどんどん目減りしていったのです。
私が後見人に就任してから、まずご親族と「このままではいけない」という危機感を共有し、ご本人の財産状況で無理なく暮らせる施設を一緒に探しました。そして移転の日、高級なものが好きなご本人に意にそぐわないことをしてしまうのではないかとある種の罪の意識を感じているご親族に、私はこうお伝えしました。
「もし、心の中で『叔父さんに対して悪いことをした』というお気持ちがあるのなら、それは全部、私が後見人として強引に押し切った、と思ってください。あなたは自分の生活もある中で最大限自分のできることをしています」
このようにお伝えして、心の重荷が少しおろしていただけた様子でした。最終的には、ご親族と協力し、ご本人にも私から改めて移転の必要性を伝え、介護タクシーで新しい施設へ無事に移っていただくことができました。このように、ご家族だけでは感情的に難しい決断も、第三者の専門家が入ることで、ご本人の未来のために一歩踏み出せる場合があります。
施設移転は専門家への相談がおすすめな理由
ここまで見てきたように、成年後見人による施設移転は、法的な手続きの複雑さに加え、ご本人やご親族との感情的な調整など、多くの課題を乗り越えなければなりません。このような難しい問題だからこそ、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
親族では難しい決断も、第三者だからこそ進められる
ご親族が後見人になっている場合、長年の情や「本人の意思に反していいのだろうか」という罪悪感から、客観的に見れば必要な決断であっても、どうしても先延ばしにしてしまいがちです。
その結果、ご本人の預貯金が減り続け、選択肢が狭まってしまうケースは少なくありません。私たちのような専門職後見人は、ご家族の気持ちに寄り添いながらも、第三者としての客観的な視点を持ち、ご本人の財産と生活を守るために、時にドライな判断を下すことができます。それこそが、専門家にご依頼いただく大きな価値の一つだと考えています。
複雑な手続きと親族間の調整をワンストップで代行
施設探しから始まり、煩雑な行政手続き、ライフラインの変更、そしてご本人やご親族とのデリケートな話し合いまで、施設移転には膨大な時間と精神的な労力がかかります。
お仕事をされているご家族が、これらすべてに対応するのは現実的に非常に困難です。当事務所にご相談いただければ、これらの負担から解放され、ご自身の生活を守りながら、ご家族の将来に向けた最善の道筋を一緒に考えることができます。
下北沢司法書士事務所は、単に手続きを代行するだけではありません。心理カウンセラーの資格を持つ司法書士が、「心に優しく、多角的に課題と向き合う」ことをモットーに、皆様の不安な気持ちに寄り添います。もし、ご家族の施設移転でお悩みでしたら、一人で抱え込まずに、ぜひ一度、当事務所の無料相談をご利用ください。あなたにとって最善の解決策を、一緒に見つけていきましょう。エリアも東京23区、神奈川・千葉・埼玉など首都圏の成年後見のご相談に対応しています。ぜひお気軽にご相談ください。
対応エリア | 相続手続、遺言、相続放棄、会社設立、不動産売却なら下北沢司法書士事務所
下北沢司法書士事務所 竹内友章

東京都世田谷区北沢にある下北沢司法書士事務所は、相続手続き、遺言作成、相続放棄、会社設立、不動産売却など、幅広い法務サービスを提供しています。代表の竹内友章は、不動産業界での経験を持ち、宅地建物取引士や管理業務主任者の資格を活かし、丁寧で分かりやすいサポートを心掛けています。下北沢駅から徒歩3分の便利な立地で、土日も対応可能です。お気軽にご相談ください。
成年後見は親族も大事に。費用立て替え・精神的負担の解決策
親族にも貢献できる成年後見
ご家族が認知症などによって判断能力が低下してしまったとき、財産管理をする「成年後見人」をたてるのが成年後見制度。制度趣旨からして当然、「ご本人のため」の制度です。しかし成年後見人があまりりにもこの制度趣旨にこだわりすぎりと、時としてご本人を支えるご家族を経済的・精神的に追い詰め、結果としてご本人にとっても本意ではない状況になることがあると思います。今日はそんな事例についてお話しします。
「施設への支払いが滞らないように、とりあえず自分の貯金から立て替えている…」
