疎遠な相続人の心理とは?感情的対立を避ける専門家の対応

疎遠な相続人とのやりとり、8割は円満に進みます

相続が発生し、戸籍をたどっていくと、会ったこともない、あるいは何十年も連絡を取っていない相続人がいることがわかるケースは決して珍しくありません。突然のことに、「どう連絡すればいいのだろう」「もしかして、トラブルになってしまうのでは…」と、大きな不安を感じていらっしゃるのではないでしょうか。

ですが、まず一番にお伝えしたいことがあります。それは、過度に心配なさらないでください、ということです。

下北沢司法書士事務所は、疎遠な相続人、あるいはほとんど会ったことのない相続人の調査をし、お手紙などで連絡を取り合いながら遺産分割協議書の取り付けや相続登記(不動産の名義変更)などをする遺産承継業務を得意としております。当事務所の経験から、疎遠な相続人に連絡を取った時に良くある反応をお伝えします。これから疎遠な相続人とやりとりをする方の参考になると思います。ぜひご覧ください。

まずお伝えしたいのは、およそ8割くらいの方は手続きに快く協力してくださるということです。もちろん、丁寧なお願いや相手に対する尊重の姿勢を表すことは当然の前提ですが、それさえできれば大抵の方は気持ちよく応じてくれます。尊重する上で大事なのは、あまりメリット・デメリットばかりにならず「お願いします」という姿勢で臨むこと。少なくとも初動の接触では特に大事です。相手を尊重するのがポイントであり、メリットやデメリットについていきなり理屈っぽく説明してしまうと、聞いてもないのにそんな説明をされて不快に思う人もいます。ただ、相手から質問があったらもちろん丁寧に説明します。質問されているということは関心を示してくれているともいえるのでいいことです。

この記事では、私たちの実務経験に基づき、なぜ話がこじれてしまうことがあるのか、その背景にある「心理」を解き明かします。そして、残りの2割のケースのように少し複雑な状況になったとしても、冷静に対処できる専門家の具体的なアプローチをご紹介します。読み終える頃には、漠然とした不安が、具体的な次の一歩を踏み出すための知識に変わっているはずです。

なぜこじれる?疎遠な相続人が抱く3つの典型的な心理

では、なぜ一部のケースで話し合いが難航してしまうのでしょうか。それは、疎遠な相続人の方が、突然の連絡に対して特有の心理状態に陥りやすいからです。法律論だけでは見えてこない、その心の動きを理解することが、円満解決への第一歩となります。

疎遠な相続人が抱く3つの典型的な心理「借金への警戒心」「詐欺への不信感」「感情的なしこり」を図解したインフォグラフィック。

心理1:借金を相続させられないか?という「警戒心」

自分が相続人になったとき「財産の一部が取得できる」といわばポジティブにとらえる人ばかりではありません。どちらかというと「借金を相続してしまうかも知れない」と心配する方の方が多いように感じます。突然、会ったこともない親族の相続人になったと知らされたとき、多くの方が最初に抱くのは「財産がもらえるかもしれない」という期待よりも、「知らない借金を負わされるのではないか」という強い警戒心です。特に、亡くなった方との関係が薄ければ薄いほど、その不安は大きくなります。

私たちがご連絡した際も、「財産はいらないから、とにかく関わりたくない」「プラスの財産があるという話自体が怪しい」といった反応が返ってくることがあります。これは、ごく自然な感情です。財産の全体像がはっきりしない中で協力だけを求められれば、誰しもまずは自分を守ろうと身構えてしまうものでしょう。

心理2:何かの詐欺ではないか?という「不信感」

相続について連絡を取るということは、遺産分割協議書にご署名・押印を求めることがほとんどです。この時そもそも「安易に書類にサインしちゃダメ!」という考えから、ひたすら拒否する事例もありました。こんな時代ですからある意味で無難な選択かも知れません。面識のない相手から、いきなり「ここに実印を押してください」と言われても、すぐに応じられる人はいません。「これは何かの詐欺ではないか」「言われるがままにサインしたら、後でとんでもないことになるのでは」という不信感が生まれるのは当然です。たとえ司法書士という専門家が間に入っていても、その司法書士自身が本物なのか、誰かの利益のために動いているのではないかと疑われてしまうケースさえあります。

