価値がない?相続した古いマンション・団地の売却を専門家が解説

「価値がない」と思い込んでいませんか?相続した古い不動産

親御様が大切に暮らしてきた住まいを相続したものの、その物件が築年数の古いマンションや団地、あるいは都心の狭いワンルームだったとしたら、多くの方が途方に暮れてしまうのではないでしょうか。

「こんな古い物件、誰も買ってくれないだろう」
「管理費や税金ばかりがかかる、マイナスの財産かもしれない」
「どう処分していいのか、誰に相談すればいいのか全くわからない」

このような不安から、「価値がない」と思い込み、思考が停止してしまうお気持ちは、痛いほどよくわかります。しかし、その一歩を踏み出せないでいる間に、状況は少しずつ複雑になっていく可能性があります。

この記事では、相続した古い不動産の処分にお悩みの方へ、司法書士であり、不動産取引の現場も知る専門家として、具体的な解決策を丁寧にご説明します。読み終える頃には、「価値がない」という思い込みが、新たな可能性に変わっているはずです。

相続が放置される一番の理由と思い込み

相続問題が長年にわたって放置されてしまうケースには、共通点があります。それは、相続した不動産に対して「どうせ価値などない」と思い込んでしまうことです。

価値がないと感じることで、売却という選択肢が最初から頭に浮かばず、問題解決への意欲そのものが削がれてしまいます。日々の仕事や生活に追われる中で、いつしか相続問題は後回しになり、時間だけが過ぎていくのです。

「固定資産税」「管理費」と書かれた付箋が貼られた古いカレンダー。相続問題が長年放置されている様子を象徴しています。

しかし、ご存じでしょうか。時間が経てば経つほど、事態は複雑化する一方なのです。例えば、相続人の中に次なる相続が発生して関係者が増えてしまったり、空き家のまま放置したことで管理上の問題が発生したりと、解決のハードルはどんどん高くなっていきます。

【専門家コラム】「価値がない」という思い込みが招いた悲劇

以前、ご相談にいらっしゃったA様のケースがまさにそうでした。10年以上前に亡くなったお父様が遺した団地の一室。「どうせ売れない」と思い、何の手続きもしないまま放置していました。

しかし、固定資産税と管理費の請求書は毎年届きます。ある年の固定資産税の納税通知書を見た時、ついにこのまま費用を払い続けるのが馬鹿らしくなったA様は、当事務所にご相談いただきました。

しかし1つ、課題がありました。A様が放置している間に、相続人であったお兄様が亡くなっており、その相続人である甥と姪(A様とは疎遠)にも権利が移っていたのです。

売却するにも、甥と姪の協力が不可欠となりました。こういう場合、最初の連絡をできるだけ丁寧にすることが大事です。甥や姪からすると突然の連絡があり「実は裏に別の魂胆があるのではないか」と勘ぐってしまいがちなケースです。そういった疑いを持たれないためにも、丁寧な事情説明が必要です。幸いなことに当事務所にて住所調査を行いお手紙をお送りしたところ、快く手続きに応じていただきました。しかしもし相続直後にせめて名義変更(相続登記)だけでも済ませていたら、もう少し簡単になったはずです。

当事務所では、このような複雑な相続関係の調査から相続登記、そして提携不動産会社と連携した売却、最終的な売却代金の分配まで、一貫してサポートさせていただきました。

※本事例は、個人が特定されないよう内容を一般化して掲載しています。

最終的に無事売却が完了したとき、A様は「もっと早く相談すればよかったです」と、安堵の表情でおっしゃっていました。

この経験から私が学んだのは、「価値がない」という思い込みこそが、解決への最大の障壁になるという事実です。多くの場合、解決のための選択肢は存在します。諦めてしまう前に、ぜひ一度お話をお聞かせください。

古いマンションが「売れない」と言われる3つの理由

なぜ、古いマンションや団地、ワンルームは「売れない」「価値がない」と思われてしまうのでしょうか。その背景には、買主の視点から見た、明確な3つの理由が存在します。ご自身の状況を客観的に把握するためにも、まずはその理由を正しく理解しましょう。

理由1:建物の問題(旧耐震基準・老朽化)

大きな理由の一つが、建物の物理的な問題です。特に、1981年(昭和56年)5月31日以前に建築確認を受けた「旧耐震基準」の建物は、現在の耐震基準を満たしていない可能性があり、買主から敬遠されがちです。※新耐震基準は1981年6月1日に施行されたため、それ以前の建築確認の建物が旧耐震基準に該当します。