「施設側から専門的な話をされても、どう対応していいか分からず、ただプレッシャーを感じる毎日…」
「良かれと思ってやったことが、かえって本人から責められてしまい、心が折れそうだ…」
このようなお悩みを抱え、誰にも相談できずに一人で奮闘されている方は、決して少なくありません。ご本人のことを思うからこそ、ご自身の負担を後回しにしてしまいがちです。しかし、支える方が倒れてしまっては、元も子もありません。
【事例】私が後見人で親族の負担をこう解決した
私が成年後見人として関わらせていただく際、常に心に留めているのは、ご本人だけでなく、その周りで支えているご家族のことも大切にする、ということです。成年後見の教科書には「ご本人のために仕事をするのが成年後見人」と書かれています。しかし、この原則に固執しすぎると、かえって周囲の方を苦しめ、結果的にご本人のためにならないケースがあるのです。
今回ご紹介するのは、まさにそのことを痛感した事例です。※本記事の事例は、ご依頼者の特定に繋がらないよう内容を一般化・抽象化したものであり、金額等も説明のための仮定のものです。

私がこの案件に関わることになったのは、家庭裁判所からの要請がきっかけでした。ご親族が申立てをしたものの、後見人の候補者がいなかったケースです。後見人候補者でもある司法書士が後見人の選任申し立てから関わる場合と違って、事前にいただく情報が限られ、表面的なものになりがちなケースです。
裁判所からの情報で特徴的だったのは、「介護施設の入居費用が、手続き上の問題で支払いが滞っている」という点でした。預貯金は少なくないようでしたので、おそらくお金がないのではなく、手続きができないのだろう、と軽く考えていました。しかし、そこには想像以上に深刻な問題が隠されていたのです。
私が後見人に選任されてから、実質的に活動できるようになるまでには、選任後、即時抗告期間と呼ばれる期間の経過、後見登記事項証明書が取得できるようになるのを待つなど数週間を要します。そんな待機期間の最中、一本の電話がかかってきました。申立人である、ご本人の甥御さんからでした。
そして、その電話で甥御さんが遠慮がちに「叔父の施設費用が本人の口座から引き落とせなくて、300万ほど立て替えているんです・・・」とおっしゃられました。
電話口の甥御さんの様子は、かなり疲れてる様子でした。「まぁ、もう返ってこないと思いますし、保証人になった自分が悪いので良いのですが…」その声は、諦めと疲労に満ちていました。
後見人は、あくまで「ご本人のため」に働きます。ですから、事務的に「調査の上、事実であれば返還しますが、ご本人の生活状況によっては分割のご相談をさせていただく可能性もあります」と答えるのが、教科書的な正解なのかもしれません。
しかし、私は即座にこうお答えしました。「立替金の返還を最優先課題にします。裁判所との調整や資料集めなどあるのである程度時間はかかりますが、極力早く進めます。」と。
本人にお金を請求してくる人に対してまだ事実確認もする前から、ここまで積極姿勢を示すのはあまり教科書的な対応ではないと思います。ですが嘘を言っているようには思えなかったし、この状況は何とか解決したいと思いました。
甥御さんが疲弊していた理由は、お金の問題だけではありませんでした。その後、施設側とやり取りをする中で、その背景が明らかになっていったのです。
その施設は、高級感というか、ホテルのような雰囲気を売りにしている場所でした。しかし、その雰囲気は時として非常に冷淡に感じられるもので、保証人である甥御さんに対して、冷淡な雰囲気で責任の履行を求め続けているようでした。さらに、「ご本人の状態が悪化しているので、他の施設を探して出ていってほしい」と、退去まで要求されていたのです。今の状況だと次の施設を探すのも、その費用を捻出するのも、このままでは甥御さんの負担になってしまいます。認知症になっているご本人からもなぜか辛く当たられ、彼は完全に孤立していました。
私は甥御さんに伝えました。「急いで本人の口座から支払えるようにしてこれ以上の立替金が生じないようにします。また移転の話を施設側からされたら後見人に任せたので分かりませんと回答してください。こちらで時間を稼ぎながらうまくやります。」と。