心理3:過去の経緯からくる「感情的なしこり」

法律やお金の問題以上に根深く、解決を難しくするのが、家族間の感情的な問題です。あなたが全く記憶にないとしても実は相手はあなたや亡くなった方をよく覚えていることがあります。ちょっとした一言を言われたとか、あなたが進学した大学に相手は入れなかったとか、ちょっとしたことや一方的な嫉妬だったりします。この場合は、自分の感情を聞いて欲しいという感情が相手にもあります。

こうした感情的なしこりは、理屈では解決できません。「自分の気持ちを分かってほしい」「ただ話を聞いてほしい」という強い思いが、話し合いそのものを拒否する原因となっている場合、手続きを進める前にまず、その感情に寄り添う必要があります。

相手の心理に寄り添う司法書士の具体的な対応策

では、こうした複雑な心理を抱える疎遠な相続人の方と、どのように信頼関係を築いていけばよいのでしょうか。私たち司法書士は、単に手続きを代行するだけでなく、相手の心の状態に合わせたコミュニケーションを何よりも大切にしています。特に、代表司法書士が心理カウンセラーの資格も持つ当事務所では、心に寄り添うアプローチを実践しています。

こうした疎遠な相続人との円滑なやりとりには、専門家ならではのコツがあります。

「警戒心」には透明性の高い情報開示と選択肢の提示

「借金があるのでは」という警戒心を解くために最も有効なのは、徹底した情報開示による透明性の確保です。私たちはまず、相続財産の調査を正確に行い、預貯金や不動産といったプラスの財産だけでなく、ローンなどのマイナスの財産も全てリストアップした「財産目録」を作成し、ご提示します。

こういう時は相手から質問があるので丁寧に説明すること、それでも心配なされる時は家庭裁判所に対する相続放棄手続きの段取りを当事務所で取ることによって不安を解消していきます。その上で、「もしマイナスの財産が多ければ、相続放棄という選択肢もありますよ」ということを明確にお伝えします。相続放棄は、家庭裁判所で行う法的な手続きですが、その手続きのサポートも私たちが責任をもって行えることをご説明することで、相手の方は「無理やり相続させられることはない」と安心し、冷静に判断できる状況が生まれます(ただ、事案によっては相続放棄をすることで深刻に問題が複雑化してしまうことがあるので注意が必要です。)

相続放棄で問題が深刻化するケースのコラム

数次相続の相続放棄|遺産分割の代用にする際の注意点 | 相続手続、遺言、相続放棄、会社設立、不動産売却なら下北沢司法書士事務所 – 相続手続、遺言、相続放棄、会社設立、不動産売却なら下北沢司法書士事務所

参考情報
相続放棄の手続きについて、詳しくは裁判所のウェブサイトでご確認いただけます。
参照:相続の放棄の申述 | 裁判所

「不信感」には身分証明と丁寧なプロセス説明

「詐欺かもしれない」という不信感に対しては、まず私たちが何者であるかを明確にすることが第一歩です。場合によっては、司法書士の会員証の写しを同封するなどして、国家資格者としての身分をきちんと証明します。

司法書士が相談者に身分を証明するために会員証を提示している様子。誠実な対応で不信感を解消するイメージ。

こういう時は文案にコメントの解説文書をつけて何が書いてあるのか丁寧に説明すること有効です。そして、決して署名・押印を急かしません。なぜ今この書類が必要なのか、相続手続き全体の流れの中で今どの段階にいるのか、今後の見通しはどうなるのか。時には図を描いたりしながら、相手の方が全体像を理解し、納得してくださるまで丁寧に説明を尽くします。一つひとつのプロセスを誠実に見せることが、信頼を築くための唯一の道だと考えています。

