おはようございます!下北沢司法書士事務所の竹内と申します。遺言、後見、相続、債務整理、不動産売却サポートなど個人の方の法務手続きをしている司法書士事務所でございます。
今日も相続関係のの現場の知識を無限にお伝えしましょう!相続の中でも相続放棄、相続放棄の中でも亡くなった方が賃貸住まいだったときについてお話します。
亡くなった親御さんに借金があるため相続放棄をする場合、親御さんの住んでいたアパートの遺産の整理や未払い賃料の支払いをどうしたらいいのかの相談も意外と多いです。以前、こんなケースがありました。Aさんは、お母さまが亡くなりました。バタバタと葬儀を済ませてようやく落ち着いたころ、お母さんの住んでいたマンションの大家さんから連絡があったそうです。大家さんご本人ではなく、その大家さんの顧問弁護士からの連絡でした。予期せぬ弁護士さんから電話を受けてドキドキしながら話を聞くとこんな内容でした。「アパートにあるお母さんの荷物を引き払って欲しい。それと、解約届を提出し生前の払って無かった賃料約10万円を支払って欲しい。」弁護士の話を聞いたAさんは、応じると伝えました。親のことなので、当然と感じたそうです。弁護士の求めに応じすぐにアパート解約届を提出しました。ところがこの後、思いがけないことがありました。お母さんに数千万規模の借金があることが判明したのです。Aさんのお母さんはご自分で事業をしていました。大慌てで、相続放棄のことを調べ、手続きをとったAさん。その矢先、また弁護士から電話がかかってきました。この前とはガラっと態度が変わって随分と高圧的です。「約束の期限が過ぎている。早く賃料を払って荷物を整理してください。」Aさんはこの作業をやらなければと思いつつずっと動けずにいました。それは、相続放棄について調べてるうちに「相続放棄をしても、亡くなった方の財産を処分したら相続を承認したものとみなされてしまう」という知識に触れたからです。Aさんは弁護士に「作業をしたくないわけではないが、相続放棄が無効になったら困る」と伝えました。そうすると弁護士は激しい口調で「この前の話と違う!あなたには支払う義務がある!!」と怒ったそうです。そして、訴訟をおこしてきました。Aさんの代理人として私は訴訟に対応しました。最終的には和解し、「解決金」名目で未払い賃料の半額を支払い、またこの和解の内容を他言しないこと、訴えてきた弁護士側は相続放棄したことそのものは否定しないことなどを和解の内容に盛り込みました。このケース、もしも相手方の弁護士がAさんの話を冷静に聞いていたら賃料の名目ではなく「解決金」などの名目にして、他言禁止の条項を入れればAさんはお金の支払い自体は拒んでなかったことが分かったでしょう。それをいきなり訴訟を起こしたために、時間はかかってその間部屋を貸したりクリーニングをしたりすることもできず、未払い賃料も(私が減額交渉したので)半額になりました。相手が約束を破ったと感じたとき、常識に反していると感じた時でも冷静にお互いの一致点を探せば意外と見つかるときもあります。どうしても冷静になれそうもない時はまずは司法書士に相談し、気持ちと状況の整理をしましょう!
下北沢司法書士事務所 竹内友章