ゆうちょ銀行の相続、なぜ「難しい」「面倒」と言われるのか?
大切なご家族が亡くなられ、仕事や家事にも追われる中での相続手続き。預貯金の払い戻しは相当に煩わしく、生活上の大きなストレスになります。
当事務所では預貯金の払い戻しも業務の一環として行っておりますが、ゆうちょ銀行の手続きは他の金融機関と比べて少し特殊です。
今日は、ゆうちょ銀行の相続のどの辺が特殊なのか、相続した遺産を預かることもある司法書士がどのようにしてゆうちょ銀行に対応し、スムーズな相続を実現するのかをお話しします。
要注意!ゆうちょ銀行の相続手続きが持つ3つの「落とし穴」
では、具体的にゆうちょ銀行の相続手続きは、他の金融機関と何が違うのでしょうか。多くの方がつまずきやすい「落とし穴」は、主に3つあります。これらのポイントを知ることで、ご自身で手続きを進めることの難しさやストレスを具体的にイメージできるはずです。

落とし穴1:手続きは窓口ではなく「貯金事務センター」
まず大きな特徴として、ゆうちょ銀行の相続手続きは、窓口で完結しないという点が挙げられます。最寄りの郵便局の窓口は、あくまで書類の「受付」場所に過ぎません。
提出された戸籍謄本などの書類は、すべて全国各地にある「貯金事務センター」という専門部署に送られ、そこで審査や払戻しの処理が一括して行われます。そのため、窓口の担当者に専門的な質問をしても「センターに確認します」という回答になったり、その場で書類の不備を判断してもらえなかったりすることがあります。
後日、貯金事務センターから電話で不備を指摘され、再び書類を準備して窓口へ…といった二度手間、三度手間が発生することも珍しくありません。この「窓口と処理部署が別」という仕組みが、思った以上に時間がかかる原因であり、「たらい回しにされているようだ」と感じてしまう方もいらっしゃるのです。
落とし穴2:相続人が複数いるとトラブルに?「他行振込不可」の壁
そして、ゆうちょ銀行の相続手続きにおける最大の難関が、原則として「他の金融機関への振込ができない」というルールです。
払戻しを受ける方法は、主に以下の2つに限られます。
- 代表相続人のゆうちょ銀行口座へ入金する
- 払戻証書を受け取り、郵便局の窓口で現金化する
この制約が、特に相続人が複数いる場合に、思わぬトラブルの火種となることがあります。
例えば、相続人が兄弟3人で、遺産であるゆうちょ銀行の預金300万円を100万円ずつ分けるとします。代表者である長男が自分のゆうちょ口座で300万円を一度受け取り、そこから弟と妹の口座へ100万円ずつ振り込む、という流れになります。
一見簡単そうですが、ここには心理的な負担やリスクが潜んでいます。
- 代表者の負担:大金を一時的に預かる責任は重く、振込手数料も負担しなければなりません。また、他の相続人から「本当にちゃんと分けてくれるのか?」と疑いの目で見られる可能性もゼロではありません。
- 他の相続人の不安:「お金はいつ振り込まれるんだろう…」「本当に計算は合っているだろうか?」といった不安や疑念が生まれやすくなります。
- 公平性の問題:払戻証書で受け取る場合も、代表者が一度に多額の現金を持ち歩くリスクがありますし、その現金をどうやって公平に分けるのか、という新たな問題が発生します。
このように、ゆうちょ銀行の「他行振込不可」ルールは、円満に進むはずだった遺産分割協議に、お金の受け渡しというデリケートな問題を投げかけ、相続人間の関係に亀裂を生じさせるきっかけになりかねないのです。
落とし穴3:「相続確認表」と煩雑な戸籍収集
ゆうちょ銀行の手続きでは、独自の「相続確認表」という書類に、被相続人や相続人全員の情報の記入を求めらえます。これも慣れない方にとっては時間のかかる作業です。
さらに、相続手続きの基本となるのが、被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等の収集です。これはゆうちょ銀行に限った話ではありませんが、多くの方が想像する以上に大変な作業です。