これもまた、教科書通りではありません。後見人は財産管理はともかく、住む場所をどこにするかなど実際の生活に関わる部分については、むしろ本人のことを昔から知ってる親族の方をイニシアティブをとっていただくのが謙虚な態度だと思います。しかしこのケースでは、甥御さんの精神的な負担を考えれば、私が「盾」になる方が良いと思いました。
そして、具体的な行動に移しました。
- 立替金の返還:ご本人の通帳と甥御さんの支払記録を照合し、立替の事実を通帳コピーなどの客観的な資料で固めました。そして、「甥御さんからの請求に基づき、立て替えられた施設費用を返還します」という形で裁判所に報告し、許可を得て、無事に返金が認められたケースがあります。
- 申立費用の返還:次に、甥御さんが負担していた後見の申立費用についても、ご本人の財産から返還できるよう裁判所に働きかけました。本来、申立費用は申立人の負担が原則です。しかし、「甥が叔母のためにこれだけの費用を自腹で切ることは社会通念上、過大な負担であること。このままでは甥御さんが経済的リスクから本人と距離を置くようになり、結果的にご本人の幸せに繋がらない」と丁寧に説明し、これも許可を得ることができました。
この事例のように、ご家族は時に、経済的にも精神的にも、孤独な立場に追い込まれてしまいます。そんな時、私たちは後見人としての法的な職務を全うしながらも、一番近くで支えているご家族の「味方」でありたいと、心から願っています。
親族の負担を解決する3つのポイントと専門家の役割
先の事例は特別なケースではありません。成年後見制度をうまく活用することで、ご親族が抱える多くの問題を解決に導ける可能性があります。ここでは、そのための3つの重要なポイントと、私たち専門家が果たすべき役割について解説します。
ポイント1:立て替え費用の返還を諦めない
ご家族がご本人のために立て替えた医療費や施設費などは、当然返還すべきと思います。
返還を実現するためには、やはり客観的な証拠が重要です。
- 対象となりやすい費用:医療費、介護サービス費、施設入居費・利用料、税金・公共料金など
- 保管しておくべき証拠::支払いを証明する領収書や振込明細、ご本人の通帳記録、施設からの請求書など
私が後見人になった場合は、これらの証拠を整理し、なぜその支払いが必要だったのかを家庭裁判所に明確に報告・説明することで、ご本人の財産からの返還許可を得られるよう尽力します。「もう返ってこないだろう」と諦める前に、まずはどのような費用を、いつ、いくら支払ったのか、記録を整理しておくことが第一歩となります。

ポイント2:精神的負担は専門家が「盾」になる
成年後見人の仕事は、財産管理だけではありません。ご本人の生活や治療、介護に関する契約などを行う「身上監護」も、非常に重要な職務です。
施設からの退去要求、介護サービス内容の交渉、病院への説明など、ご家族だけでは対応が難しい場面は多々あります。特に精神的に疲弊しているとき、こうした交渉は大きなストレスとなるでしょう。
このような時、専門家である後見人が前面に立つことで、結果としてご家族を精神的なプレッシャーからお守りする「盾」としての役割を果たすことができます。不動産会社での実務経験も持つ私のような司法書士であれば、施設の契約内容を法的な観点だけでなく実務的な観点からも精査し、相手方と対等に交渉を進めることが可能です。ご家族は専門家に任せ、少し距離を置くことで、心穏やかな時間を取り戻し、ご本人と良好な関係を再構築することに専念できるのです。
ポイント3:申立費用も本人財産から支出できる例外
成年後見の申立費用(収入印紙や切手代、診断書取得費用など)は、原則として申立てをした方の負担とされています。しかし、これも絶対ではありません。
家庭裁判所が最も重視するのは「本人の福祉(利益)」です。先の事例のように、「申立費用を親族に負担させることが、経済的な理由から親族と本人との関係を疎遠にさせ、結果的に本人の利益を損なう」といった事情を丁寧に説明することで、本人の財産からの支出が認められることもあります。
この判断は、個別の事情や裁判所の考え方によって異なりますが、「申立てによって利益を受けるのは本人自身である」という視点から、説得力のある上申書を作成し、裁判所に理解を求めるアプローチが有効です。こうした法的な構成や交渉も、専門家だからこそできる重要な役割の一つです。

