Archive for the ‘相続・遺言’ Category

遺留分侵害と相続登記|不動産しかない場合の対処法

2026-02-02

「遺留分を請求されたら、この家を失ってしまうの?」ある相談者の不安

「このまま相続登記を進めて、後から姉に遺留分を請求されたら、とんでもないことになりませんか…?」

当事務所を開業してから数年がたったころ、税理士さんからご紹介いただいた相続登記のご相談でのこと。お母様が遺してくれたご自宅に、一人で暮らすご依頼者の娘さんは、消え入りそうな声でそうおっしゃいました。

遺言には、この家をすべて娘さんに相続させると書かれていました。しかし、戸籍を拝見すると、ご依頼者にはお姉様が一人いらっしゃいます。詳しくお話を伺うと、お母様の財産はこのご自宅がほとんどで、現金はあまりないとのこと。ご依頼者自身も、ご病気のこともあり長時間働くことが難しく、家賃のかからないこの家を頼りに、パート収入でなんとか暮らしているという状況でした。依頼者様はネットで知った「遺留分」について非常に心配されていました。

お母様を亡くされた悲しみと、一人暮らしになった心細さ。そして、「遺留分」という聞き慣れない言葉への漠然とした不安が、依頼者様の心を重くしているのが伝わってきました。

「もし、姉から多額のお金を請求されたら…?どうやって対応すれば良いのですか?」

私は、二つのことを丁寧にお伝えしました。

一つは、遺留分は「必ず請求されるとは限らない」ということ。ご姉妹は疎遠ではあるものの、特段仲が悪いわけではなく、お姉様の生活も安定しているご様子。実際、遺留分が侵害されていても、請求に至らないケースはたくさんあります。例えば「母が全部相続する」という遺言があったからといって子が遺留分請求するケースの方が数としては少ないでしょうし、自宅を相続した長男に次男が遺留分侵害請求することも数としては少ないと思います。

そして、もう一つ。これが最も大切なことですが、「遺留分は『お金』で支払うものなので、請求されたからといって、このご自宅の所有権がすぐに脅かされるわけではない」という事実です。

この言葉に、彼女の表情が少しだけ和らいだのを今でも覚えています。法的な手続きを進めるだけでなく、不安な心に寄り添い、少しでも気持ちを軽くすることを大事にしたいなと思った出来事でした。

この記事を読んでくださっているあなたも、もしかしたら、かつての彼女と同じような不安を抱えているのかもしれません。大丈夫です。この記事を読み終える頃には、その不安の正体が分かり、次に何をすべきかが明確になっているはずです。一緒に、一歩ずつ進んでいきましょう。

まず落ち着いて確認。遺留分と相続登記の基本

不安な気持ちでいると、どうしても悪い方向にばかり考えてしまいがちです。まずは冷静に、今の状況を正しく理解することから始めましょう。遺留分と相続登記について、知っておくべき基本的なポイントは2つです。

遺留分と相続登記の基本を図解したインフォグラフィック。遺留分が金銭請求であること、相続登記が3年以内に義務化されたことを示している。

遺留分とは?最低限の取り分を「お金で」請求する権利

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に保障された、最低限の遺産の取り分のことです。具体的には、配偶者、子(代襲相続人を含む)、直系尊属(父母や祖父母など)が遺留分権利者となります。たとえ遺言書に「全財産を長男に相続させる」と書かれていても、他の遺留分権利者(例えば次男や長女)は、この遺留分を請求する権利を持っています。

ここで非常に重要なのが、相続法改正(民法等改正)です。改正により、遺留分の請求は「遺留分侵害額請求(民法1046条)」として金銭の支払を求める形に整理され、令和元年(2019年)7月1日以後に開始した相続から適用されています。改正前は、不動産そのものの返還を求める(共有持分を主張する)こともできましたが、現在は原則としてお金での解決が求められます。

つまり、遺留分を請求されても、いきなり不動産が共有状態になったり、家を追い出されたりするわけではない、ということです。これが、まずあなたに知っておいてほしい一番の安心材料です。

遺留分の割合は、法定相続分によって異なります。例えば、相続人が配偶者と子2人の場合、配偶者の遺留分は全財産の1/4、子2人の遺留分は合わせて1/4となります。もし5,000万円の価値がある不動産が唯一の相続財産で、相続人が子2人(長男・次男)だったとします。遺言で「すべて長男へ」とあった場合、次男の遺留分は「5,000万円 × 1/2(法定相続分) × 1/2(遺留分割合) = 1,250万円」となります。次男は長男に対して、この1,250万円を金銭で支払うよう請求できる、ということになります。具体的な相続分の計算は相手方のあること。話し合いで決まってくる部分もあります。

参照:民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について|法務省

相続登記の義務化|遺留分問題があっても手続きは必須

もう一つ、避けては通れないのが相続登記です。2024年4月1日から相続登記が義務化されました。相続(遺言を含む。)により不動産の所有権を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があり、正当な理由なく怠った場合には10万円以下の過料の適用対象となります。なお、施行日前に開始した相続で未登記の不動産にも義務は及び、原則として令和9年(2027年)3月31日までに相続登記が必要です。

「遺留分の問題が解決していないから…」という理由で、相続登記を先延ばしにすることはできません。むしろ、問題が複雑に絡み合っているからこそ、放置すればするほど状況は悪化してしまいます。たとえば、相続人が増えてしまうなど、さらなるトラブルの原因にもなりかねません。

問題が複雑だからこそ、専門家と一緒に計画を立て、着実に進めていくことが何よりも大切なのです。

相続財産が不動産しかない場合の遺留分の支払い方

「理屈は分かったけれど、結局、支払うためのお金がない…」
ここが、多くの方が一番頭を悩ませる点だと思います。相続財産がご自宅だけ、というケースは決して珍しくありません。そんな時に考えられる、具体的な3つの支払い方法を見ていきましょう。

相続財産が不動産しかない場合の遺留分の支払い方3つの方法。不動産売却、代物弁済、期限の許与という選択肢を図解している。

①不動産を売却して現金で支払う

最もシンプルで分かりやすいのが、相続した不動産を売却し、その売却代金から遺留分侵害額を支払う方法です。これを「換価分割」と呼びます。

  • メリット:公平に金銭で解決できるため、後腐れがありません。また、不動産の維持管理といった負担からも解放されます。
  • デメリット:当然ながら、住み慣れた家を失うことになります。また、不動産が希望する価格やタイミングで売れるとは限らないという不確実性もあります。

注意点として、不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、「譲渡所得税」という税金がかかる可能性があります。売却を検討する際は、司法書士だけでなく、税理士にも相談し、税金のことも含めて計画を立てることが不可欠です。私たち司法書士は、不動産の売却を前提とした遺産分割協議書の作成から、登記手続きまでサポートいたします。

②不動産の一部を渡す(代物弁済)

現金を用意できない場合に、金銭の代わりに不動産の所有権の一部を相手方に渡すことで解決する方法です。これを「代物弁済(だいぶつべんさい)」といいます。

  • メリット:手元に現金がなくても解決が可能です。家に住み続けながら、相手方と不動産を共有するという形になります。
  • デメリット:不動産を共有することで、将来の売却や建て替えの際に、また相手方の同意が必要になるなど、新たな問題の火種となる可能性があります。

そして、代物弁済には非常に重要な注意点があります。それは、不動産を渡した側に「譲渡所得税」が課税される可能性があるということです。「お金をもらっていないのになぜ?」と思われるかもしれませんが、税法上は「不動産を時価で売却し、そのお金で借金を返済した」と見なされるのです。

この方法を選択する場合は、当事者間の合意を書面(遺産分割協議書など)に残し、「代物弁済」を原因として所有権を一部移転する登記手続きが必要です。予期せぬ税負担を避けるためにも、必ず事前に専門家へご相談ください。

③支払い期限を延期してもらう(期限の許与)

売却しようにも早急な支払いを求められているなどの事情がある場合、裁判所に対して申し立てを行うことで、支払い期限を延ばしてもらえる「期限の許与」という制度があります。

これは、遺留分を支払う側の資力や状況を考慮して、裁判所が相当の期限を定めてくれるものです。ただし、これはあくまで最終手段の一つであり、認められるかどうかは裁判所の判断によります。まずは当事者間で分割払いの交渉をするなど、話し合いによる解決を目指すのが基本です。このような制度があることを知識として知っておくだけでも、少し心の余裕が生まれるかもしれません。

遺留分と相続登記、誰に相談すべき?最適な専門家の選び方

ここまで読んでいただき、問題の全体像は見えてきたものの、「自分一人で進めるのは無理だ」と感じられたのではないでしょうか。その通りです。遺留分と相続登記が絡む問題は、法律や税金、そして何より家族の感情が複雑に絡み合うため、専門家のサポートが不可欠です。

司法書士事務所で、相談者の女性が司法書士に安心して相談している様子。専門家への相談の重要性を示している。

司法書士と弁護士の役割分担と連携

では、誰に相談すればよいのでしょうか。ここで登場するのが、司法書士と弁護士です。それぞれの役割には違いがあります。

専門家主な役割得意なこと
司法書士登記・書類作成のプロ相続登記、遺産分割協議書の作成、法的な状況の整理、相続人調査など。円満な話し合いのサポート。法務大臣の認定を受けた司法書士(認定司法書士)は、簡易裁判所で取り扱える民事事件(訴訟の目的の価額が140万円を超えない請求事件)等について、裁判手続や裁判外の和解等の「簡裁訴訟代理等関係業務」の範囲で代理業務を行うことができます。
弁護士交渉・紛争解決のプロ代理人として相手方と直接交渉する、調停や裁判で主張を行うなど、争いになった場合の対応。
司法書士と弁護士の役割

簡単に言えば、話し合いで円満に解決できそうな段階や、手続き・書類作成がメインの場合は「司法書士」すでに関係がこじれており、交渉や裁判が必要な場合は「弁護士」が主な担当となります。

大切なのは、両者が敵対するのではなく、連携してお客様にとって最善の解決を目指すことです。まずは司法書士に相談して状況を整理し、必要に応じて弁護士や税理士と協力しながら進めていくのが、最もスムーズで安心できる進め方です。

まずは司法書士の無料相談で状況を整理しましょう

遺留分と不動産の相続登記。一人で抱え込むには、あまりにも重い問題です。何から手をつけていいか分からず、時間だけが過ぎていく…そんな状況は、精神的にも非常につらいものです。

解決への第一歩は、あなたの状況を専門家に話し、客観的に整理してもらうことです。

下北沢司法書士事務所では、単に手続きを代行するだけではありません。心理カウンセラーの資格を持つ司法書士が、あなたの不安な気持ちに寄り添いながら、法的な状況を分かりやすくご説明します。そして、あなたのご希望を丁寧にお伺いした上で、考えられる選択肢とそれぞれのメリット・デメリットを提示し、一緒に最適な解決策を見つけていきます。

エリアも事務所のある世田谷区だけでなく東京23区や東京都下、千葉・埼玉・神奈川の首都圏の方から多くご依頼をいただいております。どうぞお気軽に電話やお問合せフォームでご相談ください。

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相続手続きの理不尽さ・難しさ|専門家がストレスを減らす方法

2026-01-27

銀行からの『追加書類のお願い』。私も経験した理不尽な話

「理不尽だな…」と感じることは、日常生活のなかで誰にでもあるのではないでしょうか。実は、相続手続きの専門家である私も、仕事のなかで同じように感じることがあります。

今回は、私が経験した「ちょっとした理不尽」なお話から始めさせてください。ただ、もしあなたが相続手続きに不慣れで、仕事や家事で手一杯のときに同じ状況に陥ったら、とんでもないストレスになりかねない、そんなお話です。

当事務所は、お子さんがいらっしゃらないなどのご事情で相続人の数が多くなる、複雑な相続手続きを得意としています。その日も、戸籍の収集から相続人の確定、住所の調査、そして相続人全員へのご案内と、遺産分割協議書への署名・押印まで、すべてが順調に進んでいました。

いよいよ最後のステップ、銀行預金の払い戻しと不動産の名義変更(相続登記)です。今回は不動産の売却も控えていたため、まずは相続登記を優先して無事に完了させました。

残るは5つの銀行での預金手続き。1行目、2行目と順調に終わり、3行目の手続きで、それは起こりました。

銀行との書類のやり取りは、多くが郵送です。手続きが終わると、計算書類や解約済みの通帳などが書留郵便で返送されてきます。その日も、いつものように書留を受け取り、「これで3行目も終わったな」と安堵しながら封筒にハサミを入れました。

いつもなら真っ先に見つかるはずの、振り込み額が記載された計算書が見当たらないのです。あれ?おかしいな、と書類の束をかき分けていると、一枚の案内文が目に飛び込んできました。そのタイトルは、「追加書類のお願い」

終わったわけではありませんでした。相続登記も通り、他の2つの銀行も同じ書類で問題なく手続きできたのに、なぜ…?