特に、故人が転勤などで本籍地を何度も移している場合、それぞれの市区町村役場に郵送で請求をかける必要があり、すべての戸籍が揃うまでに1ヶ月以上かかることもあります。この戸籍収集の段階でつまずいてしまい、手続きそのものが停滞してしまうケースは後を絶ちません。手続きの入り口から、高いハードルが待ち構えているのです。
司法書士が解決!「預かり口座」でゆうちょの難関を突破
時間も手間もかかり、相続人間のトラブルリスクまであるゆうちょ銀行の相続手続き。では、これらの問題をどうすればスマートに解決できるのでしょうか。その答えが、私たち司法書士のような専門家への依頼です。
特に、最大の難関である「他行振込不可」の問題を解決するために、当事務所では独自のサービスをご用意しています。それは、司法書士が管理する「預かり口座」を活用した預貯金お預かりサービスです。この方法を使えば、相続人の皆様の手を煩わせることなく、安全かつ公平に遺産を分配することが可能になります。専門家に頼むとこんなに違うのか、と感じていただけるはずです。

当事務所の解決策:預貯金お預かりサービスとは
「ゆうちょ銀行の預金を、どうやって公平に分ければいいんだろう?」この切実な悩みに応えるのが、当事務所の預貯金お預かりサービスです。
通常、金融機関の手続きでは、書類が揃えば指定の口座に遺産を振り込んでくれます。しかし、先述の通りゆうちょ銀行だけはゆうちょ口座への入金か現金化しか選べません。これが本当に厄介なのです。お金の管理である以上、私たちは現金の直接の受け渡しはできる限り避けたいと考えています。
そこで、当事務所では次のような方法で、この問題をクリアしています。
複数の相続人で遺産を分ける場合
まず、司法書士が相続人全員の代理人として、ゆうちょ銀行の払戻し手続きを行います。この際、払戻金は一度、当事務所が管理するゆうちょ銀行の口座に入金します。その後、速やかにその全額を、司法書士の職務専用の「預かり口口座」へと移します。
この「預かり口口座」に遺産を一度集約することで、お金の流れが明確になり、そこから各相続人様がご指定するそれぞれの金融機関の口座へ、遺産分割協議の内容通りに正確に送金することができるのです。
もちろん、相続人の皆様には、ゆうちょ銀行が発行する計算書や入出金の記録、預かり口口座の取引記録などをすべてまとめた分かりやすい「清算表」を作成し、ご報告します。これにより、お金の流れが分かりやすくなり、「本当に正しく分配されているのか」といった疑念が生じにくくなります。
相続人がお一人の場合
預貯金を相続される方がお一人の場合は、もちろん直接その方のゆうちょ銀行口座へ払い戻すお手伝いをします。もし、ご自身のメインバンクに入金したいというご希望があれば、一度当事務所の口座を経由して送金することも可能です。ケースバイケースで、最もご安心いただける方法をご提案します。
このように、専門家が中立的な立場で介入し、専用口座を活用することで、ゆうちょ銀行特有の「壁」を安全かつスムーズに乗り越えることが可能になるのです。これは、不動産がない相続手続き(遺産承継業務)においても、非常に有効なサービスです。
専門家に任せる3つのメリット:時間・手間・精神的負担の軽減
司法書士にゆうちょ銀行の相続手続きを依頼するメリットは、単に「他行振込ができるようになる」だけではありません。主に3つの大きなメリットがあります。
- 時間の節約:平日の昼間に何度も郵便局の窓口や役所に足を運ぶ必要がなくなります。戸籍収集や書類作成、提出、払戻しなど多くの工程をお任せいただけるため(必要に応じて資料のご提供等のご協力をお願いする場合があります)、お仕事やご自身の生活に集中しやすくなります。
- 手間の削減:膨大で複雑な戸籍謄本の収集や、慣れない書類への記入といった煩雑な作業から解放されます。書類の不備による手戻りのリスクを減らせます。
- 精神的負担の軽減:最大のメリットは、やはりこれでしょう。相続人間の送金トラブルや、大金を管理するプレッシャーといった精神的な負担から解放されることです。専門家が中立な立場で手続きを進めることで、相続人全員が安心でき、円満な相続につながります。
専門家への依頼は、単なる手続きの代行ではなく、相続という大変な時期を乗り越えるための「時間」と「安心」を手に入れるための賢い選択と言えるかもしれません。なぜ相続専門の司法書士に依頼するとスムーズに進むのか、その理由をご理解いただけたのではないでしょうか。
