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重要ポイントである遺産分割協議。司法書士にご相談ください。
遺産承継の中でも、遺産分割協議書の作成は円満な相続のために特に重要です。なぜなら遺産分割協議書を作成している最中に相続分で意見が分かれ、相続トラブルに発展してしまう可能性があるからです。相続財産がどれくらいあるのか調べたり、遺産分割協議が終わった後の法務局への登記申請、預金の名義変更の手続きの段階ではあまり相続トラブルにはなりません。やはり誰がどの財産をどれくらい相続するか遺産分割協議書の作成段階で相続トラブルになる可能性が一番高いです。
遺産分割協議書の作成は弁護士さんももちろんしますし、税理士さんや行政書士さんも作成してくれます。しかし、司法書士があらゆる士業の中でもっともバランスのいい立場で遺産分割協議書を作成できると考えています。
その理由は2つあります。1つは普段から民法や税法、不動産登記法の知識に数多く触れていること。そしてもう1つは誰か特定の方の立場に立つわけではない中立的な職業のイメージです。
登記は民法、不動産登記法に基づいて正確な手続きを求めるためしっかり知識を入れておかないと手続きがとれません。また不動産の名義変更をする際には自然とお客様に税金に関する質問を受けることも多いので自分でも税法の知識を勉強し税理士とのネットワークもしっかり作ります。
そしてもし弁護士さんが遺産分割協議書を作成したらどうでしょうか。確かに民法の知識はしっかりありますが遺産分割協議書を作った後にする法務局への登記申請は基本的にしません。そしていかに弁護士さんがいかに中立的な立場をとっていても、やはり訴訟の代理人になるお仕事です。そのイメージからどうしても相続人の方が構えてしまい、「お兄さんが弁護士さんを立てるなら私も・・・」となってしまって円満に相続を終わらすどころか返って話がややこしくなってしまうかも知れません。
その点、司法書士ならば弁護士さんほどは共同相続人の方も警戒せず、連絡役を果たすことができます。連絡役を担い判断に必要な情報(法律知識)をしっかりと提供できる。そして法務局への登記申請、銀行への預金の名義変更などしっかりと出口を見据えた正しい書き方で遺産分割協議書を作成できます。
正しい知識で出口を見据えた遺産分割協議書を作成することこそ、ほんの些細な行き違いで兄弟や親族の方と相続トラブルで疎遠になってしまうことを防ぎ、今まで通りの良いお付き合いをするために大切なことだと考えています。
相続財産は預金だけ。遺産分割協議書は必要?
遺産分割協議書は必ず必要なのでしょうか。もし相続財産は預金しかなく、それを単純に2人で半分にするだけならわざわざ遺産分割協議書を作るなんておおげさに感じる方もいらっしゃるかも知れません。誰がどれだけ相続するかは配偶者が2分の1、子は兄弟姉妹が全員で2分の1というように相続人の方が相続する割合は民法で「一応」決まっていてこれを法定相続分といいます。
この割合の通りに相続するなら遺産分割協議書を作らなくともそれぞれの手続きは通るかも知れません。しかし法定相続分の通りに相続することを相続人のみなさんが納得したことを記録に残す意味が大きいです。遺産分割協議書は、基本的に作成しておくべきだと考えています。
遺産分割協議書の文案、税理士の意見も集約します。
司法書士や税理士など士業の遺産分割協議書の書き方には傾向があります。法務局への不動産の名義変更を正確にするために不動産の部分をより丁寧に書きます。税理士なら相続税の申告を意識して財産の価格や数量に重点をおくことが多いです。しかし司法書士や税理士どちらか一方の目線ではなく多角的に考えて書き方を工夫した方がより良い遺産分割協議書を作成できることもあります。
お父さん名義の実家を売却したいが実はお父さんに続いてお母さんも亡くなってしまった場合は?空き家を売却する場合の税制上の優遇を受けるのはどんな書き方をしたらいい?
書き方次第で相続税の申告や、空き家となった実家を売却した時の譲渡所得税に影響を与えることもあるため提携税理士の意見も聞きながら遺産分割協議書の書き方を決めていきます。単に書類を作るのではなく相続した財産をどうするのか出口を見据えて全体の窓口となり、みなさまの楽でスムーズな相続に貢献いたします。
他の相続人と連絡がとれない場合はどうしたらいい?
最近は相続人が2、30人いてそれぞれの相続人が一回も会ったことが無いようなケースも増えてきました。お子さんがいない夫婦で相続が発生する兄弟、甥や姪に相続権が分散するため長い間相続手続きをほうっておくと、とてつもない多人数になってしまいます。
そのような時は戸籍や戸籍の附票からそれぞれの相続人の所在を確認し、通知文を司法書士が作成して遺産分割協議書に応じるようお願いをします。通知文の書き方や段取りの進め方はケースによって違いますが、お客様と司法書士で相談しながら進めていけます。
遺産分割協議書がまとまらない時は?
残念ながら遺産分割協議書がどうしてもまとまらないこともあります。そんなときは弁護士さんを代理人に立てたり遺産分割調停の申し立てをして話し合いを継続することになります。状況やご希望にあわせて相続や不動産の問題を多く取り扱う当事務所の提携弁護士をご紹介致します。
遺産分割協議書作成の流れ
遺産分割協議書の作成は、おおむね次のような流れで進めます。
①法定相続人の確定、財産調査
※戸籍を取得して相続人が誰なのか確定します。同時に固定資産の名寄帳の取り寄せ、銀行からの残高証明書の取得などで相続財産を確定します。
②相続関係説明図、財産目録の作成
※相続関係、財産の全体像を紙にまとめ遺産分割協議のベースとなる情報を集約します。
③各相続人に遺産分割協議が必要なことを通知
※依頼者の方があまりお付き合いのない相続人など、必要に応じて司法書士から相続人の方に通知をします。
④遺産分割協議内容の調整
※各相続人と連絡を取りながら相続人の方に遺産分割協議書の内容を決めていただきます。
⑤遺産分割協議書に署名・押印
※遺産分割協議書の内容が決まったら相続人の方に署名と押印を頂きます。
⑥遺産分割協議書の内容のとおりに不動産、預金、株式などの名義変更
※遺産分割協議書が完成したらその内容のとおりに法務局で不動産の名義変更、銀行での預金の名義変更などを行います。