この問題は、金融機関の住宅ローン審査に大きく影響します。多くの金融機関は、旧耐震基準の物件への融資に慎重な姿勢をとるため、買主はローンを組めないか、組めても条件が厳しくなるケースがほとんどです。

また、築年数が経過していれば、給排水管の劣化や断熱性の低さなど、目に見えない部分の老朽化も進んでいます。これらの修繕には多額の費用がかかる可能性があり、購入後のリスクを懸念する買主が多いのも事実です。

理由2:お金の問題(管理費・修繕積立金)

マンションである以上、所有しているだけで毎月「管理費」と「修繕積立金」がかかります。これは売れるまで、相続人が支払い続けなければならない費用です。

一般的に、古いマンションほど将来の大規模修繕に備えるため、修繕積立金が高額になる傾向があります。また、中には管理費を滞納している居住者がいたり、そもそも修繕積立金が十分に貯まっていなかったりするマンションも存在します。

買主は物件そのものだけでなく、マンション全体の管理状況や財政状況も厳しくチェックします。これらの維持費の高さや管理組合の健全性に対する不安は、購入意欲を削ぐ大きな要因となるのです。私自身、マンション管理会社での勤務経験があるため、この点がいかに重要かを実感しています。

理由3:買い手の問題(住宅ローン・購入者層)

前述の通り、旧耐震基準の物件は住宅ローンが利用しづらいため、購入できる人が「現金で購入できる層」に限定されてしまいます。これにより、買い手の絶対数が大幅に減ってしまうのです。

住宅ローン審査の書類を前に、銀行員から融資を断られ、がっかりしている夫婦。旧耐震基準の物件はローンが通りにくいことを示しています。

買い手が限られると、売主は価格交渉において不利な立場に立たされやすくなります。特に、相続した団地や狭いワンルームマンションの場合、主な購入者層は不動産投資家や、安価な住居を求める単身者などに絞られます。彼らは利回りやコストをシビアに計算するため、厳しい価格での交渉となることが少なくありません。

参考:住宅・建築物の耐震化について

実はしっかりと価値が評価されることも多い!

ここまで古いマンションや団地は価値がないと思われがちな理由を紹介してきましたが、このコラムではそれを「思い込み」と言ってきました。古いマンションや団地、狭い部屋でも綺麗にリフォームすれば生まれ変わります。そして、このリフォーム作業を自分でお金を出してやる必要はありません。専門業者に買取を打診してみれば良いのです。世の中には世間で知られてなくとも古いマンションなどを買い取ってリフォームし、また一般の方に居住用や賃貸用として販売する会社がたくさんあります。コツコツと仕事を積み重ねるこのような会社に買取を打診してみましょう。プロの会社なのでローンではなく、現金で買い取るケースも珍しくありません。

古い物件の販売ポイント

ここで古いマンション、団地等を販売する時のポイントをご紹介します。司法書士としてもそうですが宅地建物取引士として、安全でなるべく高い価格で売却できるよう、みなさんの参考になれば嬉しいです。

ポイント1:丁寧な仕事が期待できる仲介会社に依頼

不動産会社に直接買い取りをする方法もありますが、できるだけ仲介会社に入ってもらった方が安全な取引になります。

仲介会社会社は契約書も作成するので、第三者的な立場の人が契約書を作る安心感があります。一方、直接買い取りだと購入した不動産会社が契約書を作成することができます。

一方、費用面では仲介手数料がかかるデメリットがあります。ただ同時に仲介会社から多くの買取業者に声をかけてもらい、そこから一番高い金額の会社に売却できることも期待できます。仲介手数料を上回る価値が出ることも珍しくありません。

しかしここで意外な難点があります。私も不動産営業を経験しましたが、会社の体質によってはどうしても大きな物件ばかり重視されがちです。そういう物件を売った方が売り上げから会社も評価するし、営業マン自体の収入にもつながるからです。大手でも例外ではなく、こういう体質の会社の方がむしろ数としては多いでしょう。でも、そういった不動産会社しか無いということではありません。小さな物件でも、また古さからくる面倒さがあっても丁寧に販売活動をしてくれる営業マンや会社もあります。当事務所はそういった会社さんと連携しています。

まずは相続における不動産売却の流れをご理解いただき、安全で高い価格での売却を目指しましょう!

