ご主人の相続、他の相続人が本音を言わずお困りではありませんか?
大切なご主人を亡くされ、深い悲しみの中、相続の手続きを進めなければならない…そのお気持ち、お察しいたします。ただでさえ大変な時期に、他の相続人との話し合いが思うように進まないと、心労は計り知れないものがあるでしょう。
「遺産をどうしたいのか、はっきりとした要求を言ってくれない」
「何度も同じような質問を繰り返され、話し合いが一向に進まない」
「一体、何を考えているのか分からず、どう対応していいか途方に暮れている」
もしあなたが今、このような状況で心を痛めているのでしたら、どうか「自分だけが…」と追い詰められないでください。遺産分割というデリケートな問題では、相手が本音をなかなか見せず、話し合いが膠着してしまうことは、決して珍しいことではないのです。
この記事では、なぜ相手が要求を言わないのか、その心理的な背景を探るとともに、私たち司法書士がどのように関わることで、その固く閉ざされた扉を開くお手伝いができるのかを、具体的な事例を交えながらお伝えします。この記事を読み終える頃には、きっと、今の苦しい状況を打開するための具体的な一歩が見えてくるはずです。
なぜ相手は要求を言わないのか?考えられる3つの心理
相手がはっきりと要求を口にしないのには、いくつかの心理的な理由が考えられます。単に意地悪をしているのではなく、相手もまた、様々な不安やためらいを抱えているのかもしれません。まずはその背景を理解することが、冷静な対話への第一歩となります。
① まずはあなたの出方を探っている
相手が直接的な要求を避け、質問を繰り返す場合、まずはこちらの意向や財産状況を把握したいという「探り」の心理が働いている可能性があります。特に相続に関する知識が十分でない方の場合、ご自身の要求が法的に、あるいは社会通念上、妥当なものなのか自信が持てません。そのため、先に手の内を見せることを恐れ、あなたの出方を見ながら自分の立ち位置を決めようとしているのです。
このような場合、相手の質問を「攻撃」と捉えず、一つひとつ誠実に情報を提供していく姿勢が、結果的に相手の警戒心を解き、本音を引き出す鍵となることがあります。
② 関係性を壊したくないという遠慮やためらい
「お金の話を切り出して、親族の関係が気まずくなったらどうしよう…」
「あまりがめつい人間だと思われたくない」
こうした気持ちから、明確な要求をためらっているケースも少なくありません。特に、これまで良好な関係を築いてきた相手であればあるほど、お金の話が関係に亀裂を入れることを恐れるのは自然な感情です。この場合、高圧的な態度で要求を促すのではなく、相手の気持ちを尊重し、「お互いにとって良い形で解決したい」というメッセージを伝え、話しやすい雰囲気を作ることが大切になります。
③ 手続きの進め方への不満や疎外感
相続手続きは、亡くなった方の配偶者であるあなたが中心となって進めることが多いでしょう。しかし、その進め方に対して、他の相続人が「自分は蚊帳の外に置かれている」「十分に情報が与えられていない」といった不満や疎外感を抱いている可能性もあります。
その不満が、遺産分割協議への非協力的な態度、つまり「要求を言わない」という形で現れているのかもしれません。財産の全体像がきちんと開示されていないと感じている場合、この傾向はより強くなります。手続きの進捗や財産の情報をこまめに共有し、相手も「当事者」として手続きに参加しているという意識を持ってもらうことが、信頼関係を築く上で非常に重要です。

【対応事例】20年越しの相続。司法書士の伴走
ここで、当事務所が実際にサポートさせていただいた事例をご紹介します。ご相談者は、20年以上前に亡くなったご主人名義のご自宅の相続登記でお困りの奥様でした。
お子さんがいらっしゃらないため、相続人は奥様と、ご主人のご兄弟3名。奥様はご兄弟とほとんど交流がなく、ご自身で連絡を取ることに大きな不安を感じていらっしゃいました。
【不安】「これからどうなるんだろう…」専門家が介在する緊張の始まり
まず、当事務所で戸籍を調査して相続人を確定させ、私からご兄弟の皆様へ、遺産分割協議へのご協力をお願いするお手紙を丁寧にお送りしました。すぐに2名の方からは協力的なお返事をいただけましたが、残るお一方からは、なかなかお返事がありません。
相手の方のお気持ちを害さないよう、文面を慎重に練り直して再度お手紙をお送りしたところ、「まずは全ての財産を開示して欲しい」というご返信がありました。これは相続人として正当なご要望です。
【葛藤】「もう調べようがない…」過去の事実と現在の想いの間で
しかし、問題はご主人が亡くなってから20年以上が経過していること。当時の預貯金や株式などの資料はほとんど残っておらず、正確な財産状況を調べるのは極めて困難でした。私はこの状況を正直に奥様にご報告し、奥様のお気持ちを伺いました。
奥様は、ご夫婦で力を合わせて住宅ローンを返済してきたこと、この家にご自身の人生が詰まっていることを切々と語られました。そのお気持ちを、今度は私から相手の方へ、奥様ご自身の言葉として丁寧にお伝えしました。
そこから、根気強いやり取りが始まりました。
「家の価値はどう判断するのか?」
「私は兄(亡くなったご主人)と特に仲が良かった」
財産に関する質問と、亡くなったご主人との思い出話が、何往復か続きました。そのたびに、私は奥様と打ち合わせを重ね、奥様のお気持ちを汲み取りながら、奥様からの回答を先方に伝えていきました。。
【安堵】4回のやり取りの末に訪れた解決の光
質問と回答を4回繰り返した頃、ついに相手の方から相続に対する希望が提示されました。それはこれまでどおり話をはぐらかすようなものではなく実際に遺産分割協議を前に進められるご希望でした。
奥様もこのご希望に向き合い、無事に遺産分割協議が成立し、20年越しにご自宅を奥様の名義にすることができたのです。
この事例は、焦らず、相手の質問に一つひとつ誠実に向き合うことが、最終的に相手の本音を引き出し、円満な解決に繋がることを示しています。そして、そのプロセスに専門家が伴走することで、依頼者の方の精神的なご負担を和らげ、冷静なコミュニケーションを維持できるのです。