「親族も大事にする後見人」を選ぶための視点
成年後見制度をうまく活用できるかどうかは、どのような専門家をパートナーに選ぶかにかかっていると言っても過言ではありません。制度の知識が豊富なのは当然として、それ以上に、ご本人だけでなく、支えるご家族の状況や心情にまで寄り添ってくれる専門家を選ぶことが大切です。
専門家へ相談する際には、ぜひ以下のような質問をしてみてください。
- 「これまで親のために立て替えてきた費用があるのですが、返還してもらうことは可能でしょうか?」
- 「施設との今後の交渉が不安なのですが、間に入って対応してもらうことはできますか?」
- 「後見が始まるまでの間、どのようなサポートをしてもらえますか?」
これらの質問に対して、親身になって具体的な解決策を一緒に考えてくれるかどうかは、以下の点を確認すると専門家選びの参考になります。
代表は司法書士資格のほか、不動産取引やマンション管理の実務経験、民間の心理カウンセラー資格を有しています。法律手続きのみならず、家族支援の観点からも対応します。
まとめ:一人で抱え込まず、まずはご相談ください
成年後見制度は、時に冷たく、形式的な制度だという印象を持たれることもあります。しかし、その運用を担う専門家の姿勢や工夫次第で、ご本人だけでなく、長年支えてこられたご家族の経済的・精神的な負担をも大きく軽減できる、非常に心強い制度になり得ます。
あなたが今抱えている立て替え費用の問題や、施設対応のストレスは、決して「仕方がないこと」ではありません。専門家が間に入ることで、解決への道筋が見えてくる可能性は十分にあります。
どうか一人で抱え込まず、その重荷を少しだけ、私にお聞かせいただけないでしょうか。エリアも東京23区(事務所のある世田谷から遠い区でも大丈夫です)、神奈川・千葉・埼玉・茨城でも成年後見人の実績があります。どうぞお気軽にご相談ください!

東京都世田谷区北沢にある下北沢司法書士事務所は、相続手続き、遺言作成、相続放棄、会社設立、不動産売却など、幅広い法務サービスを提供しています。代表の竹内友章は、不動産業界での経験を持ち、宅地建物取引士や管理業務主任者の資格を活かし、丁寧で分かりやすいサポートを心掛けています。下北沢駅から徒歩3分の便利な立地で、土日も対応可能です。お気軽にご相談ください。
株式会社と合同会社どっちがいい?設立費用・選び方を専門家が比較解説
株式会社と合同会社、どちらを選ぶべき?違いを一覧表で比較
これから会社を設立しようとお考えの際、多くの方が最初に直面するのが「株式会社と合同会社のどちらを選ぶか」という問題ではないでしょうか。それぞれにメリット・デメリットがあり、ご自身の事業計画や将来のビジョンによって最適な選択は異なります。
まずは、両者の主な違いを一覧表で確認してみましょう。全体像を把握することで、この後の解説がより深く理解できるはずです。

| 項目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 設立費用(法定費用) | 紙定款:約22.2万円~電子定款:約18.2万円~ | 紙定款:約10万円~電子定款:約6万円~ |
| 社会的信用度 | 高い | 株式会社に比べるとやや低い傾向 |
| 出資者 | 株主 | 社員 |
| 意思決定機関 | 株主総会 | 原則として社員全員の同意 |
| 役員の任期 | 原則2年(最長10年まで伸長可) | 任期なし |
| 決算公告の義務 | あり(官報掲載等) | 原則なし(他法令で必要な場合あり) |
| 利益の分配 | 出資比率(株式数)に応じて分配 | 定款で自由に決められる |
| 資金調達の方法 | 株式発行による出資、融資など多様 | 融資、社員からの追加出資が中心 |
この表をご覧いただいただけでも、設立コストを抑えたいなら合同会社、将来的な事業拡大や外部からの資金調達を考えるなら株式会社、といった大まかな方向性が見えてくるかもしれません。しかし、本当に大切なのは、これらの違いがなぜ生まれるのか、そしてご自身の事業にどう影響するのかを正しく理解することです。以降の章で、それぞれの項目を専門家の視点から詳しく掘り下げて解説していきます。
