遺産分割協議「証明」書とは?数次相続での使い方【事例解説】

遺産分割協議「証明書」とは?協議書との違いと使い方を解説

相続が発生し、遺言書がない場合、相続人全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」を行います。その合意内容をまとめた書類が「遺産分割協議書」ですが、それとよく似た名前の「遺産分割協議証明書」という書類があるのをご存知でしょうか。遺産分割協議証明書は「過去に遺産分割協議が成立した」ということを証明する文書です。ある方が亡くなった後に更に相続人の誰かが無くなった時に使用します。今回は遺産分割協議書か遺産分割証明書がどちらの形を取るかが当事者の認識にかかっており、遺産分割証明書を使用することで税務上の課題解決につなげたケースをご紹介します。司法書士と税理士の連携が大切なことも伝わるケースでもありますので、ぜひご一読ください。

【事例】数次相続で税理士が「証明書」を希望した理由

遺産分割協議証明書は、単に手続きを効率化するだけの書類ではありません。今回は、当事務所が経験した「税務上の観点」からも遺産分割協議証明書がふさわしいとされた事例を紹介します。

遺産分割協議証明書が登場するということは、基本的に数次相続が発生しているケースということになります。

「数次相続」とは、最初の相続(一次相続)の遺産分割協議が終わらないうちに、相続人の一人が亡くなってしまい、次の相続(二次相続)が発生してしまう状況を指します。相続関係が複雑化し、手続きが難航しやすい典型的なケースです。

司法書士と税理士が連携して、数次相続の相談に乗っている様子。専門家が協力して最適な解決策を提案している。

ご相談に来られたのは、お父様とお母様を短期間で相次いで亡くされたお子様たちでした。主な遺産はお父様名義の収益不動産で、お子様3人で均等に相続したいとのご希望でした。相続税の申告が必要な案件であったため、当事務所の提携税理士と連携して手続きを進めることになった事例です。

遺産分割協議書という言葉はみなさんも聞いたことがあるかも知れません。ある方が亡くなり、その方の相続人全員で、どのように財産を分配するか決めます。しかし、ここで良く起こる課題が「数次相続」です。まだ遺産分割協議書が整わない間に更に相続人の方が亡くなってしまった状態です。相続が発生すると、亡くなった方の配偶者であったり兄弟姉妹の方など同世代の相続人がいることも多く、数次相続はよく起こりがちなことでもあります。今回のご依頼者も、お父様とお母様が短期間で亡くなられたケースでした。1回目の相談で保有していた収益不動産を依頼者様と兄弟(亡くなられた方の兄弟姉妹)で同じ持分で相続したいと方針を確認しました。そしてお話の中で相続税の申告が必要なことも分かってきたので、税理士さんと連携してのお手続きもご希望いただきました。私は早速当事務所の提携税理士さんと連絡を取り、再度お客さま宅を訪問します。税理士さんとの打ち合わせも終え、着々と相続手続きを進めていました。私は遺産分割協議書の原案を作成し、税理士さんに共有します。そうすると税理士さんから「遺産分割協議証明書」の方がふさわしいのではないかと意見が出ました。意見の対象となった遺産分割協議書はお母様のものではなく、先に亡くなりかつ不動産の名義人であったお父様の遺産分割協議書です。遺産分割協議書の形だと残されたお子様3人が「お父様から引き継いだ地位」と「お父様が亡くなられて配偶者たるお母様が相続し、そこからお母様から引き継いだ地位」に基づいて遺産分割協議をします。結果的にお子さん3人が相続しますが、取得する権利の半分はお母様を経由していることがポイントです。一方、「遺産分割協議証明書」の形だとどうでしょうか。遺産分割協議証明書とは「過去に遺産分割協議があったことを証明する」文書です。この形だと、お母様の存命中にお子さん3人が亡くなったお父様名義の不動産も相続する遺産分割協議が終わっていたが、遺産分割協議書を作成する前にお母様が亡くなっていた形になります。つまり、お母様を経由しないことがポイントです。税理士さんはお父様・お母様の2人の相続税申告が必要なこのケースでは、お母様を経由すると相続税の対象となるお母様の財産額が増えてしまい、不利になると判断したのでした。司法書士の分野である民事では結果としては同じなのですが、税法の分野でどちらの構成を取るのかで差が出るのです。少なくとも本件では遺産分割協議書か遺産分割証明の差は、当事者である相続人の皆様がどのように事実関係を認識なされているかの差でした。私は当事者の認識も「遺産分割証明」にそぐうものであることを改めてご本人たちに確認し、「遺産分割協議証明書」を作成しました。今回は司法書士と税理士の信頼関係に基づく連携があってこそ達成されたものです。信頼関係がないとどうしても司法書士・税理士ともにお互いのいうことを聞いて自らの作成書類を見直したり、構成を見直したりということはやりにくいです。士業同士の連携・依頼者様との連携が大事だなと感じたケースでした。