追加で求められたのは、すでに関係を証明するために提出済みの戸籍と内容が重なるようなものでした。幸い、手元に保管していたのですぐに返送して事なきを得ましたが、その時ふと思ったのです。

「これが一般の方だったら、どれほど大変だろう」と。

まず、書留郵便を平日の昼間に受け取ること自体が難しい方もいるでしょう。案内文に書かれた「追加の戸籍」が具体的に何を指すのか理解するのも一苦労かもしれません。もし手元になければ、また役所に取りに行かなければならないのです。体調が優れなかったり、仕事で心がすり減っていたりしたら…。「もういいや」と手続きを放置してしまっても、何ら不思議はないと感じました。

この経験から、相続手続きがもたらすストレスの根深さを改めて痛感したのです。

相続手続きで多くの人がぶつかる「3つの高い壁」

あなたが今感じているストレスや「理不尽だ」という思いは、決してあなた一人が抱えているものではありません。多くの方が、相続手続きという道のりで、大きく分けて3つの高い壁にぶつかります。この全体像を理解するだけでも、少し心が軽くなるかもしれません。このテーマの全体像については、相続手続きが遅れる主な原因と、司法書士選びのポイントで体系的に解説しています。

相続手続きで多くの人が直面する「銀行の壁」「人間の壁」「手続きの壁」という3つの困難を図解したインフォグラフィック。

第1の壁:なぜ?銀行ごとに違う「理不尽な」追加書類

「法務局では通ったのに」「A銀行では大丈夫だったのに、なぜB銀行だけダメなの?」これは、多くの方が抱く当然の疑問であり、まさに「理不尽」の正体です。

なぜこのようなことが起こるのでしょうか。銀行は「相続人ではない人にお金を渡してしまう」というミスを防いでトラブルに巻き込まれないようにしたいからです。

そのため、各銀行はトラブルを未然に防ぐために、それぞれ独自の厳格な内部ルールを設けています。法務局や他の銀行がOKとした書類でも、「当行のルールでは、念のためこの戸籍も必要です」という判断がなされることがあるのです。これは、あなたを困らせたいわけではなく、銀行側の防衛策なのです。

具体的には、

  • 亡くなった方の出生まで遡る戸籍だけでなく、さらに古い戸籍を求められるケース
  • 発行から3ヶ月や6ヶ月を過ぎた印鑑証明書を再取得するよう言われるケース
  • 遺産分割協議書の内容について、より詳細な説明を求められるケース

など、様々なパターンがあります。「そういう事情があったのか」と頭では理解できても、実際に何度も追加書類を求められると、心が折れそうになるお気持ちは痛いほど分かります。この銀行相続手続きの負担を軽くする方法は、特に精神的な負担が大きい場面の一つと言えるでしょう。特に追加書類を求める案内には理由の説明などが書いてわけでもないし、この辺も小さなストレスとなって日常生活の質を下げてしまうかも知れません。

第2の壁:話が進まない…複数相続人との「連絡の難しさ」

相続手続きで最も心をすり減らすのが、他の相続人との人間関係かもしれません。特に相続人が複数いる場合、スムーズに話が進まないことが少なくありません。

連絡が取れなくなったり、非協力的な態度をとられたりする背景には、様々な理由が考えられます。

  • 長年疎遠で、今さら連絡を取りづらい
  • 過去の家族間の出来事から、感情的なわだかまりがある
  • 相続への関心が薄く、手続きの重要性を理解してもらえない
  • 他の相続人が主導することに不満を感じている

こういう時にもらいなおすのが大変なのが印鑑証明書です。重要な書類なので関係性が悪いと何回もだすの嫌なのは当然と言えるかも知れません。印鑑証明書は日付制限があるので手続きが長引きそうなときは注意が必要です。期限ぎれでもらいなおしが必要になると厄介です。

第3の壁:心身ともに限界…手続きそのものがもたらす「ストレス」

銀行や相続人との調整だけでなく、手続きそのものの煩雑さが、じわじわと心と体を蝕んでいきます。

時間的な制約:役所や銀行の窓口は、基本的に平日の昼間しか開いていません。仕事や家事の合間を縫って、何度も足を運ぶのは大変な負担です。
膨大な労力:亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書、住民票、固定資産評価証明書…。集めるべき書類は多岐にわたり、遺産分割協議書などの専門的な書類作成も必要になります。
精神的なプレッシャー:何より辛いのは、「いつになったら終わるのか」という先が見えない不安です。「相続手続き 疲れた」「相続 ノイローゼ」といった言葉で検索してしまうほど、精神的に追い詰められる方もいらっしゃいます。

大切な方を亡くされた悲しみが癒えない中で、これだけの負担を一人で抱え込むのは、あまりにも過酷です。あなたが疲れ果ててしまうのは、決して無理もないことなのです。不動産がない場合の相続手続き(遺産承継)の進め方であっても、その負担の大きさは変わりません。

そのストレス、専門家ができる限り引き受けます

これまでお話ししてきた「銀行の壁」「人間の壁」「手続きの壁」。これら3つの高い壁を乗り越える最も効果的な方法が、司法書士のような専門家に依頼することです。

専門家に依頼するメリットは、単に手続きを代わりにやってもらうだけではありません。それは、あなたの「時間」「労力」「精神的負担」を劇的に軽減し、あなたの生活の質そのものを向上させることにあります。私たち司法書士は、遺産分割協議書の取り付けや相続登記といった専門技術が必要な部分はもちろん、手続き全体を通してあなたの心の平穏を守るパートナーです。

メリット1:時間と心の余裕が生まれる

専門家に依頼すれば、あなたはもう、平日の昼間に役所や銀行の窓口で長時間待つ必要はありません。山のような書類の束と格闘したり、「次に何をすべきか」と常に考え続けたりするプレッシャーからも解放されます。

手続きにかけていた時間を、あなたは本来使うべきことに使えるようになります。仕事に集中する、家族と穏やかな時間を過ごす、あるいは静かに故人を偲ぶ…。相続手続きという非日常のストレスから解放され、あなた自身の人生を取り戻すこと。それが、私たちが提供できる最大の価値の一つです。

相続手続きのストレスから解放され、自宅でリラックスしてコーヒーを飲む女性。専門家への依頼で心の平穏を取り戻した様子を象徴している。

メリット2:難しい連絡・調整役をすべて任せられる

相続人間の連絡や調整は、最も精神を消耗する作業です。特に、関係性がこじれていたり、相手が非協力的だったりする場合、当事者同士で話を進めるのは困難を極めます。

私たち司法書士が第三者として中立的な立場で間に入ることで、感情的な対立を避け、冷静な話し合いの土壌を作ることができます。法的な知識と経験に基づき、疎遠な相続人や難しい相手にも丁寧かつ的確にアプローチします。

「自分からは言いにくい…」「どう伝えたらいいか分からない…」
そんな相続で感情的対立があるときの中立的な進め方を伴うようなデリケートな連絡も、状況に応じてできる限り私たちがサポートします。あなたはそのストレスから解放され、安心して結果を待つことができるのです。

メリット3:手続きの漏れやミスを防ぎ、将来の安心を確保する

相続手続きは、一つ一つのステップが法律で厳密に定められています。もし書類に不備があったり、期限のある手続き(例えば相続放棄など)を忘れてしまったりすると、後々もっと大きなトラブルに発展したり、思わぬ金銭的損失を被ったりする可能性があります。

専門家が手続きを行うことで、法的に適切な手続きとなる可能性が高まり、抜け漏れやミスのリスクを抑えやすくなります。特に、不動産の名義変更である相続登記で起こりがちなミスと対策は、2024年4月から義務化され、専門的な知識が不可欠です。目先の手間を省くだけでなく、将来にわたる法的なリスクを回避し、確かな安心を手に入れることができるのです。

下北沢司法書士事務所ができること

相続手続きは、法律や制度の知識だけで乗り越えられるものではありません。そこには、家族の歴史や、言葉にならない様々な感情が複雑に絡み合っています。

当事務所の司法書士は、心理カウンセラーの資格も有しております。これは、「法律」という論理的な側面だけでなく、ご依頼者様が抱える不安や悲しみといった「心理」の側面にも寄り添いたい、という強い想いからです。

私たちは、単に手続きを代行するだけの専門家ではありません。あなたの話をじっくりと伺い、法律と心理の両面から、あなたが抱える不安を一つひとつ丁寧に解消していくパートナーです。理不尽な思いや、誰にも言えないストレスを、どうか一人で抱え込まないでください。

エリアも葛飾区や江東区など事務所所在地より遠い東京23区の方、千葉・埼玉・神奈川など首都圏の方も大歓迎しております。

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下北沢司法書士事務所 竹内友章

遺言が必要なケースとは?司法書士が相談事例で解説

2026-01-15

「この子に家を残したい」その想い、遺言で実現しませんか?

「長年、同居して身の回りの世話をしてくれているこの子に、私が亡くなった後も安心して暮らせるように自宅を残してあげたい」
「でも、他の子どもたちとの間で不公平になって、家族が揉める原因にならないだろうか…」

ご自身の人生の終焉を意識されたとき、大切なご家族への想いから、このように悩まれる方は少なくありません。ご自身の財産を誰に、どのように引き継いでほしいか。真剣に考えるそのお気持ちは、とても尊いものです。

しかし、その想いをただ心の中に秘めているだけでは、残念ながら実現が難しくなってしまうことがあります。遺言書は、単なる法律上の手続き書類ではありません。ご家族への最後の愛情、感謝、そして願いを形にし、あなたの亡き後も家族が円満でいられるようにと願う「最後の手紙」のようなものです。

私たち司法書士は、法律の専門家であると同時に、皆さまの心に寄り添うパートナーです。この記事では、ある具体的なご相談事例をもとに、あなたの「想い」を法的に実現するための具体的な道筋を、一緒に考えていきたいと思います。

自宅のリビングで、家の相続について真剣に考えている様子の初老の男性。

【司法書士の相談事例】同居する長男に家を相続させたい

「遺言は作った方が良いのでしょうか?」というご相談は、私たちが日常的によくお受けするものです。もちろん、遺言があることで避けられるトラブルはたくさんあります。しかし、相続人同士の関係が良好で、遺産分割の話し合いがスムーズに進む見込みがあれば、必ずしも全てのケースで遺言が必須というわけではありません。

ですが、ご本人の中に「こうしたい」という明確な希望がある場合は、話が全く違ってきます。先日、ご相談にいらっしゃった方も、そのお一人でした。

その方の願いは、非常に明確でした。
「同居している長男に、この家を相続させたい」

ご長男はご病気を抱えており、せめて生活の基盤である家だけは確実に残してあげたい、という親心からの切実な願いでした。ご相談者にはご長男の他に、独立して家庭を築いているお子さんが二人いらっしゃいます。そして、財産の中心が今お住まいの自宅不動産という状況でした。

このようなケースで遺言がないまま相続が発生すると、どうなるでしょうか。法律(法定相続)に従えば、お子さん三人が平等に権利を持つことになります。ご長男が「この家に住み続けたい」と願っても、他のご兄弟が「公平に分けるために家を売却してお金で分けよう」と主張すれば、相談者の方の想いと全く違った結論になるかも知れません。仮に不動産を三人の共有名義にしたとしても、住んでいない他のご兄弟にとっては、売却しない限り何のメリットもありません。兄弟間の対立に発展してしまう可能性が十分にあります

ご本人の切実な願いを叶えるため、私は遺言書の作成をお勧めしました。しかし、そこには乗り越えるべき2つの大きな課題がありました。

課題1:避けられない「遺留分」の問題

一つ目の課題は、法律上の権利である「遺留分」です。遺留分とは、配偶者・子(代襲相続人を含む)・直系尊属といった一定の相続人に法律上保障された、最低限の遺産の取り分のことです(このケースでは、ご長男以外の二人のお子さんにも遺留分が認められます)。遺留分を侵害する遺言を作ることは可能ですし、そういう遺言も現にたくさん作成しました。ですが実際に遺留分を他の相続人が請求する可能性があるケースでは、争いの火種になりかねないのも事実です。

ご相談者の財産は、ご自宅が主要な部分を占めていました。他に小さな不動産と、わずかな預貯金があるのみ。この状況でご自宅をご長男が一人で相続すれば、他の二人のお子さんの遺留分を侵害してしまうことは明らかでした。

そこで私はまず、提携している不動産会社に依頼し、ご自宅ともう一つの不動産の査定書を取り寄せました。具体的な金額を把握することで、法的なリスクを「見える化」します。査定の結果、やはりご自宅の価値が高く、このままでは遺留分を請求されるリスクが非常に高いことが確認できました。相続財産がどのくらいになるのか、その相続分の計算は、円満な相続の第一歩です。

(参考:遺留分に関する民法特例のポイント(会社向け) – 中小企業庁

課題2:ご本人の「全ての財産を長男に」という感情

もう一つの課題は、法律ではなく、ご本人の「感情」でした。
遺言を残すことを決意されたご本人でしたが、その内容については強いこだわりをお持ちでした。

「他の子どもたちには、これまで住宅資金の援助など、十分すぎるほどのことをしてあげてきた。だから、残りの財産は全て長男に渡すのが、私の中では一番公平なんです」

そのお気持ちは、痛いほど伝わってきました。ご本人が望むのであれば、その通りの遺言書を作成することは可能です。しかし、司法書士の仕事は、ただ言われた通りの書類を作ることではありません。その遺言が将来どのような結果をもたらす可能性があるのか、法的なリスクを正確にお伝えし、ご本人の本当の願いである「家族の幸せ」に繋がる道筋を一緒に探すことこそが、私たちの使命です。

私は、遺留分のリスクについて改めて丁寧にご説明しました。そして、同席されていたご長男ご自身も、「自分が全てをもらうなんて、そんなつもりはありません。家を残してもらえるだけで、本当にありがたいです。お父さんの気持ちは嬉しいけれど、兄弟とは揉めたくないので、遺留分を考えた内容にしてほしい」と、お父様にお話しされました。

この言葉が決め手となり、最終的に「自宅は長男に、それ以外の不動産や預貯金は他の兄弟が相続する」という、遺留分にも配慮した内容で遺言を作成する方向で、全員の気持ちが一つになりました。

解決策:遺言書で『想い』と『公平性』を両立させる工夫

遺言書の本文には、法的な効力を持つ事柄、つまり「誰に、どの財産を相続させるか」を淡々と記載します。しかし、それだけでは、なぜこのような分け方にしたのか、ご本人の真意は伝わりません。

そこで私は、ある工夫をご提案しました。それが「付言事項(ふげんじこう)」です。

付言事項とは、遺言の最後に付け加えるメッセージのことで、法的な拘束力はありません。しかし、ご自身の言葉で、ご家族への想いを伝えることができる非常に重要な部分です。

遺言書の法的効力部分と、想いを伝える付言事項の役割の違いを比較した図解。

今回のケースでは、この付言事項に、

  • なぜ長男に自宅を相続させることにしたのか、その理由
  • 他の子どもたちへのこれまでの感謝の気持ち
  • 家族みんなでこれからも仲良くしてほしいという願い
  • そして、「どうか、この遺言の内容で納得し、遺留分の請求はしないでほしい」という、心からのお願い

といった内容を盛り込むことをご提案しました。ご本人も深く頷かれ、ご自身の言葉で綴られた想いを遺言書に加えることになりました。このように、遺言は家族への大切なメッセージにもなるのです。

ご自身の中に「こうしたい」という明確な希望がある場合、遺言はそれを実現するための、そしてご家族の絆を守るための、非常に有効な手段となります。

遺言だけで大丈夫?信託というもう一つの選択肢

遺言は、ご自身が亡くなった後の財産の分け方を決めるための強力なツールです。しかし、「亡くなった後」だけでなく「生きている間」の不安に備えたい、あるいは、もっと先の世代までの財産の行方を決めておきたい、といったご希望には、遺言だけでは対応しきれない場合があります。

そこで登場するのが「信託」、特にご家族に財産管理を託す「家族信託」という制度です。遺言と信託は、どちらか一方を選ぶものではなく、目的によっては併用することで、よりきめ細やかな対策が可能になります。

こんな場合は「遺言+信託」の併用も検討

遺言と信託の併用が特に有効なのは、次のようなケースです。

  • 認知症による資産凍結に備えたい
    もしご自身が認知症などで判断能力が低下した場合、預貯金の引き出しや不動産の売却などがスムーズに進まなくなることがある、いわゆる「資産凍結」のリスクがあります。元気なうちに信頼できるご家族(例えば長男)と信託契約を結んでおけば、ご自身の判断能力が低下した後も、長男があなたの代わりに財産の管理や処分をスムーズに行えるようになります。遺言は亡くなった後にしか効力を発揮しないため、生前の対策として信託は非常に有効です。
  • 二次相続以降の財産の承継先も指定したい
    「自分の死後は、まず妻に財産を渡し、妻が亡くなった後は、長男にその財産を確実に引き継がせたい」といった、数世代にわたる希望がある場合です。遺言だけで、「妻が受け取った後、その妻の死後は長男へ」といった数世代にわたる承継までを確実に拘束することは難しい場合があります。信託であれば、このような「後継ぎ遺贈型」の願いを実現することが可能です。

