「何から手をつければ…」古い相続手続き、放置していませんか?
「そういえば、亡くなった祖父の名義のままの実家がある」「親の相続手続きをしないまま、兄も亡くなってしまった」「相続人が誰で、どこにいるのか全く分からない」…。
まるで絡み合った糸のように、何代にもわたって解かれていない相続手続き。いざ向き合おうとしても、どこから手をつければ良いのか分からず、途方に暮れてしまっているのではないでしょうか。
時間が経てば経つほど、関係者は増え、手続きは複雑化の一途をたどります。これは決して特別な話ではなく、誰の身にも起こりうる深刻な問題です。
この記事では、司法書士という専門家の視点から、なぜ古い相続、特に「数次相続」が絶望的に難しいのか、そしてその複雑な問題を解決するための具体的な道筋を解説します。読み終える頃には、漠然とした不安が晴れ、解決に向けた第一歩を踏み出す勇気が湧いてくるはずです。
なぜ「数次相続」は絶望的に難しいのか?司法書士の現場から解説
数次相続とは、最初の相続(一次相続)の手続きが終わらないうちに、相続人の一人が亡くなり、次の相続(二次相続)が発生してしまう状態を指します。この「相続の連鎖」こそが、手続きを極めて困難にする元凶です。司法書士の現場から見ても、数次相続は特に骨の折れる案件の一つ。その理由を具体的に見ていきましょう。
1. ネズミ算式に増える相続人、会ったこともない親戚が登場
数次相続における最大の問題は、関係者である「相続人」がネズミ算式に増えていくことです。遺産分割協議は、相続人全員の合意がなければ成立しません。また、不動産の相続登記や金融機関での払戻し等の手続では、遺産分割協議書への実印押印や印鑑証明書の提出を求められることが一般的であり、一人でも欠けると手続きが止まってしまいます。

例えば、祖父が亡くなった後(一次相続)、手続きをしないうちに父が亡くなった(二次相続)とします。この場合、父が相続するはずだった権利は、父の相続人である母と子(あなた)に引き継がれます。さらに、祖父の他の子供である叔父や叔母、すでに亡くなっている場合はその子供である「いとこ」までもが相続人として登場するのです。
何十年も会っていない、あるいは存在すら知らなかった親戚を探し出し、事情を説明して協力をお願いする。その精神的な負担は計り知れません。中には疎遠な相続人とのやりとりは、感情的なもつれを生むことも少なくありません。
2. 確認しなければならない戸籍が膨大になり、古いものもたくさん見る。
相続人を確定させるためには、亡くなった方(被相続人)の「生まれてから亡くなるまで」の全ての戸籍謄本等を集める必要があります。数次相続では、この作業を亡くなった方全員分、行わなければなりません。
どんどん前の世代に遡ると数十年前、場合によっては100年以上前の戸籍まで遡ることも珍しくありません。そこには、現代の私たちを阻むいくつもの壁が立ちはだかります。
- 手書き・旧字体:達筆すぎて読めない、今とは違う古い漢字で書かれている(書道家が掛け軸用に書いてる感じで読みやすくかくよりかっこよく書いてるんじゃないかと思う字もたくさんあります。)
- 制度の変更:法改正前の古い戸籍(改製原戸籍)や、コンピュータ化される前の戸籍は、記載方法が異なり解読に専門知識が必要です。
- 戸籍の焼失:戦争や災害で役所ごと戸籍が焼失・紛失しているケースもあります。その場合は消失・紛失していることの証明書をもらいます。
これらの難解な書類を一枚一枚読み解き、相続関係を正確にパズルのように組み立てていく作業は、まさに専門家の領域です。一つでも見落としがあれば、手続きは最初からやり直しになってしまいます。
【司法書士の経験談】専門家でも苦労する数次相続の実態
ここで、少し専門的な話をさせてください。これは、数次相続がいかに特殊で、専門家でさえ慎重な対応を求められるかを示す、私の実体験から得た教訓です。
相続手続きを効率化するために、平成29年から「法定相続情報証明制度」という便利な制度が始まりました。これは、たくさんの戸籍の束を法務局に提出すると、誰が相続人であるかを証明するA4用紙1枚の証明書を発行してくれるというものです。これがあれば、銀行での手続きや不動産の名義変更がスムーズに進みます。
しかし、この非常に便利な制度にも弱点があります。それは、「数次相続に完全には対応していない」という点です。
法定相続情報に記載されるのは、あくまで「最初の相続が発生した時点」の相続人のみ。その後に亡くなった方がいても、その情報は反映されません。制度が始まった当初、私もこの点をうっかり見過ごし、法定相続情報を取得したにもかかわらず、結局、二次相続の関係を証明するために追加で大量の戸籍を提出する羽目になった、という苦い経験があります。