ポイント2:契約不適合責任は負わないこと

不動産を売る場合は、通常は売った後も、売主にも一定の責任が伴います。これを「契約不適合責任(民法562条)」と言います。どのような場合にこの責任が生じるのでしょうか。例えば、建物の設備不良や床の軋みなどがあることが契約内容が合ってないとされ、責任を追及されるリスクがあります。しかし、売却しようとしている物件が古いものであれば、何らかの不具合はあることが強く予想されます。それで責任を追及されるリスクがあっては、売却した後とても不安だと思います。そこで契約により契約不適合責任を免除しておくことが大事なポイントになります。一般の方が買う場合はなかなか難しいため、この意味でも不動産会社に買い取ってもらう方が良いでしょう。良く価格の面で不動産会社は伸びにくと言われますが、古い物件の場合は一般の方もその後のリフォームが必要なことなどを理由にしっかり交渉してきます。宅地建物取引士の経験からは、そんなに大きな差は出ないと思います。

なぜ司法書士への相談が最善の一手なのか

ここまで様々な選択肢をご紹介してきましたが、「結局、誰に相談すればいいの?」と思われたかもしれません。不動産のことだから不動産会社?それとも、相続だから他の専門家?

もしあなたが古い不動産の相続でお悩みなら、私たちは司法書士、特に「不動産実務に精通した司法書士」への相談が最善の一手だと考えています。その理由を3つのポイントでご説明します。

相続手続きから売却まで、完結まで併走する安心感

相続した不動産を売却するには、まず「相続登記」を行い、不動産の名義を被相続人(亡くなった方)から相続人へ変更しなければなりません。不動産登記の申請代理や登記申請書の作成は、司法書士の専門業務です(ご自身で手続きを行うことも可能です)。

さらに、相続人が複数いる場合は、誰が不動産を相続するのかを「遺産分割協議」で決める必要があります。この協議書の作成や、相続人全員の意思確認など、法律の専門家として間に入ることで、スムーズかつ公正な手続きをサポートできます。

当事務所にご依頼いただければ、これらの煩雑な相続手続きから、提携不動産会社と連携した売却活動、そして売却後の代金分配まで、すべての窓口を一本化できます。あちこちの専門家を探し、何度も同じ説明をする必要はありません。このワンストップサービスが、お客様の心身のご負担を大きく軽減します。

司法書士が依頼者に対し、「相続登記」から「不動産売却」までの流れをタブレットで説明している様子。ワンストップサービスの安心感を表現しています。

宅建士・不動産営業経験者だからできる「最適な売却戦略」

当事務所の代表司法書士は、国家資格である「宅地建物取引士」の資格を保有しているだけでなく、過去には不動産会社の営業として、まさに皆様が相続されたような物件の売買を数多く手がけてきました。

この経験があるからこそ、私たちは単なる法律の専門家ではありません。物件の状況や市場の動向、そして買主様の心理までを理解した上で、実務に基づいた最適な売却戦略をご提案できます。

法律(相続手続き)と実務(不動産売却)の両輪を深く理解していること。これこそが、お客様の利益を最大化するために不可欠な、私たちの最大の強みです。

心理カウンセラーでもある司法書士が、依頼者の話に親身に耳を傾けている様子。法律問題だけでなく心の不安にも寄り添う姿勢を示しています。

まとめ|一人で悩まず、まずは専門家にご相談ください

相続した古いマンションや団地、狭いワンルーム。「価値がない」と思い込み、一人で悩み続けていても、残念ながら問題は解決しません。しかし、視点を変え、適切な手順を踏めば、必ず解決の道筋は見えてきます。

そのための第一歩は、信頼できる専門家に相談することです。あなたの状況を客観的に分析し、法律と不動産の両面から最善の選択肢を一緒に考えるパートナーを見つけることが、何よりも重要です。

当事務所では、初回のご相談は無料で承っております。また、平日はお仕事でお忙しい方のために、ご予約いただければ土日祝日のご相談にも対応しております。1人でで抱え込まずに、お気軽にご連絡ください。

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東京23区の古いマンションだけでなく、横浜市戸塚区や千葉県八千代市などでもご相談実績があります。ぜひ、お気軽にお問合せください!

下北沢司法書士事務所 竹内友章

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