これらは一例ですが、任意後見や家族信託といった制度は、遺言と組み合わせることで、より強固な安心を築くことができます。信託と成年後見制度は似ているようで、お金の使い方の自由度などが大きく異なります。

司法書士が最適なプランをご提案します

「私の場合は、遺言だけでいいのだろうか?」「信託も考えた方がいいのかな?」と、一人で悩む必要はありません。

私たち司法書士は、まずご家族の状況や財産の内容、そして何よりも「あなたがどうしたいのか」という一番大切な想いを、じっくりとお聴きします。今回の事例のように不動産会社から査定書を取り付けるなど、財産額の計算ももちろん手厚くサポート。その上で、法律知識とそして現実に数多くの遺言を作成してきた経験に基づき、遺言が良いのか、信託が良いのか、あるいは両方を組み合わせるのが最適なのか、あなたのご家庭にとっての最善の方法を一緒に考え、遺言や信託の完成まであなたと併走します。

司法書士が相談者の話を親身になって聞いている、安心感のある相談風景。

ご本人・ご家族からのご相談を、私たちが一緒に考えます

相続や遺言の悩みは、財産を残すご本人様だけのものではありません。「親が将来のことをどう考えているのか心配」「兄弟と揉めないように、親に遺言を書いてもらいたいけれど、どう切り出せばいいか分からない」といった、お子様の世代からのご相談も非常に多く寄せられます。

下北沢司法書士事務所では、ご本人様からはもちろん、そのご家族様からのご相談も心から歓迎いたします。

私たちは、単に法律手続きを代行するだけの存在ではありません。心理カウンセラーの資格も持つ司法書士が、ご家族それぞれの想いを丁寧に整理し、皆さまが納得できる円満な未来を築くためのお手伝いをさせていただきます。

何から話せばいいか分からなくても大丈夫です。まずはあなたの「気になっていること」から、お気軽にお話しください。そこから一緒に、解決への一歩を踏み出しましょう。エリアも昨年は千葉や横浜など、幅広いエリアの方の遺言を作成しました。当事務所のある世田谷から遠めと感じる方でも、ぜひお気軽にご相談ください。

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下北沢司法書士事務所 竹内友章

数次相続で相続放棄した人が再び相続人に?プロの書き方

2026-01-14

相続放棄したはずが…数次相続で再び相続人になる理由

当事務所では、かなり前に亡くなった方の名義のままになっている不動産の名義変更(相続登記)のご依頼を承っております。古い時代の相続ですと、多くの場合で「数次相続」と呼ばれる状態になっています。この数次相続が発生すると、相続人の人数が一気に膨れ上がったり、相続手続きに相続放棄も活用する場合は「誰の相続を放棄するのか」ということが非常に重要なテーマになります。今日は数次相続と遺産分割協議、そして相続放棄の関係性についてお話しします。司法書士でさえ気が付くタイミングが遅れた相続放棄の落とし穴。実際に起こったケースも掲載しますので参考になると思います。

ケースで理解する「数次相続」の仕組み

まず、「数次相続(すうじそうぞく)」とは何か、具体的なケースで見ていきましょう。

例えば、祖父が亡くなり(一次相続)、その遺産分割協議が終わらないうちに、相続人である父が亡くなってしまった(二次相続)というケースを想像してみてください。この場合、父が本来受け取るはずだった「祖父の財産を相続する権利」は、父の相続人である母や子(あなた)に引き継がれることになります。これが数次相続の基本的な仕組みです。

数次相続の仕組みを図解。祖父が亡くなる一次相続の後、遺産分割前に父が亡くなる二次相続が発生し、父の相続権が子に引き継がれる流れを示している。

一次相続と二次相続が連続して発生することで、相続人の数がどんどん増え、関係性が複雑化していきます。子が先に亡くなっている場合に孫が相続人になる代襲相続とは異なり、数次相続は「相続権そのもの」が次の相続人に引き継がれる点が特徴です。代襲相続の場合は、子より先に亡くなった方の子しか相続人にしかなりませんが、数次相続の場合は子より先に亡くなった方の配偶者も相続人になります。このように、相続人になる人数が増えがちなのが数次相続です。

なぜ?相続放棄が「今回の相続」にしか効力がない理由

この数次相続に、家庭裁判所で手続きを取る「相続放棄」がからむと非常に複雑な相続関係になる場合があります。その理由は、相続放棄の効力が、その申述の対象となった特定の相続にしか及ばないという法律の原則にあります。

家庭裁判所で行う相続の放棄の申述は、「被相続人〇〇(例:父)の相続」というように、誰の相続を放棄するのかを特定して行います。したがって、あなたが「父の相続」を放棄した場合、その効力はあくまで父のプラスの財産(預貯金や不動産)とマイナスの財産(借金)を一切引き継がない、ということに限定されます。

相続放棄をすると、その相続(例:父の相続)については初めから相続人ではなかったものと扱われます。したがって、父の相続を放棄した場合、父の遺産に含まれる権利義務(例えば、父が一次相続で取得していた相続分など)を承継しないのが原則です。一方で、相続放棄は「放棄した被相続人の相続」にのみ効力が及ぶため、別の被相続人の相続(例:別の親族の相続)では、改めて相続人となることがあります。

これが、相続放棄をしたはずなのに、数次相続で再び相続人として登場する根本的な理由です。それぞれの相続は、法律上、全く別の手続きとして扱われるのが難しいところです。相続の手続きを取りたい亡くなった方は1人でも、数次相続が発生すると自然と2人以上の亡くなった方の書類や手続きが必要になってきます。

【司法書士の現場レポート】相続放棄者が再び相続人になった実例

私が実際に経験した事例を一つご紹介します。ご相談にいらっしゃったのは、亡くなったご兄弟の不動産の名義変更(相続登記)を希望される方でした。

その方は、ご自身で作成された手書きの相続関係説明図を持参されました。相続人は11名と多いものの、幸いにも全員と連絡が取れる状況で、うち2名はすでに相続放棄を済ませているとのことでした。不動産は依頼者様が相続することで話がまとまっている、というご説明でした。

「これはスムーズに進みそうだ」と、私は早速、職務として戸籍の収集に取り掛かりました。亡くなったご兄弟も複数いらっしゃり、世代をまたいでいるため、集めるべき戸籍の数は相当なものになりました。

全ての戸籍を読み解き、法務局に提出する相続関係説明図を作成にとりかかりました。
「あっ…」
思わず声が出たかもしれません。そこで気が付いた遅れた重大な事実があったのです。

相続人の中には、お子さんがいないまま亡くなった別のご兄弟がいました。しかも、その方が亡くなったのは、不動産の名義人である最初のご兄弟が亡くなったでした。つまり、数次相続が発生していたのです。

この場合、後から亡くなったご兄弟も、最初の遺産分割協議に参加する権利を持っていました。そして、その権利はさらに、その方(2番目に亡くなった方)の相続人へと引き継がれます。結果として、当初想定していなかった方々にも、今回の遺産分割協議に参加していただく必要が出てきたのです。

このケースでは、幸いにも最初の相続と二番目の相続のメンバーはほとんど同じでした。そこで、遺産分割協議書の書き方を工夫し、お二人の被相続人に対する遺産分割を一度に行う形式で書類を作成するここで対応できます。

しかし、ここで問題になったのが、最初に相続放棄をしていた2名の方です。彼らは、最初の相続(不動産名義人の相続)については「初めから相続人ではなかった」とみなされるため、協議に参加する必要がありません。しかし、二番目の相続については話が別です。彼らは、後から亡くなった兄弟の相続人ではあるのです。

このままでは、二番目の相続に関する遺産分割協議が成立せず、登記手続きを進めることができません。私はすぐに依頼者様と連絡を取り、状況を説明しました。そして、相続放棄をされていたお二人に、二番目の相続についても放棄していただくため、新たに家庭裁判所へ提出する書類の準備に取り掛かりました。最終的には、無事に全ての書類が揃い、不動産の名義変更を完了することができました。本当は依頼者からお話を聞いた時点でこの可能性を指摘出来れば良かったのですが、結果手続きには無事に相続登記が終わり、その後に控えている不動産売却も余裕をもって予定の時期に終えることができました。

【ケース別】遺産分割協議書・裁判所提出書類の書き方

数次相続と相続放棄が絡む手続きでは、書類の作成に細心の注意が必要です。ここでは、実務で最も重要となる「遺産分割協議書」と「相続放棄申述書」の書き方について、具体的なポイントを解説します。

遺産分割協議書の記載例:相続放棄者が再び相続人になった場合

数次相続が発生している場合、遺産分割協議書には誰がどの立場で協議に参加しているのかを明確に記載する必要があります。特に「誰が亡くなって(被相続人)、誰がその権利を引き継いだのか」を正確に表現することが、法務局での登記手続きをスムーズに進める鍵となります。

通常の遺産分割協議書と異なり、以下のような肩書きを使います。

  • 被相続人:最初に亡くなった方(例:祖父)
  • 相続人兼被相続人:次に亡くなった相続人(例:父)

【記載例のポイント】

例えば、次のような書き方が求められます。

(前文)被相続人 下北 太郎(令和〇年〇月〇日死亡)相続人兼被相続人 下北 一郎(令和△年△月△日死亡)の遺産分割協議のため、下北太郎の相続人であり、かつ、下北一郎の相続人である下記相続人全員は、次のとおり協議し、合意した。(署名押印欄)(相続人兼被相続人下北一郎の相続人)住所 東京都世田谷区・・・氏名 下北 花子 (実印)住所 東京都世田谷区・・・氏名 下北 次郎 (実印)

このように、誰の相続人で、誰が協議に参加しているのかを正確に記載しないと、法務局で登記申請が受理されません。遺産分割協議は相続人全員の合意が絶対条件であり、その参加資格を証明する上で、このような厳密な記載が求められるのです。

追加で相続放棄する場合の「相続放棄申述書」作成ポイント

二次相続についても財産や債務を引き継ぎたくない場合は、改めて家庭裁判所へ相続放棄の手続きを行う必要があります。この手続きは、数次相続の相続放棄において特に注意が必要です。

「相続放棄申述書」を作成する際のポイントは、「申述の理由」欄の書き方です。数次相続の時の申述の理由は長くなりがちなので、通常の申述書の他に「上申書」を用意して、そこに書きこむことも多いです。

単に「債務超過のため」と書くだけでなく、数次相続が発生している複雑な事情を裁判所に理解してもらうことが重要です。以下のように、経緯を具体的に記載すると良いでしょう。

【申述の理由 記載例】
「被相続人(父)には特段の資産はなく、債務を相続しないために、令和〇年〇月〇日付で相続放棄申述が受理されています(事件番号:令和〇年(家)第〇〇号)。この度、被相続人の父である祖父が亡くなったことによる数次相続が発生しましたが、祖父の遺産についても相続する意思がないため、申述に及びました。」

また、添付する戸籍謄本類も通常より複雑になります。一次相続と二次相続の両方の関係性を示す必要があるため、以下の書類が必要になるのが一般的です。

  • 申述人(あなた)の戸籍謄本
  • 被相続人(父)の出生から死亡までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 被相続人(父)の住民票除票または戸籍附票
  • 先に亡くなった被相続人(祖父)の死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本

どの範囲の戸籍が必要になるかは事案によって異なるため、事前に裁判所に確認するか、専門家に相談することをお勧めします。

裁判所の公式サイトで書式を確認できます。
参照:裁判所「相続の放棄の申述書(成人)」

不動産の名義変更(相続登記)で注意すべき点

数次相続が絡む場合、不動産の名義変更(相続登記)は特に専門的な知識が求められます。2024年4月からは相続登記が義務化され、正当な理由なく放置すると過料の対象となる可能性もありますので、確実な手続きが必要です。

司法書士がクライアントに数次相続と相続放棄が絡む複雑な不動産登記手続きについて説明している様子。

必要書類は?相続放棄申述受理証明書を忘れずに

相続登記を申請する際、相続放棄者がいる場合は、相続放棄の事実を示す書類(相続放棄申述受理証明書)を添付して、相続放棄者が相続人ではないことを示します。

この証明書は、相続放棄を申述した家庭裁判所に請求して取得します。戸籍謄本だけでは相続放棄の事実は証明できないため、必ず準備してください。ご自身で不動産の調査を行う際にも、誰が権利者であるかを確定させるために重要な書類となります。

登記申請書の書き方と中間省略登記の可否

数次相続が発生した場合の登記申請書では、「登記原因」の欄に特殊な記載をすることがあります。例えば、祖父(A)が亡くなり、次に父(B)が亡くなった場合、以下のように記載します。

「原因 令和〇年〇月〇日 A相続、令和△年△月△日 B相続」

中間の相続人が1名の場合はこのように記載し、2回の相続を1件の相続登記で申請することができます。相続が発生した日付とそれぞれの被相続人の名前を併記することで、権利変動の経緯を示します。

登記は背景事情によって様々な申請の仕方、集めなければいけない書類があります。相続登記には様々なミスが起こりやすいため、専門家でも流れ作業のように行うことはできず、1件1件相続関係等に注意を払いながら進めます。

複雑な相続手続きは専門家への相談が安心です

今日は数次相続や相続放棄がからむ相続登記についてお話ししました。膨大な戸籍の収集と正確な読解、事案に応じた遺産分割協議書の作成、裁判所や法務局への適切な書類提出が必要になります。

また、相続人間の調整や書類のやり取りは、精神的にも大きな負担となり場合も多いです。私たち司法書士のような専門家にご相談ください。登記申請(相続登記)の手続きや、必要書類の作成・収集などを、、手続き面のご負担を大幅に軽減します。

当事務所ができること:戸籍収集から登記まで一括サポート

当事務所では、数次相続のように複雑化した事案の解決を得意としています。ご依頼いただければ、以下の手続きをワンストップでサポートいたします。

  • 戸籍謄本の収集代行:必要となる戸籍謄本等の収集をサポートします。
  • 相続関係説明図の作成:戸籍に基づき、登記手続きで求められる形式に沿って作成します。
  • 遺産分割協議書の作成:事案に応じた記載内容で作成をサポートします。
  • 裁判所・法務局への手続きサポート:相続放棄や相続登記について、必要書類の作成・提出(登記申請代理等)をサポートします。

ご家族内での一般的な相続登記はもちろん、兄弟姉妹間の相続や、相続人の人数が多い、あるいは行方が分からないといった難しいケースまで、安心してご依頼いただけます。心に優しく、多角的に課題と向き合い、あなたにとって最善の解決策をご提案します。