膠着状態を打開する司法書士の「中立性」という関わり方
司法書士は弁護士さんと違い、依頼者の方の立場に立って代理人として交渉することは法律上できません。しかしこの「交渉代理ができない」という点が、時として円満な解決への大きな強みになるのです。
交渉代理はできないが、あなたと併走することはできる
司法書士法上、私たち司法書士は、紛争性のある案件で特定の相続人の代理人として相手方と交渉することはできません。しかし、それは「何もできない」という意味ではありません。
法的知識をあなたに伝えながら適切な回答をするサポートをすることはできます。考えた内容は、なにも口頭で伝えなければならないわけではありません。落ち着いて、手紙にすれば良いのです。時として直接会うよりも、冷静かつ正確なコミュニケーションが可能になります。これにより、不必要な対立の激化を防ぐことができるのです。特定の相続人間の利害が対立しないケースでは、遺産手続きは弁護士より司法書士!大きなメリットがあります!!でも解説している通り、司法書士が適任な場面は多くあります。
「どちらの味方でもない」ことが相手の警戒心を解く
もし、一方の相続人に弁護士が代理人として就くと、相手は「攻撃されている」「戦いが始まる」と感じ、身構えてしまうことが少なくありません。そうなると、態度はより硬化し、話し合いでの解決は遠のいてしまいます。
一方で、司法書士は「相続人全員のための手続きを、公平中立な立場で進める専門家」として関わります。この「どちらの味方でもない」というスタンスが、相手の警戒心を解き、「この人になら話しても大丈夫かもしれない」という安心感に繋がることがあるのです。
心理カウンセラーとしての視点からも、人は攻撃されていると感じると防御的になりますが、安全な場であると感じれば心を開きやすくなります。私たちのこの中立的な立場こそが、相手の隠された本音や、「実はお金が欲しいわけではなく、ただ自分の気持ちを分かってほしかった」といった本当の望みを引き出すきっかけになるのです。

長期化させないために。今あなたができること
では、この膠着した状況を打開し、手続きを前に進めるために、今あなたに何ができるでしょうか。焦りは禁物ですが、行動を起こすことは大切です。
まずは相手の質問に一つひとつ誠実に対応する
「また同じことを聞かれる…」とうんざりする気持ちはよく分かります。しかし、まずは相手の質問に、一つひとつ誠実に対応することを心がけてみてください。財産に関する質問であれば、分かる範囲で構いませんので、通帳のコピーや不動産の評価額が分かる書類など、客観的な資料を揃えて開示する姿勢が大切です。その透明性が、相手の不信感を和らげ、本音での対話を促す土壌を作ります。「急がば回れ」の精神が、結果的に円満かつ早期の解決に繋がるのです。
相続登記は、ぜひ専門家にご相談ください
相続登記には、このように人間関係的な部分だけではなく、安易に手続きを進めると思っていたものと権利関係が違って登記がされてしまったりと、落とし穴がたくさんあります。そのため軽く考えず、司法書士に相談することを強くお勧めします。
下北沢司法書士事務所は、単に法律手続きを代行するだけではありません。心理カウンセラーの資格を持つ司法書士が、あなたの不安や辛いお気持ちに優しく寄り添いながら、不動産実務の経験も活かして、バランスの取れた解決策を「一緒に考えて提案する」パートナーでありたいと願っています。
もし、あなたが今、出口の見えないトンネルの中にいるように感じているのなら、どうぞお気軽にお声がけください。最初の一歩として、初回無料相談はこちらからご利用いただけます。私たちが、あなたと一緒に光の差す方向を探します。ご依頼いただいているエリアも事務所所在地である世田谷区やをはじめとする東京23区、府中市・調布市などの東京都下からもたくさんご依頼をいただいております。東京都以外では川崎、横浜、相模原、取手などの首都圏でも依頼実績があります。更に出張対応では、千葉県館山市・神戸・札幌・山形などで実績があり、必要に応じて全国出張します。ズームなどテレビ電話の打ち合わせも対応します。
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