疎遠な相続人とのやりとり。円滑に進める司法書士のコツ

突然の相続…疎遠な親族とのやりとりに、お悩みではありませんか?

「長年連れ添った夫が亡くなった。私たちには子どもがおらず、夫の兄弟が相続人になるらしいけれど、もう何十年も会っていない…」
「亡くなった父には前妻との間に子どもがいると聞いている。全く面識がないのに、どうやって連絡を取ればいいのだろう…」

突然訪れる相続は、ただでさえ深い悲しみと多くの手続きで心身ともに大きな負担がかかります。それに加え、これまでほとんど、あるいは全く交流のなかった親族が相続人として現れるケースは、決して少なくありません。

「遺産分割の話なんて、どう切り出せばいいんだろう…」
「いきなり連絡して、お金の話だと思われたらどうしよう…」
「そもそも、手続きに協力してもらえるのだろうか…」

このような、法的な手続きそのものとは少し違う、人間関係やコミュニケーションに関する不安は、誰にも相談できずに一人で抱え込んでしまいがちです。

この記事では、そうしたお悩みを抱える方のために、疎遠な相続人とのやりとりを円滑に進めるための具体的な方法と、相手の心情に配慮した「気遣い」のコツを、司法書士の視点から解説します。法的な正しさだけでなく、円満な解決への道を一緒に探していきましょう。この記事を読み終える頃には、漠然とした不安が解消され、次の一歩を踏み出すための具体的な道筋が見えているはずです。

まず知っておきたい大原則:相続手続きは全員参加が必須です

疎遠な相続人とのやりとりを始める前に、まずご理解いただきたい非常に重要な原則があります。それは、「遺産分割協議は、相続人全員の合意がなければ成立しない」ということです。

たとえ何十年も音信不通であったとしても、法律上の相続人である限り、その方を除外して手続きを進めることはできません。もし、一部の相続人だけで作成した遺産分割協議書があっても、それは法的に無効です。その無効な協議書を使って預金の解約や不動産の名義変更(相続登記)を申請しても、金融機関や法務局は受け付けてくれません。

この大原則を無視してしまうと、後から手続きがすべてやり直しになるだけでなく、相続人間の不信感や感情的な対立を生む原因にもなりかねません。だからこそ、これからお話しするステップを踏んで、丁寧に関係者全員と連絡を取り、合意形成を目指すことが不可欠なのです。

連絡先がわからない…どうやって調べる?

多くの方が最初に直面する壁が、「そもそも連絡先がわからない」という問題です。しかし、ご安心ください。これは法的な手続きに則って調べることが可能です。

まず、亡くなられた方(被相続人)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等を取得します。これにより、法律上の相続人が誰であるかを確定させます。次に、連絡を取りたい相続人の戸籍謄本を取得し、さらにその方の「戸籍の附票(こせきのふひょう)」という書類を取得します。この戸籍の附票には、その方のこれまでの住所履歴が記録されており、現在の住民票上の住所を確認することができます。

これらの戸籍関連書類は、本籍地や住所地の市区町村役場で取得しますが、複数の役所にまたがることも多く、時間と手間がかかる作業です。もちろん、ご自身で進めることも可能ですが、こうした戸籍謄本の取得・相続人調査の段階から、私たち司法書士にご依頼いただくこともできます。専門家が代行することで、皆様の負担を大きく軽減することが可能です。

円滑な協力関係を築く4つの「気遣い」のコツ

連絡先が判明し、いよいよ最初のアプローチを始めるにあたり、最も大切なのは「相手の心情への配慮」です。法的な手続きをただ進めるのではなく、相手への敬意と感謝の気持ちを伝える姿勢が、円満な解決への鍵となります。ここでは、私たちが実務で常に心がけている、円滑な協力関係を築くための4つの「気遣い」のコツをご紹介します。

【専門家の視点】なぜ「気遣い」が重要なのか

相続手続きは、法律論だけで割り切れるものではありません。特に、疎遠だった方へ協力を求める場面では、相手の感情を無視した事務的なアプローチは、かえって事態をこじらせる原因になり得ます。

例えば、夫を亡くされた奥様が、面識のない夫の兄弟(義理の兄弟)に連絡を取るケースを想像してみてください。義理の兄弟からすれば、突然の訃報とともに、遺産分割というデリケートな話が舞い込んできます。驚きや戸惑い、そして「何か要求されるのではないか」という警戒心を持つのは自然なことです。

ここで重要なのは、やはり相手型への配慮です。いきなり遺産分割協議書を送りつけるようなことは、相手への配慮を欠いた、ぶしつけな行為と言わざるを得ません。まずは丁寧な事情説明から始め、相手の負担を最小限に抑える工夫を重ねる。そうした一つひとつの「気遣い」が信頼関係の土台となり、結果的にスムーズな手続きへと繋がるのです。

コツ1:最初のご連絡は「丁寧なお手紙」で

たとえ電話番号がわかっていたとしても、普段お付き合いのない方への最初の連絡は、お手紙の方が無難です。手紙であれば、相手もご自身のペースで内容を読み、落ち着いて考える時間を持つことができます。会話の行き違いも防ぐことができます。

お手紙には、まずご自身の身元を明かし、誰が亡くなったのか、どのような関係でご連絡したのかを丁寧に説明します。そして、遺産分割協議を進めるにあたり、ご協力をお願いしたい旨を誠実に伝えます。この時、相手に手間をかけさせない工夫も大切です。例えば、今後の意向(協力できるか、相続放棄を考えているかなど)を簡単に回答できるようなアンケート形式の書面と、切手を貼った返信用封筒を同封すると、相手は心理的な負担なく返信しやすくなります。