ご相談から解決までの流れと費用の目安

当事務所では、初回のご相談は無料です。まずはお気軽にお問い合わせいただき、あなたの状況をお聞かせください。

  1. 無料相談のご予約:お電話またはウェブサイトのフォームからご連絡ください。
  2. 面談・ヒアリング:現在の状況、ご家族関係、お悩みの点などを詳しくお伺いします。
  3. ご提案・お見積り:最適な手続きの流れと、明確な費用のお見積りを提示します。
  4. ご依頼・業務開始:お見積りを承認いただけましたら、正式にご依頼いただき、速やかに手続きに着手します。

費用については、事案の複雑さ(相続人の数、不動産の数など)によって変動しますが、必ず事前に詳細な料金一覧を基にしたお見積りをご提示しますのでご安心ください。

一人で悩まず、まずは専門家の話を聞いてみませんか。あなたの抱える問題を整理し、解決への第一歩を踏み出すお手伝いをさせていただきます。エリアも東京23区をはじめ、千葉・埼玉・神奈川など主に首都圏にお住いの方からご依頼をいただいております。対象不動産は、全国どこでも全くさしつかえなく対応できます。どうぞお気軽にご相談ください。

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疎遠な相続人の心理とは?感情的対立を避ける専門家の対応

2026-01-13

疎遠な相続人とのやりとり、8割は円満に進みます

相続が発生し、戸籍をたどっていくと、会ったこともない、あるいは何十年も連絡を取っていない相続人がいることがわかるケースは決して珍しくありません。突然のことに、「どう連絡すればいいのだろう」「もしかして、トラブルになってしまうのでは…」と、大きな不安を感じていらっしゃるのではないでしょうか。

ですが、まず一番にお伝えしたいことがあります。それは、過度に心配なさらないでください、ということです。

下北沢司法書士事務所は、疎遠な相続人、あるいはほとんど会ったことのない相続人の調査をし、お手紙などで連絡を取り合いながら遺産分割協議書の取り付けや相続登記(不動産の名義変更)などをする遺産承継業務を得意としております。当事務所の経験から、疎遠な相続人に連絡を取った時に良くある反応をお伝えします。これから疎遠な相続人とやりとりをする方の参考になると思います。ぜひご覧ください。

まずお伝えしたいのは、およそ8割くらいの方は手続きに快く協力してくださるということです。もちろん、丁寧なお願いや相手に対する尊重の姿勢を表すことは当然の前提ですが、それさえできれば大抵の方は気持ちよく応じてくれます。尊重する上で大事なのは、あまりメリット・デメリットばかりにならず「お願いします」という姿勢で臨むこと。少なくとも初動の接触では特に大事です。相手を尊重するのがポイントであり、メリットやデメリットについていきなり理屈っぽく説明してしまうと、聞いてもないのにそんな説明をされて不快に思う人もいます。ただ、相手から質問があったらもちろん丁寧に説明します。質問されているということは関心を示してくれているともいえるのでいいことです。

この記事では、私たちの実務経験に基づき、なぜ話がこじれてしまうことがあるのか、その背景にある「心理」を解き明かします。そして、残りの2割のケースのように少し複雑な状況になったとしても、冷静に対処できる専門家の具体的なアプローチをご紹介します。読み終える頃には、漠然とした不安が、具体的な次の一歩を踏み出すための知識に変わっているはずです。

なぜこじれる?疎遠な相続人が抱く3つの典型的な心理

では、なぜ一部のケースで話し合いが難航してしまうのでしょうか。それは、疎遠な相続人の方が、突然の連絡に対して特有の心理状態に陥りやすいからです。法律論だけでは見えてこない、その心の動きを理解することが、円満解決への第一歩となります。

疎遠な相続人が抱く3つの典型的な心理「借金への警戒心」「詐欺への不信感」「感情的なしこり」を図解したインフォグラフィック。

心理1:借金を相続させられないか?という「警戒心」

自分が相続人になったとき「財産の一部が取得できる」といわばポジティブにとらえる人ばかりではありません。どちらかというと「借金を相続してしまうかも知れない」と心配する方の方が多いように感じます。突然、会ったこともない親族の相続人になったと知らされたとき、多くの方が最初に抱くのは「財産がもらえるかもしれない」という期待よりも、「知らない借金を負わされるのではないか」という強い警戒心です。特に、亡くなった方との関係が薄ければ薄いほど、その不安は大きくなります。

私たちがご連絡した際も、「財産はいらないから、とにかく関わりたくない」「プラスの財産があるという話自体が怪しい」といった反応が返ってくることがあります。これは、ごく自然な感情です。財産の全体像がはっきりしない中で協力だけを求められれば、誰しもまずは自分を守ろうと身構えてしまうものでしょう。

心理2:何かの詐欺ではないか?という「不信感」

相続について連絡を取るということは、遺産分割協議書にご署名・押印を求めることがほとんどです。この時そもそも「安易に書類にサインしちゃダメ!」という考えから、ひたすら拒否する事例もありました。こんな時代ですからある意味で無難な選択かも知れません。面識のない相手から、いきなり「ここに実印を押してください」と言われても、すぐに応じられる人はいません。「これは何かの詐欺ではないか」「言われるがままにサインしたら、後でとんでもないことになるのでは」という不信感が生まれるのは当然です。たとえ司法書士という専門家が間に入っていても、その司法書士自身が本物なのか、誰かの利益のために動いているのではないかと疑われてしまうケースさえあります。

心理3:過去の経緯からくる「感情的なしこり」

法律やお金の問題以上に根深く、解決を難しくするのが、家族間の感情的な問題です。あなたが全く記憶にないとしても実は相手はあなたや亡くなった方をよく覚えていることがあります。ちょっとした一言を言われたとか、あなたが進学した大学に相手は入れなかったとか、ちょっとしたことや一方的な嫉妬だったりします。この場合は、自分の感情を聞いて欲しいという感情が相手にもあります。

こうした感情的なしこりは、理屈では解決できません。「自分の気持ちを分かってほしい」「ただ話を聞いてほしい」という強い思いが、話し合いそのものを拒否する原因となっている場合、手続きを進める前にまず、その感情に寄り添う必要があります。

相手の心理に寄り添う司法書士の具体的な対応策

では、こうした複雑な心理を抱える疎遠な相続人の方と、どのように信頼関係を築いていけばよいのでしょうか。私たち司法書士は、単に手続きを代行するだけでなく、相手の心の状態に合わせたコミュニケーションを何よりも大切にしています。特に、代表司法書士が心理カウンセラーの資格も持つ当事務所では、心に寄り添うアプローチを実践しています。

こうした疎遠な相続人との円滑なやりとりには、専門家ならではのコツがあります。

「警戒心」には透明性の高い情報開示と選択肢の提示

「借金があるのでは」という警戒心を解くために最も有効なのは、徹底した情報開示による透明性の確保です。私たちはまず、相続財産の調査を正確に行い、預貯金や不動産といったプラスの財産だけでなく、ローンなどのマイナスの財産も全てリストアップした「財産目録」を作成し、ご提示します。

こういう時は相手から質問があるので丁寧に説明すること、それでも心配なされる時は家庭裁判所に対する相続放棄手続きの段取りを当事務所で取ることによって不安を解消していきます。その上で、「もしマイナスの財産が多ければ、相続放棄という選択肢もありますよ」ということを明確にお伝えします。相続放棄は、家庭裁判所で行う法的な手続きですが、その手続きのサポートも私たちが責任をもって行えることをご説明することで、相手の方は「無理やり相続させられることはない」と安心し、冷静に判断できる状況が生まれます(ただ、事案によっては相続放棄をすることで深刻に問題が複雑化してしまうことがあるので注意が必要です。)

相続放棄で問題が深刻化するケースのコラム

数次相続の相続放棄|遺産分割の代用にする際の注意点 | 相続手続、遺言、相続放棄、会社設立、不動産売却なら下北沢司法書士事務所 – 相続手続、遺言、相続放棄、会社設立、不動産売却なら下北沢司法書士事務所

参考情報
相続放棄の手続きについて、詳しくは裁判所のウェブサイトでご確認いただけます。
参照:相続の放棄の申述 | 裁判所

「不信感」には身分証明と丁寧なプロセス説明

「詐欺かもしれない」という不信感に対しては、まず私たちが何者であるかを明確にすることが第一歩です。場合によっては、司法書士の会員証の写しを同封するなどして、国家資格者としての身分をきちんと証明します。

司法書士が相談者に身分を証明するために会員証を提示している様子。誠実な対応で不信感を解消するイメージ。

こういう時は文案にコメントの解説文書をつけて何が書いてあるのか丁寧に説明すること有効です。そして、決して署名・押印を急かしません。なぜ今この書類が必要なのか、相続手続き全体の流れの中で今どの段階にいるのか、今後の見通しはどうなるのか。時には図を描いたりしながら、相手の方が全体像を理解し、納得してくださるまで丁寧に説明を尽くします。一つひとつのプロセスを誠実に見せることが、信頼を築くための唯一の道だと考えています。

「感情的なしこり」には傾聴と共感の姿勢

最も繊細な対応が求められる感情的な問題。ここで私たちが何よりも大切にしているのは、法律論や正論を振りかざすのではなく、まず相手のお話を徹底的に「聞く」ことです。何に怒り、何に傷つき、何を訴えたいのか。その心の叫びに、ただひたすら耳を傾けます。

なので、ひたすら聞きます。必要とあれば遠方でも、話を聞くために伺います。これは、マニュアル通りにはいかない、非常に根気のいるプロセスです。しかし、個人事務所である私たちは、フットワークの軽さを活かし、必要であれば遠方であっても直接お会いするために足を運びます。対面で真摯にお話を聞くことで、何年も凍りついていた感情が少しずつ溶け始め、話し合いのテーブルに着いていただけるきっかけが生まれるのです。この一人ひとりの感情に寄り添う丁寧な対応こそが、大手にはない私たちの強みであり、円満解決に繋がる鍵だと信じています。

なぜ司法書士が適任?弁護士との役割の違い

相続の専門家というと、弁護士を思い浮かべる方も多いかもしれません。もちろん、すでに対立が深刻化し、裁判での解決(遺産分割調停・審判)も視野に入れなければならない状況では、弁護士の力が必要です。

しかし、まだ対立が表面化しておらず、「できれば穏便に、円満に手続きを進めたい」と願う段階であれば、司法書士が最適なパートナーとなり得ます。

その理由は、両者の立場・役割の違いにあります。

  • 弁護士:特定の依頼者の「代理人」として、その依頼者の利益を最大化するために活動します。相手方とは交渉し、時には法廷で争うことが主な役割です。
  • 司法書士:紛争性のない相続手続(相続人・相続財産の調査、遺産分割協議書の作成支援、相続登記など)を中心にサポートします。相続人間の対立が深刻で交渉や調停・審判の対応が必要な場合は、弁護士への相談が必要となります。

弁護士さんが交渉すると、その時点で対立していることが強調されてしまいます。また、相手からしても「厄介な人だと思われている」と認識するので、これらのことから余計に感情的になってしまうことが考えられます。よって、対立が表に出るまでは弁護士さんより司法書士の方が、穏やかな課題解決に適しているといえます。

まとめ:大切なのは法律論と感情のバランス感覚です

相続手続きの仕事をずっと続けてきましたが、本当に「法律の理屈」「感情」のバランスを取りながら業務をするのは難しいと思っています。あまり理屈によっても相手の感情がこじれてしまい、せっかくまとまる話もやらなくていい遺産分割調停など必要になってしまうかも知れません。かといってあまり相手に寄り添いすぎると、ただ単に振り回されたりしてどんどんわがままになってしまうこともありえます。この当たりのバランスが難しさで司法書士によって差が出るところだと思います。

疎遠な相続人との手続きを成功させる鍵は、法律の知識だけではありません。それ以上に、相手が何を考え、何に不安を感じているのかを想像し、その心に寄り添う「感情」への配慮が不可欠です。

理屈だけでも、感情だけでも、この複雑な問題はうまくいきません。法律という客観的なルールと、一人ひとりの主観的な感情。この二つの間で、いかに絶妙なバランスを取りながら舵取りをしていくか。そこが専門家の腕の見せどころであり、司法書士によって差が出るところだと感じています。

もしあなたが今、会ったことのない相続人とのやりとりに不安を抱えているなら、どうか一人で抱え込まないでください。私たちは、法律と心理の両面からあなたの状況を理解し、最も穏便で、納得のいく解決策を「一緒に」考え、提案するパートナーです。個人事務所だからこそ、一人ひとりの状況に柔軟かつ丁寧に接することができ、それが多くの案件の成功につながっています。まずはお気軽にご相談いただければと思います。当事務所では東京23区だけでなく、千葉・埼玉・神奈川などの首都圏からもご依頼を頂戴しております。昨年は町田市や横浜市戸塚区など東京都下や東京以外の方からもご依頼を頂戴し、無事に不動産の名義変更(相続登記)を終えることができました。あなたからのご相談、心よりお待ちしております。

対応エリア | 相続手続、遺言、相続放棄、会社設立、不動産売却なら下北沢司法書士事務所 – 相続手続、遺言、相続放棄、会社設立、不動産売却なら下北沢司法書士事務所

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下北沢司法書士事務所 竹内友章

数次相続の難しさ|放置した古い相続手続きの解決策

2026-01-09

「何から手をつければ…」古い相続手続き、放置していませんか?