不動産がなくても大丈夫!預貯金の相続手続きだけでもご相談ください
「相続というと、不動産の名義変更(相続登記)がメインじゃないの?」「うちは不動産はないから、司法書士に頼むのは大げさかな…」
そのように思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、そんなことは全くありません。
ここまでお読みいただいたように、預貯金の相続手続き、特にゆうちょ銀行が関わるケースでは、それだけでも多くの時間と労力、そして専門的な知識が求められます。当事務所では、不動産の有無にかかわらず、預貯金や株式といった遺産の承継手続き(遺産承継業務)だけでも、もちろん喜んでお引き受けしております。
むしろ、不動産がないからこそ、預貯金の分配が相続の中心的な課題となり、その手続きをいかにスムーズに進めるかが円満な相続の鍵となります。煩雑な手続きは専門家に任せて、心穏やかな時間を取り戻しませんか。より詳しいサービス内容については、不動産なしの相続手続きも司法書士へ。遺産承継を解説のページをご覧ください。
下北沢司法書士事務所は、相続に関するあらゆるお悩みに対応する、身近な専門家です。まずはお気軽にご状況をお聞かせください。東京23区はもちろん、東京都下や千葉・埼玉・神奈川などからのお問合せもお待ちしております。
ゆうちょ銀行の相続手続きに関するよくあるご質問
Q1. ゆうちょ銀行の相続手続きには、どれくらいの期間がかかりますか?
A1. 書類を提出してから払戻しが完了するまでの期間は、内容や書類の状況により異なります。戸籍謄本等の収集期間も含めると、手続き全体として数週間〜数か月程度かかる場合があります。書類に不備があると、さらに期間が延びる可能性があります。
Q2. 故人の通帳やキャッシュカードが見つからない場合はどうすればよいですか?
A2. 通帳やキャッシュカード、届出印が見つからなくても、相続手続きは可能です。ただし、故人の口座番号などが全く分からない場合は、まず「貯金照会」という手続きを行い、口座の有無や残高を調査する必要があります。この手続きにも一定の時間がかかります。
Q3. 司法書士への費用は、相続財産から支払うことはできますか?
A3. はい、可能です。当事務所の遺産承継業務をご利用いただく場合、相続人様の合意のもと、払戻しを受けた預貯金の中から
司法書士報酬
を清算させていただくことができます。そのため、相続人様の合意内容等によっては、お手元からまとまった費用をご用意いただくご負担を抑えられる場合があります。
まとめ:ゆうちょ銀行の相続は専門家への相談がスムーズです
今回は、ゆうちょ銀行の相続手続きがなぜ「難しい」のか、その理由と解決策について解説しました。
- 窓口ではなく「貯金事務センター」が一括処理するため時間がかかる
- 最大の壁は「他行への振込ができない」というルール
- このルールが、相続人が複数いる場合のトラブルの種になりやすい
- 司法書士の「預かり口口座」を使えば、安全・公平な分配が可能になる
相続手続きは、ただでさえ心身ともに負担が大きいものです。ゆうちょ銀行独自のルールによって、その負担がさらに増えてしまうのは、非常にもったいないことです。手続きのストレスから解放され、故人を偲ぶ時間や、ご家族との大切な時間を過ごすためにも、一人で抱え込まずに専門家を頼るという選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。
当事務所の代表司法書士は、手続きの話はもちろん、ご不安なお気持ちにも寄り添いながら、最適な解決策を一緒に考えさせていただきます。まずはお気軽にご相談ください。

東京都世田谷区北沢にある下北沢司法書士事務所は、相続手続き、遺言作成、相続放棄、会社設立、不動産売却など、幅広い法務サービスを提供しています。代表の竹内友章は、不動産業界での経験を持ち、宅地建物取引士や管理業務主任者の資格を活かし、丁寧で分かりやすいサポートを心掛けています。下北沢駅から徒歩3分の便利な立地で、土日も対応可能です。お気軽にご相談ください。