コツ2:遺産分割協議書の「書き方」と「送り方」

協力の同意が得られ、遺産分割協議書をお送りする段階でも配慮が必要です。協議書には財産の内容を記載しますが、不動産や預貯金の具体的な評価額などを詳細に書きすぎると、金額を目にした相手の気持ちが揺らぐ可能性もゼロではありません。

「不動産及び預貯金を含む一切の遺産を、妻である〇〇が相続する」といったように、具体的な金額を避け、誰が何を相続するのかが分かるシンプルな表現に留める方が、スムーズに進む場合があります。もちろん、財産目録を別途添付して透明性を確保することも重要ですが、ケースバイケースでの判断が求められます。

また、書類をお送りする際は、署名・捺印していただく箇所に付箋を貼り、「こちらにご署名とご捺印をお願いいたします」といった手書きのメッセージを添えるだけでも、印象は大きく変わります。相手の立場に立った、ほんの少しの手間が、心を開いてもらうきっかけになるのです。

遺産分割協議書に、署名箇所を示す丁寧な手書きの付箋を貼っている様子。相手への気遣いを表現している。

コツ3:手続きにかかる費用は「相続する側」が負担する

遺産分割協議書には、実印での捺印と印鑑証明書の添付が必須です。印鑑証明書は、市区町村役場で取得する際に数百円の手数料がかかります。

金額としてはわずかですが、この費用を相手方に負担させるのではなく、「取得にかかる費用はこちらで負担いたしますので、お手数ですがご取得をお願いいたします」と申し出ることが重要です。費用の問題以上に、「あなたに余計な負担はかけません」という気遣いの姿勢が伝わることが、信頼関係の構築において大きな意味を持ちます。

コツ4:手続き完了後には必ず「お礼」を伝える

無事に遺産分割協議書がすべて集まったら、ご協力いただいた方へのお礼も考えましょう。

遺産分割協議書が全て集まったことを報告するお手紙に、商品券を添えるなどすると良いと思います。。疎遠であったとはいえ、ご夫婦やご家族の親族であることに変わりはありません。礼儀知らずと評判をたてられても困りますので、お礼は考えた方が良いでしょう。

当事務所が代行する「心に寄り添う」相続サポート

ここまでご紹介した4つのコツを実践するには、精神的・時間的・技術的に非常に大きな負担となることでしょう。「専門家に頼みたいけれど、どこまでサポートしてくれるのだろう?」とご不安に思われるかもしれません。

下北沢司法書士事務所では、単に書類を作成するだけでなく、これまでお話ししてきたような、ご依頼者様の「心」と「手間」の負担を軽くするためのお手伝いを最も大切にしています。高度な法技術だけでなく、「ちょっとした手間や気遣いを惜しまないこと」こそが、スムーズな相続の実現には不可欠であると私たちは考えています。

文面作成から送付まで:最初のご連絡を代行します

ご依頼者様から丁寧にお話を伺い、相続関係や財産状況を整理した上で、疎遠な相続人の方へお送りする最初のお手紙の文面を作成し、送付まで代行いたします。司法書士という法律の専門家が第三者としてご連絡することで、相手方も冷静に状況を受け止めやすく、安心して話を進めやすいという利点もあります。

ご依頼内容を丁寧に伺い、相手方への敬意を込めた、丁寧で分かりやすい文面の作成に努めます。

費用負担からお礼まで:円滑な関係を築くお手伝い

印鑑証明書の取得費用を相手方にお送りする手続き(例えば、定額小為替を同封や費用の振込先口座のお伺いなど)の代行や、手続き完了後のお礼の品の手配・送付まで、きめ細やかにサポートいたします。ご依頼者様が「こうしたい」というお気持ちを形にするためのお手伝いは、すべて私たちにお任せください。

お手紙や遺産分割協議書の作成・送付、先方への費用の振込手続き、そして最後のお礼に至るまで、一連のプロセス全体を当事務所が責任を持ってフォローいたします。ご依頼者様は、煩わしい手続きや精神的なストレスから解放され、穏やかな日常を取り戻すことに専念していただけます。

まとめ:法的技術と同じくらい、ちょっとした手間を惜しまないことが大事

疎遠な相続人との遺産分割協議は、法律の知識が求められるだけでなく、相手の気持ちを想像し、配慮する繊細なコミュニケーションが不可欠です。司法書士はとかく遺産分割協議書を詳細に作成したり、相続分の譲渡や家庭裁判所での相続放棄など、技術面にばかり着目してしまうことがあります。

もちろん、技術面は大事ですし私も相続分の譲渡や相続放棄手続きを活用することがあります。しかしそれと同じくらい、ちょっとした手間を惜しまないなど簡単なことを着々と実行していくことが大事です。

下北沢司法書士事務所はこの点を抑えています。また、民法に加え多角的に相続手続きをサポートするため、不動産知識は不動産営業マンの経験と宅地建物取引士の資格、相手の心理を考えるために上級心理カウンセラーの資格も取得しました。

「何から手をつけていいか分からない」「自分のケースではどうなるのか知りたい」など、どんな些細なことでも構いません。まずは当事務所の無料相談をご利用いただき、皆様のお話をお聞かせください。私たちが、円満な解決への第一歩を、責任をもってお手伝いいたします。

どうぞお気軽にお問い合わせはこちらからご連絡ください。

対応エリアも事務所のある世田谷近辺だけではありません。都内は葛飾区・北区・板橋区など全般からご依頼をいただいております。川崎・横浜・相模大野などの神奈川県や八千代市や船橋市などの千葉県、埼玉県などで対応実績があります。ズームなどテレビ電話での対応や出張も行っております。

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