「そういえば、亡くなった祖父の名義のままの実家がある」「親の相続手続きをしないまま、兄も亡くなってしまった」「相続人が誰で、どこにいるのか全く分からない」…。

まるで絡み合った糸のように、何代にもわたって解かれていない相続手続き。いざ向き合おうとしても、どこから手をつければ良いのか分からず、途方に暮れてしまっているのではないでしょうか。

時間が経てば経つほど、関係者は増え、手続きは複雑化の一途をたどります。これは決して特別な話ではなく、誰の身にも起こりうる深刻な問題です。

この記事では、司法書士という専門家の視点から、なぜ古い相続、特に「数次相続」が絶望的に難しいのか、そしてその複雑な問題を解決するための具体的な道筋を解説します。読み終える頃には、漠然とした不安が晴れ、解決に向けた第一歩を踏み出す勇気が湧いてくるはずです。

なぜ「数次相続」は絶望的に難しいのか?司法書士の現場から解説

数次相続とは、最初の相続(一次相続)の手続きが終わらないうちに、相続人の一人が亡くなり、次の相続(二次相続)が発生してしまう状態を指します。この「相続の連鎖」こそが、手続きを極めて困難にする元凶です。司法書士の現場から見ても、数次相続は特に骨の折れる案件の一つ。その理由を具体的に見ていきましょう。

1. ネズミ算式に増える相続人、会ったこともない親戚が登場

数次相続における最大の問題は、関係者である「相続人」がネズミ算式に増えていくことです。遺産分割協議は、相続人全員の合意がなければ成立しません。また、不動産の相続登記や金融機関での払戻し等の手続では、遺産分割協議書への実印押印や印鑑証明書の提出を求められることが一般的であり、一人でも欠けると手続きが止まってしまいます。

数次相続によって相続人がどのように増えていくかを示した家系図。祖父の相続が未了のまま父が亡くなると、叔父やいとこまで相続人になることを図解している。

例えば、祖父が亡くなった後(一次相続)、手続きをしないうちに父が亡くなった(二次相続)とします。この場合、父が相続するはずだった権利は、父の相続人である母と子(あなた)に引き継がれます。さらに、祖父の他の子供である叔父や叔母、すでに亡くなっている場合はその子供である「いとこ」までもが相続人として登場するのです。

何十年も会っていない、あるいは存在すら知らなかった親戚を探し出し、事情を説明して協力をお願いする。その精神的な負担は計り知れません。中には疎遠な相続人とのやりとりは、感情的なもつれを生むことも少なくありません。

2. 確認しなければならない戸籍が膨大になり、古いものもたくさん見る。

相続人を確定させるためには、亡くなった方(被相続人)の「生まれてから亡くなるまで」の全ての戸籍謄本等を集める必要があります。数次相続では、この作業を亡くなった方全員分、行わなければなりません。

どんどん前の世代に遡ると数十年前、場合によっては100年以上前の戸籍まで遡ることも珍しくありません。そこには、現代の私たちを阻むいくつもの壁が立ちはだかります。

  • 手書き・旧字体:達筆すぎて読めない、今とは違う古い漢字で書かれている(書道家が掛け軸用に書いてる感じで読みやすくかくよりかっこよく書いてるんじゃないかと思う字もたくさんあります。)
  • 制度の変更:法改正前の古い戸籍(改製原戸籍)や、コンピュータ化される前の戸籍は、記載方法が異なり解読に専門知識が必要です。
  • 戸籍の焼失:戦争や災害で役所ごと戸籍が焼失・紛失しているケースもあります。その場合は消失・紛失していることの証明書をもらいます。

これらの難解な書類を一枚一枚読み解き、相続関係を正確にパズルのように組み立てていく作業は、まさに専門家の領域です。一つでも見落としがあれば、手続きは最初からやり直しになってしまいます。

【司法書士の経験談】専門家でも苦労する数次相続の実態

ここで、少し専門的な話をさせてください。これは、数次相続がいかに特殊で、専門家でさえ慎重な対応を求められるかを示す、私の実体験から得た教訓です。

相続手続きを効率化するために、平成29年から「法定相続情報証明制度」という便利な制度が始まりました。これは、たくさんの戸籍の束を法務局に提出すると、誰が相続人であるかを証明するA4用紙1枚の証明書を発行してくれるというものです。これがあれば、銀行での手続きや不動産の名義変更がスムーズに進みます。

しかし、この非常に便利な制度にも弱点があります。それは、「数次相続に完全には対応していない」という点です。

法定相続情報に記載されるのは、あくまで「最初の相続が発生した時点」の相続人のみ。その後に亡くなった方がいても、その情報は反映されません。制度が始まった当初、私もこの点をうっかり見過ごし、法定相続情報を取得したにもかかわらず、結局、二次相続の関係を証明するために追加で大量の戸籍を提出する羽目になった、という苦い経験があります。

この経験から、今では数次相続の案件では、法定相続情報をあえて2種類(一次相続用と二次相続用)取得したり、状況に応じて従来通り戸籍の束で証明したりと、ケースバイケースで最適な方法を使い分けるようになりました。プロでさえ試行錯誤を重ねるのが数次相続の現場なのです。

放置の末路は?数次相続がもたらす最悪のシナリオ

「そのうちやろう」と問題を先送りにすると、事態はさらに悪化します。放置された数次相続が、どのような悲劇的な結末を迎える可能性があるのか。具体的なシナリオを見ていきましょう。

シナリオ1:相続人が数十人に…誰も合意できず不動産は塩漬け

世代を重ねるごとに相続人は増え続け、最終的には数十人に膨れ上がることもあります。そうなると、全員の意見をまとめるのは事実上不可能になります。結果、実家などの不動産は誰も利用しないまま放置され、売ることも貸すこともできず、固定資産税の負担だけが重くのしかかる「負動産」と化してしまいます。

さらに、2024年4月1日から相続登記の申請が義務化され、相続(遺言を含む。)により不動産を取得した相続人は、原則として「相続で取得したことを知った日から3年以内」に相続登記を申請する必要があります。正当な理由なく申請を怠った場合、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。また、2024年4月1日より前に開始した相続で未登記の場合も義務化の対象となり、原則として2027年3月31日までに相続登記が必要とされています。こうした事態を避けるためにも、相続登記でありがちなミスを避け、確実な手続きが求められます。

シナリオ2:「お金のことですか?」疎遠な親族との気まずい交渉

多くの人が最も恐れるのが、このシナリオではないでしょうか。何十年も連絡を取っていない親戚に、突然「相続手続きにご協力ください」と連絡をしなければならない場面を想像してみてください。

相手からすれば、あなたは「見ず知らずの親戚」。当然、「なぜ今更?」「お金が目当てか?」と警戒心を抱かれても不思議ではありません。手続きへの協力をお願いするどころか、感情的な対立に発展し、話し合いが泥沼化してしまうケースも少なくありません。このような相続における感情的な対立は、当事者だけで解決するのは極めて困難です。

シナリオ3:あなたの子供や孫の代まで続く「負の遺産」

最も深刻なのは、この問題があなた一人の代で終わらないことです。あなたが解決できなければ、この複雑で厄介な問題は、そのままあなたの子供、そして孫の世代へと引き継がれていきます。

将来、あなたの子や孫が、さらに増えた見ず知らずの親戚と交渉しなければならないのです。問題を先送りすることは、愛する家族に「負の遺産」を残すことに他なりません。「自分の代で必ず終わらせる」。その決意が、今、求められています。

数世代にわたる複雑な相続問題を、司法書士と一緒に解決しようとしている家族のイラスト。過去の世代から続く問題を自分の代で終わらせる決意を象徴している。

複雑な数次相続、司法書士が「解決の羅針盤」になります

ここまで読んで、「もう自分では無理だ」と感じられたかもしれません。しかし、ご安心ください。どれほど複雑に絡み合った数次相続であっても、解決への道筋は必ずあります。私たち司法書士は、そのための「羅針盤」となり、あなたをゴールまで導く専門家です。

戸籍の束から「誰が相続人か」を正確に確定します

私たちの最初の仕事は、難解な戸籍の束を読み解き、法的に有効な相続人を一人残らず特定することです。これは、相続手続き全体の土台となる最も重要な作業です。豊富な知識と経験に基づき、多数の相続人の戸籍収集を正確かつ迅速に進め、相続関係を明確にした「相続関係説明図」を作成します。

各種の手続きを通せる「遺産分割協議書」を作成します

相続人全員が確定したら、次はその全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」を行います。数次相続の場合、遺産分割協議書には「誰が、誰の相続人としての地位を引き継いで合意したのか」を明確に記載する必要があり、その作成には高度な専門性が求められます。

私たちは、法務局や金融機関で求められるポイントを踏まえ、できる限りスムーズに手続きが進むよう配慮した遺産分割協議書の作成を行い、将来のトラブル予防につながるよう丁寧にサポートします。

面倒な手続きや連絡調整をサポートします

司法書士に依頼する最大のメリットは、時間的・精神的な負担から解放されることです。具体的には、以下の手続きを中心に、法律上の業務範囲内でサポートします。

  • 各種書類の収集:戸籍謄本、住民票、固定資産評価証明書など、必要な書類をすべて代行取得します。
  • 各種手続きのサポート:法務局での不動産名義変更(相続登記)は、必要書類の収集・作成から申請まで対応します。銀行や証券会社での預貯金・株式の解約・名義変更についても、必要書類の準備や手続きの進め方をサポートし、委任状等が整う場合には手続きに同行・取次ぎ等を行います(金融機関の取扱いにより対応範囲は異なります)。
  • 相続人との連絡調整:他の相続人への連絡、事情説明、書類の送付・回収などを、状況に応じてサポートします(相続人間で争いがある場合や交渉代理が必要な場合は、弁護士へのご相談が必要となることがあります)。

たとえ不動産がない相続手続きであっても、これらの煩雑な作業をすべてお任せいただけます。

なぜ当事務所が「古い相続」に強いのか?3つの理由

数ある司法書士事務所の中で、なぜ私たちが特に「古い相続」「複雑な相続」の問題解決に自信を持っているのか。それには明確な理由があります。

理由1:心の負担を軽くする「心理カウンセラー」の視点

古い相続手続きが滞る最大の原因は、法律の複雑さ以上に、親族間の感情的なもつれです。疎遠だった親戚に連絡を取る不安、過去のしがらみからくる不信感…。こうした心の壁が、手続きを前に進めることを阻みます。

当事務所の代表は、司法書士であると同時に心理カウンセラーの資格も有しています。私たちは、単に手続きを代行するだけでなく、あなたの不安な気持ちに寄り添い、丁寧にお話を伺うことを何よりも大切にしています。第三者である専門家が、穏やかに、そして中立的な立場で間に入ることで、こじれかけた人間関係の糸を優しく解きほぐしていきます。司法書士が心理カウンセラーの資格を持つ理由は、まさにここにあります。

理由2:不動産会社出身だからわかる「実家のリアル」

古い相続では、ほとんどの場合、ご実家などの不動産が関わってきます。手続きのゴールは、単に名義を変えること(登記)だけではありません。その不動産を「今後どうするのか」まで見据えることが重要です。

代表は司法書士になる前、不動産会社やマンション管理会社で勤務した経験があります。そのため、法律論だけでなく、「この不動産は売却すべきか、賃貸に出すべきか」「売却するなら、どのような手順で進めるのが最も得策か」といった、現実的で具体的な出口戦略まで含めたアドバイスが可能です。相続不動産の売却に関するお悩みにも、ワンストップで対応できるのが私たちの強みです。

理由3:何十年も前の相続も歓迎。「まずは話す」から始めます

「こんなに古い話を相談して、迷惑がられないだろうか…」そんな心配は一切無用です。私たちは、何十年前に発生した相続であっても、決して匙を投げることはありません。むしろ、そうした複雑な案件こそ、専門家としての腕の見せ所だと考えています。

どこから手をつけていいか分からない状態でも構いません。まずは、あなたの知っている範囲のことから、私たちにお話しください。関係の無い話でも脱線でも全然大丈夫です。そこから一つ一つ丁寧に事実を整理し、解決までの地図を一緒に描いていきます。相談の入り口は、いつでも広く開かれています。

まとめ|複雑な相続問題、一人で抱え込まずにご相談ください

数次相続は、時間が経てば経つほど関係者が増え、解決が困難になる厄介な問題です。放置すれば、不動産が塩漬けになったり、親族間のトラブルに発展したり、さらには次の世代にまで負担を残してしまうことになりかねません。

しかし、どれだけ複雑に見えても、状況を整理することで解決への糸口が見つかるケースは多くあります。

下北沢司法書士事務所は、法律の専門家として、そして心のカウンセラーとして、あなたの抱える重荷を一緒に背負います。あなたの代でこの問題を終わらせ、次の世代にスッキリとした未来を繋ぐために。まずはその第一歩として、一人で抱え込まず、私たちに話してみませんか。

エリアも東京23区、それも板橋区や江戸川区など事務所所在地の世田谷より遠めの区からもご依頼を頂戴しております。首都圏(神奈川、千葉、埼玉)からのご依頼も多数。訪問やテレビ電話での打ち合わせにも対応しております。

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心に優しく、多角的に丁寧に課題と向き合う。それが私たちの約束です。

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相続の銀行手続きは社会人の難関!専門家が解説【完全代行】

2026-01-07

「なぜ終わらない…」相続の銀行手続きが社会人を追い詰める理由

大切な方を亡くされた悲しみの中、息つく間もなく始まる相続手続き。特に、故人の預貯金を解約・引き継ぐための銀行手続きは、多くの方が複雑さや手間の前に立ち尽くしてしまう。仕事の忙しさもあってそのまま放置状態になってしまう方も多いです。

平日は仕事に追われ、週末は心身を休めたい。それなのに、鳴りやまない電話、山積みの書類、そして一向に進まない手続き…。この記事を読んでくださっているあなたも、そんな出口の見えないトンネルの中で、一人途方に暮れているのではないでしょうか。

この記事は、単なる手続きの解説書ではありません。仕事を持つ社会人の方が、なぜこれほどまでに銀行手続きで疲弊してしまうのか、その理由に深く寄り添い、あなたの貴重な時間と心の平穏を取り戻すための具体的な解決策を、専門家の視点からお伝えします。

平日休めない…銀行の窓口はなぜこんなに時間がかかるのか

相続の銀行手続きで多くの方が最初にぶつかるのが「時間の壁」です。銀行の窓口は、ご存知の通り平日の日中しか開いていません。仕事を休んでようやく窓口にたどり着いても、そこからが長い道のりの始まりです。

相続手続きは専門の部署や担当者が対応するため、予約が必須のケースも少なくありません。そして、ようやく迎えた予約当日も、窓口の混雑状況や案件の内容によっては、書類確認までに想定以上の時間がかかることがあります。「少々お待ちください」といって席を外した担当者が15分くらい戻ってこなかったりします。全然少々ではありません。おそらく、担当者はその場で全ての判断をするのではなく、上司や本部に確認をとっているのでしょう。確認を取られた上司・本部もまた確認をして・・・とやってるうちに長時間に及んでしまうのです。その結果、「この書類では不十分です」「〇〇の書類を追加でお願いします」と告げられ、何度も銀行に足を運ぶことになります。

やっとの思いで取得した有給休暇が、銀行との往復だけで消えていく。そんな現実に、多くの方が心をすり減らしています。これは決してあなたの段取りが悪いのではなく、手続きそのものが、社会人の生活リズムとは相容れない構造になっているのです。

「また不備ですか…」心が折れる、金融機関ごとの複雑なルール

時間の壁と同じくらい手ごわいのが「ルールの壁」です。銀行での相続手続きのルールは、法律で一律に決まっているわけではなく、金融機関ごとに独自の書式やルールが存在します。

金融機関の数だけ異なるルールと格闘し、書類の不備を指摘されるたびに、まるで自分が責められているかのように感じてしまう。その精神的なダメージは計り知れません。「もう、これ以上は無理だ」と感じてしまうのも、当然のことなのです。

相続の銀行手続きを自分で行う際の障壁と、専門家に依頼するメリットを比較した図解。

専門家への依頼を検討すべき「3つのサイン」

以下のような状況に当てはまる方は、生活の質が落ちたり精神的・体力的疲労を防ぐために、専門家への依頼を検討しても良いかも知れません。

  1. サイン1:金融機関が3つ以上ある
    取引金融機関が増えるほど、必要書類の準備や照会・提出先が増え、手続きに要する時間や手間が増える傾向があります。
  2. サイン2:相続人が複数いる、または疎遠な方がいる
    相続人全員の協力が不可欠ですが、全員から実印と印鑑証明書をもらうのは大変な作業です。特に、疎遠な相続人とのやりとりは、精神的にも大きな負担となります。
  3. サイン3:仕事が忙しく、平日休むのが現実的でない
    これが最も重要なサインです。あなたの本業や日常生活を犠牲にしてまで、慣れない手続きに時間を費やすことは、長い目で見れば大きな損失です。

司法書士の「遺産承継業務」があなたの時間と心を守ります

もしあなたが先ほどの「3つのサイン」に当てはまるなら、ぜひ知っていただきたいのが、私たち司法書士が提供する「遺産承継業務」です。これは、単に書類作成を代行するだけでなく、あなたの代理人として、金融機関との全てのやり取りを一手に引き受けるサービスです。

特に、相続人が多かったり、相続手続きが辛いと感じている方の負担を大きく軽減することができます。

【専門家コラム】なぜ、銀行手続きはこれほど面倒なのか?