民法上はどちらの形式でも最終的に不動産の名義は子供たちに移りますし、どちらかというと遺産分割証明書の方がメジャーなのでこちらを選びがちです。この一件は、数次相続のような複雑な案件において、司法書士と税理士の信頼関係に基づく連携がいかに重要であるかを改めて実感させられた事例でした。

司法書士と税理士の連携は難しい・・・

お互い専門家同士なので、司法書士と税理士の連携は簡単そうに思えるかも知れません。ところが、実際には司法書士・税理士同士に一定の信頼関係がないと難しい部分もあります。今回のケースも恐らくは私と面識のない税理士さんだったら「遺産分割協議証明書」の方が適切である。と言い出しにくかったのではないかと思います。お互いに知らない同士だと、そう伝えることによって相手がどんな反応を示すのか想像がつきません。「税理士から実態と違う書類作成を指示された!」と過剰反応するかも知れませんし、そもそも単純にプライドが傷ついて機嫌が悪くなるかも知れません。そして、税理士としても提出された遺産分割協議書に添って業務をこなせば問題はないはずです。司法書士としても遺産分割協議書の方がある種自然ですし、業務としては何の問題もありません。今回は司法書士・税理士が連携が取れており、かつどちらも依頼者様にとってベストな案内をしようと気持ちの方向性が同じ方向を向いているという2つの条件が揃っているからこそ取れた連携でした。ポイントがもう1つ。それは互いに独立した司法書士・税理士だというところです。私は独立する前、いくつかの士業が在籍する比較的規模の大きな事務所で働いていました。そうすると、どうしても事務所内で士業同士の力関係が生まれてしまうのです。ワンストップといっても司法書士が税理士に意見ができなかったり、税理士が司法書士に意見ができない環境だとしたらその意味は半減してしまいます。互いに独立していて、必要な時には結束して力を合わせる。この形が結果として依頼者様にベストだと考えております。

複雑な相続こそ司法書士と税理士の連携が重要です

今回の記事では、遺産分割協議証明書が使われるケースを1つ紹介いたしました。このように現実的に考えてベストな選択を税理士さんと連携しながらご案内ができるのも当事務所のメリットです。このケースでは、税務申告に使う銀行の残高証明書などや取引履歴などの必要書類の取得も当事務所で行い、税理士さんと共有しました。また相続関係をA41枚の紙で証明していく法定相続情報の取得も当事務所で行い、税務申告や相続登記、更には預貯金の相続手続きにも役立てました。

先の事例が示すように、相続手続きにおける最適な選択は、民法(司法書士の領域)の視点と、税法(税理士の領域)の視点とで異なる場合があります。自己判断で手続きを進めた結果、思わぬ不利益を被ってしまうケースもあります。

司法書士だけでなく税理士の紹介も受け、かつ緊密に連携を取って欲しい方・そもそも相続税申告が必要か分からないが、ご自身が税理士さんが必要なケースか一緒に確認して欲しい方はぜひ当事務所にご相談ください。

当事務所は、経験豊富で穏やかな人柄の税理士をはじめ、様々な専門家と強固な信頼関係を築いています。ご依頼いただければ、司法書士が窓口となり、税理士や弁護士など必要な専門家と連携して、法務面・税務面の両方からお客様にとって最善の解決策をワンストップでご提案することが可能です。これは、司法書士と他士業の連携による大きなメリットです。

エリアも事務所のある世田谷区をはじめ、江東区や北区など世田谷から遠めの区も含めた東京23区や、千葉・埼玉・神奈川など首都圏の方からご依頼をいただいております。

対応エリアはこちら↓

対応エリア | 相続手続、遺言、相続放棄、会社設立、不動産売却なら下北沢司法書士事務所

せひお気軽にご相談ください。

下北沢司法書士事務所 竹内友章

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

0368055496電話番号リンク 問い合わせバナー