この経験から、今では数次相続の案件では、法定相続情報をあえて2種類(一次相続用と二次相続用)取得したり、状況に応じて従来通り戸籍の束で証明したりと、ケースバイケースで最適な方法を使い分けるようになりました。プロでさえ試行錯誤を重ねるのが数次相続の現場なのです。
放置の末路は?数次相続がもたらす最悪のシナリオ
「そのうちやろう」と問題を先送りにすると、事態はさらに悪化します。放置された数次相続が、どのような悲劇的な結末を迎える可能性があるのか。具体的なシナリオを見ていきましょう。
シナリオ1:相続人が数十人に…誰も合意できず不動産は塩漬け
世代を重ねるごとに相続人は増え続け、最終的には数十人に膨れ上がることもあります。そうなると、全員の意見をまとめるのは事実上不可能になります。結果、実家などの不動産は誰も利用しないまま放置され、売ることも貸すこともできず、固定資産税の負担だけが重くのしかかる「負動産」と化してしまいます。
さらに、2024年4月1日から相続登記の申請が義務化され、相続(遺言を含む。)により不動産を取得した相続人は、原則として「相続で取得したことを知った日から3年以内」に相続登記を申請する必要があります。正当な理由なく申請を怠った場合、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。また、2024年4月1日より前に開始した相続で未登記の場合も義務化の対象となり、原則として2027年3月31日までに相続登記が必要とされています。こうした事態を避けるためにも、相続登記でありがちなミスを避け、確実な手続きが求められます。
シナリオ2:「お金のことですか?」疎遠な親族との気まずい交渉
多くの人が最も恐れるのが、このシナリオではないでしょうか。何十年も連絡を取っていない親戚に、突然「相続手続きにご協力ください」と連絡をしなければならない場面を想像してみてください。
相手からすれば、あなたは「見ず知らずの親戚」。当然、「なぜ今更?」「お金が目当てか?」と警戒心を抱かれても不思議ではありません。手続きへの協力をお願いするどころか、感情的な対立に発展し、話し合いが泥沼化してしまうケースも少なくありません。このような相続における感情的な対立は、当事者だけで解決するのは極めて困難です。
シナリオ3:あなたの子供や孫の代まで続く「負の遺産」
最も深刻なのは、この問題があなた一人の代で終わらないことです。あなたが解決できなければ、この複雑で厄介な問題は、そのままあなたの子供、そして孫の世代へと引き継がれていきます。
将来、あなたの子や孫が、さらに増えた見ず知らずの親戚と交渉しなければならないのです。問題を先送りすることは、愛する家族に「負の遺産」を残すことに他なりません。「自分の代で必ず終わらせる」。その決意が、今、求められています。

複雑な数次相続、司法書士が「解決の羅針盤」になります
ここまで読んで、「もう自分では無理だ」と感じられたかもしれません。しかし、ご安心ください。どれほど複雑に絡み合った数次相続であっても、解決への道筋は必ずあります。私たち司法書士は、そのための「羅針盤」となり、あなたをゴールまで導く専門家です。
戸籍の束から「誰が相続人か」を正確に確定します
私たちの最初の仕事は、難解な戸籍の束を読み解き、法的に有効な相続人を一人残らず特定することです。これは、相続手続き全体の土台となる最も重要な作業です。豊富な知識と経験に基づき、多数の相続人の戸籍収集を正確かつ迅速に進め、相続関係を明確にした「相続関係説明図」を作成します。
各種の手続きを通せる「遺産分割協議書」を作成します
相続人全員が確定したら、次はその全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」を行います。数次相続の場合、遺産分割協議書には「誰が、誰の相続人としての地位を引き継いで合意したのか」を明確に記載する必要があり、その作成には高度な専門性が求められます。
私たちは、法務局や金融機関で求められるポイントを踏まえ、できる限りスムーズに手続きが進むよう配慮した遺産分割協議書の作成を行い、将来のトラブル予防につながるよう丁寧にサポートします。
面倒な手続きや連絡調整をサポートします
司法書士に依頼する最大のメリットは、時間的・精神的な負担から解放されることです。具体的には、以下の手続きを中心に、法律上の業務範囲内でサポートします。
- 各種書類の収集:戸籍謄本、住民票、固定資産評価証明書など、必要な書類をすべて代行取得します。