当事務所が日々「遺産承継業務」で向き合っている現実をお話しします。実は、金融機関とのやり取りは、最初の申し込み段階からすでに高いハードルがあります。WEBサイトの相続申込ページは分かりにくい場所にあり、故人やご自身の情報を延々と入力する作業は、仕事終わりの疲れた身体には堪えます。しかも、金融機関によっては「平日19時まで」などと入力時間が制限されていることさえあるのです。

電話をしても、自動音声ガイダンスで担当者になかなかつながらない。やっと届いた書類も専門用語ばかりで書き方が分からない。時間をかけて記入しても、「書き方が違います」「添付書類が足りません」と差し戻される…。こうした一つ一つの小さなストレスの積み重ねが、社会人の方の心を蝕んでいきます。私たちのサービスは、この全ての煩わしさからあなたを解放するためのものなのです。

戸籍収集から解約、分配まで。すべてを専門家が代行

遺産承継業務をご依頼いただくと、具体的に以下のプロセスをすべて司法書士があなたの代理人として行います。

  1. 相続人の調査(戸籍収集): 複雑な戸籍の収集を代行し、法的に誰が相続人であるかを確定させます。
  2. 財産目録の作成: 預貯金や不動産など、故人の財産をすべて調査し、一覧表を作成します。
  3. 金融機関での手続き: 全ての金融機関と連絡を取り、必要書類の提出から解約・名義変更手続きまで、一切のやり取りを代行します。委任状等の条件が整えば、銀行窓口での手続きを司法書士が代行できる場合が多く、ご本人の来店負担を大きく減らせます。
  4. 遺産分割協議書の作成: 相続人全員の合意内容を法的に有効な書面にし、署名・押印の手配も行います。
  5. 預貯金の分配: 解約した預貯金を、遺産分割協議の内容に基づき、各相続人の口座へ正確に送金します。
司法書士による遺産承継業務の流れを5つのステップで解説した図解。相談から預貯金の分配までを網羅している。

銀行のサービスとの違いは?司法書士を選ぶメリット

「銀行にも同じようなサービスがあるのでは?」と思われるかもしれません。確かに、銀行も「遺産整理業務」というサービスを提供しています。しかし、司法書士の「遺産承継業務」には、依頼者にとって大きなメリットがあります。

比較項目司法書士(遺産承継業務)銀行(遺産整理業務)
費用料金体系は事務所や業務範囲、財産内容により異なりますが、銀行と比較すると定額に設定されることが多いです。提供主体やサービス内容により異なりますが、最低報酬額が1,100,000円(税込)と設定されている例もあります。
立場依頼者の代理人として、依頼内容に沿って手続きを進めます。金融機関としての立場で提供されるサービスです。
対応範囲不動産の相続登記(名義変更)までワンストップで対応可能。不動産登記は提携の司法書士に外注するため、別途費用や時間がかかることがある。
司法書士と銀行のサービス比較

特に、不動産の相続も発生している場合、司法書士であれば銀行手続きから登記まで一貫して対応できるため、スムーズかつ費用を抑えられる可能性が高まります。

手続きの負担から解放され、穏やかな日常を取り戻しませんか?

相続手続きのストレスで、故人を静かに偲ぶ時間さえ持てない。それは、あまりにも辛いことです。本来であれば、ご家族との思い出を語り合ったり、ご自身の心を労ったりするべき大切な時期です。

専門家に相談することは、単に面倒な手続きを丸投げすることではありません。それは、あなたが本来大切にすべき時間と心の平穏を取り戻し、前を向いて歩き出すための、積極的な第一歩です。

一人で抱え込まず、どうか私たちを頼ってください。メンタル心理カウンセラーの資格を持つ司法書士として、手続きのサポートはもちろん、あなたのお気持ちにも配慮しながら進められるよう努めます。

もしあなたが、相続の銀行手続きという重荷に押しつぶされそうになっているのなら、まずはそのお気持ちをお聞かせください。そこから、解決への道は必ず開けます。

まずはご相談でお話をお聞かせください

相続財産目録の重要ポイント|作成・開示の実務を司法書士が解説

2026-01-06

相続手続きの鍵「財産目録」とは?司法書士が基本から解説

相続が始まると、多くの方が戸籍の収集や遺産分割協議といった言葉を思い浮かべるかもしれません。しかし、そのすべての土台となる非常に重要な書類があります。それが「相続財産目録」です。

これは、亡くなられた方(被相続人)が遺した財産を一覧にまとめたリストのことです。単に財産を書き出すだけの作業だと思われがちですが、実はこの財産目録の精度が、後の遺産分割協議の行方や相続税申告の正確性を左右し、ひいては相続人同士の関係性にも大きな影響を与えることもあります。

当事務所が考える財産目録の本当の重要性

当事務所では、相続人が多数いらっしゃるケースや、疎遠な方が含まれていて直接のやり取りが難しいケースなど、複雑な相続手続きを一括でサポートする遺産承継業務を得意としています。その中で、時にキーポイントとなる資料が相続財産目録です。

財産目録が相続における信頼の基盤となる3つの理由を示した図解。

なぜなら、財産目録は単なる形式的な書類ではなく、相続人間の「信頼関係」を築くための基盤となるからです。

特に、お互いの状況をよく知らない相続人同士が集まる場合、「自分が相続する分は、本当にこれで全てなのだろうか」「他に隠している財産があるのではないか」といった疑念が生まれやすくなります。このような不信感は、円満な話し合いの大きな妨げとなります。

ここで重要になるのが、「亡くなった日(相続開始日)時点」という日付を確定させ、その時点での財産を正確にリストアップすることです。預金残高はもちろん、未払いの医療費や税金といったマイナスの財産も洗い出します。この客観的で公平な一覧表があることで、全員が同じ情報を基に話し合いを始めることができ、無用な憶測や疑念を払拭する助けとなるのです。

プラスの財産とマイナスの財産、すべてを記載する理由

財産目録には、預貯金や不動産といった「プラスの財産」だけでなく、借金や未払金などの「マイナスの財産」もすべて記載することが鉄則です。

マイナスの財産も記載しないと、実質の相続財産額よりあたかもたくさんの財産があるような誤解を相続人にもたれてしまうかも知れません。財産の全体像を正確に把握することは、相続人にとって極めて重要な意味を持ちます。

もしかしたら調査の結果、プラスの財産よりも明らかにマイナスの財産が多いことが判明するかも知れません。この場合、相続人は家庭裁判所に申述することで「相続放棄」を選択し、借金を引き継がずに済みます。また、プラスとマイナスのどちらが多いか不明な場合には、引き継いだプラスの財産の範囲内でのみ借金を返済する「限定承認」という手続きも考えられます。

これらの重要な判断は、財産の全体像が明らかになっていなければ下すことができません。一部の財産だけを見て安易に相続を決めてしまうと、後から多額の借金が発覚し、ご自身の生活まで脅かされる事態になりかねないのです。全ての財産を記載することは、ご自身の権利を守るための第一歩なのです。場合によっては、相続放棄の手続きを検討する必要も出てくるでしょう。

【実務上の注意点】正確な財産目録を作成する5つのポイント

正確な財産目録の作成は、相続手続きを円滑に進めるための要です。ここでは、財産目録を作成するにあたって注意すべき5つのポイントをご紹介します。。

司法書士が解説する、正確な財産目録を作成するための5つの実務上の注意点をまとめた図解。

1. 財産調査の徹底:名寄帳から金融機関照会まで

財産目録の正確性は、その元となる財産調査の精度にかかっています。思い込みや記憶だけに頼らず、客観的な資料に基づいて調査を徹底することが重要です。

  • 不動産:市区町村役場で「名寄帳(なよせちょう)」を取得します。これにより、その市区町村内に被相続人が所有していた不動産の一覧を確認でき、相続登記の漏れを防ぎます。
  • 預貯金:直近の日付で通帳が記帳できない・通帳を紛失している場合は特にですが、心当たりのある金融機関すべてに、戸籍謄本など必要な書類を提出し、「残高証明書」や「取引履歴」の開示を請求します。特に亡くなる直前の入出金は、使途不明金などのトラブルの原因になりやすいため、注意深く確認します。
  • その他:証券会社に有価証券の残高を照会したり、郵便物や通帳の履歴から保険契約や借入金の手がかりを探すなど、背景事情に応じて必要と思われる調査をします。

2. 評価額の基準日:「相続開始日(死亡日)」で統一する

財産目録に記載する財産の評価額は、すべて「相続開始日(被相続人が亡くなった日)」の時点の金額で統一するのが原則です。

預貯金は、相続開始日(死亡日)時点の残高で整理します。上場株式は、原則として相続開始日(死亡日)の最終価格で評価し、不動産(土地)の相続税評価は、原則として路線価という国税庁がはぅつぴょうする価格に基づいて行います。この日付を統一することは、相続税の計算においても基準となるため、大事なポイントです。手続きの途中で財産の価値が変動したとしても、あくまで基準日は「相続開始日」であることを意識しなければなりません。

3. 不動産の特定方法:登記事項証明書の情報を正確に転記

不動産を財産目録に記載する際は、普段使っている「住居表示(〇〇市〇〇町1丁目2番3号など)」ではなく、法務局で取得する「登記事項証明書(登記簿謄本)」に記載された情報(所在、地番、家屋番号など)をそのまま正確に書きします。法的に不動産を特定すのは登記上の情報を用いるのが一般的であり、後の不動産の名義変更(相続登記)手続きで必要となるためです。

4. 預貯金の特定:金融機関・支店・口座番号を明確に

預貯金については、後の解約手続きをスムーズに行うため、「金融機関名」「支店名」「口座種別(普通・定期など)」「口座番号」を正確に記載します。被相続人が複数の口座をお持ちだった場合は、すべて漏れなくリストアップしましょう。これにより、どの相続人がどの金融機関で手続きを担当するかの分担もしやすくなります。煩雑になりがちな銀行での相続手続きも、この目録があれば効率的に進められます。

5. 書式の柔軟性:手書き、PC作成、どちらも可能

財産目録には、法律で定められた厳格な書式はありません。手書きでも、パソコン(WordやExcelなど)で作成しても、どちらでも有効です。ちなみに遺言作成する時も作成時点の財産目録をつけます。以前は自筆証書遺言に添付する財産目録は手書きが原則でしたが、法改正によりパソコンでの作成も認められるようになりました。

パソコンで作成すれば、修正や複製が容易であるというメリットがあります。ただし、自筆証書遺言に添付する場合は、財産目録の各ページに署名・押印が必要となるので注意が必要です。

参考情報
法務省のウェブサイトで、遺言書の様式に関する注意点を確認できます。
遺言書の様式等についての注意事項

相続トラブルの分かれ道。財産目録の「開示」はどう判断すべきか

正確な財産目録が完成した後、次に直面するのが「他の相続人にこれを開示すべきか」という問題です。この判断は、その後の遺産分割協議が円滑に進むか、それとも紛糾するかの大きな分かれ道となる、非常にデリケートなポイントです。

原則は「開示」だが、法律上の義務はない

相続人同士の関係では、財産目録の開示を直接義務付ける明文規定が常にあるわけではありません。ただし、遺言による相続手続きで遺言執行者(相続手続きの手続きを進める役割)がいる場合は、遺言執行者に相続財産目録の作成・相続人への交付義務が定められています(民法1011条)。遺言執行者による手続きでないからといって財産目録が必要ないと考えるのは早計です。

円満な遺産分割協議は、相続人全員が財産の全体像を共有し、納得した上で行われるのが理想です。その意味で、当事務所では実務上の原則は「開示」であると思った方が良いと考えております。透明性を確保し、誠実な姿勢を示すことが、後の信頼関係につながるからです。

参考情報
相続に関する基本的なルールは民法に定められています。
民法 | e-Gov 法令検索

開示しないことで「財産隠し」を疑われるリスク

財産目録を開示しない、あるいは一部の情報しか伝えない場合の最大のリスクは、他の相続人から「財産を隠しているのではないか」と疑念を抱かれることです。

財産目録の開示を巡り、険悪な雰囲気で対立する相続人たち。

一度このような不信感が生まれると、その後の話し合いは非常に困難になります。すべての提案に対して疑いの目が向けられ、些細なことでも感情的な対立に発展しかねません。結果として、当事者間での話し合い(遺産分割協議)はまとまらず、家庭裁判所での調停や審判へと進んでしまうケースも少なくありません。安易な非開示の判断が、時間的にも精神的にも、そして費用的にも大きな負担を招く結果となるのです。

【戦略的判断】あえて開示を保留するケースとは?