【司法書士の視点】株式会社と合同会社のメリット・デメリット
法律の専門書に書かれている説明は、時に難解で、実際のビジネスシーンと結びつけて考えるのが難しいことがあります。そこで、ここでは司法書士として多くの会社設立に携わってきた経験から、株式会社と合同会社の本質的な違いと、それが実務上どのようなメリット・デメリットにつながるのかを解説します。
結論から申し上げると、会社の仕組みとしての優劣でいえば、株式会社の方が確実で安定した経営が可能です。ただし、その分、設立や運営にコストと手間がかかります。一方で合同会社は、シンプルでコストを抑えられる点が魅力です。この違いを生む大きなポイントは2つあります。
ポイント1:出資額と発言権の関係
株式会社では、出資した金額に応じて株式が割り当てられます。そして、会社の重要な意思決定は、原則として保有する株式の数に応じた議決権(発言権)によって行われます。例えば、100万円を出資した人と1万円を出資した人では、発言権に100対1の差がつくのが基本ですが、定款や会社法上の制度(種類株式、議決権制限株式など)により、議決権構成を変更できる場合もあります。
一方、合同会社では、法定の原則として総社員の過半数の同意で決定しますが(慣用的に「各社員が対等な議決権を持つ」と説明されることが多いです)、定款で別段の定めをすることで議決権の割合や業務執行の決め方を柔軟に設計できます。
ポイント2:出資者(所有者)と経営者の関係
株式会社の大きな特徴は「所有と経営の分離」が可能な点です。つまり、会社にお金を出資する「株主(所有者)」と、会社の経営を行う「取締役(経営者)」は、必ずしも同一人物である必要はありません。これにより、経営手腕に優れた方を外部から役員として迎え入れたり、長年の功績がある従業員を役員に登用したりすることが、その方に出資を求めることなく可能です。
対して合同会社は「所有と経営の一致」が原則です。会社の経営を行う「業務執行社員」は、必ず出資者である「社員」の中から選ばれます。つまり、経営に参加するためには、必ずその会社に出資してオーナーの一員になる必要があるのです。
この2つのポイントを踏まえると、もしあなたが「一人で出資も経営も行い、当面は外部から経営陣を迎える予定もない」という状況であれば、合同会社の設立費用や運営の手軽さは非常に大きなメリットになるでしょう。株式会社の持つ柔軟性がご自身の事業に必要かどうか、という視点で検討することが、最適な選択への第一歩となります。

設立費用はどれくらい違う?株式会社と合同会社のコスト比較
会社設立を検討する上で、費用は最も気になる要素の一つでしょう。ここでは、設立時にかかる「初期費用」と、設立後に継続的に発生する可能性のある「ランニングコスト」に分けて、両者の違いを具体的に見ていきましょう。
初期費用(法定費用)の具体的な内訳
会社設立時には、法務局や公証役場に支払う「法定費用」が必ず発生します。これは専門家に依頼しても自分で手続きをしても、必ずかかる費用です。
| 費用項目 | 株式会社 | 合同会社 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 登録免許税 | 150,000円~ | 60,000円~ | 資本金の額によって変動 |
| 定款認証手数料 | 資本金100万円未満:3万円100万円以上300万円未満:4万円その他:5万円 | 0円 | 合同会社は定款認証が不要 |
| 定款印紙代 | 40,000円 | 40,000円 | 電子定款の場合は両社とも0円。合同会社も紙定款には印紙が必要です。 |
| 合計(紙定款の場合) | 約222,000円~ | 約100,000円~ | – |
| 合計(電子定款の場合) | 約182,000円~ | 約60,000円~ | – |
ご覧の通り、合同会社は株式会社に比べて設立費用を大幅に抑えることができます。特に大きいのが、法務局に納める登録免許税の差(最低額で9万円)と、公証役場での定款認証が不要である点です。
また、定款を紙で作成すると4万円の収入印紙が必要ですが、司法書士などの専門家が利用する「電子定款」で作成すれば、この印紙代は不要になります。専門家への報酬は別途発生しますが、この印紙代が節約できるため、ご自身で手続きするのと費用面で大きな差が出ないケースも少なくありません。