- 各種手続きのサポート:法務局での不動産名義変更(相続登記)は、必要書類の収集・作成から申請まで対応します。銀行や証券会社での預貯金・株式の解約・名義変更についても、必要書類の準備や手続きの進め方をサポートし、委任状等が整う場合には手続きに同行・取次ぎ等を行います(金融機関の取扱いにより対応範囲は異なります)。
- 相続人との連絡調整:他の相続人への連絡、事情説明、書類の送付・回収などを、状況に応じてサポートします(相続人間で争いがある場合や交渉代理が必要な場合は、弁護士へのご相談が必要となることがあります)。
たとえ不動産がない相続手続きであっても、これらの煩雑な作業をすべてお任せいただけます。
なぜ当事務所が「古い相続」に強いのか?3つの理由
数ある司法書士事務所の中で、なぜ私たちが特に「古い相続」「複雑な相続」の問題解決に自信を持っているのか。それには明確な理由があります。
理由1:心の負担を軽くする「心理カウンセラー」の視点
古い相続手続きが滞る最大の原因は、法律の複雑さ以上に、親族間の感情的なもつれです。疎遠だった親戚に連絡を取る不安、過去のしがらみからくる不信感…。こうした心の壁が、手続きを前に進めることを阻みます。
当事務所の代表は、司法書士であると同時に心理カウンセラーの資格も有しています。私たちは、単に手続きを代行するだけでなく、あなたの不安な気持ちに寄り添い、丁寧にお話を伺うことを何よりも大切にしています。第三者である専門家が、穏やかに、そして中立的な立場で間に入ることで、こじれかけた人間関係の糸を優しく解きほぐしていきます。司法書士が心理カウンセラーの資格を持つ理由は、まさにここにあります。
理由2:不動産会社出身だからわかる「実家のリアル」
古い相続では、ほとんどの場合、ご実家などの不動産が関わってきます。手続きのゴールは、単に名義を変えること(登記)だけではありません。その不動産を「今後どうするのか」まで見据えることが重要です。
代表は司法書士になる前、不動産会社やマンション管理会社で勤務した経験があります。そのため、法律論だけでなく、「この不動産は売却すべきか、賃貸に出すべきか」「売却するなら、どのような手順で進めるのが最も得策か」といった、現実的で具体的な出口戦略まで含めたアドバイスが可能です。相続不動産の売却に関するお悩みにも、ワンストップで対応できるのが私たちの強みです。
理由3:何十年も前の相続も歓迎。「まずは話す」から始めます
「こんなに古い話を相談して、迷惑がられないだろうか…」そんな心配は一切無用です。私たちは、何十年前に発生した相続であっても、決して匙を投げることはありません。むしろ、そうした複雑な案件こそ、専門家としての腕の見せ所だと考えています。
どこから手をつけていいか分からない状態でも構いません。まずは、あなたの知っている範囲のことから、私たちにお話しください。関係の無い話でも脱線でも全然大丈夫です。そこから一つ一つ丁寧に事実を整理し、解決までの地図を一緒に描いていきます。相談の入り口は、いつでも広く開かれています。
まとめ|複雑な相続問題、一人で抱え込まずにご相談ください
数次相続は、時間が経てば経つほど関係者が増え、解決が困難になる厄介な問題です。放置すれば、不動産が塩漬けになったり、親族間のトラブルに発展したり、さらには次の世代にまで負担を残してしまうことになりかねません。
しかし、どれだけ複雑に見えても、状況を整理することで解決への糸口が見つかるケースは多くあります。
下北沢司法書士事務所は、法律の専門家として、そして心のカウンセラーとして、あなたの抱える重荷を一緒に背負います。あなたの代でこの問題を終わらせ、次の世代にスッキリとした未来を繋ぐために。まずはその第一歩として、一人で抱え込まず、私たちに話してみませんか。
エリアも東京23区、それも板橋区や江戸川区など事務所所在地の世田谷より遠めの区からもご依頼を頂戴しております。首都圏(神奈川、千葉、埼玉)からのご依頼も多数。訪問やテレビ電話での打ち合わせにも対応しております。
対応エリア | 相続手続、遺言、相続放棄、会社設立、不動産売却なら下北沢司法書士事務所 – 相続手続、遺言、相続放棄、会社設立、不動産売却なら下北沢司法書士事務所
心に優しく、多角的に丁寧に課題と向き合う。それが私たちの約束です。

東京都世田谷区北沢にある下北沢司法書士事務所は、相続手続き、遺言作成、相続放棄、会社設立、不動産売却など、幅広い法務サービスを提供しています。代表の竹内友章は、不動産業界での経験を持ち、宅地建物取引士や管理業務主任者の資格を活かし、丁寧で分かりやすいサポートを心掛けています。下北沢駅から徒歩3分の便利な立地で、土日も対応可能です。お気軽にご相談ください。