原則は開示ですが、実務においては、あえて開示のタイミングや範囲を慎重に検討することも必要なことがあります。

例えば、お子さんがいないご夫婦で夫が亡くなり、相続人が妻と夫の兄弟姉妹になるケースを考えてみましょう。長年連れ添った妻としては、すべての財産を自分が相続したいと考えるのが自然です。この場合、夫の兄弟姉妹に協力を依頼するわけですが、求められてもいないのに財産開示をすることがスムーズな遺産分割協議につながるとは限らない場面だと思います。

相続人間で既に誰が相続するか決まっているケースも考えてみましょう。既に自分は財産権を主張しないと決めている人に、財産額を提示することが果たして相手方に対して親切な行為でしょうか。そうとは限らないと思います。こういう場合も財産目録を作成すべきか、判断をいれるべき場面だと思います。

遺産承継における司法書士の役割と個人事務所の強み

財産目録の作成から開示の判断まで、相続手続きには専門的な知識とデリケートな配慮が求められます。司法書士は、遺産承継業務を通じて、これらの複雑なプロセスをトータルでサポートすることができます。

中立な第三者として正確な財産調査と目録作成を代行

ご依頼をいただくと、私たちはまず戸籍謄本を収集して法的な相続人を確定させることから始めます。そして、中立な第三者の立場で、金融機関や役所への照会を通じて財産調査を行います。当事務所は、ご依頼者(委任者)の代理人として、調査・書類作成等を行います。遺産承継業務として相続人全員の合意・委任をいただく場合には、手続全体の窓口として事務を進め、相続人の皆様に対する通知文や遺産分割協議書を作成を行います。その一環として、財産目録を作成し、相続人の皆様にご報告します。これにより、不動産がない場合の相続手続きも含め、相続人の皆様の負担を大幅に軽減することが可能です。

相続人間の調整役|心理カウンセラー資格も持つ司法書士だからできること

相続は、法律やお金だけの問題ではありません。そこには、ご家族それぞれの長年の想いや感情が複雑に絡み合っています。財産目録の開示方法や説明の仕方一つをとっても、伝え方次第で相手の受け取り方は大きく変わります。

皆様の心に少しでもより添いたいと考え、司法書士資格に加え、心理カウンセラーの資格も保有しています。、単に法律的な正しさを追求するだけでなく、各相続人のお気持ちに寄り添い、感情的な対立を生まないよう配慮しながら、円満な合意形成をサポートすることが可能です。これは、手続きのプロであると同時に、心のケアの専門家でもある当事務所ならではの強みです。

大手事務所との違い:マニュアル対応ではない柔軟な解決策のご提案

相続手続きには、形式的に、そして正確に進めるべき場面と、課題解決のために柔軟な発想で最善の段取りを考えるべき場面があります。

大手事務所では、効率化のために事務所内のルールに沿ったマニュアル的な対応になりがちです。事務所職員が勝手な判断で行動すると社内の人に怒られてしまうでしょう。かといって機嫌の悪い上司にお伺いをたてるのも大変です。

しかし・・・相続の形はご家族の数だけ存在し、画一的な対応では真の解決に至らないケースも少なくありません。

私たちのような個人事務所の最大のメリットは、一つひとつのご依頼に対して、その背景にあるご家族の関係性やご意向を深く理解し、オーダーメイドの解決策をご提案できる点にあります。形式的な正しさだけでなく、ご依頼者様が本当に望む未来を実現するために、どのような段取りがベストなのかを一緒に考え、実行していく。それこそが、私たちが提供する価値だと信じています。

個人事務所の強みである、相談者に親身に寄り添う司法書士の様子。

まとめ:正確な財産目録は円満相続の第一歩です

ここまで見てきたように、相続財産目録の作成は、単なる事務作業ではありません。それは、財産の全体像を明らかにし、相続人全員が公平なスタートラインに立つための、そして無用なトラブルを避けるための、非常に重要なプロセスです。

正確な財産目録を作成し、適切なタイミングと方法で開示すること。これが、円満な相続を実現するための確かな第一歩となります。

もし、財産調査の進め方が分からない、他の相続人との関係が複雑でどう切り出していいか不安、といったお悩みを抱えていらっしゃるなら、どうか一人で抱え込まないでください。

下北沢司法書士事務所は、「心に優しく、多角的に丁寧に課題と向き合う」ことをモットーに、あなたの相続手続きをサポートします。法律や手続きの面だけでなく、あなたの心に寄り添うパートナーとして、最善の解決策を一緒に考えます。

対応エリアも東京23区や埼玉・千葉・神奈川など首都圏を中心に幅広い地域からご依頼をいただいております。事務所のある世田谷区から遠いかなと思われる方も、ぜひお問合せください。

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下北沢司法書士事務所 竹内友章

連絡が取れない相続人がいる相続手続きの費用|司法書士に依頼

2026-01-02

「連絡が取れない相続人」がいる…手続きは自力でできる?

「父が亡くなったが、長年顔を合わせていない兄弟がいる」「親戚と疎遠で、どこに住んでいるのかも分からない」。大切なご家族が亡くなられた悲しみの中、このようなお悩みを抱えて途方に暮れていらっしゃる方は少なくありません。

相続手続きを進めるには、相続人全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」が不可欠です。しかし、一部の相続人と連絡が取れない、あるいは協力が得られない場合、この手続きは驚くほど複雑化します。

「もしかしたら、自分たちだけで何とかなるかもしれない」という一縷の望みを抱かれるお気持ちは、痛いほどよく分かります。ですが、残念ながら法的なルールは厳格であり、自力での解決は極めて困難な道のりとなるのが現実です。

なぜ遺産分割協議に「相続人全員」の参加が必要なのか

相続手続きの根幹をなす大原則、それは「遺産分割協議は、相続人全員の参加と合意がなければ成立しない」という点です。たとえ一人でも欠けていたり、協議の内容に同意していなかったりすれば、その遺産分割協議は法的に無効となってしまいます。

「連絡先が分からないから」「仲が悪いから」といった個人的な事情は、この原則を覆す理由にはなりません。連絡が取れない相続人を無視して手続きを進めても、後からその相続人が権利を主張すれば、すべての手続きをやり直すことになりかねません。金融機関での預貯金の払い戻しや、法務局での不動産の名義変更(相続登記)は法定相続人の全員が実印を押した遺産分割協議書が求められます(遺言がある場合などを除く)。

連絡が取れない相続人とのやりとりで直面する「3つの壁」

では、連絡の取れない相続人を探し出し、手続きを進めようとするとどのような作業が必要なのでしょうか。多くの方が、以下の「3つの壁」に直面し、心身ともに疲弊してしまいます。

  1. 戸籍収集の煩雑さという壁: 連絡先が分からない場合、まずは戸籍を遡って現在の住所を突き止める必要があります。しかし、戸籍は本籍地のある役所でしか取得できず、転籍を繰り返している場合は全国の役所に郵送で請求しなければなりません。古い戸籍は手書きで解読が難しく、膨大な時間と労力がかかります。
  2. 精神的苦痛を伴う交渉という壁: 運良く連絡先が判明しても、そこからが本番です。何十年も会っていない相手に、突然「遺産分割の話をしたい」と切り出すのは、想像以上の精神的負担を伴います。相手が協力的とは限らず、感情的な対立に発展してしまうケースも少なくありません。
  3. 法的な手続きの複雑さという壁: もし相手が話し合いに応じない、あるいは行方不明のままである場合、「不在者財産管理人の選任申立て」や「遺産分割調停」といった家庭裁判所での手続きが必要になります。

これらの壁を乗り越えるには、多大な時間と精神的なエネルギーを消耗します。また段取りを誤ると手続きが停滞し、さらに深刻なリスクを招くことになりかねません。

放置は危険!連絡が取れない相続問題を放置するリスク

「そのうち何とかなるだろう」「面倒だから、しばらくそっとしておこう」。お気持ちは分かりますが、この問題の放置は百害あって一利なしです。時間が経てば経つほど、状況は悪化の一途をたどります。

相続税の申告期限(10ヶ月)は待ってくれない

相続財産が一定額以上ある場合、相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告・納付が必要です。これは非常に厳しい期限であり、「相続人と連絡が取れない」という事情があっても延長は認められません。

遺産分割協議がまとまらないまま期限を迎えた場合、法定相続分で仮の申告をすることになりますが、配偶者の税額軽減といった特例が使えず、本来より多くの税金を納めなければならない可能性があります。期限を過ぎれば、延滞税や無申告加算税といった重いペナルティが課せられてしまいます。

預金は凍結され、不動産は「塩漬け」状態に

遺産分割協議が完了しない限り、故人名義の預貯金口座は凍結されたままで、原則として引き出すことができません。葬儀費用や当面の生活費に充てようと考えていても、自由に使えないのです。

また、ご実家などの不動産も同様です。売却して現金化することも、誰かが住んだり貸したりすることもできず、ただ固定資産税や管理費だけがかかり続ける「塩漬け」状態になってしまいます。誰も管理しない空き家は急速に傷み、将来的に大きな問題となる可能性もあります。

相続手続きを放置した場合の3つのリスク(不動産の塩漬け化、預金の凍結、相続人の増加)を分かりやすく示した図解。

時間が経つほど相続人が増え、解決はより困難に

最も恐ろしいリスクが、「数次相続」の発生です。問題を放置している間に、連絡が取れない相続人の方が亡くなってしまうと、その方の相続権はさらにその配偶者や子へと引き継がれます。つまり、話し合うべき相手がネズミ算式に増えてしまうのです。

最初は兄弟3人だったはずが、数年後には甥や姪、さらには会ったこともない人々まで含めて十数人で協議しなければならない、という事態も起こり得ます。そうなれば、全員の合意を取り付けるのは絶望的に困難になります。先延ばしは、解決への道を自ら閉ざす最悪の選択と言えるでしょう。数次相続について、詳しくは「数次相続の相続放棄|遺産分割の代用にする際の注意点」でも解説しています。

司法書士の遺産承継サービスで複雑な手続きに対応

ここまでお読みになり、「もう打つ手がないのでは」と不安に思われたかもしれません。しかし、ご安心ください。私たち司法書士が提供する「遺産承継サービス」は、まさにこのような複雑な状況を解決するためにあります。遺産承継サービスは多くの手続きを代行できますが、個々の事案により結果や必要手続きは異なります。まずは個別に相談のうえ対応方針をご提案します。

このサービスは、相続に関する煩雑な手続きを、ご依頼者様に代わって司法書士がまとめて代行するものです。お客様は、精神的・時間的な負担から解放され、平穏な日常を取り戻すことができます。

相続人調査から財産の名義変更まで一括代行

当事務所の遺産承継サービスでは、主に以下の業務を包括的にサポートいたします。

  • 戸籍収集による相続人の確定調査: 全国各地の役所から戸籍謄本等を取り寄せ、法的に誰が相続人であるかを確定させます。
  • 相続関係説明図・財産目録の作成: 調査結果に基づき、相続関係を分かりやすく図示し、相続財産の一覧を作成します。
  • 全相続人へのご連絡と状況説明: 司法書士が代理人として、疎遠な相続人の方へも中立的な立場から丁寧にお手紙を差し上げ、状況をご説明します。
  • 遺産分割協議のサポートと協議書作成: 各相続人のご意向を調整し、円満な合意形成をサポート。合意内容を法的に有効な「遺産分割協議書」として作成します。
  • 各種財産の名義変更手続き: 不動産(相続登記)、預貯金、株式、自動車など、あらゆる財産の名義変更を代行します。

当事務所では可能な限りワンストップで手続きを支援しますが、家庭裁判所での選任や他資格者(弁護士等)の関与が必要な場合は、別途対応または連携が必要になることがあります。

司法書士が第三者として間に入るメリット

当事者同士で話し合うと、どうしても過去の感情的なしがらみが表に出てしまい、冷静な話し合いが難しくなることがあります。しかし、法律の専門家である司法書士が中立的な第三者として間に入ることで、客観的かつ円滑に協議を進めることが可能になります。

特に、長年連絡を取っていなかった相続人の方も、個人からの突然の連絡には警戒心を抱きがちですが、「司法書士」という公的な資格者からの書面による連絡であれば、事態を真摯に受け止め、冷静に対応してくださるケースがほとんどです。

また、当事務所代表は上級心理カウンセラー(一般財団法人日本能力開発推進協会認定)の資格を保有しており、法律的な手続きを事務的に進めるだけでなく、相続に伴う皆様の不安やお辛いお気持ちにも寄り添い、心に優しく、多角的に課題と向き合うことをお約束します。

司法書士が第三者として相続人間に入ることで円滑な解決をサポートするイメージ。電話で丁寧に対応する司法書士。

費用が心配な方へ。当事務所の5つの安心な理由

「遺産承継サービスは便利そうだけど、やっぱり費用が心配…」「相続財産が少ないから、赤字になってしまうのでは?」

そのようなご不安を抱える方も、どうぞご安心ください。当事務所では、お客様のメリットを第一に考え、費用負担をできる限り軽減するための工夫を凝らしております。多くの方にとって、当事務所のサービスが費用対効果の高いものとなっているのには、明確な理由があります。

司法書士の視点:費用対効果を最大化する当事務所の取り組み

相続というデリケートな問題に直面されたお客様の多くは、手続きの複雑さだけでなく、費用面でも大きな不安を抱えていらっしゃいます。私たちは、その不安を少しでも和らげ、安心して未来へ進んでいただくことを使命と考えています。そのために、以下の5つの点をお約束しています。

  1. 相続財産に応じた柔軟な報酬体系
    当事務所の報酬は、お客様が受け取る預貯金の残高、株など有価証券の価格、不動産の固定資産評価額など「相続財産の残高」をベースに算出します。相続財産が少ない場合は、それに連動して報酬額も抑えられますので、「費用倒れ」の心配はかなり少ないです。
  2. 明確な事前見積もりのご提示
    業務に着手する前に、必ず内訳を明記したお見積もりをご提示します。不明な点が多い場合でも、現時点で分かっている情報や予想される財産額を基に、「どのような場合に金額が変動しうるか」という前提条件も明確にお伝えし、ご納得いただいた上でしか手続きを進めません。
  3. 持ち出し不要の支払いスキーム
    司法書士報酬のお支払いは、原則としてすべての手続きが完了した後です。着手金も基本的には頂戴しておりません。多くの場合、相続財産を一旦当事務所の預かり金口座に入金し、そこから報酬や実費を差し引いた上で各相続人様へ分配します。これにより、お客様がご自身の資産から費用を支払う必要はほとんどありません。
  4. 不動産売却代金からの清算も可能
    相続された不動産の売却をご希望の場合は、そのサポートも当事務所の得意とするところです。提携する不動産会社と連携し、売却代金から司法書士報酬を清算するスキームをご利用いただけます。これにより、不動産が売れるまで費用のお支払いを待つことができ、お客様の負担を大幅に軽減できます。
  5. お客様のメリットを第一に考える姿勢
    私たちは、機械的に報酬を算出するのではなく、常に「この金額で、お客様のメリットが十二分に大きいものになっているか」という視点を忘れません。お客様の状況を丁寧にお伺いし、ご相談の上で、双方にとって最もバランスの取れた費用をご提案することをお約束します。

私たちの仕事は、単なる手続き代行ではありません。お客様の不安を解消し、円満な相続を実現することで、新たな一歩を踏み出すお手伝いをすることです。どうぞ、費用の心配はなさらず、まずは一度お話をお聞かせください。

気になる費用は?料金体系と具体的なモデルケース

専門家に依頼する上で、最もご心配なのが費用面だと思います。当事務所では、安心してご依頼いただけるよう、明確な料金体系をご用意しております。

司法書士の費用は、大きく分けて「司法書士報酬」と、戸籍取得費用や登録免許税などの「実費」から構成されます。特に連絡が取れない相続人がいるケースでは、戸籍調査の範囲が広がる、郵送でのやり取りが増える、場合によっては家庭裁判所への申立てが必要になるなど、通常の相続手続きよりも報酬や実費が加算されることがあります。しかし、それは全て問題を解決するために必要な費用であり、事前に丁寧にご説明いたします。

※相続人が多数に

当事務所の遺産承継サービスの費用目安

当事務所の遺産承継サービスは、相続財産の価額に応じて報酬を算出する、分かりやすい料金体系を採用しております。上記は報酬の目安であり、具体的な料金は事案の内容・相続人数・手続きの難易度により変動します。実費(戸籍取得費用・登録免許税等)や、家庭裁判所手続きが必要な場合の追加費用は別途発生します。