設立後のランニングコストも忘れずにチェック
設立費用だけでなく、会社を運営していく上で発生するコストも考慮に入れる必要があります。
- 役員変更登記の費用:株式会社の役員(取締役など)には任期があり、原則2年(非公開会社の場合は最長10年まで伸長可能)ごとに役員変更の登記が必要です。たとえ同じ人が再任(重任)する場合でも、登記手続きが必要で、登録免許税(1万円または3万円)と専門家への報酬が発生します。一方、合同会社の社員には任期がないため、この費用は原則として発生しません。
- 決算公告の費用:株式会社は、毎年の決算を「公告」する義務があります。一般的には官報に掲載する方法がとられ、これに数万円の費用がかかります。合同会社にはこの決算公告の義務がありません。
短期的な設立費用だけでなく、こうした長期的な視点でのコストも比較検討することが、後悔のない選択につながります。
参考情報:登録免許税(国税庁)、公証人手数料(日本公証人連合会)、定款の印紙税(国税庁)
あなたの事業に合うのはどっち?5つの判断基準で選ぶ会社形態
費用や制度の違いを踏まえた上で、ご自身の事業内容や将来設計にどちらが適しているのかを判断するための、5つの具体的な基準をご紹介します。「自分の場合はどうだろう?」と考えながら読み進めてみてください。

1. 社会的信用度と将来の事業拡大
大手企業との取引や金融機関からの融資、将来的な上場(IPO)を目指すなら、株式会社が有利です。
一般的に、株式会社は合同会社よりも社会的信用度が高いと認識されています。これは、株式会社の設立・運営には厳格な法律上のルール(決算公告の義務など)が課されており、情報開示性が高いことが一因です。特に、許認可が必要な事業や、大企業を取引先として想定している場合、株式会社であることが取引開始の条件となるケースも考えられます。
2. 資金調達の方法と柔軟性
ベンチャーキャピタルなど外部から広く出資を受けたいなら、株式会社一択です。
株式会社は「株式」を発行することで、多くの投資家から資金を調達できます。将来的に事業を大きく成長させるために、外部からの出資を視野に入れている場合は、株式会社を選択する必要があります。一方、自己資金や親族からの借入、日本政策金融公庫などからの融資を中心に考えている場合は、合同会社でも大きな支障はありません。
3. 経営の自由度と意思決定のスピード
個人事業主からの法人成りや、少人数でスピーディーに事業を進めたいなら、合同会社が適しています。
合同会社は、出資者(社員)=経営者(業務執行社員)であり、重要な意思決定も原則として社員全員の同意で行います。株式会社のように株主総会を招集する必要がなく、迅速かつ柔軟な経営判断が可能です。変化の速い業界でビジネスチャンスを逃さず、機動的に事業を展開したい場合に大きなメリットとなります。
4. 利益の分配方法
出資額に関わらず、貢献度に応じて利益を分配したいなら、合同会社が有効です。
株式会社では、利益の配当は原則として出資比率(持ち株数)に応じて行われます。しかし、合同会社では、定款に定めることで利益の分配割合を自由に決めることができます。例えば、「Aさんは出資額は少ないが、事業の中心的な役割を担っているため、多くの利益を分配する」といった柔軟な対応が可能です。技術やアイデアで大きく貢献するメンバーがいる場合に適した仕組みと言えるでしょう。
5. 事業承継や相続の考え方
将来、事業を子どもに継がせたり、M&Aによる売却を考えたりするなら、株式会社がスムーズです。
株式会社の場合、株式を譲渡することで事業承継やM&Aを行います。手続きが比較的明確で、第三者への売却も行いやすいという特徴があります。一方、合同会社で社員の地位(持分)を譲渡するには、原則として他の社員全員の同意が必要となり、手続きが複雑になる可能性があります。長期的な出口戦略まで見据えるのであれば、株式会社の方が選択肢は広がるでしょう。事業承継は相続とも密接に関わる問題であり、当事務所でも相続と事業承継に関するご相談を多く承っております。
会社設立、専門家に相談する3つの大きなメリット
