おはようございます!下北沢司法書士事務所の竹内と申します。今日は4月から使える相続法改正の主役、「配偶者居住権」についてお話したいと思います。さてこの配偶者居住権、「権」とつくことから分かるように権利の1つです。新しい権利ができたのですから大きな大きな法改正と言えるでしょう。シンプルに解説します!!
配偶者居住権はどんな権利か!?
配偶者居住権は、相続が発生した時に使う権利です。相続発生後も亡くなった旦那さんや奥さんと一緒に住んでた家に引き続き住んで普通に生活することができます。「それって当たり前じゃないの!?」と思われるかも知れません。しかし、お子さんと仲が悪くうまく遺産分割協議がまとめられないこともあります。まとめられても「お母さんは自宅不動産を相続したのだから、お金は私に相続させて」と言われるかも知れません。昭和の時代に日本を引っ張ってくれたたくさんのご家庭は、「お父さんは外で頑張って働きお母さんは家を守る」というおうちがたくさんありました。共働きが当たり前ではなかったのです。自然とお父さんの預貯金口座にお金が集中してお母さん名義の通帳にはあまり入っていない状態になります。それなのに預貯金を相続できなかったらお母さんの生活はどうなってしまうのでしょうか。そんなお母さんの生活を守る権利が配偶者居住権です。
配偶者居住権でどうやって生活を守るのか?
配偶者居住権でお母さんの生活を守るのはいいとしてどうやってお母さんの生活を守るのでしょうか。それは、配偶者居住権のメリットに注目すると見えてきます。配偶者居住権のメリットは「価値が低い」ところです。何故、価値が低いのがメリットなのでしょうか。相続の時は、「法定相続分」といって相続で引き継ぐ財産割合の基準が定められています。配偶者居住権の価値が低いおかげで、自宅不動産に住む権利を確保しつつ預貯金も相続するよう他の相続人に主張しやすくなります。配偶者居住権でも、普通に住む分には所有権と変わりません。家賃もとられません。結果として所有権で不動産を相続した時と比べると、不動産以外の預貯金を相続できる金額が大きくなり、お母さんの生活が守れます。
配偶者居住権は使いやすい権利なのか?
この配偶者居住権。果たして私たちにとって使いやすい権利なのでしょうか。配偶者居住権は二次相続を見据えた相続税の節税に使えるとの指摘もあります。配偶者居住権が作られた本来の目的よりも、もしかしたら節税対策でたくさん使われるようになるかも知れません。
今日は配偶者居住権についてお話ししました。花見はできませんが、外に出て桜を見るくらいのことはいいのでしょうか?外出自粛だからそれもダメなんですかね。どうせだから今はのんびり過ごすと割り切って、普通の状態に戻ったらギアをあげると思えばいいのかも知れませんね。
下北沢司法書士事務所 竹内友章