相続財産の価額司法書士報酬の目安(税込)
500万円以下27万5000円
500万円超 1,000万円以下33万円
1,000万円超 3000万円以下49万5000円
3,000万円超5,000万 円以下71万5000円
3,000万円超5,000万 円以下88万円
遺産承継サービス 報酬テーブル

※上記はあくまで目安です。相続人の人数が多数にわたる場合や、手続きが著しく複雑な場合など、必ずしも財産額だけで費用が決まるわけではございません。
※不動産の名義変更(相続登記)が含まれる場合、別途登記申請の報酬が加算されます。
※この他に、戸籍謄本等取得費用、郵送費、登録免許税、交通費などの実費が別途必要となります。

【モデルケース】相続財産3000万円・相続人5名(うち2名疎遠)の場合

より具体的にイメージしていただくため、モデルケースで費用をシミュレーションしてみましょう。

  • 相続財産: 4,000万円(内訳:不動産評価額2,000万円、預貯金2,000万円)
  • 相続人: 5名(依頼者を含め、うち2名とは長年疎遠で連絡先不明)

【費用概算】

  1. 遺産承継サービス基本報酬報酬:
    3,000万円 × 1.5% + 20万円 = 71万5,000円(税別)
    ※戸籍調査、相続人への連絡、遺産分割協議書の作成、遺産分割協議書の取り付け、不動産の名義変更(相続登記)、相続不動産売却支援(必要な場合)、預貯金の払い戻し手続きが含まれます。
  2. ※戸籍調査、相続人への連絡、遺産分割協議書の作成、遺産分割協議書の取り付け、不動産の名義変更(相続登記)、相続不動産売却支援(必要な場合)、預貯金の払い戻し手続きが含まれます。
  3. 実費:
    ・戸籍謄本等取得費用(広範囲にわたる調査): 約3万円
    ・郵送費(相続人全員とのやり取り): 約2万円
    ・登録免許税(不動産の名義変更にかかる税金): 2,000万円 × 0.4% = 8万円
    ・その他雑費: 約1万円
    実費合計: 約14万円

【総額の目安】
71万5,000円 + 14万円 = 約85万5,000円(消費税含む)

この費用は、煩雑な戸籍調査、疎遠な相続人との連絡、遺産分割協議書の作成や取り付け、預貯金の払い戻しといった想定される手続きを当事務所が代行した場合の概算です。具体的な帰結は事案により異なりますので、確定的な結果を保証するものではありません。

ご依頼後の流れと、きめ細やかな進捗報告

「依頼したはいいけれど、その後どうなっているのか分からない…」そんなご不安を抱かせないよう、当事務所では透明性の高い業務プロセスと、こまめな進捗報告を徹底しております。

①無料相談からご契約まで

まずはお気軽に無料相談をご利用ください。ご事情を詳しくお伺いし、解決までの道筋と、概算の費用をご提示します。原則として無料相談の場で無理に契約を催促することはありません。ご納得いただけた場合にのみ契約を締結します。ご提示した内容にご納得いただけましたら、正式にご契約となります。契約時には、改めて業務内容とお見積もりについて詳細にご説明いたします。

司法書士事務所での無料相談の様子。依頼者が安心して相談できる環境が整っていることを示している。

②業務着手と定期的な進捗のご報告

ご契約後、速やかに戸籍調査などの業務に着手します。そして、「戸籍調査で新たな相続人が判明しました」「〇〇様へお手紙を発送し、ご返信がありました」など、業務の進捗状況をご報告いたします。通常は着手後2週間に一度程度(目安)で進捗をご報告しますが、報告方法・頻度は契約時に合意のうえ決定します。「今どうなっているのか」というご不安を徹底的に排除し、安心して結果をお待ちいただける体制を整えています。

③遺産分割協議から手続き完了、財産のお引き渡し

全相続人の合意が形成でき次第、遺産分割協議書を作成し、皆様にご署名・ご捺印をいただきます。その後、協議書に基づき、不動産や預貯金等の名義変更手続きを迅速に進めます。すべての手続きが完了しましたら、登記識別情報(不動産の権利証)、解約後の預金通帳など財産をお引き渡しいたします。また、戸籍取得や相続登記の登録免許税などかかった経費を示した経費内訳表を作成し、請求書の補完資料とします。会計の透明性も、私たちが大切にしていることの一つです。報酬のご精算は、この全ての業務が完了した後となります。

まずは無料相談へ。相続財産が少ない方もご遠慮なく

連絡が取れない相続人がいるという問題は、残念ながら時間が解決してくれることはありません。むしろ、放置すればするほど状況は複雑化し、解決が困難になっていきます。

「うちの財産は少ないから、専門家に頼むのは気が引ける…」
「費用がいくらかかるか分からなくて、相談する勇気が出ない…」

そんなこと全然気にしないでください。当事務所の無料相談では、あなたの状況を整理し、解決までに何が必要で、費用がどのくらいかかりそうか、具体的な見通しをお伝えすることができます。それだけでも、心の負担は大きく軽くなるはずです。

相続財産が少ないと感じていらっしゃる方も、全くご遠慮なさる必要はありません。お客様にとって最善の解決策を、私たちは一緒に考えます。まずは一歩、勇気を出してご連絡ください。対応エリアも東京23区だけでなく東京都下や首都圏の方全般からご依頼をいただいております。どうぞお気軽にお問合せ下さい。

対応エリア | 相続手続、遺言、相続放棄、会社設立、不動産売却なら下北沢司法書士事務所 – 相続手続、遺言、相続放棄、会社設立、不動産売却なら下北沢司法書士事務所

無料相談はこちら

事務所名: 下北沢司法書士事務所
代表司法書士: 竹内 友章
所在地: 東京都世田谷区北沢三丁目21番5号ユーワハイツ北沢201
所属: 東京司法書士会

実は特殊!司法書士が教える山林の相続登記3つのポイント

2025-12-18

「とりあえず相続」が危険!山林の相続登記が特殊な理由

「親が亡くなり、遺産の中に故郷の山林があることがわかった。都会に住んでいて現地の状況もわからないし、どうすればいいのだろう…」

近年、このようなご相談をいただくことが増えています。宅地や建物と違い、山林の相続は少し特殊な事情が絡むため、多くの方が戸惑いを感じていらっしゃいます。価値があるのかどうかもわからない、管理もできない、そんな山林を「とりあえず相続」してしまうと、後々面倒なことになってしまうケースも少なくありません。

この記事では、山林の相続登記で特に注意すべき点は何か、放置するとどのようなリスクがあるのか、そして専門家としてどのようなお手伝いができるのかを、不動産実務にも精通した司法書士の視点から分かりやすく解説します。

相続の対象となる広大な日本の山林の風景。管理の難しさを象徴している。

2024年4月から相続登記は義務!放置で10万円の過料も

まず、大前提として知っておかなければならないのが、2024年4月1日から相続登記が義務化されたという事実です。これは山林も例外ではありません。

これまでは相続登記に期限はなく、手続きをしないことによる直接的な罰則もありませんでした。しかし、所有者不明の土地が増え社会問題化したことを受け、法律が改正されました。今後は、不動産を相続したことを知った日から3年以内に相続登記を申請しなければならず、正当な理由なくこれを怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。

「まだ時間がある」と先延ばしにせず、なるべく早く手続きを進めることが重要です。

参考:【法務省/相続登記の義務化】不動産を相続したらかならず …

実は手続きがもう一つ?市町村への届出(森林法)

山林の相続が特殊な理由の一つに、森林法に定める森林の土地に該当する場合、法務局への相続登記とは別に市町村長への『森林の土地の所有者届出』が必要となる場合があります(原則、所有者となった日から90日以内に届出)。ただし、土地の現況や市町村の指定により届出要否が異なるため、該当性の確認が必要です。な点が挙げられます。

森林法に基づき、相続によって森林の土地を新たに取得した方は、所有者となった日から90日以内に、その土地がある市町村の長へ「森林の土地の所有者届出書」を提出しなければなりません。この届出を怠ったり、虚偽の届出をしたりした場合も、10万円以下の過料が科される可能性があります。

法務局への登記と市町村への届出、この二つの手続きを忘れずに行う必要があります。

参考:森林の土地の所有者届出制度 – 林野庁 – 農林水産省

司法書士が解説!山林の相続登記で押さえるべき3つのポイント

当事務所のホームページをご覧になり、お問い合わせいただくお客様の中で特に多いのが、地方にある山林の相続登記に関するご相談です。山林の相続登記には、宅地などとは異なるいくつかの特徴があります。ここでは、数多くのご相談に対応してきた経験から、特に重要だと考える3つのポイントを解説します。

山林の相続登記で押さえるべき3つのポイントを図解したインフォグラフィック。筆数の多さ、登録免許税の免除、名義の統一。

【専門家コラム】実務の現場から見る山林相続の現実

「まさか、こんなに筆数があるとは…」
山林の登記簿を初めて見たお客様が、驚きの声を上げるのは珍しいことではありません。山林は一つの山に見えても、登記上は非常に細かく土地が分かれている(これを「筆」といいます)ことが多く、数十筆に及ぶこともあります。この「筆数の多さ」が、手続きを複雑にする第一の関門です。

筆数が多いと、登記に必要な固定資産評価証明書の取得費用がかさみます。私たちはまず「名寄せ帳」という書類を取り寄せ、所有不動産を一覧で把握し、無駄な費用を削減する工夫をします。また、古い権利証と照らし合わせ、登記漏れがないか慎重に確認することも欠かせません。

次に、多くの方がメリットを受けられるのに見落としがちなのが「登録免許税の免除」です。一定の条件を満たす土地(固定資産税評価額が100万円以下など)については登録免許税が非課税となる措置があります。山林は評価額が低いことが多いため適用できることが多く、見落とさずに適用を受けて登録免許税を削減することが大事です。

そして最も大切なのが、「誰が相続するのか」という未来を見据えた判断です。山林は資産価値が低い場合も多く、何度も相続を繰り返すのは得策ではありません。例えば、亡くなった方の配偶者が相続すると、そう遠くない未来に再び相続が発生し、同じ手続きと費用が必要になる可能性があります。そのため、私たちは遺産分割協議の段階で、お子様など次の世代の方が相続することも含めて、ご家族にとって最善の選択肢は何かを一緒に考え、ご提案します。

これらのポイントは、単に手続きを代行するだけでは見えてこない、実務経験に裏打ちされた視点です。お客様の負担を少しでも減らし、将来に禍根を残さない。それが私たちの使命だと考えています。

放置は危険!山林の相続登記をしない場合の末路

「手続きが面倒だから」「価値もなさそうだし」と相続登記を放置してしまうと、将来、ご自身やお子様、お孫様の代に、より大きな負担としてのしかかってくる可能性があります。

売りたい時に売れない!財産活用の機会損失

相続登記が完了していない不動産は、法的にご自身の所有物であると第三者に主張することができません。つまり、登記をしなければ、その山林を売却したり、担保に入れて融資を受けたりすることは一切できないのです。

山林はなかなか売却しにくいですが、もし手放せるチャンスがあったら速やかに手放したいという方もたくさんいらっしゃいます。スムーズに売却するには、相続登記を終えておくことが重要です。

子や孫の代に膨れ上がる…相続人が数十人になる悪夢

相続登記を放置することの最大のリスクは、時間の経過とともに権利関係者がネズミ算式に増えていくことです。

例えば、あなたが手続きをしないまま亡くなると、あなたの子供たちが相続人になります。さらにその子供たちの代、孫の代…と相続が繰り返されるうちに、当初は数人だった相続人が、全国に散らばった数十人にまで膨れ上がってしまうのです。

そうなってから登記をしようとすると、その数十人全員を探し出し、連絡を取り、話し合いをまとめ、全員から実印と印鑑証明書をもらわなければなりません。中には協力してくれない人がいたり、連絡がつかない人がいたりするかもしれません。このような複雑なケースについては、多数相続人の戸籍収集と行き違い。司法書士の丁寧なケア事例でも触れていますが、解決は非常に困難を極めます。

「自分の代で解決しておくべきだった…」と子や孫に後悔させないためにも、問題の先送りは絶対に避けるべきです。

司法書士が山林の相続について相談に乗っている様子。相談者に寄り添う姿勢を示している。

どうしても山林が不要な場合の選択肢

とはいえ、「管理もできないし、固定資産税の負担も考えると、どうしてもこの山林は相続したくない」というお気持ちもよく分かります。そんな方向けにできた「相続土地国家帰属制度」をご紹介します。

国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」

2023年4月に始まった新しい制度で、相続した不要な土地の所有権を国に引き取ってもらうことができます。不要な土地だけを手放せるメリットがありますが、利用するには厳しい審査をクリアしなければなりません。また、相続土地国庫帰属制度は承認時に、1筆当たり審査手数料(例:14,000円)と、承認後に10年分の土地管理費相当額(原則20万円を基準、森林は面積に応じ別途算定される)を納付する必要があります。詳細な負担金額は土地の種目・面積等で変わるため、法務省の負担金算定基準で確認してください。誰でも簡単に利用できる制度ではない点に注意が必要です。

参考:相続土地国庫帰属制度について

山林の相続登記は専門家への相談が解決の近道です

ここまで見てきたように、山林の相続は、登記の義務化、多数の筆数、権利関係の複雑化リスク、登録免許税の義務化など、考えなければならないことが多岐にわたります。これらの問題を一人で抱え込み、調べて手続きを進めるのは、大変な時間と労力がかかり、精神的なご負担も大きいでしょう。このような時こそ、私たち司法書士のような専門家にご相談いただくことで、手続の選択肢やリスクを整理しやすくなります。

不動産実務に精通した司法書士がトータルサポート

当事務所は、司法書士資格だけでなく、宅地建物取引士の資格も持ち、不動産会社での勤務経験があります。そのため、単に書類を作成して登記申請を代行するだけでなく、不動産取引の実務を踏まえた多角的な視点からアドバイスが可能です。

「この山林は売却できる可能性があるか」「将来の活用法は考えられるか」といったご相談にも、現実的な目線でお答えします。もちろん、山林だけでなく、ご実家の土地・建物など他の不動産の相続登記もまとめてご依頼いただけます。相続に関する手続きをワンストップでサポートし、皆様の煩わしさを解消します。

まずはお気軽にご相談ください

法律の専門家と聞くと、少し敷居が高いと感じられるかもしれません。当事務所の代表は心理カウンセラーの資格も保有しており、「心に優しく、多角的に丁寧に課題と向き合う」ことを何よりも大切にしています。皆様の不安なお気持ちに寄り添い、難しい法律用語を使わず、分かりやすい言葉で丁寧にご説明することをお約束します。

エリアも不動産の所在地や所有者の住所、どちらも全国対応が可能です。テレビ電話での打ち合わせにも対応します。

対応エリア | 相続手続、遺言、相続放棄、会社設立、不動産売却なら下北沢司法書士事務所

山林の相続でお困りの方は、どうか一人で悩まず、まずは当事務所の無料相談をご利用ください。あなたにとって最善の解決策を一緒に見つけていきましょう。

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