ここまで株式会社と合同会社の違いについて解説してきましたが、「自分の場合は結局どちらが良いのだろう?」と、かえって悩んでしまった方もいらっしゃるかもしれません。そんな時こそ、専門家への相談を検討してみてはいかがでしょうか。専門家への依頼は単なる手続きの代行ではありません。特に起業という重要な局面において、計り知れない価値をもたらします。

1. 自分に最適な会社形態や定款内容を判断できる
私たち司法書士は、法律の知識はもちろん、これまで数多くの会社設立に立ち会ってきた経験があります。あなたの事業内容や将来のビジョン、資金計画などを丁寧にお伺いした上で、株式会社と合同会社のどちらがより適しているか、客観的な視点からアドバイスすることが可能です。
さらに、会社の憲法ともいわれる「定款」にどのような規定を盛り込むべきか、あなたのビジネスに合わせた最適な内容をご提案します。一人で悩みながら決めるよりも、確実で安心できる選択ができるはずです。
2. 時間と手間を省き、本来の事業準備に集中できる
会社設立には、定款作成、公証役場での認証(株式会社の場合)、法務局への登記申請など、多くの書類作成と複雑な手続きが伴います。これらを一つひとつ調べながらご自身で行うには、膨大な時間と労力がかかります。
専門家に任せる最大のメリットは、その貴重な時間とあなたの集中力を、事業計画の策定、商品開発、顧客開拓といった、起業家として本来最も注力すべき活動に使えることです。専門家への依頼はコストではなく、あなたのビジネスを加速させるための「投資」と捉えることができます。
3. 手続きのミスを防ぎ、将来のトラブルを回避できる
もし定款の内容に不備があったり、登記申請でミスがあったりすると、手続きが滞るだけでなく、後から修正するために余計な手間と費用がかかってしまうことがあります。最悪の場合、設立後の会社運営に支障をきたす可能性もゼロではありません。
登記の専門家である司法書士に依頼することで、法的に不備のない、正確な手続きを迅速に完了させることができます。これは、単に会社を設立するというだけでなく、その後のスムーズな会社運営の揺るぎない土台を築くことにつながるのです。
会社設立のご相談は司法書士にお任せください
会社設立は、あなたの夢や事業を形にするための、非常に重要で希望に満ちた第一歩です。しかし、同時に多くの決断と複雑な手続きが求められ、不安を感じることも少なくないでしょう。
株式会社か、合同会社か。その選択は、今後の事業展開に大きな影響を与えます。どちらが良い・悪いということではなく、あなたのビジネスにとってどちらが最適かを見極めることが何よりも大切です。
下北沢司法書士事務所(所在地:東京都世田谷区北沢三丁目21番5号ユーワハイツ北沢201、代表司法書士:竹内 友章、所属:東京司法書士会)では、単に手続きを代行するだけでなく、心理カウンセラーの資格(日本推進カウンセラー協会認定 心理カウンセラー)を持つ司法書士が、あなたの不安や想いに寄り添いながら、最適な会社設立をサポートいたします。不動産会社での勤務経験もございますので、店舗やオフィスの契約といった不動産が関わるご相談にも対応可能です。個別の案件の結果は事案により異なり、結果を保証するものではありません。
会社設立はゴールではなく、輝かしい未来へのスタートです。その大切な一歩を、私たち専門家と一緒に、確かなものにしませんか。まずはお気軽にご状況をお聞かせください。あなたからのご連絡を心よりお待ちしております。エリアも東京23区(葛飾区、板橋区などの事務所のある世田谷から遠めの地域でももちろん大丈夫!)だけでなく、テレビ電話などを駆使することによって全国のご相談に対応可能です!
対応エリア | 相続手続、遺言、相続放棄、会社設立、不動産売却なら下北沢司法書士事務所
ぜひお気軽にご相談ください!
下北沢司法書士事務所 竹内友章

東京都世田谷区北沢にある下北沢司法書士事務所は、相続手続き、遺言作成、相続放棄、会社設立、不動産売却など、幅広い法務サービスを提供しています。代表の竹内友章は、不動産業界での経験を持ち、宅地建物取引士や管理業務主任者の資格を活かし、丁寧で分かりやすいサポートを心掛けています。下北沢駅から徒歩3分の便利な立地で、土日も対応可能です。お気軽にご相談ください。