「感情的なしこり」には傾聴と共感の姿勢

最も繊細な対応が求められる感情的な問題。ここで私たちが何よりも大切にしているのは、法律論や正論を振りかざすのではなく、まず相手のお話を徹底的に「聞く」ことです。何に怒り、何に傷つき、何を訴えたいのか。その心の叫びに、ただひたすら耳を傾けます。

なので、ひたすら聞きます。必要とあれば遠方でも、話を聞くために伺います。これは、マニュアル通りにはいかない、非常に根気のいるプロセスです。しかし、個人事務所である私たちは、フットワークの軽さを活かし、必要であれば遠方であっても直接お会いするために足を運びます。対面で真摯にお話を聞くことで、何年も凍りついていた感情が少しずつ溶け始め、話し合いのテーブルに着いていただけるきっかけが生まれるのです。この一人ひとりの感情に寄り添う丁寧な対応こそが、大手にはない私たちの強みであり、円満解決に繋がる鍵だと信じています。

なぜ司法書士が適任?弁護士との役割の違い

相続の専門家というと、弁護士を思い浮かべる方も多いかもしれません。もちろん、すでに対立が深刻化し、裁判での解決(遺産分割調停・審判)も視野に入れなければならない状況では、弁護士の力が必要です。

しかし、まだ対立が表面化しておらず、「できれば穏便に、円満に手続きを進めたい」と願う段階であれば、司法書士が最適なパートナーとなり得ます。

その理由は、両者の立場・役割の違いにあります。

  • 弁護士:特定の依頼者の「代理人」として、その依頼者の利益を最大化するために活動します。相手方とは交渉し、時には法廷で争うことが主な役割です。
  • 司法書士:紛争性のない相続手続(相続人・相続財産の調査、遺産分割協議書の作成支援、相続登記など)を中心にサポートします。相続人間の対立が深刻で交渉や調停・審判の対応が必要な場合は、弁護士への相談が必要となります。

弁護士さんが交渉すると、その時点で対立していることが強調されてしまいます。また、相手からしても「厄介な人だと思われている」と認識するので、これらのことから余計に感情的になってしまうことが考えられます。よって、対立が表に出るまでは弁護士さんより司法書士の方が、穏やかな課題解決に適しているといえます。

まとめ:大切なのは法律論と感情のバランス感覚です

相続手続きの仕事をずっと続けてきましたが、本当に「法律の理屈」「感情」のバランスを取りながら業務をするのは難しいと思っています。あまり理屈によっても相手の感情がこじれてしまい、せっかくまとまる話もやらなくていい遺産分割調停など必要になってしまうかも知れません。かといってあまり相手に寄り添いすぎると、ただ単に振り回されたりしてどんどんわがままになってしまうこともありえます。この当たりのバランスが難しさで司法書士によって差が出るところだと思います。

疎遠な相続人との手続きを成功させる鍵は、法律の知識だけではありません。それ以上に、相手が何を考え、何に不安を感じているのかを想像し、その心に寄り添う「感情」への配慮が不可欠です。

理屈だけでも、感情だけでも、この複雑な問題はうまくいきません。法律という客観的なルールと、一人ひとりの主観的な感情。この二つの間で、いかに絶妙なバランスを取りながら舵取りをしていくか。そこが専門家の腕の見せどころであり、司法書士によって差が出るところだと感じています。

もしあなたが今、会ったことのない相続人とのやりとりに不安を抱えているなら、どうか一人で抱え込まないでください。私たちは、法律と心理の両面からあなたの状況を理解し、最も穏便で、納得のいく解決策を「一緒に」考え、提案するパートナーです。個人事務所だからこそ、一人ひとりの状況に柔軟かつ丁寧に接することができ、それが多くの案件の成功につながっています。まずはお気軽にご相談いただければと思います。当事務所では東京23区だけでなく、千葉・埼玉・神奈川などの首都圏からもご依頼を頂戴しております。昨年は町田市や横浜市戸塚区など東京都下や東京以外の方からもご依頼を頂戴し、無事に不動産の名義変更(相続登記)を終えることができました。あなたからのご相談、心よりお待ちしております。

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下北沢司法書士事務所 竹内友章

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