相続法改正のポイント-相続人以外の者の貢献について

「相続人以外の特別な貢献」が認められやすくなりました!

亡くなった方に対して、特別な貢献をした方は相続財産を多く受け取れる「寄与分」という制度があります(民法904条の2)。

特別な貢献とは商売や事業を給料無しでしっかり手伝っていたり、被相続人の事業のためにお金を貸してあげていたり、本当は介護施設でしか受けられないような介護を自宅でずっとしていたりと日常のレベルを超えた貢献です。本当は人を雇わなければならないところをタダで手伝ったり、自宅で介護することで介護施設の費用を浮かしたりしたのですから「あなたがいなければ相続財産はもっと少なかった」と言える状態です。

それだけ貢献したのだから相続財産にも反映させようというのがこの制度の趣旨です。しかし、この制度には問題もありました。それが「相続人」にしか寄与分が認められていないことです。私たち一般人の家庭生活においては、長男の奥さんがずっと義理の父の介護をしていたりと「相続人」では無いけれど特別な貢献をしていたケースもたくさんあります。

このようなケースに対応するため改正民法1050条(民法で最後の条文です。)で相続人以外の方の貢献も認められるようになりました。

 

特別な寄与の支払い請求ができる方

改正民法1050条では、被相続人の「親族」に特別寄与料を認めています。

民法における親族とは①六親等以内の血族、②配偶者、③三親等以内の姻族を指します(民法725条)。

この規定に乗っ取ると亡くなった方の奥さんの連れ子や甥や姪、従兄弟の子供や孫まで親族になりますから結構広いですね。これで被相続人の財産維持に対する貢献がきちんと評価されると期待されています。もしも相続人と特別寄与者の間で協議がうまくまとまらない時は、家庭裁判所に協議の代わりとなる処分も求められるようになりました(改正民法1050条2項)。

この親族が請求できる「特別寄与料」と相続人が特別の貢献をした場合の「寄与分」は一応、違う規定です。そのため、実際にどれくらいの寄与分がもらえるのか、金額の計算方法などで「寄与分」の考え方が完全に流用されるかなど新しいが上に少し不明瞭さがある制度だと考えています。

しかし、民法に「相続人でなくとも相続財産の維持に貢献した人はきちんと評価する」考え方が示されたのは大きな変化だと思います。遺産分割協議をする上でも、この考え方を反映させた新しい遺産分割協議の有り方がこれから出てくると思います。司法書士は単に条文を追うだけでなく、その条文の考え方を皆様の相続に落とし込みます。迷ったら司法書士にぜひご相談ください。

 

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